以下のような記事を書きました。

 

サンフランシスコ講和条約60年 米は評価「経済や防衛、価値観共有し利益」
2012年04月26日 産経新聞 東京朝刊 総合・内政面

 ■中国台頭で同盟曲がり角

【ワシントン=古森義久】日本の 戦後の独立を画すサンフランシスコ講和条約の発効から60年、米国ではこの記念日をとくに祝う行事は見当たらないが、この長い歳月に日本が米国の有力パー トナーとして利害や価値観を共有して発展した点を重視し、同条約を米国の対外政策の一大成功とする評価が改めて確認された。だが同条約とともに出発した日 米同盟が内容の変質や中国のパワー拡大により、いまや曲がり角を迎えたとの懸念も一部に表明された。

◆対外政策の成功物語

同条約が、米国にとって敵だった日本を米欧と自由民主主義などの価値観を共にする「西側陣営」の一員とし、ソ連との厳しい対決での主要な同盟国とした点 で、対外政策の一大成功物語とする認識は米側で一致している。日米関係を専門とするジム・プリシュタップ米国防大学教授は「とくに条約発効からの半世紀は 米国の戦後の外交政策でも歴史的な成果をあげたといえる」と評価する。

米国の対外関係に詳しいブルース・ワインロッド元NATO(北大西洋条約機構)駐在米首席代表は「サンフランシスコ講和条約は日本を民主主義、市場経済の国際システムに招き入れ、同時に防衛面でも東アジアでの戦略拠点とした点で米国への利益は巨大だった」と総括した。

この種の総括は、同条約がソ連の軍事脅威と共産主義に直面して西側陣営に加わるという選択を自明にした点で、日本にも歴史的意義が大きかったことを証する といえる。この選択を米国への「従属」としかみないのは、日本の国益や価値観の立脚点をどこに置くかが不明ゆえの認識だろう。

◆軍事力不行使が障壁

しかしプリシュタップ教授は現在、日米同盟関係が冷戦時代の日本防衛という2国間機能から地域的、さらにはグローバルな機能を期待されるにいたったこと が、同条約発効60周年に特別の意味を持たせていると指摘した。同盟のこの機能の変容には中国の軍事力の拡大という新しい要因がからみ、日米両国にとって 同盟の再調整が致命的に重要となってきたというのだ。

ポール・ジアラ元国防総省日本部長はこの点に関連して、「日米同盟の効用拡大が期待されるにつれ、日本側の集団的自衛権の行使禁止など、構造的な消極姿勢による日米間の足並みの乱れが懸念を生み始めた」と指摘した。

ジアラ氏は
 
(1)中国の軍拡という新要因への日米統合の防衛対応が求められる現在、日本側の軍事力不行使の基本がその種の統合を難しくしている
 
(2)この 統合の欠落は、東日本大震災直後の米軍のトモダチ作戦でも明白だった
 
(3)日米同盟が本来、枝葉である普天間飛行場問題などで機能不全となる現実への米側 の不満や不信は強い
 
 -などとも述べ、サンフランシスコ講和条約発効60周年のいま、同盟が大きな曲がり角を迎えたとの見方を明らかにした。

同氏は「同条約発効60周年を祝う動きが米側で皆無なのは、その種の不満の反映かもしれない」とも論評するのだった。