張成沢処刑の意味についてのレポートです。
とくに気がかりなのは、この異変の日本人拉致事件への影響でしょう。
日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。
なおこの項はこのエントリーで完結です。
原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39469
北朝鮮の残酷な処刑が
日本に好影響を与える理由
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チャ氏はさらに、金書記が政権内部のコントロール不足を補うために、外部に対して危険な軍事行動をあえてとって、内部の結束を狙うという可能性をも 指摘した。要するに金政権はこれまでも、そして今も内部の分裂が激しいという見方なのだ。その分裂は張処刑だけで一気に解消できるはずはない。
この処刑の後、金書記は独裁体制を急速に強化していくことができるのか。それは、現時点では決して断言することのできない難しい予測であることが分かる。
命を狙われていた金正恩
金政権内部の分裂ぶりについて、ここで想起されるのは本コラムの「北朝鮮の崩壊に備えよ」(2013年10月23日)という記事で紹介した米国ランド研究所の報告である。
同報告で示唆的だったのは「この1年ほどの間に2回、金正恩第一書記への暗殺の試みがあり、党や軍が内部分裂して内戦となる可能性もあった」とい う記述だった。「暗殺」や「内戦」という言葉は、報告発表の時点ではいかにも大げさに響いたものの、現時点では、張成沢氏の罪状の「金体制を強硬手段で覆 し、権力を奪おうとした」という部分は、このランド研究所報告と合致してくる。
米国が多数の人工衛星を用い、偵察や通信傍受などのテクニカルな手段で日夜北朝鮮内部の情報を集めていることは周知の事実である。北朝鮮の秘密の ベールはそうした情報収集の試みを跳ね返すほど厚い。しかし、米国が日本とは違う次元の北朝鮮情報をつかんでいることは確実だろう。だから米国でも政府や 軍との絆が深いランド研究所の報告は特に注視に値するといえる。
日本人拉致事件の解決が望める有力シナリオの筆頭は金政権の崩壊である。米国側でもなお金政権の崩壊を予測し、期待する向きも多い。レジームチェ ンジ(政権交代)は、オバマ政権でも北朝鮮政策の水面下の一角に確実に組み込まれている。一連の核問題や人道問題も、金政権が消滅、あるいは崩壊すれば自 然に解決されるという見方である。日本人拉致事件もその解決の可能性の範疇に入るだろう。
だからこそ米国側ではなお北朝鮮への拠点爆撃のような武力行使による核武装の阻止という政策オプションもささやかれている。民主党クリントン政権 でCIA(中央情報局)長官を務めたジェームズ・ウールジー氏などは、つい最近公式の発言として北朝鮮拠点爆撃を提唱したほどである。
張氏の処刑という異様な事件は、米国側の以上のような認識や期待、政策を期せずして浮かび上がらせた。そうした米国の見方に従えば、今後、北朝鮮の金正恩政権が変化して日本人拉致事件の解決が見えてくる可能性も十分にあると言えるのだ。
(終わり)
コメント
コメント一覧 (12)
即断即決で張氏を死刑にしたところを見ると、中国から支援を受けてクーデターでも企んでいたのかという勢いですが、しかし、戦闘があったとも中国との関係が冷却したとも報道にはなく、それならクーデターではなかったのだろうと思えます。となるとなぜ急いで処刑したのか謎になります。とはいえ北朝鮮の発表だと国家反逆罪といった雰囲気なので、忠誠を疑われたように思えます。
私の推測では、張は単に忠誠を疑われたという範囲に留まらず、
きわめて具体的な金書記転覆を試みたという感じがします。
こんばんは。初めて書き込みさせていただきます。
こちらのブログは何年も前から拝見していたのですが、記事の内容はもちろんコメント欄のやりとりを見ていても非常に人間として学ぶことが多いと常々思っておりました。
日本人拉致の目的が洗脳して工作員として利用するため、のちにはそれが無理だと分かって工作員の教育係とさせているわけですから、産経の記事で考察されていたように、北朝鮮は政策の深い事情に食い込んでいる拉致被害者たちをめったなことでは返さない。定義も明確でない交戦権規定で米韓と作戦行動をともにできない日本とは北朝鮮は本気で交渉などしないでしょうし、憲法改正を避けるなら、体制崩壊して金政権の守る秘密が秘密でなくならない限りすべての拉致被害者が解放されることはないと思います。
古森様は直近2013/12/21の「緯度経度」の記事で、
「張氏に密着してきた党幹部は多く、自分たちがやがて粛清されるとみれば、必死の暴力的抵抗で金政権の転覆を図る可能性も高い」
というリグネットの最終報告を紹介していらっしゃいますが、その場合には新政権は中国との関係を再強化して経済を立て直すという方針で一致し、(張氏処刑の罪状に読みあげられていたような、軍部が持っていた鉱山開発などの外貨獲得手段についてや、経済特区の羅先港などの使用権を中露に売り渡して発展させるといった)利権争いで軍と指導部が分裂して内戦に陥る可能性は低い、と思われますか?
内戦に陥れば、自国に都合のいい政権を立てようと介入してくるだろう人民解放軍と米韓の合同軍とが衝突するという中で日本人拉致被害者の救出活動が行われることになり、どんなに遅くとも居場所はそれまでに突き止めなければいけない、という話を私はどこでだか忘れましたが聞いたような気がします。
金正恩の非道なふるまいが伝われば伝わるほど拉致問題について韓国の協力も期待できますが、立場的に賛同するとは思えない朝日や与野党の人権屋が足を引っ張って法整備が間に合わなければ、せっかく特殊訓練を積んだ自衛隊がいても、救出は安倍首相の政治決断ということになってしまいますよね。
この憲法改正などの必要性について先日個人的に叔母(←ごく一般的な政治に興味のない会社員)と議論をしたのですが、そして身内の恥をさらすようで申し訳ないのですが、拉致問題で日本が情報戦に負けているというか反日メディアの害毒を痛感したポイントは以下のふたつでした。
①向こうに渡った日本人は一般の人々と違って政権から特権的な待遇を受けているかもしれないし、日本に帰ってきても必ずしも幸せになれるとも限らない。
②北朝鮮人の家族もいて自分の意思で帰ってこない日本人男性(←小泉元首相の決断で蓮池さんたちが返ってきた頃テレビで見たらしいですが、何chかは覚えていないと言っていました)もいるから人それぞれだ。
①については、地上の楽園という宣伝にだまされて渡った人と、スパイに拉致されるという国家犯罪に巻き込まれた人の区別もついていないと思いますが、いずれにせよ北朝鮮での一般の人々も拉致被害者も暮らしぶりがよく分からない(具体例を挙げて詳しく説明できなかった)のでうまく反論できませんでした。
②については、一人の例を挙げてすべての人の事情を説明しようとすることはできないし、だいいちその“自分の意思”がどうやってできたのかが問題で、家族が北朝鮮にいるということは政権に人質を取られているのと同じだからその人は日本に帰ってこれないのではないか、つまり北朝鮮に留まるというのは強制された自発性なのではないか、というようなことを指摘したのですが「事情がよく分からないし私はその人じゃないから分からない」と怒られてしまいました。
決定的に北朝鮮の人々の暮らしぶりについての情報が足りない(私の不勉強もありますが)と痛感したのでもっと陸続きの韓国政府からの情報も入ってくればいいなと思ったのですが、もしかしたらそれをNHKなどが流すようになってくれないと、情報源をテレビに頼る多くの国民にとっては“自分で選んだ情報に基づいて自分の意思で判断した”ことにはならないのかもしれない、とも思ったのです。
正確な情報集めや議論のやり方も含めて、もう少し自分にできることはないか探してみようと思います。
乱文失礼いたしました。
寺島実郎が、米中関係に関して又もや中共のマウスピース(代弁者)をやっていました。
喋ったことの総てが、推測的にみても間違っているとは思えませんが、
寺島の実態を知らない人が観たら、中共のプロパガンダを
信じ込まされる事に成りません。
やはり、プロパガンダだと思ったのは、自衛隊の2.数%の防衛費アップを
取り上げて、「日本は、また何時かアジアを侵略することに成るかも
知れませんので、防衛費のアップは慎重に考えるべきです」と最後の方で
言っていました。
このような発言は、中共のプロパガンダのマウスピース(代弁者)家であり、
笑いを通り越して怒りさえ感じます。
初めまして。
日本が進むべき方向はますます鮮明になってきましたね。
ただ時間がなおかかります。
国家として普通の要件を備えようとすることにも、「日本の強兵化」
(浜さんという女性経済評論家)というような反日プロパガンダが浴びせられるので、その非条理や危険性を分かりやすく説いていくことが必要ですね。
とくに、相手が「安倍政権の積極的平和主義とは戦争をする国にしたいとしか思えない」とか「周辺国に理解をしてもらう努力をすべき」とか、もうみんなよってたかって、相変わらずの情緒的批判しかできてませんでしたが、それはもう丁寧に反論されてて、最後には相手方は言葉もなくし、しかし頷きもできず、唐突に時間切れ終了になっていました。 特に小野寺さん「周辺国には説明しています、相手国からは自国の防衛体制について説明されることはないのですが」と、おっしゃった時には、この批判する人たちの馬鹿さかげんが際立った時でした。
特定秘密保護法の時も感じましたが、いよいよ反安倍マスコミがなりふり構わず妄想的政権批判をしだしてきているような気がします。
この周辺国による危機的状況の変化にも構わずに既定路線で....。
ご紹介いただいたマクロ経済学者で同志社大学院教授の浜矩子さんについて、ウィキで出典をたどっていくつかのインタビュー記事をざっと読んでみました。
著書を読んだわけではないので、細かい理屈や、その根拠として何を見ていたのかは分からないのですが、少なくとも(ttp://shuchi.php.co.jp/article/524などで)この人が日本のとるべき経済戦略として言及している、
「日本各地で地域通貨が誕生・定着すれば、日本を覆う閉塞感も相当に払拭される。いわば『小国の群れとしての日本経済』が成り立てば、活気があり、威勢のいい姿だ」
「日本に欠けているのは成長ではなく分配である」
というふたつはどう両立するのかな、と思いました。
というのは、前者は農村共同体を政治・経済の基礎単位として考えたような青年ナロードニキ的共産主義思想、後者は豊かな人間から富を収奪して貧しい人間に分配するという一般的な共産主義思想が基礎にある気がするのですが、問題は分配する主体と手段です。
経済的に独立していて格差もある各地域の上に統一政府を置かないと仮定して豊かな地域が貧しい地域に富を“分配”するというような慈善事業は私には絵空事に思えるので、浜氏の頭の中ではどうなのか知りませんが、とりあえず統一政府があると仮定しますね。
ひとつの地域通貨が他の地域通貨と交換できない限り、豊かな地域の通貨は貧しい地域の通貨として使えないのですから、そうするとこの“分配”というのは生活必需品や嗜好品の現物支給ということになってしまいます。しかし交換可能ということが前提なら、歴史の流れがたどったように、結局は軍事・経済的に強く信用のある地域の通貨が国民通貨として他の地域通貨を駆逐することになるだろうと思うのです。
いずれにせよ、目指す先が職業訓練や職業安定所のない生活保護のような貧民救済対策ならいただけませんが。
それと私は貨幣については、
「貨幣は他の種類の貨幣や現物との交換(通用性)を保証された国の信用であって、偽造を防ぐ措置が取られていることが前提であるが、信用がなくなれば紙クズになる。」
程度の認識しかないのですが、この人の主張している「グローバル時代は基軸通貨無き時代」とか「基軸通貨を中心に一部の通貨に収斂(しゅうれん)していくのではなく、よりたくさんの通貨が生まれる『通貨分散時代』の到来」というのは、現実的には、中国の富裕層が資金洗浄や海外送金に利用しているらしいビットコインのような仮想通貨経済の発達に代わられるのではないかと思いました。
これは地域経済それぞれが独自の通貨を生み出して、その通貨だけで地域内の経済活動が行われ、またある貨幣価値が他の貨幣価値と連動しないため、ひとつの地域の経済破綻が他の地域にまったく影響しないというようなモデルは成り立たないということを示しています。
たとえば例にあげたビットコインは、米国内で合法と認められることで価値が急騰したのだったと思いますが、今月中国内で人民元との交換や決済に使うことが禁止されて(対ドルの価値までも)暴落しています。(実態としては、発行元の法的保証がない投機商品が、富裕層の間で時間も手数料もかからず国境を越えて取引が出来る手段として基軸通貨化しつつあったところに、為替管理を続けるため中国人民銀行が冷や水を差した、ということらしいですが。)
特定秘密保護法案について「何が秘密なのかが分かりません。それだけに、企業はこれから、政府の顔色をうかがい……」(ttp://www.asahi.com/articles/TKY201312090669.html)と言っているのは反日・親共の証拠でなければ法律の条文を読めないということだし(これについては他のところで既出かもしれませんが一応ブログに書いておきました)、肝心の経済理論についても要素を全体として構成したときどういう現実像が出来るかあまり考えていないような気がしたのですが、この浜氏が国内の反日勢力に理論的支柱を与えているのでしょうか?
もしそうなら何冊かの著書を読んでみようと思います。
「日本を戦争のできる国にする」
一国平和主義者、非武装論者、無抵抗論者、反防衛論者、反日勢力などが日本の最小限の防衛努力に対してさえ浴びせる誹謗用語、デマゴーグ言葉です。
では日本は自国の防衛をするべきではないのか。
これが上記の反日勢力への反論でしょう。
小野寺防衛大臣、がんばってますね。
浜さんの経済に関しての持論はよく知りませんが、政治や安保についての言辞はクルクルパーだと思いました。
北朝鮮での処刑に対して、「日本の強兵化が心配だ」と、日本の警戒や自衛を危険視するのです。立脚点が日本にはないですね。
日本を自衛努力することだけでも「危険な強兵化」だと断じるのです。日本が自国の安全保障を懸念することは危険だというわけです。
その場合の軸足は日本ではないことは明白です。中国や北朝鮮の視点なのです。
私は浜氏は経済に関してもクルクルパーだと思いましたが、その理論で政府の指揮命令系統をバラバラにしようとし、防衛の中枢も外国との交渉能力もない日本を作ろうとしているわけですから、中国や北朝鮮を利する目的があるのは明白で、計画的なのでしょう。
明治を強く意識したアジ用語の選び方にも表れているように、戊辰戦争と廃藩置県という武士階級の自死によって購われた明治統一政府の歩みを完全に否定しているわけですから。
明治という時代を徹底的に貶めて、今の日本が外国の脅威に立ち向かおうとする精神的支柱を奪おう、という動きは草の根の活動としてネットの一部にもあるように思います。
政治関係の話題が多いとある日本人のツイッターで「日本は中国の脅威を防衛力強化に利用しようとしている」などという因果を逆立ちさせたつぶやきを見たこともありますが、彼らは明治否定派でしたね。