オバマ政権二期目の対アジア、対中国の政策について、です。

 

雑誌「正論」からです。

 

この部分で終わりです。

 

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しかしなおオバマ政権の「空・海戦闘」や「アジア重視」には額面どおりに受け取れない側面がある。この点は非常に重要である。

簡単にいえば、オバマ政権はなお中国との直接の対決姿勢の表示には抵抗をみせ、遠慮がちでソフトで、譲歩へとつながりがちな反応をときおりちらつかせるのだ。

まずオバマ政権は「空・海戦闘」の具体的な軍事措置を国防総省の段階だけでの計画として扱い、政権としての公式決定の対象とはしていない。しかもその軍事措置による抑止の対象が中国だという公然の現実にもかかわらず、「中国」の名を公式には出さない。柔軟といえば柔軟な対応だが、なお慎重さの名の下での優柔不断を思わせる。

さらに重要なのは「アジア重視」戦略についても、その実行には深刻な障害が予測されることである。

最大の制約要因はアメリカ自体の財政危機である。アメリカ政府はいま未曾有の財政赤字に悩まされ、政府の支出の大幅削減を迫られている。オバマ大統領再選後に急浮上した「財政の崖」と呼ばれる危機がその象徴である。

 2011年11月、議会の超党派の特別委員会が支出削減の合意を成立させられなかったため連邦予算は一律10%カットされ、国防費は自動的に「こんご10年間に最小で5000億ドル」という大規模な削減をされることになった。それがなくても国防総省は、自主的に現在の年間6000億ドル水準の国防費を2017年までに累積で合計4500億ドル分を減らす方針を決めている。

 国防費の大幅カットでまず最も多く削られるのは、地上で活動する陸軍部隊や海兵隊の経費だとされる。アジア駐留米軍も、まだまだ陸軍や海兵隊の比重が大である。だから国防長官がいくら中国抑止の「空・海戦闘」の軍事強化策を図っても、アジアの駐留米軍の増強を求めても、予算措置という次元で阻まれる見通しも強いのである。国務、国防両長官が「アジア、太平洋での軍事関与の増大」を叫んでも、その通りには実現できない可能性も高いのである。

 

 ではオバマ政権のこうした対中姿勢の大幅な修正は日本にとってなにを意味するのか。

 アメリカが安全保障面でアジアを最重視し、アジアに回帰するという姿勢自体は日本にとっても歓迎すべき動きであることは説明の必要もないだろう。尖閣諸島への中国の侵略的な動きだけをみても、アジアでの米軍抑止力の強化は日本を利する。

 なにしろ最近の中国が歴史的とも呼べる多角的で大規模な軍事拡張を重ね、国際合意を無視する言動を続けるという無法性を抑えるには米軍の力は当面、最も有効な措置だろう。

だがアメリカがアジア重視の施策を進めれば、当然、同盟相手の日本への期待や要求も強まってくる。とくにアメリカ側の財政面での制約は日本の分担の拡大要求へとつながりやすい。もし日本がそれに応じられないという場合、単にアメリカとの関係の摩擦だけでなく、日本の安全保障自体に大きな影が広がる。

アメリカ議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」の枢要メンバーで米中軍事関係に詳しいラリー・ウォーツェル氏は、オバマ政権の対中新戦略の日本への意味について次のように語った。

「オバマ政権の対中軍事シナリオの実現はまず当然、西太平洋でのアメリカ海軍の存在の拡大を必要とする。その結果、第七艦隊の拠点となる日本の基地の機能が従来よりも重要となる。さらに西太平洋、東アジア全域での機動的な米軍戦力の向上という目的のために、沖縄駐留の海兵隊の役割の拡大が期待される」

 こうした米側の期待と日本側のオスプレイ配備反対にみられる同盟強化への非協力とを対照させるとき、そこには暗く険しい展望も浮かびあがるといえよう。

要はアメリカの中国の軍事脅威への新たな対応に日本はどう協力すべきか、である。

日本が日米同盟の堅持、そして尖閣諸島の防衛の継続という道を選ぶ限り、まず日本自身の防衛努力を拡大し、アメリカの負担を軽くするという選択しかないだろう。日本は防衛費を従来のGDP(国内総生産)の1%以内に抑えることを排する時期でもあろう。懸案の集団的自衛権の行使禁止を解くことも、日本の防衛努力の画期的な拡大となる。さらには自衛隊を尖閣周辺の南方諸島防衛により多く投入することも、必要だろう。アメリカの新たなアジア戦略の展開とともに、日本の防衛策も根本からの変容を迫られるようになったのである。(終わり)