尖閣諸島を守るために、日本はなにをすべきか。

 

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日本ビジネスプレスからの転載です。

 

原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35731

国際激流と日本

尖閣諸島を守るために
日本がすぐに実行すべき5つの対策

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 第3は日米同盟の強化である。

 

 この対策はもちろん尖閣防衛の軍事能力強化と一体になっている。米国は日米安全保障条約により、日本の統治下にある領土が第三国からの攻撃を受け た場合、日本と共同してその反撃にあたることを責務としている。そしてその条約の責務は尖閣諸島にも適用されることは、オバマ政権の高官たちも公式に認め ている。

 

 だから中国がもし尖閣に対して軍事攻撃をかける場合、その敵となる相手は単に日本だけではなく、米軍となる。その展望が中国にとっては最も恐れる 危険であり、そのことが中国の軍事力行使への最大のブレーキとなる。日米同盟による抑止である。

 

 しかし肝心の日本に有事での断固たる自国領土防衛の意欲や能力がなければ、米国の共同防衛誓約の実行も当然視はできなくなる。まして、いまの米国 はオバマ政権下で「アジア重視戦略」を唱えながらも、その一方で、画期的な国防費削減を計画している。

 

 だから日本の防衛力強化にかける期待も当然、高くな る。だが、その日本は民主党政権下で、防衛費も事実上の削減を続け、米国との軍事面での連携も怠りがちである。日米同盟の強化には程遠い状態なのだ。特に 最近の米軍の新型輸送機「MV-22 オスプレイ」の日本配備に対する日本側のメディアなどの反対論議は、日米同盟の強化や日本の安全保障への配慮が皆無 のように見える。

 

 そこで求められる同盟強化の最有効の対策は、日本の集団的自衛権の解禁である。野田政権はその展望をほのめかし始めた。だが単なるリップサービス である気配も濃い。しかし現実に日本政府が憲法第9条のいまの解釈を変えて、「日本も世界の他の諸国と同様に集団的自衛権を行使できる」と宣言すれば、日 本の防衛へのそのプラスは絶大となる。まず最初に米国との軍事面での連携が強化されるからだ。その強化は当然、尖閣諸島の防衛の増強につながる。

 

 そもそも近年の米国では民主、共和の党派を問わず、官民の両方で「日本の集団的自衛権の行使禁止は日米同盟強化への障害になっている」という認識 が高まってきた。同盟というのは本来、集団防衛態勢なのである。同盟の相手が第三国に攻撃されれば、自国への攻撃と見なして、その相手を助けて反撃する。 その意思と能力が第三国に攻撃を思い留まらせる抑止となる。そんな構造が世界の安全保障の現実なのである。

 

 しかし日本だけは自国を助けてくれる米国でさえ、その艦艇や将兵が日本の領土や領海から100メートル離れた地点で第三国の攻撃をむざむざと受けても、助けはしないと宣言しているのに等しいのだ。

 (つづく)