2009年03月

千葉県の新知事に森田健作氏が当選し、日本の政局全体への影響をもうわさされて、巨大な波紋を広げています。

 

森田氏の経歴その他はもう語る必要もないでしょう。

 

しかし彼が映画監督して活躍したときの作品の一つが忘れられません。当選へのお祝いの意味をもこめて、その映画についてこのブログでとりあげた際のエントリーなどを再現することにしました。 

 

 

森田健作監督の映画『I AM 日本人』
下の写真はその映画の宣伝です。
写真の女性は主演女優です。


 

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日本人はなぜ国旗をあまり掲げず、国歌を唄わないのかーーこんなことを改めて太平洋上を飛ぶ飛行機の中で考えさせられました。

東京での所用をすませ、ワシントンにもどる全日空の002便の機内で森田健作氏が作った映画「I am 日本人」を遅まきながら観た結果でした。この映画は昨年夏に日本国内で一般封切りされたそうです。それが一年後のいま全日空の国際線の機内で上映されているのです。

この映画は日系3世のアメリカ人少女が日本の大学に留学し、日本人の多く、とくに若者が自国の国歌である「君が代」を入学式のような厳粛な行事でも唄わず、
国旗の「日の丸」をお祭りのような祝賀の行事でも掲げようとしないことに当惑し、疑問を呈する、というストーリーです。

この日系米人少女は日本移民の祖父を持ち、剣道を学んで育ち、自分はあくまでもアメリカ人だと認識しながらも、父祖の国への強い誇りや親しみを抱いています。しかし日本にいざ住んでみると、日本人の多くが日の丸や君が代への敬意や愛着に欠け、むしろ自国の国旗や国歌を疎外する傾向に気づきます。そして「日本の人たちはなぜ自分の国の象徴である国旗や国歌を尊敬しないのですか」と疑問を発するのです。

私はこの映画を観て、その主題である「日本人の日本への意識」について深く考えさせられました。そしてこの映画を作った森田健作氏の努力に敬意を覚えました。


 

アジア太平洋 中国脅威 唯一の戦略核増強国 米国防総省報告書
 
2009年03月27日 産経新聞 東京朝刊 国際面


 

 ■ICBM20基新配備

 【ワシントン=古森義久】米国防総省は25日、「中国の軍事力」に関する年次報告書を発表し、中国が戦略核戦力や東アジア地域での軍事能力、さらには台湾の攻略能力などをいずれも増強しているという現状を明らかにした。
 
 報告書はさらに、中国の軍事の態勢や戦略が不透明であり、アジア太平洋地域での大きな不安定要因となっていることを指摘した。

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 同報告書は毎年一度、発表され、議会に送られるが、総括として中国がなお「高度の外国製兵器の取得、防衛関連科学技術への急速度の投資、軍隊の組織的、戦略的な改革などによって地域制圧の軍事能力や核、宇宙、サイバー戦争の軍事技術を発展させ、アジア地域の軍事バランスを変えて、アジア太平洋地域をも越える影響を発揮している」と警告している。

 具体的には、米国本土にも届く戦略核戦力で中国が2006年以来、CSS4、DF31などの大陸間弾道ミサイル(ICBM)計約20基を新配備したほか、射程のやや短いCSS3を約20基、1隻に弾道ミサイル(SLBM)を12基搭載した「夏」級潜水艦を新配備するなど、世界でも唯一、戦略核ミサイルの増強を進めていることを指摘した。
 
 また、同報告書は中国が西太平洋地域で水上艦、潜水艦、航空機を増強し、対艦攻撃ミサイルや魚雷の強化で地域制圧の能力を高め、潜在敵の側の航空母艦までを抑止する能力をつけ始め、東シナ海での尖閣諸島をめぐる日本との領土紛争への対処能力をも高めたことなどを強調した。

 報告書によると、中国は台湾への攻撃、攻略の能力を依然として高め、台湾海峡沿いの福建省などでは台湾に届く短距離弾道ミサイルの増強を継続した。
 
 2008年9月の時点で合計1150基にも達して、いまなお毎年約100基のペースで新配備を続けている。

 報告書は台湾の政権が変わり、独立を直接には目指さない国民党が政権を握って、中国との政治的な緊張が和らいだのに増強がなお続いている点に懸念を示し、「中国が台湾の独立を阻止するために攻略の軍事能力をつけることは理解できるが、現在の増強は台湾をはるかに越えた有事までをも想定しているようにみえる」と指摘した。

 一方で、中国海軍が航空母艦を保有する意思を公的に表明し、旧ソ連から購入した旧式空母を活用し自国製の建造を目指す方針を進めていることを伝えている。
 
 パイロット50人が空母艦載機の操縦訓練を受け始めたことも記している。

 また、報告書は中国の人民解放軍の兵器装備や戦略作戦などがほとんど秘密にされ、透明性に欠ける点を批判的に取り上げ、国際情勢を不安定にする主要因だと断じている。
 
 中国政府が公式に発表する国防費は08年度分は約600億ドルで前年より17・6%の増加だが、外国からの兵器購入や航空宇宙での戦争準備などの経費はそこには含まれず、実際は1050億~1500億ドルにも達すると米側はみている。

北朝鮮のテポドン・ミサイルの発射が懸念されています。

日本政府はこのミサイルが日本領土に落ちてくるのならば、ミサイル防衛で迎撃するような意向をなんとなく表明しています。

 

しかし北朝鮮が発射して、日本の方向に飛んでくる弾道ミサイルが日本の領土や領海を目指していると明確にわかるのでしょうか。もしかすると、グアムの米軍基地の方向に飛ぶのかもしれない。ハワイやアラスカの近くを目指すのかも知れない。

 

そんな疑念が少しでもあるうちは、わが日本はミサイル防衛を機能させることができないのです。なぜなら日本の領土以外を目指す攻撃に日本が対処することは集団的自衛権の行使として、禁じられているからです。

 

この種の日本の防衛活動にとって、障害となっているのは現行の憲法解釈です。日本は集団的自衛権は保有はしているが、行使することはいまの憲法の解釈では禁止とする、という奇妙な自縄自縛の産物です。

 

日本とアメリカは同盟国同士として共同の防衛態勢をとっています。ミサイル防衛などその典型例です。北朝鮮がミサイルを発射すれば、それが本物ならば、日本領土に落ちるかも知れないと同時に、日本の安全保障に寄与している日本のすぐそばの公海上の米軍艦艇を撃つかもしれない。グアム島の米軍基地やハワイ、アラスカのアメリカ領土を破壊するかも知れない。しかし日本はそんな危険な北朝鮮のミサイルを日米共同の名の下でも、阻止してはならないのです。日本領土が攻撃されたとき、されるときしか、反撃はできないのです。

 

なぜなら日本の自衛権は個別、つまり日本の領土や領海が攻撃されたときの防衛活動しか認められていないからです。ともに行動するアメリカの艦艇や兵員が日本の領土のすぐそばで攻撃を受けても、日本はなにも直接の支援はしてはならないのです。

 

北朝鮮が日本の方向に向けてミサイルを発射する構えをとっているいまこそ、日本の首相はこんな自己中心で時代錯誤な「集団的自衛権の禁止」を解くべきです。解禁はイコール行使を意味しません。しかし北朝鮮に対して毅然たる姿勢を示す意味でも、

「こうした緊急時には日本は集団的自衛権をも行使する権利を自他ともに留保する」と言明すればよいのです。

 

さあ麻生首相にその英断がくだせるのかどうか。

 私の書いた『オバマ大統領と日本沈没』の書評が3月22日の産経新聞朝刊読書欄に出ました。

 

 評者は外交評論家の田久保忠衛氏です。

 

 紹介させていただきます。

 

 

 

【朝刊 読書】


【書評】『オバマ大統領と日本沈没』古森義久著


オバマ大統領と日本沈没

 

 

 

 

 

 ■安心できぬ今後の日米関係

 

 ヒラリー・クリントン米国務長官は2日間の日本滞在中にいたるところで同盟の重要性を強調し、麻生太郎首相には「バラク・オバマ大統領との会談」というビッグプレゼントを持参した。

 

 日米首脳会談は日米同盟の重要性を改めて世界に向けて発信した。

 

 日米関係はこれで一安心だ-と考えている日本人に冷水を浴びせたのが本書である。

 

 著者は先(ま)ずオバマ大統領の政治家としての資質は認めたうえで、出自、少年時代の宗教教育、過激派とのつながり、超リベラル志向の「影の部分」4つを紹介している。

 

 出自がどうであろうと、少年時代の宗教や若いころの思想が偏っていようと、それは自由である。

 

 が、一国の最高指導者の背景は透明にしておかなければならない。

 

 民主党に偏向した米国のジャーナリズムを下敷きにした解説の多い日本の報道界は「影の部分」をほとんど取り上げなかった。

 

 いわゆるリベラル派に身を置いてきたオバマ大統領はロバート・ゲーツ国防長官の留任、クリントン国務長官、ティモシー・ガイトナー財務長官らの閣僚人事で、いかにもリベラルから中道に舵(かじ)を切ったかのように見受ける。

 

 しかし、本書はこうした俗論にメスを入れ、大統領就任直後に公表したグアンタナモ収容所の閉鎖、妊娠中絶を勧める国際団体への資金提供、国民皆医療保険政策などに存在するリベラル性あるいは「大きな政府」による「社会主義的変革」を鋭く衝(つ)いた。

 

 オバマ政権の対日政策がどうなるかは、この政権の対中政策と重大なかかわり合いを持つ。

 

 米中両国の関係は経済面では緊密性を増していくが、民主党のリベラル派がとくに目を光らせている人権、国防省を中心とした中国の軍事的強大化への警戒などの障害もあり、直線的には進まないだろうというのが著者の見通しだ。

 

 巻末の日本の針路5つの提言の心棒は、日米同盟を基礎としながら、日本は「普通の国路線」を歩め、であろう。

 

 日米関係も従来の惰性に浸ったような日本の姿勢では不可、とする指摘に目を覚まされる思いだ。

(ビジネス社・1680円)

 

 評・田久保忠衛(外交評論家)

 

クリス・ヒル氏といえば、ブッシュ政権の東アジア・太平洋担当の国務次官補として北朝鮮の核兵器開発問題と取り組んだ外交官であることが日本でも広く知られています。

 

日本側の官民の要望を無視する形で北朝鮮のアメリカ国務省の「テロ支援国家」指定リストから外す宥和政策を推進した張本人としても有名です。

 

このヒル氏がオバマ政権では次期のイラク駐在大使に任命されました。

 

この任命を審議する上院外交委員会の公聴会が4月1日に予定されています。

 

ところがこの上院外交委員会のメンバーであるサム・ブラウンバック議員(共和党)が事前にこのヒル人事を阻止する方針を表明しました。

 

ブラウンバック議員といえば、日本の拉致問題に対して、アメリカ議会でも最も熱心に、最も同情と理解を示して、その解決への協力をしてくれている政治家です。

 

ブラウンバック議員はヒル氏の任命に対し「ヒル氏にだまされたことがあるので信頼できない」という理由をあげて、反対しています。

 

昨年7月の上院軍事委員会の公聴会でブラウンバック議員はヒル氏に対し、北朝鮮の核問題での交渉でも北朝鮮の人権弾圧への非難を盛り込むことが欠かせないと主張し、将来のアメリカ政府の北朝鮮に関する交渉には必ずジェイ・レフコウィッツ北朝鮮人権問題担当特使を参加させるべきだと求めました。

 

ヒル氏はこの要請に対し、必ずそうすることを約束しました。

 

しかしその約束は守られなかった、とブラウンバック議員は抗議するのです。

 

ブラウンバック議員は「ヒル氏は私との誓約を破り、信頼を裏切ったため、重要なイラク駐在大使の任に賛成はできない」と述べています。

 

外交委員会でも民主党議員が多数であり、ヒル氏の任命にも賛成票が多いとみられますが、上院にはこの種の人事の承認に関しては個別な議員が事前に拒否権を行使する形の「保留」という意向を述べられる手続きがあるそうです。

 

ブラウンバック議員はその「保留」手続きを行使しても、ヒル氏の大使任命を防ぐという意思を表明しています。

 

さあ、どうなるか。

 

対象がオバマ政権のイラク駐在大使というポストだけに、その任命をめぐる争いの行方が注視されます。

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