天安門事件25周年の総括です。

 

 アメリカの対応を報告してきましたが、では日本はどうだったのか。

 

 あの事件への対応がいま思えば、日本政府の媚中外交の始まりだったようなのです。

 

日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

 

 原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40865

国際激流と日本

天安門事件を糾弾してこなかった日本米国は25周年イベントで中国に「改心」を迫る

 

 

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 第2には、中国の日本非難への反論という意味である。

 

 中国はこのところ、しきりに日本の国としてのあり方を歴史問題を絡めて非難している。70年以上も前のいわゆる慰安婦問題などを持ち出して、現代の日本の国家や国民の道義の欠如を叱責する。いかにも不公正で不自然な現象である。

 

 だが、日本を糾弾する中国側の道義はどうなのかと、日本側は反論してしかるべきだろう。日本側の自衛策としても、天安門事件の提起は効果がある。

 

 慰安婦問題を持ち出して批判する基準が人道主義であるならば、同じ人道主義の基準でいまの中国政府の行動を見るべきだろう。その際に天安門事件は、日本側に最も確実で効果的な反論の材料を与えることになるはずだ。

 

 第3には、日本の対中政策の再考や反省が挙げられる。

 

 天安門事件の直後、日本政府は何をしたか。当時、欧米諸国がこぞって中国への制裁措置を取った。中国との間での経済援助や貿易取引、直接投資、技術供与、軍事交流、人的交流など多方面にわたる対中関与を大幅に停止したり削減する措置だった。

 

 そんな国際的な対中制裁の動きの中で、日本は事件のすぐ翌年の1990年に、一度は停止していた対中経済援助ODAをすぐに再開させたのである。 もちろん当時の中国政府からは感謝を表明された。だが欧米諸国からは国際制裁の効果を弱めてしまう背信行為だとして非難された。

 

 しかし日本は中国政府に感謝されて喜ぶかのように、対中友好をさらに強めていった。いわば日本の対中宥和政策の本格的な出発点が、天安門事件直後の時期だった。それ以後の日本の対中政策がどんな結果を招いたか。現在の中国の日本糾弾を見れば、答えは明白である。

 

 天安門事件の直後に日本政府が取った対中姿勢は、結果として間違いだったということだ。米国での同事件の追想と中国政府非難は、そうした日本の誤った軌跡を苦い思いで想起させるのである。

(終わり)