オバマ政権の最近の大使任命がのきなみに選挙キャンペーンでの寄付金集めの功績に従って、決められています。

 

アメリカ国内では本来、オバマ政権を支持してきた民主党系の識者たちの間からも厳しい批判の声が出ています。

 

 

日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

原文へのリンクは以下です。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39964

 

国際激流と日本

なぜオバマ政権の大使は「無知」なのか米国の外交に暗雲をもたらす選挙功労人事

 

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大使人事が“カネ”の額で左右されている

 オバマ政権のこうした大使人事に対しては、当然ながら野党の共和党だけでなく外交問題の専門家らからの批判も多い。国際関係の研究者で自らも外交官だったヘンリー・バーキー・リーハイ大学教授は次のような意見を発表した。

 

 「ノルウェーに国王がいることを知らない米国大使というのでは、ノルウェー側からすれば、自国の軽視として映る。明らかに大使になる資格のない経 験不足、無知の人物たちを選挙での貢献だけで大使に起用することは、米国外交への打撃ともなる。ツニス大使はこのままだと米国納税者の資金を使って、3年 ほどノルウェーで静養し、フィヨルドの景観でも楽しんでくるということになるだろう」

 

 大手の外交問題研究機関「外交関係評議会」のスチュワート・パトリック上級研究員は次のような見解を述べた。

 

 「アルゼンチンのような、米国の中南米外交にとって最も微妙な対応を求められる国への米国の代表として、あまりに未経験、知識不足の人物を送りこ むことはオバマ政権の恥辱ともなる。アルゼンチン側でも、もう否定的な反応が起きており、米国の対外関係に実質的な被害を与えかねない。外交の枢要となる 大使人事が結局はカネの額で左右されるというオバマ政権側の政治判断には重大な欠陥がある」

 

 「ワシントン・ポスト」も2月10日の社説で「オバマ氏の政治的贈り物」と題して、この一連の大使人事を酷評した。「この種の人事は米国の対外的な基本利害の無視に等しい」とまでオバマ政権の手法を批判したのだった。

 

 しかし、大使に外交の未経験者を選ぶという「政治任用」自体はオバマ政権に限らない。歴代の政権も、職業外交官ではない人物を大使に選ぶという政治任用は実行してきた。だがオバマ政権は特にその傾向が強いのである。

 

 2009年から現在までの、オバマ政権における大使の政治任用は全体の53%という高い水準を記録した。ブッシュ政権では30%、クリントン政権 では29%、先代ブッシュ政権では30%、レーガン政権は38%である。これらの数字で明らかなように、オバマ政権がキャリア外交官を大使に選ばず、外部 からの政治任用者を登用する比率は異様に高いこととなる。

 

 しかもその政治任用の対象も、ほとんどが選挙キャンペーンで巨額の寄付金を集めてきた人物なのである。

 

 オバマ政権下のこうした政治任用の大使たちが実際の外交の場で、どのような機能を果たすか。日本駐在のケネディ大使も含めてじっくりと観察していきたいところである。

(終わり)