中国政府は自国内で出版される書籍の内容を事前に厳しく検閲します。

 そして気に入らない記述があれば、ばさばさと削ります。

 では著者としてその「言論の弾圧」を受け入れるかどうか。

 

日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

 

原文へのリンクは以下です。

 

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39218

国際激流と日本

中国当局の検閲を受け入れた
あの世界的ベストセラーの著者

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  2012年にはイギリスの大手紙フィナンシャル・タイムズのベテラン記者、ジェームズ・キング氏の著書『中国が世界を揺さぶる』(邦題『中国が世界をメチャクチャにする』)の中国語版が中国で出版されそうになった。欧米ですでにかなりの部数を売った書だった。

 

 だが、この本の中国語版は、中国共産党にとって都合の悪い記述を含む1章がまるまる削除されることが確実となった。キング記者はそのことが分かる と、これまた、「中国市場での販売のために、正しい記述までも削除してしまうことにはジャーナリストとして同意できない」と言明し、中国での出版をキャン セルした。

削除された天安門事件に関する記述

 そんななかで、米国ハーバード大学の元教授のエズラ・ボーゲル氏の新刊書をめぐる動きは、中国側の検閲を全面的に受け入れてしまったという点で異色だと言える。ボーゲル氏の対応について、米国内のアカデミズムやジャーナリズムの世界でも論議が巻き起こっている。

 

 ボーゲル氏は日本研究学者としても広く知られ、1979年に刊行した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は日米両国で大きな話題を呼んだ。

 

 ボーゲル氏の今回の書は、まず米国で2011年9月に出版された。『鄧小平 中国の変容』という題で、ハーバード大学系の出版社が刊行した。米国を中心に3万部ほどが売れたという。

 

 2012年5月に、香港の香港中文大学系の出版社が中国語版を出版する。香港だけでなく、台湾、シンガポールなどの中国語圏で関心を集め、合計5万部ほどが売れた。

 

 そしていよいよ中国本土の出版社が関心を持つ。大手の三聯出版が版権を買い、2013年1月には中国当局の検閲を受け、中国語版が刊行された。この間、日本でも同書は『現代中国の父 鄧小平』というタイトルで日本経済新聞出版社から出された。

 

 米国で論議が起きたのは、この書の中国版が内容のかなりの部分を削除され、その削除に著者のボーゲル氏が同意したことが判明したためだった。

(つづく)