2007年12月

福田康夫首相が12月29日まで、中国を訪問しました。

日本の首相の外国訪問でこれほど相手国の機嫌ばかりをうかがい、日本側の注文や抗議を表に出さなかったという実例も、ちょっと思い出しません。
要するに、中国に対し日本側が不満であること、懸念すること、理不尽だとみなすこと、など、なにひとつ述べず、ただただ、「協力」とか「友好」とかを強調しただけなのです。

究極の日中友好とはこのことでしょうか。もちろん皮肉な意味で、です。
日本側が中国の主張にすべてハイハイと言っていれば、「対中友好」は究極の形で保たれます。でもこんな態度は一般には叩頭外交、あるいは朝貢外交とみなされるでしょう。ひどい場合には土下座外交とも評されましょう。とにかく相手の意思に従い、同調している外交だからです。相手に一切、文句を言わねば、仲のよい外見が生まれるのは当然です。

福田首相は訪中で中国首脳に調子を合わせ、「日中関係は春を迎えた」などという見解を述べました。いまほど日本と中国が有効に協力をできる時はない、という趣旨も述べました。その一方、いま日本国民の多くが懸念している案件、中国の言動が日本の国益を脅かしている案件などには、一切、触れなかったのです。
「公表はしないが、実際の会談では中国側に抗議や要求をした」という弁解は通用しません。公開の場で表明しなければ、抗議や注意の意味はありません。

さて福田首相が当然、中国側に対して、言及し、指摘し、批判や懸念を表明すべきだった案件としては、少なくとも以下の10項目があげられます。

▽中国は軍事力の異常な拡張を続け、弾道核ミサイルや潜水艦の増強、宇宙兵器の開発、サイバー・テロの演習などにより日本の安全保障への潜在脅威を高めている。

▽中国は軍事面での実際の増強措置や政策、戦略をすべて秘密とし、日米両国のような民主主義国家での「軍事の透明性」をまったく無視している。

▽中国は東シナ海のガス田開発で国際的に正当性のある日中境界線を認めず、独自の開発を進め、日本側海域でのみの「共同開発」を図っている。

▽中国は台湾への武力行使の可能性を公言し、日本や米国の「台湾海峡の平和と安定」や「台湾問題の平和的解決」への要請を無視している。

▽中国は国内で共産党の独裁統治を続け、民主主義の複数政党制を否定し、反対勢力を弾圧し、国民の基本的な人権を抑圧している。

▽中国はチベットやウイグルの少数民族の権利をも抑圧し、漢民族化を進め、民族自立への動きを厳しく弾圧している。

▽中国は日本の企業にも重大な被害を与える偽造品、模造品の横行を許容し、知的所有権の侵害をきちんと取り締まっていない。

▽中国は日本の国民の生命にもかかわる有毒な食品、薬品、日常用品などの対日輸出を十分に取り締まっていない。

▽中国は南京の博物館などでなお「日本軍は30万以上の中国民間人と虐殺した」という虚構の展示を堂々と更新し、反日の宣伝や教育を続けている。

▽中国は経済の高度成長の最優先のために環境破壊をあえて放置し、温室効果ガスの排出量も制限をしないことを政策としている。

以上、ざっとあげただけでも10項目の案件は日本側にとって深刻な懸念の対象なのです。しかし福田首相はそのどれにも言及せず、中国側に日本側の要望や抗議を伝えることはしませんでした。

2008年が幕を開けたこの時期に、福田首相のこうした中国訪問は新しい年の福田外交の欠陥を予知させる不吉な象徴のようにみえます。
しかし同時に福田首相のこういう対中姿勢は、中国への危険な媚びとして、日本国民への警戒警報となりうるでしょう。
                                        

福田首相が温家宝首相を野球のユニフォームでキャッチボールをする光景をみて、日本国民はどう感じたでしょうか。もちろん多様な反応があって当然です。
しかし私は気持ちが悪くなりました。日本の首相と中国の首相と、それぞれの自国で選ばれる手順や構造は天地の差があるからです。中国の政治指導者たちは一党独裁の永久専制統治のリーダーなのです。
日本側でこの大きなミゾを意識するならば、こんな「友好」の演出はできないはずです。福田首相は中国側首脳と握手をしあうだけで十分ではないですか。
この点は基本的な価値観の相違への認識につながっています。
福田首相は自分の信奉する基本的な価値観をみずからの外交に反映させるという発想はまったくないようです。


今回の福田訪中の問題点は各新聞ともごく控えめな形でしか指摘していませんでした。そんななかで私が感心したのは読売新聞12月29日朝刊に載った北京発の杉山祐之記者の解説記事でした。

この記事は「見返り最小限 成果大 中国首相笑顔」という見出しでした。
その趣旨は、中国側が日本側から最小限の見返りで大きな成果を得るという戦術に成功した――ということでした。福田首相はその中国側の期待に十分にこたえた、というのです。
つまり中国側は日本側になにも与えることなく、多くを得た、という総括なのです。
福田首相は中国側に媚びてしまった、ということでしょうか。

朝日新聞を分析した、興味ある本が刊行されました。
山際澄夫著「これでも朝日新聞を読みますか?」という新刊書です。
出版元はワック株式会社です。
ここでも紹介します。

この新刊書は内容の主眼を知らせるカバーの帯に以下のようなことを書いています。

「安倍政権を倒した”言論テロ”」
「反日・反米で中国・北朝鮮との友好大事」
「『南京大虐殺』『従軍慰安婦』の捏造報道」
「荒唐無稽な『地球貢献国家』論」

筆者の山際澄夫氏はかつて産経新聞の政治部記者からニューヨーク支局長を経た人ですが、その後、独立して、フリーの記者・評論家として活躍しています。

山際氏の名を一気に広めたのは同氏の『拉致の海流』(恒文社21刊)という本でした。
この本は北朝鮮による日本国民の拉致という国家テロ、国際テロについて、日本の左傾の識者、政治家、学者、官僚らが具体的になにを述べていたかを客観的な事実として淡々と再現した記録でした。日本のマスコミでさえも、「拉致問題など存在しない」という北朝鮮当局と同じ見解を表明していたことを、これまた客観的な事実として紹介していました。朝日新聞もそこでは批判の有力対象となっていました。

さて今回、刊行された『これでも朝日新聞を読みますか?』の「はじめに」で、山際氏は次のように問題提起をしていました。

 「独立回復時の全面講和論の主張に始まって、非武装中立、日米安保反対、毛沢東の文化大革命礼賛、湾岸戦争への後方支援妨害、自衛隊のPKO派遣反対、教科書改ざん協力、靖国参拝の政治問題化、北朝鮮拉致事件の無視――等々、戦後のマスメディアの誤謬を一社で代表してきた観さえある」

そして目次はだいたい次のようです。

第1章 安倍政権を倒した朝日新聞の”言論テロ”
第2章 「南京大虐殺」からNHK「慰安婦法廷」番組改変まで、その捏造体質
第3章 ニッポン憎し!! 中国・北朝鮮との「友好」
第4章 朝日新聞がお手本!? 迷走する地方紙
第5章 三つ子の魂、朝日新聞の歪んだ「正義」


具体的な内容は実際の書を読んでいただいたほうがよいですね。



イラクでは米軍とイラク政府による治安の回復作業がさらに大幅に前進しているようです。
イラク情勢のそうした好転はこのサイトでもすでに数回、伝えてきたとおりですが、その治安の改善がさらに顕著となってきたのです。

この情勢の好転は一時的かもしれません。
血なまぐさいテロ攻撃はまた頻発するかもしれません。民族間、宗派間の闘争に再び火がつくかもしれません。
さらにまたイラク全土が一挙に安全になってしまった、というわけでもありません。局地的にはテロ攻撃や宗派間の衝突がまだ起きているところもあります。北部のクルド人へのトルコからの攻撃も、従来とは異なる要因とはいえ、不安定の原因となっています。
How it works 2-18-05


(上は以前に紹介したイラクで活動するフリーのマイケル・ヨン記者が撮影した写真です)

しかしそれでもなおイラク全体として半年前、一年前とくらべてテロ勢力の攻撃が減り、米軍将兵やイラク民間人の死傷者が減り続けていることは、どうにも否定ができません。このイラク情勢の好転はアメリカでブッシュ政権の対イラク政策に反対してきた民主党側でも認めています。

そしてマスコミではブッシュ政権のイラク平定作戦に最も激しく、最も一貫して反対するキャンペーンを展開してきたニュヨーク・タイムズでさえも、いまのイラクの治安回復を何度も、かつ多角的に報じています。その一例を紹介します。

12月22日付のニューヨーク・タイムズに掲載された「イラクの現状」というグラフを主体とする記事です。筆者はこれまた反ブッシュの民主党リベラル系シンクタンク「ブルッキングス研究所」のマイケル・オハンロン上級研究員らです。オハンロン氏は安全保障の若手研究学者で、アメリカのマスコミに広範に研究成果を発表しています。
その記事のグラフ部分が下記のとおりです。一年前との比較が主体です。
情報源は米国防総省、イラク政府、国際機関などだそうです。


                     2006年11月     2007年11月   
暴力によるイラク人死者数         3,450         650

米軍将兵の死者数                 69          40

イラク治安部隊の死者数            123           89 

1日平均のテロ・宗派攻撃件数        180           80

死者を出した爆発件数               65           22  

石油生産(1日のバーレル)            210万        240万


以上、主要なデータだけです。
この数字をみると、オハンロン氏らは国防総省の発表よりも、「情勢好転」を控えめに測定していることが明白です。 それでもなお「イラクの安全環境はかなり向上した」と評価する一方、政治的な和解はまだだし、治安もまた悪化の道をたどる可能性があることを付記しています。しかしいまのイラクの情勢が好転していることは正面から認めているわけです。

朝日新聞はニュヨーク・タイムズと提携しながらも、イラク情勢のこうした、いま最大の特徴はツユほども報じていません。むしろ「イラクの治安は悪化」などと大ざっぱな記述を繰り返しています。
まあ、アメリカの対イラク政策に激しく反対し、その効用をすべて否定してきたのですから、それが万が一にも、「成功」していまうことなど、あってはならない、ということでしょうか。そうした態度が砂に頭を突っ込むダチョウと同じでなければ、幸いです。            



日本とアメリカとのきずなは、いかに反米とか反日と呼べる現象が起きてきても、なお堅固で広範です。
アメリカ国民の間でも、日本への興味や善意を抱く人たちはまだまだ多数、存在します。そうしたアメリカ側の日本の関心のシンボルの一つが、全米各地にある「日米協会」でしょう。英語の名称では, Japan -America Society  とされ その名称の後ろに
of Washington DC というふうに都市や地域の名前をつければ、その地の日米協会となります。

その一つに「ワシントンDC日米協会」というのがあります。なにしろ首都の対日友好団体ですから、歴史も規模も影響力も、全米でも特別です。会員は約600人、アメリカ人がほとんどですが、日本という主題のために、アメリカ人高校生の日本語演説コンテストを開いたり、桜祭りの一部に参加するとか、という活動をしています。

ところが首都という場所柄のせいか、このワシントンDC日米協会はアメリカ側の元日本担当の職業外交官の引退者たちに仕切られた感じなのです。資金だけは日本の大手企業が出し、その資金を使っての活動は米側の元国務省外交官がぎゅうじるという観なのです。

こうしたアメリカ人の元外交官たちはみな日本のアメリカの大使館や領事館に勤務し、日本を知り、日本語もある程度、できて、基本的には日本に前向きの関心を抱いてきた人たちといえます。日米関係への貢献も大きかった人たちです。いまも個人レベルでは元気で活発な人たちも少なくありません。そうした元外交官への敬意は表されるべきです。

しかし彼らはもう現役ではありません。いまの日米の交流や友好は両国とも現役の人たちで実際には担われています。日米協会もそうした現役の人たちが本来、運営し、実効をもたらすべきです。それが60代、70代、80代という退役外交官たちが交流組織を支配しているというのが、日米協会の現状のようなのです。そのうえに政治的な党派制とか偏向という問題も潜在しています。

果たして、これでよいのでしょうか。
いまの日米協会が抱える問題の一端について、自分の体験を基に記事を書きました。
以下がその紹介です。
産経新聞12月22日付朝刊のコラムです。


【緯度経度】ワシントン・古森義久 日米交流は「追憶」なのか 

 

 「ワシントンDC日米協会」の夕食会に参加した。12月6日、ワシントン市内の著名ホテルで、だった。参加費はひとり最低275ドル、しかも服装はブラックタイ、つまり男性はタキシード着用と指定されていた。これまでは確かその下に「選択自由」と記されていたが、今回は義務づけなのだ。

 日米協会といえば、日米両国の市民レベルで交流や友好を促進し、日本の文化を広めようという米側の草の根組織のはずである。だから高い参加費も格式ばった服装も、奇異に感じたが、今回は創設50周年記念であり、参加費は寄付になると聞いて、まあ納得した。ただし仕事帰りの参加だからタキシードは勝手に辞退させてもらった。 

 会場に入ると、まず参加者が意外に少ないと感じた。これまで数回、出席した過去の年次ディナーよりも、盛り上がりが低いのだ。後で調べると、昨年の参加は約260人だったのが、今回は50周年記念なのに240人ほどだとわかった。 

 米国側出席者の中核は高齢の退役キャリア外交官が圧倒的に多かった。国務省の日本担当職業外交官として日本に駐在した元公使、元参事官、元書記官たち、たとえば現在84歳のウィリアム・シャーマン元国務次官補代理をはじめとして60代、70代の引退外交官が目立つのだ。この傾向はそもそもワシントンDC日米協会のいまの会長がウィリアム・ブリア氏、理事長がジョン・マロット氏と、いずれも日本を担当した元キャリア外交官だから自然なのかもしれない。 

 しかし驚いたのはこの豪華な会食には米国側の現職議員がただのひとりも加わっていないことだった。普通、この種の2国間の交流の会合には米側の連邦議会のメンバーが顔を出し、格を高める。だが米国にとっての主要同盟パートナーとの交流組織の50周年記念に国政の代表がだれもきていないのだ。上下両院は開会中であり、議員はワシントンにいるのに、なのだ。 

 さらにびっくりしたのはいまの米国政府、つまりブッシュ政権の高官の参加がこれまた皆無なことだった。国務、国防各省など日本担当も含めて部長以上の現職高官はみる限り、一人もきていなかった。日本に最も縁の深い国務省日本部長さえいないのだ。 

 資金面でも米側の比重の縮小が顕著だった。最大の寄付は1団体が1テーブル10人分に6000ドルを払い、うち8人分は自分たちが出席し、協会側が招くVVIP(超重要人物)2人と同席するという仕組みだが、これに応じた3団体のうち米側は1社だけで、あとは日本企業だった。例年は米側が数社になるのだという。 

 次の水準は3500ドルで8人に米側VIP2人を加えるというテーブルだが、これも日本側団体が9社、米側は4社という偏りだった。そもそもこの協会は米側の組織なのに、である。 

 これらの現象は俗にいうジャパン・パッシング(日本軽視)からなのか、それとも日米協会のいまの体質のせいなのか。 

 現状に対して「米国の官民で日本の比重が落ちてきたこともあるが、同協会の現執行部が米側の現職議員や企業への働きかけをあまりしていないことが大きい」(日本企業関係者)とか「VIPにブッシュ政権高官をと協会側に頼んだのに退役の職業外交官を招いてきたのには驚いた」(同)、あるいは「ブッシュ政権の高官と縁がないのはいまの協会を仕切るマロット氏やブリア氏があまりに反ブッシュ、反共和党の民主党傾斜の党派性が強いためだ」(米側民間関係者)というような批判の声も、日米両方の広範な分野から聞かれたことも強調しておこう。 

 確かに夕食会の行事も民主党カラーが激しかった。 

 基調演説が民主党の副大統領だったウォルター・モンデール元駐日大使、乾杯の挨拶がブッシュ政権の運輸長官を務めたとはいえ民主党員のノーマン・ミネタ同日米協会名誉会長、そしてその両氏を紹介するブリア会長もマロット理事長も、ブッシュ政権への熱をこめた非難の言動で日ごろ知られる人たちなのだ。 

 さてマロット氏に見解を尋ねると、まず「議員の姿がなかったのは会期中で多忙のため、どうせ出席できないと判断し、招待しなかったからだ。政府高官はそれぞれに職務遂行中で出席できなかったのだろう」という説明が返ってきた。そして夕食会全体については「日米関係にかかわった人間同士が集まり、家族の再会のようなとても温かい雰囲気のノスタルジックな会合となったので、みんな喜んでいた」と語った。 

 日米間の交流や連帯をノスタルジー、つまり追憶や郷愁でくくるという発想には、思わず戸惑って、つい言葉を失った。 

 

 

アメリカでこのところイラクやアフガニスタンでの米軍の行動を批判的にとりあげた、いわゆる「反戦映画」が続々と封切られたものの、記録破りの不人気となり、そのことが話題となっています。

その現象を産経新聞本紙で報じました。
以下がその記事です。
写真はその各映画の宣伝カットを載せました。


反戦映画、米で大不振 イラク・アフガン題材
2007年12月17日 産経新聞 東京朝刊 総合・内政面


 【ワシントン=古森義久】イラクやアフガニスタンを題材とする米国の反戦映画が軒並み大不振を記録し、逆に話題の的となってきた。米国民の多数が自国の軍事行動に反対だからか、それとも実際に戦う自国将兵の行動を悪く描くことに反発するからか。大手マスコミまでが映画評を越えての政治評論を始めた。



 ≪超有名スター主演≫

 米国では9月から11月にかけ、イラクとアフガニスタンで米軍がかかわる戦争を批判的に取り上げた映画5本ほどが相次いで封切られた。なかでも注視されたのはロバート・レッドフォード監督でトム・クルーズ、メリル・ストリープという超有名スター主演の「ライオンズ・フォー・ラムズ(子羊のためのライオン、邦題は「大いなる陰謀」)」という作品。

 2001年の米国のアフガニスタンでの対タリバン戦争をきわめて否定的に描いていたが、11月上旬の全米封切りの週末に売り上げ第13位、以後、18位に下がり、12月9日までの週では全米32位にまで落ちた。同週までの売上総額1450万ドルで、製作費3500万ドルの半分以下、ほぼ同期間に上映された「ビー・ムービー(ハチの映画)」というアニメ映画の収入の8分の1となった。


Lions for Lambs


 演技派スターのトミー・リー・ジョーンズ主演の「イン・ザ・バレー・オブ・エラ(エラの谷で)」もイラク戦争帰りの兵士の悲劇を描く反戦映画だが、封切り当初から第35位、その後も71位とか83位に落ち、興行収入も12月中旬までの総額で700万ドル未満だった。







 同じイラク戦争での米軍兵士のイラク少女暴行を主題としたドラマ映画「リダクテッド(改訂)」は11月中旬の封切りの週末に第67位、全米での売上総額わずか約2万5000ドルという近年の最少額を記録した。エジプトのテロ容疑者を米国当局が連行するドラマ「レンディション(上演)」も有名スターを出演させながら最下位に近いランクとなった。
 Redacted

Rendition 


 ≪強すぎる政治主張?≫

 こうした反戦映画の超不人気は政治評論のテーマともなった。大手紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で「誰もみにこない戦争映画が並んだようだ」と皮肉り、「『ライオンズ・フォー・ラムズ』は映画に偽装した政治主張のようだ」と批判した。

 同社説はこれら映画の不振の理由として「いま現在、戦っている米軍将兵を殺人者や暴行魔に描くドラマをみたいという米国人が少ないのは当然で、戦場でのヒロイズムや自己犠牲、そして自国の勝利を欲するのが普通だろう」と論評する一方、ベトナム戦争について「ディア・ハンター」とか「プラトーン」という反戦映画がヒットしたのは「その戦争が終わり、数年が過ぎていたからだ」とも解説した。 


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