日銀の次期総裁に黒田東彦元財務省財務官が指名されたことが論議を広げ始めました。賛否両論がぶつかっているようです。

 

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しかしこの黒田氏がアジア開発銀行の総裁として、中国への巨額のODAをつぎ込んできた事実はほとんど話題になっていません。

 

黒田氏はそのうえ、中国主導の「東アジア共同体」の推進論者でもあります。

この構想はアメリカを排除してのアジアの「共同体」つくりであり、鳩山由紀夫氏が首相時代に唱えなおして、アメリカから強烈な反撃をくらいました。

 

黒田氏は2005年2月からアジア開発銀行の総裁を務めてきましたが、これまでの8年もの間、中国への経済援助を急増させています。世界最大の外貨保有国の中国になぜ援助をしなければならないのか。懐疑や反対の多いなかで、黒田氏は断固として中国援助の増加を貫いてきました。

 

このアジア開発銀行の資金というのは実は日本から供与した資金が多いのです。日本はアジア開銀への最大の出資国なのです。その資金の全体の16%が日本から出ています。つまりは日本の国民の税金なのです。だからその出資の額の大きさのために、日本の財務官僚が歴代の総裁になってきたのです。

 

黒田氏が総裁になってからのアジア開銀は2006年から2008年までの3年間に中国への援助の総額が50億ドルへと急増させました。この期間の1年間あたりの中国への供与額は約1700億円です。それ以前の時期から激増し、この時点でアジア開銀全体の資金援助のうち半分以上が中国一国だけに出ていました。

 

この時期も、それ以降も、中国への経済援助は全世界的に減っています。

日本政府が対中ODAをほとんど停止したのも、その象徴です。国際機関一般も同様でした。そんな潮流のなかで、アジア開発銀行だけが逆に対中援助を急増させたのです。

 

この対中援助急増の責任者がわが黒田東彦氏でした。アメリカもこの傾向に反対し、アジア開銀の運営方針をめぐって日本政府に抗議をしています。そんななかで黒田氏は中国訪問を頻繁に続け、北京政府への親しみを誇示し続けてきました。なぜ中国にそれほどに援助を増すのかという問いに対し、黒田氏はいつも平然と「ごく当然だ」という趣旨の中国擁護の粗雑な言明を繰り返してきました。

 

アジア開発銀行のこの異様な中国援助と、黒田総裁の媚中的態度については私はこの問題に詳しい青木直人氏との共著「終わらない対中援助」のなかで詳述しています。

 

いま中国への厳しい態度が求められるわが日本においてこんな媚中的実績をみせてきた元官僚を日銀のトップにしてよいのでしょうか。安倍首相は黒田氏の媚中的志向を知っているのでしょうか。