米軍の近代兵器に中国製の偽造電子部品が多数、組み込まれているという報告の続きです。

 

 原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35316

 国際激流と日本

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きわめて高度なミサイル防衛網にも

 軍や政府のそんな実態を立法府の機関が徹底して調べ、警告を発する点は、米国の強さと言えるだろう。だが、さらに注視されるのは、同報告書が日本にも影響のあるミサイル防衛網にも中国製の偽造部品が組み込まれていたと、指摘したことである。

 

 「中国の偽造電子部品は米陸軍の配備するミサイル防衛システムにまで入り込んでいた。ロッキード・マーティン社が開発して、すでに配備を始めたミ サイル防衛局のTHAAD(終末高々度防衛ミサイル)のミッションコンピューターにも偽造電子部品が使われていたことが判明したのだ」

 

 こんな調査結果だった。

 

 このTHAADは、敵の発射した弾道ミサイルがその飛行の最終段階で大気圏に突入してくるのを捕捉して、地上から迎撃し、破壊するというミサイル防衛システムである。日本にはまだ配備されていないが、その可能性が米国側で論議されたこともある。

 

 こんなに高度な兵器システムにまで中国製と見られる偽造、模造の部品が侵入しているというのだ。

見えてこない中国の本当の狙い

 果たして中国は、とにかく偽造品を大量に作って、売りまくるという利益追求の違法行為の結果として、こんなことを起こすのか、あるいはもっと深慮遠謀があって、米軍の近代兵器を骨抜きにするために偽造品を流通させているのか、まだ結論は出せないようである。

 

 同報告書は総括として、米軍当局に対し、今後兵器類の調達に際して、製品や部品の製造企業の実態の調査を厳しく実行し、警戒を強めることなどを勧告していた。当然の勧告だと言えよう。

 

 また報告書は同時に米国の政府や軍部に対し、中国のその種の動向への注意や監視を増すことをも強く求めていた。

 

 今、軍事面で対立を深める米国と中国は近代兵器の電子部品という特殊な領域でも、このようなせめぎ合いを強めているのである。

                                 (終わり)