中国の軍拡がアメリカのアジア戦略を浸食していきます。

 

 中国の核戦力の増強はアメリカの日本に対する「拡大核抑止」をも骨抜きにする危険が指摘されました。日本を守る「核のカサ」が崩れてしまうというのです。

 

 日本ビジネスプレスからの引用です。

 古森義久コラム「国際激流と日本」からです。

 

原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35527

国際激流と日本

戦後最大の危機に直面する米国のアジア戦略

中国の軍拡がアジアの安定と平和を揺るがす

 

クリックすると新しいウィンドウで開きます

                    =========

 

(1)米国の「拡大核抑止」からの同盟諸国の切り離し

 米国は日本や韓国という同盟諸国の防衛を誓い、核戦力についても、同盟国が核の恫喝や攻撃を受けた場合、米国は自国への核攻撃と同等に見なして、 核報復の措置をとることを誓約してきた。この保証が「拡大核抑止」と呼ばれる。その抑止が中国側に核兵器を脅しや実際の攻撃に決して使わせないという効果 を発揮してきた。

 

 だが、中国が秘密裏に核戦力を増強していることが明白となり、米国本土を直撃できる核兵器(大陸間弾道ミサイル)の数も55~65基と、米国の予 想を上回る数の存在が判明した。中国は中距離、準中距離の核ミサイルをも増強し、移動可能なミサイル、多弾頭ミサイルをも新たに開発している。潜水艦発射 の核弾頭ミサイルをも配備したと見られる。

 

 その一方、米国は1991年から2009年の間に非戦略的(大陸間ではないという意味)な核兵器を90%も削減した。オバマ政権はさらに日本に とっては拡大核抑止の象徴だったトマホーク巡航ミサイルの核装備用を廃棄した。その結果、米国はアジアでの紛争で核抑止の効果を発揮する手段が限定されて きた。

 

 つまり有事に米国は中国の核に対し実際の核兵器使用能力を誇示して、抑止を発揮させるという能力を減らしたわけだ。米国は同盟国が核攻撃を受けた ことに対し、即時に中国への報復の核攻撃を実施することをためらわざるをえない可能性が増してきたとも言える。米国本土中枢への中国の核攻撃を恐れるから だ。その結果、同盟諸国にとっての拡大核抑止は実際には米国自体の核抑止から事実上、切り離されていく。

 

(2)アジア太平洋地域の固定標的の破壊

 米軍はアジア地域で、平時でも有事でも、港湾、空港、兵站基地などの固定拠点を確保し大幅に依存してきた。だがこれらの拠点はきわめて脆弱となってきた。中国がそれら基地を正確に撃てる弾道ミサイルや巡航ミサイルを大幅に増強してきたからだ。

 

 米国防総省の発表でも、中国は短距離と中距離の地上攻撃用の弾道ミサイル、巡航ミサイル合計約1800基を配備した。これらは核弾頭用が4種類、通常弾頭用が10種類に及ぶ。2012年3月には中国がグアム島に到達する新型準中距離ミサイルを配備した証拠が判明した。

 

 この種の中国のミサイルは有事には台湾の空軍基地を破壊し、台湾が台湾海峡を制圧することを防ぐと見られる。同様にこの種のミサイルは日本国内の空軍基地をも破壊して、米軍の台湾支援作戦の実施を阻むことが可能となる。

(つづく)