あの大震災からちょうど一年です。

 

各種の総括や反省がなされています。

 

しかしあの大災害が日本人の信仰や宗教をどう変えたのか、という点については、問題の提起もなく、まして回答はみあたりません。http://farm6.static.flickr.com/5019/5546721868_3408a6ab8a.jpg

 

ところがアメリカでそんな疑問が提起されていることは、興味深いといえます。

 

日本での信仰といえば、まず神道であり、神社でしょう。被災地ではその神道や神社はどんな役割を果たしたのでしょうか。被災地の人たちの神社や神道に対する態度や心情は変わったのでしょうか。

 

 

以下のような記事を書きました。

 

【朝刊 国際】


【外信コラム】ポトマック通信 神社と大震災


 

 東日本大震災から1年が経過するのを前にワシントンでも種々の行事が催されているが、2月29日、ジョージタウン大学の宗教研究の「バークレー・センター」が「日本の2011年3月の大災害への神道の対応」という討論会を開いた。

 

 同大学の東アジア研究部門のケビン・ドーク教授がまず日本の神道の概要を説明し、1年前に東北を襲った大地震や津波の被災者たちと神道や神社との関係に も大きな影響があったのではないか、という疑問を提起した。日本社会での神社や神道の浸透度からみれば、自然な疑問だろう。

 

 これに対し、基調講演者の日本の「神道国際学会」ニューヨーク駐在代表で神職の中西正史氏が、被害を受けた神社や避難する被災者を受け入れた神社の数な どを報告した。神道組織が各地から東北へ救済のグループを送り込んだ実態や、被災地の神社が従来どおりの祭りを催して住民を励ました実例をも伝えた。

 

 しかし参加者からの「震災は被災者と神社や神道との信仰面での関係を変えたか」という質問に中西氏も明確な答えが出せないことを率直に認めていた。

 

 「日本ではマスコミも宗教や信仰をほとんど取り上げないので」という中西氏の補足の言葉が、この種の課題へのアプローチの日米の相違を映し出していた。(古森義久)