2009年08月

これまでの日本のマスコミの政治報道、選挙報道では「小沢チルドレン」「小泉チルドレン」という言葉がしきりに使われてきました。

 

私自身はこんな侮蔑的、情緒的な用語には反対でした。

 

でも「小沢チルドレン」について朝日新聞が以下のように定義していました。8月31日の朝刊です。

 

「民主の小沢代表代行に担がれ、縁のない選挙区に舞い降りた『小沢チルドレン』が次々に小選挙区で自民のベテラン議員を破り当選した」

 

その小沢チルドレンといえば、たとえば長崎の福田衣里子候補、福島の太田和美候補、東京の青木愛候補、同じく東京の江端貴子候補、同じく櫛渕万里候補など、でしょう。朝日新聞もそのように扱っています。

 

ところが民主党の大勝利の夜、鳩山由紀夫代表がテレビの会見で、質問者が小沢チルドレンという言葉を使ったのに対し、「そうした言葉は失礼です」とかなり強い調子で反発を示したそうです。

 

さあ、これで大方のマスコミは「小沢チルドレン」という言葉をだんだん使わなくなるだろう、というのが私の予測です。

 

大手マスコミもやはり強力な勝者の反発には逆らえないということと、とくに大手マスコミの多くはもともと民主党支持志向であること、という現実の表れでしょうか。

 

しかしその一方、「小泉チルドレン」という言葉は依然、頻繁に使われるだろう、という展望も確実のようです。

 

これからの政治の雰囲気やマスコミの偏向を測る指針として、注意を向けるに値する点だと思います。

 本日は日本の総選挙ですね

 

 民主党の優位が伝えられます。

 

 その民主党を動かす小沢一郎氏。

 

 その小沢氏の「政策」はアメリカでどうみられるのか。

 

 もう一度、総括しておきましょう。

 

 

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 しかし小沢氏はかつては日本の政治家でも親米派の筆頭として米側で知られていた。

 

 一九八〇年代末の日米経済摩擦では難問の電気通信機器の日本市場開放問題で官房副長官として米側も満足する開放策をまとめあげた。

 

 その結果、米側の政府、議会ともに対米協調の実行力ある政治家という評判を生んだ。

 

一九九〇年の湾岸戦争でも小沢氏は自民党幹事長としてアメリカに対する支援体制の強化を一貫して主張した。

 

難色を示す外務省を抑えて、国連平和協力法をまとめ、米側から歓迎された。

 

そして著書の「日本改造計画」で大胆な規制緩和を説き、これまたアメリカ側から共鳴を表された。

 

この書は日本に対しアメリカとも歩調を一とする「普通の国」への生まれ変わりを説いていた。

 

私も一九九四年七月、新生党代表幹事となった小沢氏とワシントンで対談し、氏が「日米同盟の堅持」とか「成熟した日米関係の維持」を熱をこめて語るのを聞いたことがある。

 

小沢氏のそのアメリカ支持の姿勢は自民党の野中広務氏からは「売国」のレッテルを貼られたほどだった。

 

ところが小沢氏の近年のアメリカへの批判の姿勢はまるで転向のようである。

 

同氏は日本政府が自衛隊のインド洋派遣を可能にするテロ対策特別措置法案を推進した二〇〇七年には、この法案に反対し、アメリカ側の意向に正面から挑戦するようになった。

 

この小沢氏の変身についてワシントンの大手研究機関「AEI」の日本政治研究専門の研究員マイケル・オースリン氏は論文を発表して述べていた。

 

「小沢氏のテロ特措法反対は政治的なもてあそびであり、アメリカ政府当局者たちは激怒している。同氏がこうした態度を取り続ければ、日米両国はやがてはパートナーとしては離反していくだろう」

 

「小沢氏のそんな政策は日本にとって最重要な日米同盟に不必要な損害を与え、同盟を変質させて、アメリカのアジア全体への対応を変えて、中国へとより接近させるだろう」

 

同じ時期、ヘリテージ財団の中国専門研究員で、日米安保問題をも追っているジョン・タシック氏も以下のように語っていた。

 

「日本側で本来は超党派で支持すべき日米同盟がらみの活動を野党の一指導者である小沢氏が政局事情に合わせて勝手気ままにもてあそぶことに私は強い憤慨を覚えます。日本が小沢氏の主張どおりにもしインド洋から自衛隊を引けあげれば、日本はやはり自国の安全保障だけしか考えない自己中心の国だという認識が米側で広まるでしょう」

 

小沢氏のこの反米傾向への変身の動機については日米関係を三十年以上、報道してきたアメリカ人ジャーナリストが次のように論評していた。

 

「民主党内にはなお日本が防衛問題で行動をとることにはすべて反対という旧社会党系勢力が存在しますが、小沢氏はこの勢力を離反させないために、インド洋への自衛隊派遣に反対するのでしょう」

 

小沢氏がシーファー前駐日大使との会談をすべて報道陣にさらした動機については、前述のアワー氏が語った。

 

「やはり自分がアメリカに対し批判的かつ自主的だということを印象づけたかったのでしょう。しかしあの小沢氏の態度は外交儀礼に反するアメリカへの非礼です。彼は政権奪取という目前の政治的動機によって国家の基本政策までを変えてしまうようです」

 

日本国民幅広くに対し、いまの小沢氏は「反米」ふうを演出することがアピールすると計算したのだろう、という。

 

だからこそ、アメリカ大使をいかにも軽く、冷たくあしらう光景を日本のテレビその他に報じさせ、自分の人気を高めようとしたという解釈なわけだ。

 

日本の民主党は周知のように、安全保障政策となると、党全体としてのまとまった方針がなかなか打ち出せない体質を持つ政党である。

 

なにしろ同じ党内でも過激な旧左翼の非武装中立派系から自民党の田中角栄元首相の指導を受けた守旧派まで、党員の「質」はきわめて多様に映る。

 

だから党全体として緊急事態にはどうするかを含めて、その安全保障政策は「わからない」ということになる。

 

この点、小沢氏の最近の言動は有力な指針になるどころが、逆に混迷を増しているという印象が強い。

  

この点、アワー氏が鋭い論評をした。

 

「二国間の同盟では当然ながら危機や有事にその相手パートナーがどう動くかが最重要となります。どう動くかわからない、という状況が最も危険です。いざというときの計画が立てられないからです。日米同盟の場合、日本側の現在の安保政策の不確実性や不安定性のために、実際の危機や有事への対応がどうなるのか、不明のままです。同盟の相手はこちらの要望に応じ、早めに意思を表明してほしい。ノーならノーと答えてほしいです。わからないのが一番、困るのです」

 

      (終わり・古森義久)

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アメリカ議会でもこの小沢氏主導の民主党の政策に懸念を述べる人たちは少なくない。

 

 ただし同盟相手国とはいえ外国の政治問題だから、アメリカの議員たちが自分の名を出して、論評することはまずない。

 

 珍しい例としては下院外交委員会のアジア太平洋問題小委員会の委員長エニ・ファレオマベガ議員(民主党)が公聴会の場で述べた言葉がある。

 

 六月二十五日に開かれた日本についての公聴会での冒頭発言だった。

 

 「日本の民主党の選挙公約となる政策草案には在日米軍の地位協定の全面的な見直しや海上自衛隊のインド洋からの撤退というような日米両国間に摩擦を生みそうな項目が含まれています」

 

 ごく控えめな表現ではあるが、小沢氏が先頭に立った「インド洋からの海上自衛隊撤退」という新政策が日米間に摩擦を引き起こす展望を明確に語っていたのだ。

 

 同公聴会に証人として登場した著名な学者ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授も、小沢氏の個人名こそあげなかったが、小沢氏の主導する民主党が政権を取った場合の「政治不安定」や「対外政策の再編」の可能性を指摘して、この種の摩擦が「日米同盟の終わりの始まり」を招くという見解があることを指摘していた。

 

 下院外交委員会の民主党側政策スタッフも「小沢氏はけっきょくは日米同盟を縮小し、アメリカとの距離を広げようとしているようだが、議会のいまの中国への関心の高まりを考えると、日本側のそうした動きはアメリカ議会にとっての日本や日米同盟の意味を軽くする可能性が高いと思います」と語った。

 

 日米政策関連の研究員として最近、日本に在住した経験もある同スタッフは次のようにも語った。

 

 「いまのアメリカ議会は中国への関心にくらべ日本への関心はほとんどない状態です。他方、中国は七月二十七、八両日のワシントンでの米中戦略経済対話に王岐山副首相を先頭に百五十人もの大政府代表団を送り込んできて、アメリカ議会の中国への興味をあおりたてました。そんなときに日本の民主党が小沢氏の主導でインド洋での自衛隊の活動停止の宣言や、普天間基地の移転問題の再交渉要求などをすれば、実質とシンボルの両面で日米関係に大きな痛手を与えることになり、アメリカ議員の多くの関心をさらに中国へと向けさせます」

 

 アメリカの連邦議会のメンバーたちにとっても小沢氏主導の民主党の「日米同盟での日本のより対等な役割」の主張は、同盟からの離反として受け取られかねないというのだ。

 

 そしてそのプロセスでは最近、米中G2などという言葉で特徴づけられる中国の役割拡大が加速させることにもなるだろう、というのである。

(つづく)

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いま世界柔道選手権大会がオランダで開かれ、熱戦が展開されています。
 
柔道がいかに国際的な存在となったか、改めての立証でしょう。
 
そんな柔道と国際交流について、ワシントンでの一例を紹介します。
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【外信コラム】ポトマック通信 別れの夏
2009年08月27日 産経新聞 東京朝刊 国際面


 

 日ごろ通う「ジョージタウン大学・ワシントン柔道クラブ」からまた一群の熱心なメンバーが去っていった。
 
 夏にはつきものの人の去来である。
 
 今回、別れを告げたのはフランス人のシトボン一家だった。

 母親のナオミさんはフランス政府からワシントン地区の国立衛生研究所(NIH)に派遣されてきた小児科医で、次男の9歳のダニエル君と三男の7歳のノエ君を連れて毎週、クラブに通ってきた。
 
 3人ともフランスですでに柔道の手ほどきを受けていて、クラブでは最初から熱心な乱取り練習をするようになった。

 とくにノエ君は素質があり、左構えから大外刈り、大内刈りと、思い切った技をかけてくる。
 
 私も何度も練習をしたが、小さい体でも、本気でこちらを投げようと必死で挑んでくる様子にいつも好感が持てた。
 
 首都地区の少年大会でも毎回、3、4人を投げる好成績を残していた。

 そんな一家がフランスに帰ることになった。
 
 なにしろこの1年余、週に3回も顔を合わせ、体をぶつけ合っていた相手たちだから、おたがいになじみも深い。
 
 夏の一夜、練習が終わった後の道場でナオミさんが持参して手製のケーキ類を広げ、送別デザート・パーティーとなった。

 ナオミさんが「この1年以上、この柔道クラブは友情や訓練や憩いの場として私たち家族の生活の特別な一部となっていました」と感謝と惜別の言葉を述べると、送り出す側もみな寂しそうな表情だった。(古森義久)
 
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雑誌『SAPIO』最新号(9月9日号)にアメリカの知日派が日本の民主党前代表の小沢一郎氏をどうみるか、についてレポートを書きました。

 

「米知日派が相次ぎ激怒! 『小沢の外交的非礼は許し難い』」という見出しになっています。

 

その内容は以下のとおりです。

 

なおアメリカについてはオバマ人気の低落について詳しい報告を以下のサイトに書きました。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090825/176276/

 

 

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親米から反米へ、その共通項は目先の政治利益のための日和見主義――アメリカ側識者の小沢一郎氏観はどうやらこんな厳しい表現でくくられそうである。

  

オバマ政権下のアメリカの行政府でも議会でも、日本がイメージと実体の両方で縮小して、日本の政治が話題となることも少なくなった。

 

かつてはかなり知られていた「オザワ」の名が米側の国政レベルで出ることも稀である。

 

だが日ごろから日米関係を考察している識者たちは別だといえる。

 

日米安保関係に長年、かかわってきたジム・アワー元国防総省日本部長は小沢一郎氏と事実上、小沢氏が率いる民主党をその政策面から厳しく論評した。

 

アワー氏は現在はバンダービルト大学「日米研究センター」所長である。

 

「小沢氏を一言で評するならオポチュニスト(日和見主義者)と呼ばざるを得ません。自分自身の政治的利益のために日本の政策の根幹までを平然と変えようとする。国益よりも政治家としての個人の利益を優先する。あまりにも自己中心的にみえます。そうした小沢氏に率いられる民主党は安全保障政策などがすっかり小沢カラーに染まっており、これまでの日米同盟や日米安保関係を大きく崩す危険を感じさせられます」

 

こうした辛辣な小沢評をためらわずに述べるアワー氏が小沢氏の安保政策がらみの危険な言動としてあげたのは、アフガニスタンでの対テロ闘争を支援するための自衛隊のインド洋での給油活動への反対、その背後にある国連最優先志向、「在日米軍は第七艦隊だけでよい」という日米同盟縮小の勧め、シーファー前駐日アメリカ大使を日本のマスコミに故意にさらした「反米ジェスチュア」などだった。

 

確かに小沢氏は民主党代表だったとき、インド洋への海上自衛隊派遣をはっきり「憲法違反」と断じて、反対していた。

 

この点だけでなく、小沢氏は代表の座を公式には下りたものの、なお安保政策面での他の諸点を含めて民主党を自由自在に動かしているようにみえる。

 

(つづく)

 

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