オバマ訪日の総括を続けます。

 

日本の大手メディアが伝えない成果に光を当てました。

 

 日本ビジネスプレスからです。

 

 原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40572

国防

キーワードは「拡大抑止」と「特定秘密保護」、
オバマ訪日の隠れた成果を総括する

 

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 特定秘密保護法は日本のそうした大きな欠陥を埋める機能を果たすことになる。外国勢力によるスパイ活動を「犯罪」とする法体系が出来上がったの だ。米国政府としては、日本で特定秘密保護法のような法律が制定されたことは 日米同盟の運営に欠かせない重要情報の保護にもつながるのである。

 

 しかし日本国内ではこの特定秘密保護法案への反対が激しかった。特に新聞やテレビなどニュースメディアの反対キャンペーンが強烈だった。情報の自 由な取得を自己存続の基盤とするメディアが、たとえ国家安全保障のためとはいえ情報の規制に反対することは、ある面では当然だろう。

 

 朝日新聞の特定秘密保護法への反対は特に激しかった。国家安全保障のための情報の秘密保全という側面を無視して、情報の統制だけを誇張した形で取 り上げ、とにかく悪法だ、悪法だと叫ぶという感じだった。まるで、この法案が通ると日本はすぐに戦前に戻り、治安維持法と同じ効果を発揮するとでもいうよ うな反対キャンペーンをはっていた。

 

 ところがオバマ政権は今回の共同声明で、この特定秘密保護法を「日米両国間の政策とインテリジェンスにかかわる調整の強化を促進する」動きとして 歓迎したのである。朝日新聞がその事実をきちんと報じるはずがない。他のメディアにしても、特定秘密保護法には反対のところが多かったから、反応は似たり 寄ったりだと言えよう。

「自動的」に尖閣防衛にかけつけてくれるわけではない

 米国は、今回の日米共同声明を通じて、安倍政権の国家安全保障会議の新設も高く評価した。さらに、安倍政権の集団的自衛権行使への動きにも歓迎の 意を述べた。だから安倍政権のわずか1年数カ月の間の、国家安全保障会議の新設、集団的自衛権の解禁、特定秘密保護法の成立などといった一連の安全保障強 化の措置は、すべてオバマ政権から前向きの認知と賛意を得たことになる。

 

 「日米同盟を強化することがいまの日本の国益に資する」という前提に立てば、安倍政権の政策履行は大きな得点を挙げたことになる。安倍首相の靖国参拝や慰安婦問題などの、いわゆる歴史問題がオバマ政権の態度を悪くするという展開はまったく見られなかった。

 

 日本側一般、特にメディアが最も関心を寄せて大きく取り上げたのは、オバマ大統領による「日米安保条約は尖閣諸島をも適用範囲とする」という言明 だった。この表明により、尖閣諸島にもし中国が軍事攻撃をかけてくれば、ほぼ自動的に米軍が出動して尖閣の防衛にあたることが確実とも見られるようになっ た。

(つづく)