2009年03月

 雄弁とされたオバマ大統領が実は演説はもちろん、ごく短い挨拶でも言明でも、テレプロンプターを使っていることはすでに伝えましたが、そのプロンプター使用がアイルランド首相との共同記者会見で未曾有の混乱を引き起こし、関係者たちの笑いを招く、という一幕がありました。

 

ホワイトハウスでの出来事です。

 

なおオバマ・ホワイトハウスが激しく敵視する「公共の敵ナンバーワン」については以下のサイトに書きました。

 

 

 

「これ、あなたのスピーチだ」 プロンプター表示ミス


 

 【ワシントン=古森義久】オバマ米大統領が演説する際、原稿表示装置プロンプターへの依存度が歴代大統領よりずっと高いことが話題となったが、17日のカウエン・アイルランド首相との会談後の共同記者会見では、オバマ大統領の読んだ文章がそのままプロンプターに残され、同首相がそれを間違って読み上げるという騒ぎがあった。

 アイルランドの祭日「聖パトリックの日」の17日、オバマ大統領はホワイトハウスでカウエン首相との公式会談に臨んだ後、共同会見で両国の長年の友好を強調する短い演説をした。

 

 従来通りプロンプターの表示を読むスピーチだったが、その直後に演壇に立ったカウエン首相も同じプロンプターの表示に頼って演説を始めた。

 

 ところが20秒ほどスピーチを進めたところで同首相はぱたりと言葉を止め、オバマ大統領に向かって「これはあなたのスピーチですよ」と注意した。

 

 同大統領が直前に述べたのとまったく同じ言葉を繰り返していたことに気づいたのだった。

 

 オバマ大統領は笑いながら演壇に戻り、すぐ調整をして、カウエン首相も予定の演説を済ませたが、同大統領は最後にプロンプターを誤読したふりをして「サンキュー、オバマ大統領」と述べ、会場の笑いを誘った。

 

 しかしホワイトハウスがプロンプターの操作を誤ったことは明白で、米英のメディアは「オバマ氏のプロンプター失敗」「プロンプター溶解」と報じた。

 

日本では国連への信奉が異常に強いことは民主党の小沢一郎氏の一連の発言からも明らかです。アメリカではその一方、国連への信奉も不信と入り交じり、錯綜しています。

その一方、国連がそもそもアメリカの主導で創設され、資金面でアメリカ依存が強いことも事実です。そのアメリカは韓国人の国連事務総長が罵倒するような発言をしました。

その顛末を記事にしました。

なおオバマ政権の保守派論客攻撃についてのレポートは以下のサイトです。

 

 

米国の「国連不信」強まる? 事務総長は「踏み倒し発言」撤回 

 

 【ワシントン=古森義久】国連の潘基文事務総長が、米国は国連分担金の「踏み倒し国家」だと米国議員たちに告げたことが、米側の議会や政府の激しい反発を呼んだ。

 米国は国連分担金全体の5分の1以上を負担し、支払いが遅れることはあっても着実に実行してきたため、潘発言はオバマ政権下でやや薄れてきた米国の国連不信をまた強めることになりそうだ。

 ワシントンを訪問した潘事務総長は11日、米国連邦議会の下院外交委員会メンバーと会談した際、米国が国連分担金の支払いに関して「踏み倒し(デッドビート)」国家だと評して非難した。

 

 この発言は非公開とされていたが、すぐに外部にもれて報道された。

 しかし現実には、米国は国連分担金全体のうち22%を払っている。

 

 会計年度の違いや米国議会が国連の腐敗追放などの条件をつけるために、実際の支払いが遅れることはあっても、着実に払われてきた。

 

 このため米側の反発は激しく、その日のうちにケイ・グランガー下院議員(共和党)がまず「国連への最も寛容な寄贈者は踏み倒し屋ではない」と題する声明を発表した。

 

 同声明は潘事務総長の言明を「米国にとって不快であるだけでなく、まったくの間違いだ」と非難していた。

 

 ジェフ・ミラー下院議員(共和党)は13日の公聴会で「米国政府は国連への分担金支払いをいまこそ停止すべきだ」と提案した。

 

 「米国は国連分担金を他のどの国よりも多く払っているのに、見返りに得るのは、独裁者への宥和、麻薬禍の広がり、対テロ戦争への難色、国連内部の腐敗拡大ばかりだ」として、国連側が内部の腐敗追放などの措置を取らない限り、米国の負担金支払いを停止するという案だった。

 

 下院外交委員会の共和党側筆頭メンバーのイリアナ・ロスレイティネン議員も14日に潘氏の言葉を非難し、すでに下院に提出されていた「国連透明性・責任・改革法案」の中の、国連が腐敗追放の改革案を実際に進めない限り、負担金支払いを停止する、という点を強調した。

 

 共同提案議員の数は75人に達したという。

 

 その後も今回の潘発言への反発が広がって、同法案への同調議員が増える見通しとなった。

 

 政府側でもギブズ大統領報道官が12日の会見で早速、「米国の納税者が、世界最大の国連への出資者であることを考えると、潘事務総長の言葉の選択は不運だった」と論評した。

 

 一方、潘事務総長も12日、国連本部での記者会見で「誤解に基づく間違った言葉の選択だった」と述べ、「踏み倒し」発言を事実上撤回した。

 

 しかし米側では反発が消えず、従来の国連不信が再燃した。

 

 潘発言の直前の世論調査では、「米国は国連の一員であるべきか」という問いに「イエス」と答えたのが66%、「ノー」が24%だった。

 

 これが共和党員だと48%と38%となり、保守系に国連への忌避や反発が強いことがわかる。

 

 政権がブッシュ氏からオバマへと移り、米国の国連への姿勢も和らいだとみられていたが、潘発言はそうした動きを止める結果をも招きそうだ。

           ◇

 ■国連分担金 国連を運営していくために、加盟国が拠出する活動経費のこと。分担率は3年に1度、見直すことになっており、過去4年半の国民総所得(GNI)などを基に算出される。日本の分担率は、1956年の国連加盟時には1・97%だったが、経済成長に伴って上昇し、2000年には20%を超えていた。07~09年の分担率は米国に次いで第2位の16・624%。第3位はドイツで、8・577%。中国は第9位で、2・667%。分担金は例年1月ごろに国連から支払い要請が届く。規定上、30日以内に支払わなければならない。しかし外務省によると、会計年度の違いや議会承認までの段取りなどにより、期限までに支払える国は少ないといい、日本もずれ込むことが多い。

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アメリカ政治をどこまで知っているかのテストになるかも知れません。
 
ラッシュ・リムボウを知っているかどうか、です。
 
オバマ政権のホワイトハウスがこの人物を目の敵のようにまた攻撃し始めたのです。
 
それはいったいなぜなのか。
 
なおこのテーマについては以下のサイトにも報告を書きました。
 
 
【緯度経度】ワシントン・古森義久 政敵は著名ラジオ論客?
2009年03月14日 産経新聞 東京朝刊 国際面


 

 米国のオバマ政権がラジオの政治トークショー番組のホスト、ラッシュ・リムボウ氏を共和党の最高指導者扱いして、正面から攻撃を浴びせるという異例の言動を取り始めた。
 
 その結果、多数のメディアにリムボウ氏に関する報道や評論が連日、大きく登場してきた。
 
 同氏はラジオでは全米最大の聴取者を持つ人気ホストとはいえ、民間の一語り手であり、時の政権が主要な敵とするのは不自然なのだが、その背景にはそれなりに複雑な事情があるようだ。

 3月冒頭からオバマ政権の高官たちが公式の場の発言でもリムボウ氏の名をしきりに口にするようになった。
 
 ギブス大統領報道官は記者会見で2日連続してリムボウ氏の名前を挙げて、「いまや彼が共和党や保守派の全国スポークスマンなのだ」と述べ、「その扇動的な言辞は国民を分裂させる」と非難した。
 
 エマニュエル大統領首席補佐官もテレビ・インタビューで「リムボウ氏こそいまや共和党の声であり、知的な力だ」と述べたうえで、「だが同氏の主張は間違いであり、危険だ」と攻撃した。

 リムボウ氏は全米メディア界でも抜群に知名度が高い。
 
 600以上のラジオ局から毎日3時間、毎週5日もぶっ続けの彼の政治トークには、毎週平均2000万人近くが耳を傾ける。
 
 その基調は徹底した保守主義で「小さな政府」を唱え、オバマ大統領が進める巨額資金投入の景気刺激策や予算案には激しく反対する。
 
 だがそれでもなお民間の一ラジオ論客にすぎず、時の政権が正面から論評することは異常だといえる。

 その背景の最大要因は、リムボウ氏が2月下旬にワシントンでの「全米保守政治行動会議」で主要演説をして「オバマ政権は民間への大幅介入で米国の自由と自主の伝統を破壊しようとする」と述べ、「オバマ政権のそうした政策が失敗することを祈る」と言明したことのようだ。
 
 ギブス報道官はこの点をとくに「大統領の政策が失敗すればよいとは国家への挑戦だ」と糾弾した。

 第2の要因はいまの共和党側に傑出した指導者がいないことだろう。
 
 だから連邦議員でもないリムボウ氏が全米の保守派の支持を受け、共和党を激励し、誘導する役割をつい果たすようになる。
 
 共和党全国委員会のマイケル・スティール委員長がいったんは「リムボウ氏の発言は扇動的すぎる」と批判し、保守派一般から激しく反発されてすぐリムボウ氏への謝罪を表明したことも、同氏の人気の高さを物語っている。

 だが第3の要因として共和党側はオバマ政権の計算された政治戦術を指摘する。

 リムボウ氏は保守陣営に熱狂的な支持者を多数有する一方、中立派には強烈な拒否反応を示す層も存在する。

 オバマ政権には、一般国民のリムボウ氏への拒否を共和党への拒否に重ねさせる意図があるというのだ。

 ブッシュ大統領の顧問だったカール・ローブ氏は12日の大手紙への寄稿で「ホワイトハウスはリムボウ氏攻撃で不発」と題して、オバマ政権がアクセルロッド大統領上級顧問らを中心に明確な政治戦術としてリムボウ氏攻撃を決めたのだ、と記した。
 
 オバマ側近たちは景気刺激策への巨額の支出などへの米国民一般の支持が下がり始めたことを懸念して、関心の対象をそらすためにリムボウ氏への非難を組織的に展開し始めた、というのである。
 
 だがその後の世論調査では逆に同氏への支持が増加したという。

 こうした動きに対し米紙ワシントン・ポストは8日付社説で「ここ数日、ワシントンはリムボウ氏をめぐる議論に忙殺されているが、経済危機こそをもっと真剣に論じるべきだ」と主張したのだった。(古森義久)

日米柔道交流に関連して以下のような記事を書きました。
日米両国間の柔道交流の促進に尽くした全日本学生柔道連盟の副会長の植村健次郎氏への弔意をもこめての記事です。
 
 
【あめりかノート】ワシントン駐在編集特別委員・古森義久  
2009年03月10日 産経新聞 東京朝刊 1面


 

 ■前上院議員と柔道の旧友

 グレーの長髪をポニーテールに束ねた男性のたくましい後ろ姿に見覚えがあった。
 
 つい先週、季節はずれの厳寒の日、米国議会での中国関連の公聴会に向かう途中だった。
 
 上院のラッセル議員会館前の路上である。

 寒気にもかかわらずコートなしの背広姿の男性は早足で歩いていた。
 
 思った通り旧知のベン・ナイトホース・キャンベル前上院議員だった。
 
 急いで呼びとめた。

 「おお、久しぶり、元気ですか」

 70代らしからぬ軽快な身のこなしで振り返り、一瞬、まばたきしてから語りかけてきた彼こそ元気そうだった。

 キャンベル氏はコロラド州選出の連邦上院議員を2005年までの12年間、務めた著名な政治家である。
 
 その前の6年間は下院議員だった。
 
 連邦議会では唯一のアメリカン・インディアンの議員として1993年1月のクリントン大統領の就任式ではシャイアン族の伝統衣装で白馬にまたがりパレードに加わったことでも有名だった。
 
 その後、民主党から共和党に転籍して波紋を広げたが、議員としては先住民の保護だけでなく司法や自然資源の諸課題の法的整備に着実な実績をあげていた。

 私が彼をよく知るにいたったのは彼の日本との、そして柔道との特別なかかわりのためだった。
 
 少年時代に柔道を始めた彼は空軍でのアジア勤務を機に日本の明治大学に4年も留学し、柔道部で本格訓練を受けた。
 
 当時の明大といえば全日本の覇者となる神永昭夫選手らを擁し、無敵に近かった。
 
 キャンベル氏はその後、米国選手権を取り、64年の東京オリンピックにも米国柔道チームの主将として出場した。

 「ケン・ウエムラがつい先日、亡くなりました」

 この偶然の顔合わせで私は、キャンベル氏に全日本学生柔道連盟副会長の植村健次郎氏のつい3週間前の死を伝えざるをえなかった。
 
 慶応大学柔道部の名選手だった植村氏は留学した米国の柔道界でも活躍し、キャンベル氏とは長い接触と親交があったからだ。
 
 植村氏がここ20年ほど日米柔道交流を指導者として促進するようになってからも、2人の交流は続いた。
 
 96年にキャンベル氏が明治大学から名誉学位を受けたときも、植村氏が東京で盛大な歓迎の講演会を組織していた。

 上院議員としてのキャンベル氏は、取材で会う私が植村氏と同じ大学の柔道部出身と知っていて、いつも「ケン・ウエムラによろしく」と告げるのだった。

 ちなみにキャンベル氏は上院議員時代、当時の加藤良三駐米大使が山下泰裕氏らをワシントンに招いての日米柔道交流の行事にもよく顔を出していた。
 
 スピーチではいつも非行少年だった自分が柔道の稽古(けいこ)でいかに更生したかを熱心に語り、予定の時間を何倍も越えるのだった。
 
 その熱弁は日本への敬意や愛着をも感じさせた。

 「植村氏は膵臓(すいぞう)がんで先月、亡くなったのです」と説明すると、キャンベル氏は表情を硬くして沈黙した。そして数秒後、言葉をゆっくりと区切りながら「彼は私のよい友人でした」と述べた。冷気の厳しい街路での短い会話だったが、日本の柔道を通じての日米の人間交流のぬくもりをしっかりと感じた一瞬だった。

 なお植村氏が団長を務めることに一度は内定していた東京学生柔道連盟の訪米研修団の男女選手たち22人は、ちょうど明日11日からワシントンを訪れる。

 北朝鮮が日本の方向、あるいはアメリカの方向に向かってテポドン、ミサイルを発射する気配が高まっています。

 

 北朝鮮自身は人工衛星の打ち上げだなどと述べていますが、実態は明らかでしょう。

 

 さて日本はどう対応するのか。

 

 日本政府当局者たちは北朝鮮のミサイルが日本の領土に落下する場合は、その前に迎撃すると述べています。

 

 しかし「日本の領土に落下する」ことが事前に確実にわかるのか。 わからないほうが多いのではないでしょうか。

 

 ただし少しでも日本領土に落下する可能性があれば、迎撃にでるというのが普通の国家の安全保障、自国の防衛でしょう。

 

 この日本の対応について3月上旬、ワシントンで開かれた会議でアメリカ側の専門家が興味ある予測を述べました。「日本は結局は迎撃できないだろう」というのです。

 

 ヘリテージ財団の上級研究員でアジア、朝鮮半島などの専門家のブルース・クリングナー氏の発言でした。「いざ北朝鮮の弾道ミサイルのテポドンが日本の方向に向けて発射された場合、日本はミサイル防衛を機能させ、迎撃の措置をとるのだろうか」という質問に答えての言でした。

 

 クリングナー研究員は要旨、以下のように答えたのです。

 

 「日本は結局は迎撃ミサイルを発射することはないだろう。日本側には憲法上の制約、集団的自衛権の行使の禁止など政治制約が多々あって、結局は迎撃のための実行措置はとらないだろうと思う。北朝鮮のミサイルが日本の方向に飛んでいる、あるいはアメリカに向かって飛んでいる、など可能性はいろいろあるが、少しでもその方向や照準が曖昧な場合は、日本は迎撃の措置に出ないことの理由として、行動をとらないと思う」

 

 日本の国家安全保障上の自縄自縛をよく知っている人の発言ですね。日本側としては考えさせられる指摘でもあります。

 

 日本のミサイル防衛の性能や威力よりも政治的な制約のために自国に向かって飛んでくるミサイルを迎撃できないのだ、という見解は日本の戦後のジレンマをずばりと指摘した、ともいえます。

 

 

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