金正日総書記が逝った後の北朝鮮はどうなるのか。
アメリカは当然ながら視線をこらして、みつめています。
北朝鮮の危険で特異な言動に最も頻繁に正面から対処してきたのは、おそらくアメリカでしょう。韓国の役割ももちろん大きいですが、北の核武装への動きなどに最も精力を注いで、反対してきたのはなんといってもアメリカです。
アメリカには朝鮮戦争で北朝鮮と中国を相手に死闘繰り広げた実績もあります。だからこの超大国の北朝鮮の変動への対応は、大きな意味がわるわけです。
そのアメリカの反応について報告を書きました。
日本ビジネスプレスの私の連載「国際激流と日本」からの転載です。
なお原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/33538
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北朝鮮の独裁者、金正日労働党総書記の死去が発表された。2008年夏に軽い脳卒中に襲われたとされたものの、金書記はその後、公的な場に頻繁に登場し、熱っぽい言動をみせて回復を印象づけていた。だから今回の死去の報は唐突とも受け取られた。
米国はこの北朝鮮のカルト的な最高指導者の死にどう対応するのだろう。
首都ワシントンでは12月18日夜に「金正日死亡」のニュースが流れたが、翌日の主要新聞各紙はそれほどの重大ニュース扱いをするところは少な かった。テレビはかなり大きな扱いで詳しく報じたが、それでもなお天地が揺らぐような衝撃のニュースという位置づけからはほど遠かった。
だが米国の政府や議会、そして研究機関の関係者たちの間では、今回の出来事は朝鮮半島の情勢はもちろん東アジア全体の地政構図を根幹から変えかねない重大異変として受け止められたと言える。
その結果、今後の朝鮮情勢の読みや米国の対応のあり方が各所で熱心に論じられた。朝鮮半島の現実を知る人であればあるほど、深刻に受け取る出来事が金正日書記の死だと言えるようだ。
ヒラリー・クリントン国務長官はたまたま12月19日にワシントンを訪問中の日本の玄葉光一郎外務大臣との共同記者会見で金書記死亡に触れ、「朝鮮半島の安定を望む」ことと、日本や韓国という米国のアジアの同盟諸国と連帯して「情勢の監視を強める」ことを強調した。
同じ日、バラク・オバマ大統領は野田佳彦首相との電話会談で同様に「朝鮮半島の安定維持」を政策目標として掲げた。
米国政府首脳がこれだけ「安定」を力説するのも、北朝鮮政権がそもそも不安定な行動を続けており、危険な挑発に再び出る可能性が高いからである。その素地からすれば、今回の唐突な政権移譲では、まずは暴発的な危機が起きないことに腐心するということだろう。
国政の経験も実績もほとんどない正恩氏
さて、米国側ではこの北朝鮮にとっては歴史的な変革をどのように見て、特にどんな点に懸念を向けているのだろうか。
まず第1点は後継の28歳の金正恩氏の下で、これまでの「金王朝」とも言える政権が従来の権力を保っていけるのかどうか、である。
この疑問には当然、金正恩氏を倒して、他の指導者が頂点に躍り出てくる可能性の有無論も含まれている。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (11)
として受け入れる筈も無いでしょうね。金正恩氏の叔父貴連中を軸に
何らかの派閥闘争の動きが有ると予測します。そして中共政府は
それを当然利用するでしょう。
少なくとも中国は経済開放政策を強く迫るでしょうし、「金正恩暫定政権」
はその提案を受け入れるしか無いでしょう┐(´д`)┌
その流れで金剛山観光の再開が早ければ来年早々にも実現するでしょう。
韓国からの「外貨獲得」も急務でありますから。
軍部の動向が確かにカギでしょうね。
金正日亡き後どういう変化が起きるか。北朝鮮の軍部は中共の支援がなければ、国家の存続が危ぶまれるという現実を十分認識しています。当分は極端な変化は見せない、見せることは控えるでしょう。
ひるがえってわが国の現状はどうか、東京電力福島第一原子力発電所の原子炉爆発事故ではしなくも露呈した不測の事態に対処するという態勢がまったく考えられていないという現実です。これは原発問題だけに限りません。
政権与党はもちろん、また2年まえまで長期に政権を担ってきた自民党にも、不測の事態にそなえて対処策を考えるという思想は全くといっても眼中にありません。
アメリカから学ばねばならない最重要な国家戦略であるはずですが、それを計画すればまた、米国従属の大合唱が起こることでしょう。
わが国はどこへ行くのか…。
>政権与党はもちろん、また2年まえまで長期に政権を担ってきた自民党にも、不測の事態にそなえて対処策を考えるという思想は全くといっても眼中にありません。
の文中、「まったくといっても」のあと、「いいほど」が欠落していました。
失礼しました。
不測の事態を考えないというのは戦後の日本の特徴のようですね。
憲法9条とも同根に思えます。なにしろ他国民の善意に依存するのですから。
「総出」の側近たちに注目!金総書記の訪中に随行
【ソウル=仲川高志】金正日
キムジョンイル
総書記の訪中には、朝鮮労働党や朝鮮人民軍などの側近がそろって随行、「実力者を総動員した」(聯合ニュース)との見方も出ている。金総書記の後継体制作りや、デノミネーション(通貨単位の切り下げ)の失敗による経済混乱など、懸案山積みの事情を反映した布陣といえそうだ。
随行者の中で最も注目されるのは、金総書記の義弟で、側近中の側近とされる張成沢チャンソンテク・労働党行政部長。金総書記の後継体制作りで中心的役割を果たしているともいわれる。
姜錫柱
カンソクチュ
・第1外務次官は北朝鮮外交を取り仕切り、中朝首脳会談には必ず同席するとされる人物だ。昨年12月には平壌で、スティーブン・ボズワース米政府特別代表と協議を行った。今回は、核問題をめぐる6か国協議の議論に備えた随行とみられる。金養建
キムヤンゴン
・党統一戦線部長は、北朝鮮が1月に設立した外資誘致機関「朝鮮大豊国際投資グループ」の理事長。金平海
キムピョンヘ
・平安北道党委員会責任書記の随行は、中国東北地域との経済連携を模索する狙いの表れといえそうだ。
(2010年5月8日09時06分 読売新聞)
この実力者たちに内紛が起こらなければ問題が無いのではないか。この実力者たちが核実験をして弾道ミッサイルを発射させたり韓国を攻撃したりしている。
でも今が一番不安定な状態である事は確かです。韓国もアメリカもキムジョンイルを探知出来なかった事は何を意味するか。おそらく北朝鮮はおそらくあまり問題にされていない(重ク見られていない)のではないか。韓国では非難ゴウゴウらしい。
後継に決まっているとはいえ、金正恩氏は実績も経験もありません。
そうなると、誰か有力者の後見を必要とすると考えられます。
北朝鮮自体が中国の後見を受けているのとほぼ同じですから、その関係上の人物に焦点が集まりそうですね。
また一方で兄ふたりは健在であり、ひとりは国外にあります。
この部分が場合によっては北朝鮮の中で不安定要素になるかも知れません。
どの道、我が国は情報の収集と同時に出来る事の範囲を広げる政治的な動きも必要となるでしょう。
危機感をあまりに煽るのも何ですが、不足し過ぎる現状としては国民的な議論になって然るべきだと考えます。
他所がどう、以前に自分たちはどうするのか、どうなっていくのが理想なのか…政治がグランドデザインを示して欲しいものです。
<金総書記死去>中国は張成沢氏を全面支援 専門家
聯合ニュース 12月20日(火)13時4分配信
【アトランタ聯合ニュース】中朝関係の専門家で、中国指導部と共産党の動向に詳しい慶煕大学のチュ・ジェウ教授は聯合ニュースの取材に対し、死去した北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の義弟、張成沢(チャン・ソンテク)朝鮮労働党行政部長が権力継承過程で金正恩(ジョンウン)氏の後見人として、権力の頂点に立つとの見通しを示した。チュ教授は現在、ジョージア工科大学の訪問教授を務めている。
チュ教授は中国高官の話として、「北朝鮮権力の行方は張氏が鍵を握っている」と主張した。チュ教授によると、張氏は考え方が柔軟で、豪放な性格。親しみやすく、中国指導部と党が最も好む人物だという。北朝鮮の内部対立や朝鮮半島の緊張を望まない中国としては、張氏が権力の空白を埋める最適任者とみなし、全面的に支援する可能性が大きいという。
チュ教授によると、張氏は昔から非公式に訪中し、中国の指導部と緊密な関係を築いてきた。また、金永春(キム・ヨンチュン)人民武力部長ら軍部幹部から支持を得ているのに加え、食糧支援を受けられる中国とのパイプを持っており、「北朝鮮で唯一、『銃』と『パン』を握っている人物だ」と説明する。
ただ、張氏は金総書記の実妹・金敬姫(キム・ギョンヒ)氏と以前から別居中で、離婚説が出ているほど仲が良くないとされる。 これについては、金総書記が生前に2人の役割を調整したほか、2人とも政治的な利害関係のために「金王朝」を守る努力を続ける可能性が高く、夫婦問題は大きな影響を与えないとの考えを示した。
2人の問題については、金総書記が中国などに対し、「特に問題はない」とのメッセージを伝えていたという。
家光が小童のころ
「余は 神君(家康)とも秀忠公とも違う。生まれながらの将軍である」
と言って、家康以来の老臣らを平伏 感銘させたという話がありますよね。
南北朝を一本化して、足利の最盛期を築いたのも三代目の義満でした。
正恩氏で、北の体制も安定に向かうんじゃないですかね?
実朝だって、頼朝が初めから指名していれば、ああはならなかった...
めぐみさん、八重子さんら百数十人?の被拉致者を氏の決断で送り届けてくるといいですが、ここは、わが政府も頑張らないと
核開発は、間違いなくさらに進むでしょう。
核を手離した後、対朝姿勢が変わらない、むしろ良くなるのは日本くらいで、米中露に“相手にされなくなる”ことは、正恩氏がいかに深窓育ちでも分かると思うんですね。
国民の半数が飢えて死のうが核は持つ、という毛路線に異議を唱えた幹部は中国共産党に皆無だったはずです。
朝鮮労働党の場合もまったく一緒だと思います。
ただ、核を使うかとなると、使わないでしょう。たぶん絶対(?)
こう妄想したからと言って、本邦の核武装には反対です。
邦家には、小生的な者がたくさん居て? すぐ使ってしまいそうなので(笑)
後見人が実権をすべて握るというような羽目になると、複雑ですね。
1。金正成は北朝鮮をの創立者。完全な実力者。
2。金正日は父の生存中に20年も皇帝学?をならい充分準備する時間があった。それでも父の死後3年も喪にふしてすぐには頂点に立てなかった。
3。金正恩は皇帝学をたった15ヶ月しか受ける暇がなかった。それでキムジョンイルの突然の死。恐らく少なくとも3年の喪にふすのか。
前途多難。思ったより大変な任務らしい。仕事は”手を振って拍手して国民の前にたつ”だけではないらしい。