4月21日のNHKニュースを視聴していたら、「日本政府が尖閣諸島を国有化した後に悪化した日中関係」という言葉をアナウンサーが発していました。

 

この言葉をふつうに受け取れば、日中関係は日本が尖閣諸島を国有化したために、悪くなった、という意味に解釈できます。つまりいまの日中関係の悪化は日本側がその原因をつくった、という認識です。そんな認識をNHKはあたかも客観的な事実であるかのように、さらりと述べているのです。

 

しかしこの認識は事実に反します。中国政府の一方的な主張をそのまま認めていることに等しいのです。

 

日中関係の悪化を尖閣諸島に限ってみれば、目だっての悪化の原因は2010年9月7日の中国漁船による尖閣近くの日本領海侵犯、そしてその漁船による二度もの海上保安庁巡視艇への体当たり事件です。

 

日本側は日本領海での不法侵入船による日本側公的艦艇への意図的な衝突、そして破壊という犯罪行為に対し、法的な措置を取ろうとしました。それに対し、中国側は自国内での反日暴動やレアアースの対日禁輸など不当な報復措置を取りました。その結果の日中関係の悪化でした。すべて日本側は受け身なのです。

 

日本政府はその後、中国側がこうした不当な暴力的方法で尖閣への侵犯、侵入を繰り返すならば、尖閣の所有権を民間においたままにすることは危険だとして、国有措置を取ったわけです。

 

その間には石原慎太郎東京都知事による東京都の尖閣諸島購入という動きがありました。当時の日本の民主党政権としては尖閣が東京都の所有下にあることは中国側を刺激するとの判断から国有化の措置をとったという部分も大きいのです。日本側の国有化はむしろ紛争を抑えるための温和策だったのです。

 

しかも日本の固有の領土を日本政府が所有するというのは、ごく自然の措置です。挑発でも、挑戦でもありません。その前に中国は全土各地で反日暴動を煽るという犯罪的行為に走っていたのです。この行為こそが日中関係の悪化の原因なのです。

 

ですから日本の尖閣国有化がいまの日中関係の険悪さのすべての原因であるかのように、気軽に「日本政府の尖閣国有化の後、悪化した日中関係」と述べるNHKは日本の公営放送とは思えない事実関係の曲解、事実の歪曲を感じさせます。そのゆがみはすべて中国側に肩入れをするような偏りなのです。

 

NHKのこうした偏向はまだまだなくなっていません。

新たに任命された会長や経営委員たちは、こういう点にこそ目を向けるべきです。

放言、失言で揚げ足をとられ、その防御に精一杯というのは本末転倒です。