米中新型大国関係についての報告の続き、最終部分です。

 

 アメリカと中国が二国で世界を仕切るような感じさえにじませるのが、この「米中新型大国関係」論です。

 

 日本にとっても大きな影響が及んでくることは当然です。

 

 オバマ大統領の訪日でも安倍首相との会談できっと議題になることでしょう。

 

 日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

 

 原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40275

国際激流と日本

オバマ訪日を前にして日米同盟に暗雲、
米中関係の深化が止まらない

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 G2に反対する根拠としては、中国が国際的リーダーシップを発揮するにはあまりに多くの領域で国際的な合意や規則に違反しているという現実や、中国との利害が衝突する日本やインドなど、米国にとっての同盟相手あるいは友好国への悪影響が大きいという点が指摘された。

 

 「米中新型大国関係」が中国代表から最初に対外的に打ち出されたのは、2012年2月、当時、国家主席になることが決まっていた習近平氏が訪米し た際だった。2013年6月のカリフォルニア州での米中首脳会談でも習氏はその概念を強調した。だがこの時点では、オバマ大統領はそれに正面から応じると いう姿勢は見せなかった。

 

 だがオバマ政権はその概念を受け入れるようになり、2013年11月には、国家安全保障担当の大統領補佐官スーザン・ライス氏がアジア政策の演説 の中で、「米国も中国との新型大国関係を機能させることを目指す」と述べた。中国側の言葉をそのまま使ったことや、その際にアジアの同盟諸国への影響を述 べなかったことが、米国内の対中慎重派などの批判を招いた。同時に日本側でも、米中の急速な接近が日米同盟の弱体化につながりかねないという懸念を生ん だ。

 

 米国内で反対論が消えない理由の1つには、オバマ政権が「新型大国関係」の内容について、米側としての定義づけを明確にしないことがある。そんな 懸念の中で2013年12月にジョセフ・バイデン副大統領が訪中し、中国側首脳との会談で「新型大国関係」の重要性を極めて前向きな姿勢で謳い上げた。内 容に関する説明はほとんどなかった。だからこそ前述のシュライバー氏による批判のような反応が起きたわけである。

 

 こんな複雑な経緯をたどってきた米中両国間の「新型大国関係」は、今回のオランダでの米中首脳会談で、少なくとも両首脳の公式言明の次元ではさらに一段と前進したと言える。この動きが日本や日米関係にどう反映されていくのか。安倍首相にとっても重大な関心事だろう。

(終わり)