2007年08月

慰安婦問題で日本を糾弾する決議案を推進したアメリカ下院のマイク・ホンダ議員(民主党)が30日、盗みの罪で3年の懲役刑を受けながら、逃亡し、指名手配を受けていた中国系男性からや、その仲間の中国系人物たちからの政治献金を不当に受け取っていたことを認め、その寄金分3000ドルを放棄しました。
ホンダ議員と中国系とのカネの結びつきはここでも立証されました。しかも犯罪がらみのきわめて怪しい中国系人物たちからの献金なのです。
ホンダ議員が献金を受けていた時期も慰安婦決議案の審議の最中でした。

ホンダ議員が放棄した献金の内容は以下のとおりです。

2007年6月25日にウィリアム・ポー(鮑)から受け取った1000ドル

2007年6月25日にビビアン・ポー(鮑)から受け取った1000ドル

2007年6月25日にノーマン・シュー(徐)から受け取った1000ドル

シューという人物は中国系のビジネスマンとされていますが、1991年にカリフォルニアで盗みの罪で懲役3年の刑を受けました。しかし彼は姿を消し、指名手配中でした。その人物がニューヨークに現れ、ヒラリー・クリントン上院議員はじめ一連の民主党政治家に合計100万ドルにも及ぶ政治献金をしていた、というのです。

この献金騒ぎでの焦点はこの資金の真の出所はどこか、ということです。もし外国の機関や個人からの献金であれば、違法です。シュー、ポーという人たちはいまはアメリカ国籍のようですが、出身は中国です。しかもわりに最近のアメリカ移住です。

ホンダ議員もこのシューという人物、さらにシューとかかわりのあるポーという中国系一家からも献金を受けていました。ホンダ事務所は30日、この献金の3000ドル分を慈善事業に寄付した、と発表しました。本来、受け取ってはならない資金を受け取っていたことを認めたわけです。

今年の6月25日といえば、下院外交委員会で慰安婦決議案が採択される直前でした。下院議員選挙が近いわけでもないのに、そんな時期になぜ中国系からの献金がホンダ議員になされたのでしょうか。

以下にこの不正政治献金に関する産経新聞記事を紹介します。

慰安婦決議主導 ホンダ氏にも献金 

 

 【ワシントン=山本秀也】中国系実業家ノーマン・シュー氏による米民主党議員への献金問題で、慰安婦問題での対日非難決議を主導したマイク・ホンダ下院議員も同氏ら中国系の献金を受け取っていたことが分かった。シュー氏への批判を受けて、ホンダ氏は献金を辞退する意向を表明したが、同氏周辺に濃密な中国系人脈の影響が改めて裏付けられた形だ。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルが調べた献金リストによると、ホンダ氏はシュー氏から今年6月に1000ドルの献金を受けたほか、迂回(うかい)献金を請け負った疑惑の出ているポー家からも計2000ドルを受け取った。シュー氏は同月、ホンダ氏のレセプションで幹事役を務めていた。 

 30日付の地元紙サンノゼ・マーキュリーによると、ホンダ氏の広報担当グロリア・チャン氏は、献金を返すか、寄付する方針を表明した。ホンダ氏は、慰安婦決議の推進で在米の中国系反日組織「抗日戦争史実維護連合会」の支援を受けたほか、中国系の献金が多いことも確認されていた。



中国系実業家、米民主党に献金攻勢 ヒラリー氏ら辞退へ 


 

 【ワシントン=山本秀也】米次期大統領選で、民主党候補の指名争いをリードするヒラリー・クリントン上院議員ら同党の有力議員に対して、謎の中国系実業家による多額の献金疑惑が浮上した。米紙ウォールストリート・ジャーナルなどの調査報道によるもので、違法な迂回(うかい)献金の疑惑や、実業家の犯罪歴なども判明した。ヒラリー氏ら同党議員は30日、連日の報道を受けて献金の返金や寄贈を決めるなど、実業家と絶縁の動きが広がる騒ぎとなった。

 民主党では、ヒラリー氏の夫、クリントン前大統領の96年再選で、中国系実業家ジョニー・チュン氏らの巨額献金をめぐり、中国当局による献金工作を追及されていた。同党議員の「絶縁宣言」は、来年の選挙を前にチャイナ・マネー疑惑の再演を避けたい思惑だ。 

 28日に始まった調査報道によると、この実業家ノーマン・シュー氏は、04年7月、民主党の大統領候補だったケリー上院議員に2000ドルを献金したのを手始めに、この3年間で民主党の各種候補に22万5000ドルを献金した。とくにヒラリー陣営の資金集めでは、100万ドルを集める集金手腕で、同陣営の上位20位に数えられる集金役に躍り出ていた。 

 献金を受けた議員は、このほかヒラリー氏のライバル、オバマ上院議員ら、大統領候補を中心に多数にのぼる。 

 問題となったのは、シュー(徐)氏が法定の献金限度額を避けるため、第三者を通じて行う迂回献金の疑惑が浮上したことだ。献金リストによると、年収4万9000ドルの郵便局員を筆頭とするカリフォルニア州の中国系家族ポー(鮑)一家が、ほぼ年収相当の4万5000ドルをヒラリー陣営に献金した事実などが判明。家族側では、同氏から献金を勧められたことを認めていた。 

 シュー氏はニューヨークに本社をもつ「コンポーネント社」の経営者という以外、素性が不明だったが、ロサンゼルス・タイムズ紙の報道で、同氏が15年前、カリフォルニア州で土地を不正取得したとして訴追され、服役3年の判決後に逃走中であることが分かった。 

 FOXテレビなどによると、ヒラリー陣営は「同州での収監命令を聞き、シュー氏の献金は寄付にまわす」と発表。日系のドリス・マツイ下院議員は、献金を返金する考えを明らかにした。 

 

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日本の憲法の起草者チャールズ・ケイディス氏(元米軍大佐)のインタビュー記録の紹介を続けます。この回が通算で11回目、最終回となります。

この記録でいやというほど証されたのは、いまの日本の憲法がアメリカ占領当局によって最初から最後まで仕切られ、作られた、という単純な事実だといえましょう。

この基本は戦後62年目のいま憲法問題を考える際にきわめて重要な要因であることは言を待たないといえます。

以下がインタビュー記録の最終部分です。



ケイディス 国民投票にかけるという発言ですか。

古森 国民投票とそれから原子力エネルギーに関する発言です。

ケイディス ああ、あの原子力という言葉ね・・・・・・ホイットニー将軍は核攻撃をかけるという脅しをかけていたのではないのです。それよりも日本の指導者は憲法草案が国民投票にかけられるのを恐れていた、と私は思います。

古森 国民がGHQ案に賛成しただろうからですか。

ケイディス 国民は賛成したでしょう。GHQの草案は全体に、最終的に採用された日本憲法よりもやや過激でした。国民投票となれば、アメリカ製の文書がすべてそっくりそのまま、採用されることとなったのです。

 憲法起草に関してもうひとつ、おもしろく思い出すのは、白洲氏の、人をおどろかすやり方です。憲法草案を英語から日本語に翻訳する作業のため、日本側と徹夜で交渉を続けていた時、ミス・シロタが“こういう日本語では格式ばりすぎて、天皇がラジオを通じて話すのと同じような調子の皇室用語風なので、一般国民の大多数は理解できないでしょう”と発言しました。日本在住の長い他の通訳二人もこれに同意しました。私は日本語が全然わからないのだけれど、とにかく、“一般国民にもっとわかり易い日本語に訳すことはできないか”とみんなに提案しました。そこでまた最初にもどってすごく時間がかかる作業が始まりました。オックスフォード大学に留学した日本人の弁護士が集まって、言葉のひとつひとつについて訳を決めていくのです。ずっとそれが続き午前四時ごろになってもちっともメドがつかないので、私は責任者として“これではいつまでたっても終わらないから、なんとか早く仕上げる方法はないか”と問いただしました。

 そうしたら白洲氏がおもむろにポケットに手を入れて紙をとり出し“ケイディス大佐、あなたが作りあげたいというのはこれではないでしょうか”というのです。みると彼はGHQの憲法草案を一般国民にわかりやすい日本語に全訳したものを、持っているのです。会議のはじめから彼はそれを持っていながら、翻訳の過程でなにか日本側に有利な訳がでてこないかどうかなどを期待したため、黙っていたのでしょう。私たちはそのために何時間も浪費したのです。

古森 白洲氏が自分で訳したわけではないでしょう。

ケイディス 外務省の公式の翻訳です。一般国民にわかりやすい日本語になっていました。日本側はこれと、もうひとつ難解な日本語の訳と両方を準備していたのです。白洲氏はとても抜け目のない人物で、どうしてもそれを提出せざるえないという瞬間まで、黙っていたのです。

古森 白洲氏に関してはいろいろなエピソードがあるようですね。

ケイディス 彼にはちょっと信用をおけないところもありました。当時、彼は私のオフィスに毎朝やってきたものです。白洲氏はタバコをよく吸っていたので、私はPXの十セントほどのタバコをよくプレゼントしました。PXから支給されても私はタバコは吸わなかったからです。彼は朝、私のところへ来て“牛乳配達が牛乳ビンを回収に来ました”などといってその日の新しい情報を私から得ようとしたものです。私も秘密ではない情報をよく彼に知らせました。彼はそれを終戦連絡事務局とか首相とかに流していたのでしょう。

 その後、白洲氏は大きなパーティーを開く計画を立て、民生局のメンバーの全員を招待しました。芸者ハウスでの大パーティーで、民生局の百人近い全員が招かれました。しかし私は局次長として、将校がみんなで芸者パーティーに行けば、アメリカの新聞記者にきっとそれを書かれ、本国で批判をあびるだろうと考えて、そのパーティーに行くなという命令を将校全員に出したのです。その後、白洲氏は私の前に全然、顔を見せなくなりました。パーティーのことで気分を悪くし、きっと日本側に対しても面子を失う結果となったからでしょう。彼は民生局とのつながりを日本側に誇って語っていた形跡があり、きっと私のとった措置に憤慨したのでしょう。でも私としては禁止令を出さざるをえなかった。将校がもし多数、芸者ハウスに行って写真でも撮られたら、それこそ乱交パーティーのような感じに受けとられかねなかったのです。(笑い)

古森 それではどうも長い時間、貴重なお話をありがとうございました。

ケイディス いいえ、どれほどお役に立てたか・・・・・・。

(全記録終わり)

朝日新聞の価値はその反面教師性にあるというのが、私の持論ですが、たまにはそうでないときもあります。
8月27日の朝日新聞朝刊は「私の視点」という欄に、アメリカのカート・キャンベル、マイケル・グリーン両氏の寄稿を載せました。「テロ特措法 日本は長期的影響を考えよ」という見出しで、小沢氏のテロ特措法への反対を非難しています。
筆者のキャンベル氏は民主党クリントン政権時代の国防次官補代理、グリーン氏は共和党ブッシュ政権での国家安全保障会議アジア上級部長です。この二人が連名で、つまり共和、民主両党の総意の形で小沢氏を批判しているのです。
 
私は前回のこのブログへのエントリーで、小沢一郎氏の計算が誤まっているという趣旨の自分の記事を紹介しました。小沢氏がアメリカ側でのアフガニスタンでの対テロ闘争を共和党ブッシュ政権だけの推進政策で、民主党は支持していないようにみているようだが、それは大きなミスだという趣旨です。
 
私の8月25日付コラムは主眼の一つは以下の記述でした。

「だから小沢氏の反対には米国側の超党派の反発が起きることは確実である。」

朝日新聞が27日の載せた論文はまさにこの「米国側の超党派の反発」なのです。

キャンベル・グリーン論文は冒頭、次のように書いています。

「民主党の小沢一郎代表は、テロ対策特別措置法の延長を阻止し、現政権を窮地に陥れようと決意したようだ。約20年前、官房副長官として日米同盟を守ろうと努力したことを記憶している米国人は失望している。小沢氏は、延長阻止が日米関係を損なっても、米国で民主党政権が誕生し、日本でもそうなれば忘れてしまうと考えていると聞く。私たちはそれは誤りだと考える。小沢氏は再考して政府との間で創造的で実行可能な妥協を見いだすよう期待している」

「(日本の)民主党関係者は、海上自衛隊の艦船をインド洋から撤退させても、傷つくのはブッシュ・安倍関係だけだと考えているようだ。(中略) アフガンでの戦いについては、米国内では党派を超えた幅広い支持がある。タリバーンやアルカイダに対峙する有志連合から日本が抜けたら、米の次期政権が日本の同盟国としての信頼性に疑問を抱くことは避けられない。それは共和党でも民主党でも変わらない」

この論文はさらにさまざまな角度から小沢氏のいまの言動が誤まっているとして、手厳しく批判しています。

私が産経新聞で書いたのと同じ趣旨が2日後の朝日新聞に出るというのは、なんとも奇妙な感じです。もっとも朝日自体がそういう主張や考察を打ち出したのではなく、あくまで外部からの寄稿として掲載した、という点は明記しておくべきでしょう。

さあ、小沢さん、どうするのか。

民主党代表の小沢一郎氏がアメリカが切望している日本の自衛隊のインド洋での給油活動継続に反対しています。この継続を可能にするテロ特別措置法の延長に反対しているのです。アメリカ側ではこの反対が日米同盟の緊密化からの離反、あるいは国際的な対テロ掃討活動からの離脱として、小沢氏への批判を高めています。
日本のインド洋での活動はアメリカ、イギリス、ドイツなど多数の諸国がアフガニスタンで進めるアルカーイダ、タリバンの掃討作戦、つまり国際テロ勢力への戦いを支えています。だから日本がインド洋で給油活動を続けることには、イギリスの外相もつい最近、読売新聞への寄稿で高い評価と感謝とを表明していました。

小沢氏の最近の言動に関してはとくに、トーマス・シーファー駐日アメリカ大使との会談をすべてマスコミにさらしたことが「外交儀礼違反」として米側識者の反発を生んでいます。
それも、これも、小沢氏はこのところ反米志向をことさら誇示しているといえましょう。小沢氏の過去の政治言動をよく知る人間にとっては、驚嘆させられる現象です。というのは小沢氏といえば、1980年代から90年代はじめにかけて、とくに自民党幹事長時代、対米協調の親米で知られていたからです。具体的にはアメリカが求める日本の市場開放や規制撤廃に、きわめて積極的に協力し、野中広務氏らからは「売国」というレッテルを貼られたほどでした。

小沢氏は湾岸戦争前後にも自衛隊の海外派遣を積極的に推進しました。アメリカの要請に応じた形でした。日米同盟、そして国際安全保障への積極貢献ということでした。その小沢氏がいまやアフガニスタンでの国際的な対テロ闘争作戦への協力を拒むのです。

この小沢氏の反米の言動は国内でのアピールを狙い、安倍政権をさらに揺さぶるパフォーマンスなのか、それとも、真の変節なのか。
このへんはアメリカ側でも議論の対象となっています。
その点について2日前に書いた記事を以下に紹介します。


【緯度経度】ワシントン・古森義久 小沢氏「反米」への変節
2007年08月25日 産経新聞 東京朝刊 国際面

 小沢一郎氏はオオカミの皮をかぶったヒツジなのか-。

 テロ対策特別措置法の延長に反対する民主党の小沢代表の態度をめぐり、米国の日本専門家たちの間では辛辣(しんらつ)で活発な議論が続いている。「全米アジア研究部会」(NBR)という民間研究機関の日本関連論壇サイトで米側関係者たちが実名を出しての熱い論議を展開しているのだ。

 「小沢氏は結局、日本が安全保障上では国際的になにもしないという年来の態度を『国連優先』という響きのよいスローガンで隠しているだけだ。国連が現実には安保面できわめて無力なことはあまりに明白ではないか」

 だから小沢氏はオオカミを装ったヒツジだ、と説くのはもう30年来、日米関係を報道してきたベテラン・ジャーナリストである。

 「小沢氏は民主党内になお存在する日本が防衛問題で行動をとることにはすべて反対という旧社会党勢力を離反させないためにテロ特措法に反対するのだ。湾岸戦争当時、小沢氏ほど自衛隊海外派遣など安保面での対米協力を強く主唱した日本の政治家はいない」

これまた数十年間、日本研究を重ねてきた学者の言である。

 このふたりの論者はさらに小沢氏がとにかく自民党政権を揺さぶり、自分たちが政権を取るという目的のためには、たとえ自分自身の年来の主張を変えてでも、反米や反国際協力の姿勢をとるようだ、という疑念を表明する点でも共通していた。

 国防総省元日本部長のジム・アワー氏の批判はより辛辣である。

 「小沢氏は北朝鮮のミサイル脅威や台湾海峡の有事、あるいは中国の野心的な軍拡という事態に対し国連が日本の安全を守ってくれるとでもいうのか。テロ特措法による日本の自衛隊のインド洋での給油活動は日米同盟への貴重な寄与だけでなく、アフガニスタンで国際テロ勢力と戦う多数の諸国による国際安保努力への死活的に重要な協力なのだ。その停止は日米同盟と国際安保活動の両方からの離反ともみなされ、日本自体の安全保障にも大きな損失となる」

 確かに米国政界でもアフガンでの治安維持活動への支持は広範である。イラクでの米軍の活動に反対する民主党側の大統領候補バラク・オバマ上院議員や慰安婦問題で日本を批判したトム・ラントス下院議員も、日本のインド洋での後方支援を国際テロ撲滅やアジア安定への枢要な貢献だと礼賛した。

 共和党側でも大統領選に立つルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長は、日米同盟を通じての日本の安保協力強化の意義を強調し、もしアフガンでの作戦が失敗すれば、同国は再びテロリストの楽園になるだろうと警告した。慰安婦決議の日米関係への悪影響に配慮して下院外交委員会が超党派で採択した対日同盟感謝決議も、日本のインド洋での活動への高い評価を特記していた。

 だから小沢氏の反対には米国側の超党派の反発が起きることは確実である。

 しかもアフガンでのテロ撲滅作戦にはきわめて広範な国際参加がある。程度に差こそあれ、北大西洋条約機構(NATO)を主体に合計三十数カ国が関与する。私自身もカブールを訪れ、ルーマニアやイタリアという諸国の将兵が治安維持に加わっているのを目撃して、この活動の国際性を実感させられた。しかもその活動は国連安保理決議1386で認められているというのが一般の解釈である。

 アワー氏はさらに小沢氏がトーマス・シーファー駐日米大使との会談をすべて報道陣にさらしたことを「外交儀礼に反する米国への非礼」と批判し、小沢氏が政権奪取という目前の政治的動機によって基本政策までを変えてしまうようにみえる点を非難した。

 この2点は相互に無関係とは思えない。いまの日本で米国大使をあえて粗雑にあしらい、「反米」を演出することは一面、児戯めいていても、国内の一部にはアピールするのだろう。

 小沢氏といえば、1990年代はじめ、日米経済摩擦にからむ日本市場の開放でも、湾岸戦争がらみの自衛隊海外派遣でも、日米関係重視という立場から米国の望みや悩みに最も理解を示す政治リーダーとして日米双方で知られていた。野中広務氏あたりからは「売国」に近いレッテルを張られたほどだった。そんな対米関係重視派がいまや反米パフォーマンスを売りにする。日本の政治とはそんなものなのか。 

朝日新聞の夕刊題字下に「素粒子」という名のコラムがあります。
時事問題を風刺したり、歳時記を交えたりという趣旨のコラムのようですが、最近はなにか病気に取りつかれたかのように安倍政権への悪口雑言を連日、書いています。その頻度と一貫性は異様な政治意図を感じさせます。民主党側あるいは他の野党、自民党内の加藤紘一・山崎拓ふうの反乱派にも欠陥や問題はあるのに、もっぱら自民党主流攻撃、安倍政権打倒キャンペーンなのです。

その実例をあげましょう。

8月22日コラムの冒頭

「友党代表に『だらしない』と言われ、野党代表からは『脳死』と言われ、ああ、安倍散々政権。」

8月21日

台湾航空機の炎上事故にからめてーー
「●ルールなき政界
『法の定めがない』と詳細説明を拒み続けて自殺した閣僚あり」
「こんどは官房長官の事務所で領収書の重複添付発覚。どうせあと1週間内閣、すべで出しますか」

(明らかに松岡農水相の自殺をあざけっています)


8月20日
風が吹けば、オケ屋がもうかるーーよりは分かりやすい話。
(中略)
「その4 選挙に負ければ、『美しい国』も口端に上がらなくなる」

上記が最近の例です。
紹介したとおり、文字どおりの毎日連続なのです。
わずか15字で13,4行ほどの短いコラムに必ず安倍政権、安倍首相、自民党多数派への口汚い、趣味の悪い揶揄の文章が並ぶのです。
日本の政治には他にテーマはないのでしょうか。
いまの政治にもいろいろな側面や現象があるはずですが、民主党への批判めいた記述はまずゼロ、社民、共産などにも批判的なスタンスはまず絶対にとらない、というよりもテーマとしないのです。
反安倍新聞、反自民党新聞とでもいいましょうか。
政党機関紙よりも政治党派性の強い新聞とでも申しましょうか。

繰り返しますが、このところの「素粒子」には安倍叩きが毎日、書かれています。
念を押しますが、毎日なのです。8月20,21、22というのは毎日ですよね。
そしてその記述がなんとも下らないのです。
あまりの下らなさに私のアゴが2センチほど落ちた実例の一つを以下に紹介します。

7月31日付の「素粒子」です。

「暑くて窓が開いていて、隣のシンちゃん(古森註・安倍晋三氏のことですよ)が有名な教育再生ママに叱られている声が聞こえます。
『何よ、これ。落第点ばかりじゃないの』 『ママ、許して、反省すべき点を反省し、僕、再チャレンジするから』 『勉強法が独善的なのよ。仲良しとばかり遊ぶから甘くなるのよ。生活科はじめ必修科目をしっかり習得しなきゃ。小沢君を見なさい』(夏休み日記)

これが全国紙の夕刊の看板コラムなのです。
子供の日記を自分たちの政治運動の材料にするという品性欠如。
個々の記述の無恥な下らなさ、そして、あまりに露骨で粗野な政治性。小沢一郎氏を学習の見本に祭り上げるえげつなさ。
7月31日といえば、参院選挙での自民大後退の余熱もさめやらず、「素粒子」の筆者の頭も大喜びで、ちょっとネジが緩んでいたのかも知れませんね。

さあ、朝日新聞夕刊を手にする機会のある方は、このコラムの政治アクティビズムの病的な高揚がどこまでエスカレートするか、ときおりごらんになってはいかがでしょうか。

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