NHKさん、またですか。

 

またまた中国への遠慮、特別な配慮なのでしょうか。

 

5月26日午後7時半からの看板番組「クローズアップ現代」を視聴して、感じさせられた思いです。

 

今回のこの番組は「アフリカゾウ絶滅危機 象牙がテロ資金に」というタイトルでした。

以下がNHK自身による番組宣伝です。

 

「アフリカゾウが絶滅の危機に瀕している。1989年のワシントン条約で象牙の取引が全面的に禁止され、密猟が一時は収まったが、今また、乱獲が激しさを増 している。実は、その要因に近年頻発するテロが関わっていた。アフリカのイスラム原理主義の過激派組織が、密猟象牙を資金源としていたのだ。密猟象牙が密 輸される先は、ほとんどが中国などのアジア。つまり、象牙製品を購入するためにアジアの人々が支払うお金が、アフリカでテロを引き起こす一つの要因となっ ているのだ。「ホワイトゴールド」とも呼ばれ、高値で売れる象牙を巡る様々な動きから、グローバリズムが引き起こす危うい現実を描く」

 

アフリカゾウの象牙を違法に奪い、その利益を独占するのは、いかにもアフリカのイスラム原理主義のテロ組織だと思わされる宣伝です。

 

ところが内容の冒頭はまったく異なる「主犯」を紹介します。

以下のナレーションです。

 
「密猟象牙を取り引きするのは一体どんな組織なのか。
ナイロビ郊外の刑務所へと向かいました。
象牙を国外に持ち出そうとして逮捕された人物に会えることになったのです。
現れたのは31歳の中国人の女性。
8か月前、ナイロビの国際空港で象牙7キロを持ち出そうとしていました。
知り合いの男性にかばんを渡され香港まで運んでほしいと依頼されたといいます。
そして、ことし1月。
女性に象牙を渡した中国生まれの男が逮捕されました。
20の偽造パスポートを所有していたこの男は中国の犯罪組織の一員だと見られています。
中国では野生動物の骨は魔よけの効果があると信じられています。
急速な経済成長を遂げた今密猟された象牙の多くが中国市場に流れていると見られています。
乱獲の歴史は1970年代にさかのぼります」

 

番組はここで中国人男女の映像を流します。2人が中国語で語るセリフも字幕付きで

報じられます。この冒頭の紹介をみれば、アフリカゾウの密猟や象牙の奪取の主役は「中国の犯罪組織」であることが明白です。

 

ところが、なのです。

 

番組はここで中国への言及をすっぱりすべて消してしまいます。その後は中国はまったく出てきません。

 

密猟で利益を得ているのはこの番組の主舞台となるケニアの隣のスーダンにある国際テロ組織「アッシャバーブ」だというのです。その組織の輪郭や活動の概要についてはいろいろなことが流されます。

 

しかし主眼であるゾウの密猟と象牙の奪取についてはこの組織の具体的な動きはなにも伝えられません。その一方、真の主役であるはずの「中国の犯罪組織」についてはなんの言葉も報告もありません。冒頭で主役として紹介された存在がまったく消されているのです。

 

NHKと中国当局との密着ぶりはすでに広く知られています。

中国の犯罪行為はやはり報道の面でも追及できないようなのです。

 

 

いやあ、それにしても奇妙な番組でした。