子ども手当をめぐる本格的な論戦が始まるようです。
この巨額の出費が0歳から15歳までの子どもがいる日本国民と、そうではない日本国民との間にミゾをつくり、対立をもたらすことはすでに書いてきました。
鳩山政権内部でもまず子ども手当の支給に際し、所得に高い親たちへの手当は制限をすべきだという主張が起きています。
その一端をまず再確認しておきましょう。
11月19日の新聞記事です。
■子ども手当 所得制限を検討 財務相が示唆
鳩山政権のマニフェスト(政権公約)の最大の目玉である子ども手当をめぐり、藤井裕久財務相は18日の会見で、所得制限や地方自治体による財源負担について、「論点になりうる」と述べ、高額所得層を支給対象から外すなど制度の見直しの検討を示唆した。
ただ、鳩山由紀夫首相は同日夕、藤井発言の“火消し”に努めており、重要政策をめぐる政権内の混乱が再び露見している。
子ども手当をめぐっては、社民党などが「お金持ちには必要ない」として、所得制限で浮いた財源を保育園の整備などに充てるべきだと主張している。
逆に藤井財務相は子ども手当の所得制限の導入に消極的だが、この日の会見では「3党連立の中で所得制限を求める意見があることは承知している」と他党への配慮を示した。
平成22年度予算の概算要求で、子ども手当の要求額は約2兆3千億円となっており、他の重要政策と比べても規模が格段に大きい。
また、地方負担が浮上すれば、総務省や自治体との調整が難航するのは必至だ。
政府は18日、国家戦略室に重要政策の優先順位を整理する作業チームを発足させ、予算圧縮につなげる構え。
藤井財務相も「(重要政策の)金額はこれから考えなければいけない」として、マニフェストも聖域視せずに切り込む考えだ。
菅直人副総理・国家戦略担当相も同日、「所得制限という問題も出てくるかもしれない。地方負担も絡んでくる」と発言した。
ただ、サラリーマン世帯などの支持を集めて衆院選での民主党の圧勝と政権交代につながったのが子供手当で、支給対象や金額を見直せば、国民からの反発は必至だ。
鳩山政権は公約の実現と財政運営の双方をにらみながら、綱渡りの予算編成に直面している。
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【用語解説】子ども手当
民主党が政権公約に掲げた子育て支援策で、中学生までの子供1人当たり月額2万6千円を支給する。平成22年度は半額支給で、23年度から全額支給を見込む。子ども手当の導入に伴い、政府は現行の児童手当や扶養控除は原則廃止する方針。