キャロライン・ケネディ女史の次期駐日大使任命について、です。

 

日本ビジネスプレスからのこのテーマでの転載はこれで完結です。

「国際激流と日本」です。

 

原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38777

国際激流と日本

キャロライン・ケネディに駐日大使は務まるのか

実力不足は明らか、「日本を侮辱する人事」との声も

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 それ以上に注視されるのは、米国の外交、あるいは外交政策で確固たる実績を残してきた著名な人物がこのケネディ駐日大使人事を激しく非難したことである。

 

 この人物は民主党クリントン政権時代に東アジア・太平洋問題担当の国務次官補を務めたウィンストン・ロード氏である。ロード氏は国務省のキャリア 外交官として出発し、1970年代には大統領直轄の国家安全保障会議に所属し、米中国交回復を担当した。その後、中国駐在大使ともなった。より最近では米 国でも最有力な外交問題シンクタンク「外交評議会」の会長にも任じられた。いわば外交でも米国最高権威の一員なのだ。

 

 そのロード氏の意見の骨子を述べるならば、日米関係が重要性を増すこの時期に、日米関係を知らず、外交も知らず、政治の経験もない人物を日本駐在大使にすることは重大なミスであり、日本への侮辱であり、米国のプロの外交官への打撃でもある、というのだ。

 

 いやはや激烈な批判である。ロード氏はこの意見をワシントンを拠点とする外交問題のネット論壇に発表し、「この意見は私が自分の名前を出しての発表であり、引用は自由だ」とまで強調していた。

 

 ロード氏の見解のもう少し詳しい内容を抜粋として以下に記そう。

 

 「私(ロード氏)はケネディ女史への個人的な好悪の情はないが、この駐日大使の人事は最低だと言わざるをえない。私はオバマ大統領の強い支持者ではあるが、この時期にケネディ女史を米国大使として東京に送ることは卑猥であり、低俗である。

 

 いまは日本の歴史、日米関係の状況、そして米国の対アジア政策全体のいずれを見ても、特に重要であり、デリケートな時期なのだ。だから米国は、特に傑出した経験と資格、専門知識を有し、争点をキメ細かく理解する人物を駐日大使にすることが不可欠である。

 

 オバマ大統領がこの時期にケネディ女史を日本に大使として送ることは日本への侮辱となる。そしてオバマ大統領の下ですでに苦しんできたキャリアの 外交官たちへのさらなる残酷な仕打ちとなる。この人事はオバマ大統領のこれまでの職務の中でも最も錯誤した恥ずべき粗野で下品な行動である。私は胸糞が悪 くなる」

 

 以上、ものすごい酷評である。その表現の一部は元外交官の言葉とは思えないほど感情的にも響くが、ロード氏の今回の人事への反発がそれほど激しいということだろう。

 

 いまや日米両国でお祝いの言葉だけで終わりそうなキャロライン・ケネディ駐日大使任命人事にも米国側にはこれほどの反対が存在するのである。

(終わり)