2012年というさらなる激動の年を迎えるにあたって、日本の安全保障面での課題難題についての論評です。

 

中国の軍拡、北朝鮮の核武装という二つの脅威がふくれあがるなかで、わが日本は機能麻痺のように「平和」という言葉をおまじないのようにとなえる域を出ていません。

 

いったい日本はどうなるのでしょうか。

 

民主党政権が宣伝してきた「日米同盟の深化」という言葉が質の悪い冗談のようにひびくこのごろです。

 

日本ビジネスプレスの私の連載からの転送です。

 

原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34046

 

 

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 日本の安全保障にとってもその意味は深い。このシフトの主要な原因は、中国の軍拡への対応である。北朝鮮への抑止という目的も密接にからんでいる。

 

 米国のこうした「アジア重視」の新たな動きについては、この連載コラムで何回か伝えてきた。特に「日本が中距離ミサイルを配備する日」(2011年10月5日)というリポートでは、米国側の新しい対中軍事態勢を踏まえての同盟国としての日本への期待について詳述した。米国歴代政権でアジア安保政策を担当した元高官ら5人の調査と提言だった。

 

 その中では「21世紀のアジアの同盟」と題する部分で、日本に対して、概略として以下のことを求めていた。

 

・戦後の年来の軍事抑制を撤回し、無抵抗平和主義を放棄する。
・南シナ海などの海洋の防衛や抑止に大幅に参加する。
・中国の台湾攻撃への抑止として南方防衛を強化する。
・中国が増強する中距離弾道ミサイルへの抑止として同種のミサイルを配備する。

 

 いずれも日本の現状からすれば、実行は極めて難しい戦略目標だろう。今の民主党、野田政権下では、「とんでもない」として一笑に付される提案もあるだろう。だが、同盟国としての米国の期待は今やここまで高くなったのだ。

 

 米国と日本は同盟パートナー同士でありながら、安全保障への認識や目標にはそれほどのギャップが広がってきた、ということでもある。

北朝鮮の恫喝に日本はどう対応するのか

 そして、その後に起きた異変が北朝鮮の金正日総書記の死去だった。

 

 この事態にも、米国では精密な事前の研究をしていたことは、当連載の10月20日のリポート「米国は見透かしている、北朝鮮崩壊時の日本の中途半端な対応を」で伝えた。さらに実際に金総書記が死んだ後の北朝鮮にはどのような危険要因があるのか、特に日本への意味も含めて、12月21日付のリポート「米国が北朝鮮新政権に抱く3つの懸念 実力不足の後継者は何をしでかすのか」で報告した。

 

 後者の報告では、議会調査局で長年、北朝鮮の分析を続けてきたラリー・ニクシュ氏が特に深刻な懸念を表明したのが、北朝鮮がついに弾道ミサイルに装備する小型核弾頭を完成させるという展望だった。私はその報告には書かなかったが、同氏は以下のことも実は述べていた。

 

 「北朝鮮は、スカッドやノドンという中距離、長距離の弾道ミサイルに核弾頭を装着して、発射できるようにする実戦配備が、核武装での長年の最大目標だ。あと2年ほどでそれを達成する危険性が高くなった。

 

(つづく)