2007年11月

福田康夫首相が15日からアメリカを訪問します。ワシントンでブッシュ大統領との日米首脳会談にのぞむわけです。
この場で福田首相はなにを告げ、なにを聞き、なにを頼むのか。
関心の焦点のひとつは、アメリカ政府が北朝鮮を「テロ支援国家」の指定を解除するのか、どうかです。その解除をしないように福田首相がブッシュ大統領に要請をするのか、どうかでもあります。

このテロ支援国家指定に関しては、前回のエントリーでも書いたように、日本からの合同訪米団がいまワシントンを訪れています。14日には平沼赳夫会長ら国会議員6人があらたにワシントン入りしました。その最大の目的は米側に北朝鮮への指定解除をしなよう要請し、依頼し、懇願することです。
この合同訪米団と福田首相とはともにワシントンに滞在する日程が一部、重なります。
福田首相はブッシュ大統領に「北朝鮮をテロ支援国家の指定から解除しないでください」と頼むのか。

この点について15日付の産経新聞に以下の記事を書きました。
 

  【ワシントン=古森義久】拉致問題解決に米国の協力を求める日本側の合同訪米団はワシントンで活動中だが、今回の最大目的である北朝鮮の「テロ支援国家」指定継続には、その指定の解除が日米関係に重大な悪影響を与えるという見通しを、日本側がブッシュ政権にどこまで認識させるかが焦点となってきた。

 「拉致議連」、「家族会」、「救う会」の合同訪米団第一陣の家族会副代表の飯塚繁雄氏や拉致議連幹事長の西村真悟衆院議員ら5人は11日、ワシントンに着き、米国政府が北朝鮮を「テロ支援国家」指定から解除しないことの要請を中心とする米側関係者への訴えを開始した。

14日には同訪米団の団長で拉致議連会長の平沼赳夫元経済産業相ら国会議員6人も合流して、米側の国家安全保障会議、国務、国防両省の高官や議員らに面会する。 

米側では国務省の主導で、北朝鮮の核無能力化と引き換えに北朝鮮への年来の「テロ支援国家」指定を解除するという動きが進んでいる。もし解除となった場合、北朝鮮にとっては(1)世界銀行やアジア開発銀行からの援助を米国の反対を受けず獲得できる(2)米側の対敵通商法の規定で凍結されてきた北朝鮮の在米資産約3000万ドルが得られる(3)日本人など外国人拉致は事実上、解決ずみとして扱われる-などの利点を生む。一方、日本にとっては北朝鮮の拉致問題への責任免除に等しいうえ、北朝鮮への経済制裁が骨抜きとなる。 

米側でも国務省主導のこの路線にはブッシュ政権内外や議会で反対も根強い。一期目のブッシュ政権で国務次官や国連大使を務めたジョン・ボルトン氏が「テロ国家指定解除は北朝鮮のテロなど無法行為の受け入れに等しい」と反対を表明する一方、議会では下院外交委員会の共和党筆頭議員イレナ・ロスレーティネン女史が同解除には日本人拉致事件の解決を前提条件にするという趣旨の新法案を下院に提出し、13日までに共同提案者20数人を得た。 

ブッシュ大統領も国務省路線に傾いていると伝えられるが、なお最終決定には北朝鮮の対応など不確定要因もあり、予断を許さない。 

この状況に対し、国務省で最近まで東アジア問題を担当していた前高官は「北のテロ支援国家指定の解除の最終考慮では日本の対応が主要因となりうる。解除に日本が激しく反発し、日米関係に重大な悪影響を及ぼし、日米同盟を侵食すると予知されれば、ブッシュ大統領は解除に踏み切らないだろう」と述べ、日本側が北朝鮮のテロ国家指定継続を強く求めるならば、「日米関係への悪影響」を最大限に訴えるべきだと提言した。 

米朝関係に詳しい議会筋も「ブッシュ大統領はライス長官、ヒル次官補主導の国務省路線にほぼ同意しているようだが、日本にとっては、なおその流れを変えることは不可能ではない」として、同大統領が「解除」をしない決定を下すシナリオとして(1)福田康夫首相自身が日米首脳会談でブッシュ大統領に「日米同盟の深刻な侵食」を理由に解除反対を強く訴え、説得する(2)北朝鮮が濃縮ウランの所在などに関してこんご発表する宣言に欠陥がありすぎる(3)北朝鮮がシリアの核施設建設を支援し、関与していたことが立証される(核兵器関連技術の拡散の立証)-などと指摘した。 

 

日本からの拉致問題の当事者、関係者の代表たちが11月11日、ワシントンを訪れました。

北朝鮮による日本人拉致問題解決のための「拉致議連」、「家族会」、「救う会」の合同訪米団です。ワシントンには17日まで滞在して、アメリカの政府や議会に北朝鮮を「テロ支援国家」指定から解除しないことの要請を中心に協力を訴える予定です。

 拉致の被害者家族らや支援の国会議員たちはこれまでも何度も訪米し、そのたびに成果をあげてきたといえますが、今回の訪問はこれまでとちょっと異なります。アメリカ側の北朝鮮に対する姿勢がぐっと軟らかくなって、日本人拉致問題がひょっとすると脇に押しのけられる危険性があるのです。

 この訪米団の団長には拉致議連会長の平沼赳夫元経済産業相がなっています。ただし11日に第一陣としてワシントン入りしたのは拉致議連の幹事長の西村真悟衆院議員、家族会の副代表の飯塚繁雄氏、同事務局長の増元照明氏、救う会副会長の島田洋一、西岡力両氏の5人でした。平沼氏をはじめ松原仁、鷲尾英一郎らという他の超党派の国会議員計6人は14日にワシントンに着いて、一行に合流することになっています。

 同訪米団はアメリカ政府の国家安全保障会議、国務省、国防総省らの北朝鮮問題担当高官のほかアメリカ議会の議員たちに面会して、とくにブッシュ政権が北朝鮮を核問題の進展とのからみで「テロ支援国家」から外すことは拉致問題の解決への阻害になることを訴える方針です。


 アメリカ政府は国務省主導で北朝鮮の核兵器開発問題での前進を急ぎ、北の核施設の「無能力化」と引き換えに、北朝鮮を米側の「テロ支援国家」リストから外すことを約束したという報道が流れています。北がもし本当に「テロ支援国家」の指定解除を受けると、世界銀行やアジア開発銀行からの経済援助を受けられるようになり、日本による経済制裁の効果が骨抜きとなります。圧力の苦痛から拉致問題の解決に向かってふたたび動くことへのインセンティブがなくなってしまうわけです。だから日本側は政府も拉致被害者関連諸組織も、こぞってこの指定解除に反対しているのです。
 
アメリカ議会ではこの「テロ支援国家」の指定解除には日本人拉致事件の解決が前提条件になるという趣旨の新法案が下院に提出されました。共同提案議員が20数人となっているそうです。だから議会にはこのブッシュ政権のこの指定解除の動きに対する反対は多々あるのです。
日本側の訪米団はこれら議員たちとも面会する予定です。しかしこの訪米団の要請にブッシュ政権がどう対応するかは、このところ微妙な冷却を増している日米関係の新たなテストケースともなりそうです。

ブッシュ政権が同盟国である日本のこれほど激しく反対する措置をあえて、とるのか。たとえ北朝鮮の核兵器開発の停止という大義の下であっても、同盟国の日本がこれほどまでにやめてくれと懇願する措置を実行してしまうのか。
もしそうなった場合、日本側の反発が当然、予想されます。その反発がこんご日米同盟にどう影響していくのか。

訪米団の動きとそれに対するアメリカ側の政府や議会の態度が改めて注視されるゆえんです。


民主党代表の小沢一郎氏の言動や政策は、その実態をよく知れば知るほど、奇怪な諸点が増えていきます。
一体なにが真意なのか、ブラフなのか。大いなるパズルであり、クイズです。
福田・小沢の党首会談もその延長だといえましょう。外部からみたのでは、わけのわからぬ「大連立」騒ぎでした。
しかしこの会談は日本の政治がとっくに排したはずの密室政治の再現でした。国民のまったく知らない場所で、国民のまったく知らない形で、日本の国の進路が決められるという危険です。
この点に警鐘を鳴らした好論文が目につきました。
産経新聞11月7日朝刊に載った「正論」コラムの屋山太郎氏の論文です。
以下の見出しがついていました。
「密室政治の亡霊が甦った」
「2人だけで国策変更を試みた暴挙」

そうなのです。
福田康夫、小沢一郎という二人の政治家だけで、日本の政府のあり方から、国家安全保障のあり方まで、これまでと激変の路線が決められそうだったのです。
なかでもびっくりしたのは、小沢氏の国連中心主義に福田首相が同調しそうになったといされる点です。
この点に関連して屋山氏は以下のように書いています。

「小沢氏は相変わらず独断専行、子分は自分についてくるものと思い込んでいた。小沢自由党が民主党と合併した2004年、小沢氏は横路孝弘、鳩山由紀夫、米沢隆各氏と個別に「安保、国際協力の基本原則」という「確認書」を交わした。これが国連第一主義の根拠となる文書だが、それが党内で議論され、賛同された形跡はない」

つまりは小沢氏が民主党内の意思などにまったくお構いなく、勝手に決めてしまった「安保政策」なのです。
そのうちの一つ、小沢氏が横路氏らと交わした「基本原則」の内容はすでに、このブログで明らかにしました。10月9日のエントリーでした。

ここでもう一つ、小沢氏が鳩山由紀夫氏と米沢隆氏との間で交わした「基本原則」の内容を紹介しましょう。主題は同じ日本の安全保障です。

平成16年3月25日
           日本の安全保障、国際協力の基本原則
 
 冷戦の時代は終焉したとはいえ、世界各地においては紛争が頻発している。世界の安全保障と国際協力について確固たる基本原則を改めて定め、確認しておくことは時代の要請でもあり、また喫緊の課題でもある。
 私共は、我が国の安全保障及び国際協力について、この間慎重かつ精力的に検討を続けてきたが、ここに次の通りの基本原則で一致したので公表する。

                基本原則    
1      憲法9条の精神の遵守
自衛隊は憲法9条に基づき専守防衛に徹し、国権の発動による武力行使はし
ないことを日本の永遠の国是とする。一方においては、日本国憲法の理念に基づき国際紛争の予防をはじめ、紛争の解決、平和の回復・創造等国際協力に全力を挙げて取り組んでゆく。
2  国連中心主義
国際社会の平和と安全の維持は国連を中心に行う。
   それを実現するために、日本は国連のあらゆる活動に積極的に参加する。
     安保理常任理事国の拒否権行使等により安保理が機能しない場合は、国連
総会において決議を実現するために、日本が率先して国際社会の意思統一
に努力する。    
3、     国際平和協力部隊の創設
国連の平和活動への参加を円滑に実施するために、専守防衛の自衛隊とは別に、国際協力を専らとする常設の組織として「国連待機部隊(仮称)」を創設する。協力部隊の要員は自衛隊・警察・消防・医療機関等から確保する。又、特に必要がある時は自衛隊からの出向を求める。
4、  国連軍への参加            
         将来、国連が自ら指揮する「国連軍」を創設する時は、我が国は率先してその一部として国際平和協力部隊を提供し、紛争の解決や平和の回復のため全面的に協力する。
5、 多国籍軍への参加
   国連軍が創設される迄の間は、国連の安全保障理事会もしくは総会において決議が行われた場合には、国際社会の紛争の解決や平和と安全を維持、回復するために、国連憲章7章のもとで強制措置を伴う国連主導の多国籍軍に国際平和協力部隊をもって参加する。 
   ただし、参加の有無、形態、規模等については、国内及び国際の情勢を勘案して我が国が主体的に判断する。
    尚、国連の決議が行われた場合には、自衛隊をもって多国籍軍に参加することも
    憲法上は合憲である。しかし、自衛隊はこれまで専守防衛の組織として国民に周知されており、また、近隣諸国との良好な関係を維持するためにも、強制措置を伴う国際平和活動への参加は自衛隊とは別組織の国際平和協力部隊をもって参加することとする。 
   
    署名


「基本原則」は日本の安全保障についての基本政策を記したはずなのに、そこにあるのは国連への依存のみ、日米安保条約や、その条約に基づく日米同盟という言葉は一回も出てきません。
「日本の安全保障の基本原則」で日米同盟はまったく無視されているのです。
 
しかもこの文書は先の横路氏らと交わした文書とは全体として似ながらも、微妙かつ重要な点が異なっています。
小沢氏が同じ政党内の仲間との間の政策確認の文書でも、相手次第で内容を変えているのです。巧みな使い分けだといえましょう。
いかにも小沢氏らしい所業です。

日本という国の安全保障がこんな形で勝手にもてあそばれていく。
なんとも肌寒い実感を覚えさせられます。

                                   

   

民主党代表の小沢一郎氏の言動や政策は、その実態をよく知れば知るほど、奇怪な諸点が増えていきます。
一体なにが真意なのか、ブラフなのか。大いなるパズルであり、クイズです。
福田・小沢の党首会談もその延長だといえましょう。外部からみたのでは、わけのわからぬ「大連立」騒ぎでした。
しかしこの会談は日本の政治がとっくに排したはずの密室政治の再現でした。国民のまったく知らない場所で、国民のまったく知らない形で、日本の国の進路が決められるという危険です。
この点に警鐘を鳴らした好論文が目につきました。
産経新聞11月7日朝刊に載った「正論」コラムの屋山太郎氏の論文です。
以下の見出しがついていました。
「密室政治の亡霊が甦った」
「2人だけで国策変更を試みた暴挙」

そうなのです。
福田康夫、小沢一郎という二人の政治家だけで、日本の政府のあり方から、国家安全保障のあり方まで、これまでと激変の路線が決められそうだったのです。
なかでもびっくりしたのは、小沢氏の国連中心主義に福田首相が同調しそうになったといされる点です。
この点に関連して屋山氏は以下のように書いています。

「小沢氏は相変わらず独断専行、子分は自分についてくるものと思い込んでいた。小沢自由党が民主党と合併した2004年、小沢氏は横路孝弘、鳩山由紀夫、米沢隆各氏と個別に「安保、国際協力の基本原則」という「確認書」を交わした。これが国連第一主義の根拠となる文書だが、それが党内で議論され、賛同された形跡はない」

つまりは小沢氏が民主党内の意思などにまったくお構いなく、勝手に決めてしまった「安保政策」なのです。
そのうちの一つ、小沢氏が横路氏らと交わした「基本原則」の内容はすでに、このブログで明らかにしました。10月9日のエントリーでした。

ここでもう一つ、小沢氏が鳩山由紀夫氏と米沢隆氏との間で交わした「基本原則」の内容を紹介しましょう。主題は同じ日本の安全保障です。

平成16年3月25日
           日本の安全保障、国際協力の基本原則
 
 冷戦の時代は終焉したとはいえ、世界各地においては紛争が頻発している。世界の安全保障と国際協力について確固たる基本原則を改めて定め、確認しておくことは時代の要請でもあり、また喫緊の課題でもある。
 私共は、我が国の安全保障及び国際協力について、この間慎重かつ精力的に検討を続けてきたが、ここに次の通りの基本原則で一致したので公表する。

                基本原則    
1      憲法9条の精神の遵守
自衛隊は憲法9条に基づき専守防衛に徹し、国権の発動による武力行使はし
ないことを日本の永遠の国是とする。一方においては、日本国憲法の理念に基づき国際紛争の予防をはじめ、紛争の解決、平和の回復・創造等国際協力に全力を挙げて取り組んでゆく。
2  国連中心主義
国際社会の平和と安全の維持は国連を中心に行う。
   それを実現するために、日本は国連のあらゆる活動に積極的に参加する。
     安保理常任理事国の拒否権行使等により安保理が機能しない場合は、国連
総会において決議を実現するために、日本が率先して国際社会の意思統一
に努力する。    
3、     国際平和協力部隊の創設
国連の平和活動への参加を円滑に実施するために、専守防衛の自衛隊とは別に、国際協力を専らとする常設の組織として「国連待機部隊(仮称)」を創設する。協力部隊の要員は自衛隊・警察・消防・医療機関等から確保する。又、特に必要がある時は自衛隊からの出向を求める。
4、  国連軍への参加            
         将来、国連が自ら指揮する「国連軍」を創設する時は、我が国は率先してその一部として国際平和協力部隊を提供し、紛争の解決や平和の回復のため全面的に協力する。
5、 多国籍軍への参加
   国連軍が創設される迄の間は、国連の安全保障理事会もしくは総会において決議が行われた場合には、国際社会の紛争の解決や平和と安全を維持、回復するために、国連憲章7章のもとで強制措置を伴う国連主導の多国籍軍に国際平和協力部隊をもって参加する。 
   ただし、参加の有無、形態、規模等については、国内及び国際の情勢を勘案して我が国が主体的に判断する。
    尚、国連の決議が行われた場合には、自衛隊をもって多国籍軍に参加することも
    憲法上は合憲である。しかし、自衛隊はこれまで専守防衛の組織として国民に周知されており、また、近隣諸国との良好な関係を維持するためにも、強制措置を伴う国際平和活動への参加は自衛隊とは別組織の国際平和協力部隊をもって参加することとする。 
   
    署名


「基本原則」は日本の安全保障についての基本政策を記したはずなのに、そこにあるのは国連への依存のみ、日米安保条約や、その条約に基づく日米同盟という言葉は一回も出てきません。
「日本の安全保障の基本原則」で日米同盟はまったく無視されているのです。
 
しかもこの文書は先の横路氏らと交わした文書とは全体として似ながらも、微妙かつ重要な点が異なっています。
小沢氏が同じ政党内の仲間との間の政策確認の文書でも、相手次第で内容を変えているのです。巧みな使い分けだといえましょう。
いかにも小沢氏らしい所業です。

日本という国の安全保障がこんな形で勝手にもてあそばれていく。
なんとも肌寒い実感を覚えさせられます。

                                   

   

中国の圧政にあえぐウイグル民族の代表ラビア・カーディル女史が日本を初めて訪問しました。11月10日から全国各地で講演をします。
カーディル女史は正式にはウイグル人亡命者の国際組織「世界ウイグル会議」の主席です。
カーディル女史はすでにこのブログの以前のエントリーで紹介したように、最近、アメリカの議会で証言をしました。ウイグル人の若い独身女性が中国の海岸部の都市などに強制的に移住させられている、というのです。中国の国家計画では移住させるのは合計40万人のウイグル女性、そのうち2006年中にすでに24万人が北京や天津、青島などに移され、半分拘禁の状態で工場などで働かされているそうです。

カーディルさん自身、中国当局に弾圧され、6年もの間、拘束され、アメリカへの亡命的な逃避がやっと許されたという経歴の人物です。
そのカーディルさんの軌跡、そしてウイグル人たちの迫害の悲劇の歴史、弾圧された現状などは最近、日本で出た『中国を追われたウイグル人』という書に詳述されています。副題は「亡命者が語る政治弾圧」、著者は水谷尚子さん、文春新書です。
以下はその書のカバーの写真です。

これまでウイグルの弾圧の実態は日本ではなかなか知らされなかったのですが、今回、カーデイルさんの初めての訪日で、なまなましいその実態が多々、語られることでしょう。




 カーディルさんの講演の日程などを以下にもう一度、記しましょう。
 主催側の発表のコピーです。

アムネスティ・インターナショナル 全国スピーキング・ツアー2007
                              私たちは、「テロリスト」じゃない。
                        ~「反テロ」戦争と新疆ウイグルの人権~
 
                 ラビア・カーディルさん全国講演、11月10日から開始!
                                   http://www.amnesty.or.jp/
………………………………………………………………………………………
  ・・中国は「テロとの戦い」を利用してウイグル人社会への弾圧を正当化
  している・・・民族運動を平和的に行なっているウイグル人も、「テロリスト」
  と決めつけているのだ。
                                   ~アムネスティの声明より~
 
  2001年の「9.11」の後、米国は「テロとの戦い」を高らかに掲げてアフガン攻撃
やイラク戦争を始めました。また多くの国がこの流れを利用し、「反テロ」を御旗
に、自国内で政府に批判的な勢力や分離独立・特別自治を求める民族を「テロ
リスト」呼ばわりし、弾圧を強めました。

 中国も例外ではありません。政府は新疆ウイグル自治区内の批判勢力に「テ
ロリスト」のレッテルを貼り、これまでに数万人を拘束しました。拘束されたウイグ
ル人は拷問を受け、不公正な裁判にかけられて投獄されたり処刑されたりしまし
た。 生命の危機を感じたウイグル人はキルギスタン、カザフスタン、パキスタン
など隣国に逃れましたが、中国政府は、こうした人びとを強制送還するよう各国
政府に圧力をかけています。
 
全国スピーキング・ツアー2007では、ウイグルの元「良心の囚人」であるラビア・
カーディルさんをお招きします。ラビアさんの獄中での体験を中心に、「テロとの
戦い」の下で正当化されるウイグルでの人権侵害について知り、考える機会で
す。
  
◎ ラビア・カーディルさんのプロフィール 
1948年にアルタイで生まれる。59歳。
共産党に入党し商工会議所の副議長などの役職につきながら、新疆ウイグル
自治区の貧困や人権の状況を訴えていた。1996年に夫が米国へ政治亡命。
同年と1997年、政治協商会議の席上でウイグル族の人権問題について訴えた。
1999年8月、ウルムチ市内を訪問中のアメリカ議会代表団にウイグル人政治囚
の名簿を渡そうとしていたところを国家安全局に拘束された。
2000年3月の判決で懲役8年が確定。アムネスティはラビア・カーディルを
「良心の囚人」と認定し、国際的な釈放運動が拡がった。2005年3月に
釈放され、米大使館に身柄が引き渡された。現在は米国で夫と暮らしている。
ここ数年、ノーベル平和賞のノミネーションに必ず名前が挙がっている。
   
   
◎ 全国8か所で講演!
   
●東京
日程:2007年11月10日(土)
場所:ハーモニックホール 新宿区西新宿7-21-20関交協ビル地下1階
時間:15:30~18:00(受付開始:15:00)
アクセス:http://mooo.jp/hall
参加費:一般1000円/学生500円
連絡先:アムネスティ・インターナショナル日本東京事務所
電話:03-3518-6777 メール:camp@amnesty.or.jp

   
●和歌山‐田辺-
日程:11月11日(日)
場所:田辺市民総合センター2階青少年ホール
時間:19:00-21:00 
アクセス:http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=4&pg=1&grp=w_fukushi&ino=BA555366 
参加費:500円 (高校生以下無料)
連絡先:ms798@olive.plala.or.jp
  
●岡山‐倉敷-
日程:11月15日(木)
場所:倉敷カトリック教会
アクセス:http://www3.kct.ne.jp/~kato_kura/syozaichi.htm
時間:18:30-20:30   
参加費:無料
連絡先:yamadatm@mx4.kct.ne.jp
  
●島根‐松江-
日程:11月17日(土)
場所:松江スティックビル501号室
時間:13:30-16:00
アクセス:http://www.toraiya.jp/01_04.htm
参加費:700円(高校生以下無料)
連絡先:shirokusushi@smn.enjoy.ne.jp
  
●山口
日程:11月18日(日)
場所:山口カトリックセンター
時間:14:30-16:30 
アクセス:http://www.xavier.jp/access_map.html 
参加費:500円
連絡先:ai369@yamaguchi-u.ac.jp
  
●大阪
日程:11月21日(水)
場所:大阪府立女性総合センタードーンセンター 5Fセミナー室
時間:18:30-20:30 
アクセス:http://www.dawncenter.or.jp/shisetsu/map.html
参加費:一般1000円、学生700円
連絡先:fwht6821@mb.infoweb.ne.jp
  
●北海道‐札幌-
日程:11月24日(土)
場所:札幌エルプラザ4階中研修室
時間:18:30-20:30
アクセス:http://www.seisyokukai.com/sub15.htm
参加費:500円
連絡先:kyyhata@sea.plala.or.jp
  
●新潟
日程:11月25日(日)
場所:クロスパルにいがた
時間:15:00-17:00
アクセス:http://www.visit-niigata.com/detail/104.html
参加費:500円
連絡先:VYB11340@nifty.com
   
   
◎ ご支援のお願い ◎
  
毎年行なわれるアムネスティの全国スピーキング・ツアーは、すべて皆様のご寄
付によって成り立っています。今回のゲストの招聘や関連する経費で約150万円
が必要です。何卒ご支援をよろしくお願いいたします。
いただいた賛同金は、スピーカーの国際渡航費および国内移動費、宿泊費、
謝礼、通信費、印刷費、同行する通訳者の交通費や謝礼などのために使わせ
ていただきます。
   
振込先 郵便振替口座:00120-9-133251
加入者名:社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
   
※スピーキング・ツアー賛同金であることをご明記ください。
※賛同金その他の収入により黒字が出た場合は、アムネスティのさまざまな人
権擁護活動に活用させていただきますので、予めご了承ください。
※賛同金をお寄せくださった方には、ツアー終了後に報告書をお送りいたしま
す。
   
◎ お問い合わせ
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
ホームページ:http://www.amnesty.or.jp/
101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2 共同(新錦町)ビル4F
TEL. 03-3518-6777  FAX. 03-3518-6778
★アムネスティ・メールマガジンのお申し込みはこちらから!
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