2009年04月

新聞記者や新聞社が大活躍する映画を紹介します。

アメリカでも日本でもこのところ新聞記者を題材にしたドラマは減っているようです。新聞業界の不振が原因かも知れません。

そんな中でこの映画は古きよき新聞の調査報道がミステリーの真相をあばいていく様子をがっちりと描いています。

全米で人気の話題映画でもあります。

 

なお映画とは無関係ですが、オバマ政権の対中政策について以下のサイトに長い分析を書きました。

 

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090428/149803/

 

 

 

 

【外信コラム】ポトマック通信 新聞業界への激励?
2009年04月27日 産経新聞 東京朝刊 国際面


 

 米国の新聞業界はこのところ活気を減らしているが、新聞記者や新聞社が大活躍する映画を久しぶりにみた。
 
 全米で4月中旬に封切られた「State of Play」。ステート・オブ・プレイとは「事の形勢」というような意味で、2003年にイギリスのBBCのテレビドラマとして人気を博した作品のハリウッド版のリメイクだ。

 舞台をロンドンからワシントンにそっくり移し、主役の新聞記者は人気スターのラッセル・クロウが演じる。
 
 彼の所属する新聞社はワシントン・グローブとされ、イラクやアフガニスタンの戦争を背景に、米連邦議員の調査活動をめぐってナゾの殺人や秘密の恋愛の真相があばかれていく。

 一見は正義の連邦議員が悪の戦争請負警備会社の罪状を追及していくという構図だが、二転三転し、ドラマは意外な展開をみせる。
 
 戦争を支持する側は邪悪、反対する側は正義という単純な色分けも覆される。

 ストーリーはあくまで主人公の新聞記者の断固たる調査報道の実行と、それを励まし指導する女性編集長のリーダーシップの発揮ぶりが中心であり、権力の犯罪や腐敗をあばく新聞の古典的な役割がきわめて前向きに描かれていた。
 
 まさに新聞が正義の味方として巨悪を告発し、最後は輪転機の轟音(ごうおん)とともに大スクープがハッピーエンドを招くのである。

 そんな内容は米国の映画界から新聞界への檄(げき)なのかもと一瞬、思わされた。(古森義久)

 

 

北朝鮮に拉致された日本人を救うための活動を続けている「家族会」(飯塚繁雄代表)、「救う会」(藤野義昭会長)、「議連」(平沼赳夫会長)の合同訪米団が4月26日からワシントンを訪れます。

 

拉致解決を求める団体のアメリカ訪問はこれまでもありましたが、今回はオバマ政権になって初めての訪米であり、その成果が注視されています。

 

この訪米団の動きについて、ひとまず以下のような記事を書きました。

 

あすから北「人権弾圧抗議週間」 日本の家族会など参加 ワシントン


 

 【ワシントン=古森義久】ワシントンでは27日からのほぼ1週間、北朝鮮の日本人拉致を含む人権弾圧に抗議する「北朝鮮自由の週」が開かれ、日本から拉致に関する「家族会」「救う会」「議連」の代表も参加する。
 国会議員6人を含む同訪米団は、オバマ政権に拉致問題解決での連携を求めるという。

 米国の民間の人権擁護組織や議員から成る「北朝鮮自由連合」(スザンヌ・ショルテ会長)が主催する「北朝鮮自由の週」では全世界でも北朝鮮政府による人権弾圧や宗教弾圧が最悪だとして、その実態を広範に知らせる「北朝鮮の集団殺害展示」を27日から催すとともに、28日には米国議会前で北朝鮮政権への抗議集会を開く。

 

 29日から5月1日までも北朝鮮から避難した脱北者たちの報告や米国議会での北朝鮮の実態を知らせる公聴会開催が予定されている。

 

 日本からは拉致問題解決のための「家族会・救う会・拉致議連」の合同訪米団が26日からワシントン入りする。

 

 同訪米団は「家族会」代表の飯塚繁雄氏を団長とし、「家族会」の増元照明事務局長、「救う会」の島田洋一副会長や西岡力氏、「拉致議連」の平沼赳夫会長らから成る。

 

 同訪米団は「北朝鮮自由の週」の各種行事に参加する一方、(1)オバマ政権のホワイトハウス、国務省、国防総省高官に面会し、意見を交換して、北朝鮮に対しブッシュ前政権の末期のような融和政策を取らないように要望する(2)対北朝鮮政策に影響力を持つ議会上下両院議員や民間の専門家に会い、拉致解決のための意見の交換や、連携を訴える-ことなどを予定している。

 

日本の集団的自衛権の解禁が論じられるなかで、24日にワシントンで開かれた東南アジアの安全保障に関する討論会でフィリピンの気鋭の学者が「日本ももう過去にとらわれず、また中国の反対にかかわらず、アジア地域で軍事的な役割をもっと果たすべきだ」と提言しました。

 

ワシントンの大手研究機関「ヘリテージ財団」が開いた「東南アジアでのアメリカのリーダーシップと中国の挑戦」と題する討論会で、フィリピンの名門デラサール大学のレナルト・クルス・デカストロ教授は、中国の軍拡に対応する方法として米軍の駐留の継続に加え、「日本がアメリカ、中国と並ぶパワーの支柱となるべきだ」として、そのパワーも単に経済や外交というソフト・パワーだけではなく、安全保障や軍事そのものにかかわるハード・パワーをも含む、と述べました。

 

デカストロ教授の発言の趣旨は以下のとおりです。

 

「日本はアジアでは単に経済などのソフト・パワーを超えて、軍事を中心とするハード・パワーをも発揮してほしいという期待は東南アジア諸国側に確実に存在する。マレーシアのマハティール首相が東南アジア各国の合同の軍事演習に日本が加わることを求めたのは1992年のことだ。以来、イラクやアフガニスタンの紛争でも日本が安全保障上の貢献をすることへの期待は東南アジア側に一貫してある」

 

「日本が軍事的な役割を果たすことを日本の過去の軍事行動に結びつけて反対する勢力があるが、日本の過去の戦争はすでにきちんと清算されている。中国は日本の軍事貢献には反対だという主張を続けているが、中国独自の理由であり、私たち東南アジア側にとっては説得力に欠ける」

 

「フィリピンはアメリカの同盟国であり、日本もアメリカの同盟国だ。であれば、フィリピンと日本とが安全保障とか軍事の面で同盟国同士のような連携を保って、活動をすることも自然となる」

 

以上ですが、マレーシアやインドネシアの代表たちが「日本はもっと軍事的役割を」と呼びかけることは珍しくありませんが、フィリピンの代表的学者がアメリカでの国際フォーラムで日本への軍事の勧めを説くのは異例だといえます。

 

日本が国外で国際的な安全保障活動、軍事活動を実施するには、集団的自衛権の行使の自由が前提となるでしょう。

ここでも、いまの日本の自縄自縛は異様であり、利害をともにする他の諸国との共同作業を阻んでいるのです。

世界のすべての国が保有し、行使する権利を持つ集団的自衛権、国連がその成り立ちの基盤とする集団的自衛権。世界の平和と安全は各国が協力して守ろうという精神にもつながる集団的自衛権。

 

主権国家であれば自明の権利であるこの集団的自衛の権利(あくまで権利であって、義務ではありません)をわが日本だけは「保有はしているが行使はできない」と自縛して、孤立と異端の道を選ぶ。頭だけは一国平和主義の洞窟につっこんで、胴体や尻は結局はアメリカその他との「集団自衛」に安全をゆだねている。

 

麻生太郎首相も長い政治家としての活動のなかで、上記と同じ国際的な常識論は何度も主張してきた記録があります。それなのに首相になったとたん、別人のようになって、集団的自衛権の問題からは顔をそむけてきました。政治家としての良心を問いたい態度です。

 

その麻生首相もやっとまともな方向に動き出したのか。

そんなことを思わせる報道が本日の産経新聞に載りました。

以下にその記事をコピーして、議論や思考のカテとしたいと思います。

 

この記事が伝えるように、もう変更の基盤は整っているのです。残るは首相の政治的な決断だけです。

 

集団的自衛権行使 解釈変更 首相、本格検討へ


 

 麻生太郎首相は23日、安倍晋三首相(当時)の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)で座長を務めた柳井俊二元駐米大使と首相官邸で会談し、集団的自衛権の行使を違憲とする現行の政府解釈について意見を聞いた。
 北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射や、海上自衛隊による海賊対策の本格化を受け、集団的自衛権を行使できるように解釈変更が必要な状況が差し迫っていると判断したとみられる。
 首相が解釈変更に踏み切れば、日米同盟の強化や国際貢献に向け、大きな一歩を踏み出すことになる。

 会談には、柳沢協二官房副長官補(安全保障担当)も同席した。

 

 柳井氏は安保法制懇の議論の経緯をたどりながら、解釈変更が喫緊のテーマであることを説明したという。

 

 会談後、首相は記者団に対して、「安保法制懇の話がそのままになっているので話を聞いた。長い文章なので勉強しなければならないと思っている」と解釈変更に前向きな姿勢を示した。

 

 再議論の必要性については、安保法制懇が平成20年6月に報告書を福田康夫首相(当時)に提出していることを踏まえ、「きちんとした答えは作られており、内容もまとまったものがある」と述べた。

 

 安保法制懇の報告書は、(1)公海における米軍艦艇の防護(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(3)国際的な平和活動における武器使用(4)国連平和維持活動(PKO)での他国部隊の後方支援-の4類型について、集団的自衛権の行使を認めるなど政府解釈を変更すれば、現憲法のまま実施できると結論づけた。

 

 しかし、福田首相(当時)は記者団に「(解釈を)変える話などしたことはない。報告は終わったわけだから完結した」と語り、解釈変更を否定。安保法制懇の報告書は封印されたままとなっていた。

 

 一方、麻生首相は首相就任直後の20年9月26日、米ニューヨークで「基本的に解釈を変えるべきものだと言ってきた。大事な問題だ」と述べ、いったんは解釈変更に前向きな考えを表明したが、10月3日の参院本会議では「解釈について十分な議論が行われるべきだ」と答弁し、早急な変更には慎重な姿勢を示していた。

 

 現行の集団的自衛権に関する政府解釈は、昭和47年10月の田中角栄内閣で「わが国は集団的自衛権を有しているとしても国権の発動としてこれを行使することは許されない」という政府見解で示された。

                  ◇

【用語解説】集団的自衛権

 同盟国など密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていなくても、自国への攻撃だとみなして実力で阻止する権利。国連憲章51条で、主権国家の「固有の権利」と規定され、国際法上の権利として広く認められている。

 

アメリカ政府の北朝鮮核兵器問題の交渉役を務めてきたクリス・ヒル国務次官補はオバマ政権ではイラク駐在大使という重要ポストに任命されました。この任命を審議する討論が上院本会議で20日と21日に催されました。

 

その討論で共和党のサム・ブラウンバック上院議員が強烈な反対演説をしました。ヒル氏は北朝鮮との交渉で無惨な失敗を喫しただけでなく、北朝鮮の人権抑圧を無視し、しかも人権を重視する措置をとることをブラウンバック議員に公開の場で約束しながら、その約束を破り続けた、ウソをついた――というのです。

 

ブラウンバック議員といえば、北朝鮮の金正日政権の人権弾圧を非難し続け、日本人拉致問題でも熱心な支援を続けてくれた政治家です。ブラウンバック議員の上院本会議での発言を紹介します。

 

「北朝鮮政策での主要戦略家、六カ国協議の米側責任者だったクリス・ヒル氏は北朝鮮の人権弾圧を無視して、六カ国協議にアメリカの人権担当大使を必ず含めると私に約束しながら、その約束を破って、ウソをついた人物です。そんな人物がアメリカにとって超重要なイラクの駐在の大使となる。北朝鮮の人権弾圧問題を無視した人物なのです」

 

「私は上院公聴会でヒル氏に質問しました。『北朝鮮の人権弾圧問題を取り上げるために、6カ国協議をはじめこれからの北朝鮮との交渉のすべてに、アメリカ側の人権問題担当大使を出席させますか』と。ヒル氏はこれに対し『喜んで、必ず出席させます』と答えました。しかし実際にはヒル氏はただの一度も、人権問題担当大使を北朝鮮との交渉には入れなかったのです」

 

「この2週間ほど北朝鮮に関して、なにが起きたか。北朝鮮は日本列島を越えて、アメリカ西海岸の方向に向けて弾道ミサイルを発射しました。北朝鮮はアメリカ市民二人を拉致しました。北朝鮮は六カ国協議から脱退し、自国内の国際査察官を追放しました。さらに核施設を再稼働しました。北朝鮮は濃縮ウランをイランに向けて輸送したという情報もあります.。アメリカの北朝鮮との交渉が失敗した証拠の数々です」、

 

ブラウンバック議員はまた20日、アメリカ政府が北朝鮮を再度、「テロ支援国家」に指定することを求める法案を提出しました。

 

 

 

 

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