日米安保条約の改定から50年となる2010年を機に、日米同盟についての体験的なレポートを回顧として書いてきましたが、今回で終わりとなります。
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2010年11月
中国は国際秩序を壊す
北朝鮮の無法行為に対し、中国が六カ国協議の緊急開催を呼びかけました。
しかし中国のそんな呼びかけにアメリカも日本も簡単に応じるわけにはいきません。当事国の中国の日ごろの言動が責任ある大国のそれとは思えないことがまず理由にあげられます。さらには無法の限りの軍事挑発を繰り返し、韓国側に死傷者を出す北朝鮮の行動に六カ国協議という既成の国際フォーラムでの対処はその無法を認知してしまうような印象がつきまとうことも理由です。
中国は本当に国際責任や国際秩序に協調しようというのか。
いやいや決してそうではなく、中国の現実の行動はむしろ逆にすでにできあがった国際秩序を壊し、国際責任には背を向けるとしか思えない実例が多いのです。
その中国の実像についておもしろい論文を紹介します。
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【朝刊 1面】
■【明日へのフォーカス】論説副委員長・高畑昭男 世界覇権を狙い始めた中国
今年もあと1カ月余になった。21世紀の最初の10年が終わる。日本にとって、次の10年はどんな世界が待っているのか。それを考える上で、最も重要な要素は日米中の相互関係のあり方だろう。
「米中関係が21世紀のかたちをつくる。それは世界のどの2国間関係にも劣らぬ重要なものになる」。昨年7月、こう語ったのはオバマ米大統領だ。
ワシントンで行われた初の米中戦略・経済対話の開幕演説で、中国側を持ち上げた言葉だった。
だが1年4カ月後の今、オバマ氏は当時と正反対の文脈で「21世紀のかたちをつくる関係」に頭を悩ませているのではないか。この1年余、世界秩序を形成する大国間関係の中でも、米中ほど大きく変動した関係はほかに見当たらないからだ。
オバマ氏が先の演説で中国に「責任ある大国」の対応を求めたのは、(1)世界経済(人民元問題)(2)気候変動とエネルギー(米中は世界最大の温暖化ガ ス排出国)(3)世界の安全(北朝鮮やイランの核)(4)地球規模の課題(テロ、国際犯罪、ダルフール紛争など)の4分野だった。
当時、米国では「米中が協調すれば世界の難問に対処できる」という「G2(米中2極)」協調体制への期待が一部に高まっていたことも背景にあったのだろう。
しかし、ものの半年とたたないうちに、どの分野でも中国が「責任ある大国」とは程遠いことが明白となった。だからこそ、米政府は対中政策の本質的な転換に踏み切らざるを得なくなったに違いない。
地球温暖化問題では米中協力を拒み、核実験や韓国哨戒艦撃沈事件などで北朝鮮をかばい続ける。南シナ海を「核心的利益」と宣言し、尖閣諸島問題の関連でレアアース(希土類)問題を起こすに至って、米国の対中認識は「不信」の黄信号から、「警戒」の赤信号に変わった。
中国の姿勢が今回の韓国・延坪(ヨンピョン)島砲撃にもつながったとする見方も多い。最近では、日本の新幹線技術を転用して中東・南米などに自国製品として売り込もうとした知的財産権侵害問題も報じられている。
近着の米外交誌「フォーリン・アフェアーズ」は2011年以後の世界を予想する特集を組んでいるが、中でもエリザベス・エコノミー氏の「ゲーム・チェン ジャー」(ルール改変者)と題する論文は興味深い。
さまざまな実例を挙げて、今や中国は国際社会の規範やルールを力ずくで自国に有利に書き換えようとしつ つあり、「責任ある利害共有者などという概念は忘れたほうがよい」と厳しく指摘している。
米欧や日本などが築いてきた国際規範を守らず、自らのルールを世界に押しつけるというのは、世界覇権をめざす動きにほかならない。誰かがとがめなけれ ば、来年以降も中国は軍事・安全保障はもちろん、海洋権益、資源・環境、金融、知財権などの分野で、さらに大胆な行動に出てくるかもしれない。
そのとき、米国や日本などの同盟国が問われるのは、中国の横暴をいかに封じるかという意味での対中関係を再構築することだ。それが「21世紀のかたち」に直結する。
オバマ政権は「多極化世界よりもマルチ・パートナー世界」を掲げるが、多国間枠組みで秩序破壊を封じ込めていくにしても、中核となるのは信頼できる同盟関係だ。日本にもそうした認識と明確な戦略が必要といえる。
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オバマ政権の北朝鮮問題での悩み
平然とウソをつきながら、核兵器の開発を進め、軍事挑発を続け、東アジア全域を不安定に陥れる無法国家の北朝鮮にどう対処すべきか。
東アジアの安全保障に責任を持つ超大国のアメリカにとっては深刻な課題です。もちろん日本にとってもそれ以上に深刻な重大課題だといえます。
わが日本はこうした軍事力のからむ国際危機に対しては独自にはなにもできず、なにもせずーーー「経済援助やソフトパワーでいこう」というわけですが、いざ核爆弾やミサイルの脅威の前にそんな「言い訳」のような対応がどんな実効があるのでしょうかーーー、同盟相手、かつスーパーパワーのアメリカに依存するという道を一貫して選んできました。だから日本にとってもアメリカの対応は重要です。
オバマ政権はいま北朝鮮の冒険的な軍事行動という危機的な課題を突きつけられています。どうすればよいのか、ジレンマに直面しているわけです。
そのへんの状況を記事にしました。
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米国のオバマ政権は北朝鮮の挑発的な軍事行動に韓国との同盟堅持や空母派遣での抑止力の誇示で対応する構えをみせたが、北朝鮮からの米朝二国間の対話の求めには深刻な難問を突きつけられた形となった。
北朝鮮が米国のみとの二国間交渉を一貫して切望していることは六カ国協議の再開の条件に「国連主導の経済制裁の解除」と並べて「朝鮮半島の平和条約締結に向けての米朝二国交渉」を掲げたことでも明白となった。
最近のウラン濃縮新施設の公開と韓国の延坪島砲撃も米国を米朝交渉受け入れへと追い込む政治戦略に基づくとみられる。
米国側ではジミー・カーター元大統領が24日の米紙への寄稿でオバマ政権が北との二国間直接交渉に応じることを提唱した。
カーター氏は北が最も強く望むのは対米交渉での平和条約締結による「米軍の脅威」の除去であり、その交渉により核兵器も完全に放棄するだろう、と説いた。
しかしオバマ政権自体は同政権高官が「不当な行動に報酬を与えることはしない」と述べたように、米朝交渉には応じない姿勢を崩していない。北対して逆にまず非核化のための核兵器や同施設の放棄の展望を示すことを六カ国協議再開の前提として求めている。
米朝交渉への反対はオバマ政権内外に強く、ブッシュ前政権の国家安全保障会議アジア上級部長だったマイケル・グリーン氏も「北朝鮮から譲歩を獲得しないままで交渉に応じることは重大なミスだ」と主張し、当面の方策として北の封じ込めや圧力増強を提唱した。
北朝鮮が米朝対話にからめる要求を最近、大幅にエスカレートさせたことも、オバマ政権のジレンマを深めた。北朝鮮は米国に対し①米国の「核の脅威」も除去する②米朝国交正常化を北の非核化措置の前に達成する③在韓米軍を撤退し、米韓合同軍事演習を止める④韓国への「核の傘」も放棄する―ことなどを求めるようになった。
北のこれら要求について議会調査局の前朝鮮半島専門官のラリー・ニクシュ氏は「朝鮮戦争の最終的な平和条約を結ぶ作業は韓国を除外してはできず、在韓米軍の機能の削減も北からの要求の結果としては絶対にできない」と論評した。
しかしこのままだと米国は北との外交面での折衝の道をまったく断った形で北の軍事挑発の繰り返しや核開発の進展を座視する格好にもなりかねず、苦しい立場に追い込まれることとなるわけだ。
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オバマ政権は北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定せよ!!
北朝鮮のウラン濃縮により核兵器開発の動きに対し、アメリカ議会では今回の中間選挙で下院で多数党となった共和党の有力議員がオバマ政権を非難しています。
(ロスレーティネン議員)
日本ビジネスプレスの私の連載「国際激流と日本」からの引用です。
リンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4915?page=2
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「オバマ政権の、北朝鮮に対して手を差し伸べる政策は明白に失敗した。今後、米国は北朝鮮が核兵器計画を拡大して継続することを防ぐために、これまでより断固とした姿勢を見せなければならない」
声明を発表したロスレーティネン氏が共和党議員である点は重要だ。なぜなら、下院では今月上旬の中間選挙で共和党が大勝利を飾って多数党となり、外交委員会をはじめとする各委員会の運営も、今後、共和党の手にわたるからだ。同議員はすでに事実上の下院外交委員長なのである。
効力がなかったオバマ政権の「戦略的忍耐」
ロスレーティネン議員は以下の2つの要求をオバマ政権に対してぶつけた。
「米国政府は北朝鮮を『テロ支援国家』として再指定すべきである。2年前に北朝鮮のプルトニウム生産停止への報酬のつもりで米国政府がその指定を解除したことは重大な誤りだった。今、その誤りを正す時が来た」
「米国は、中国に対して、北朝鮮にもっと圧力をかけ、非核化を実行させるよう強く働きかけるべきである。北朝鮮の中国への依存度を考えれば、中国は北朝鮮に対して巨大な影響力を保持しており、北朝鮮にウラン濃縮を停止させることも可能なはずだ」
こうしたロスレーティネン議員のオバマ政権への非難まじりの要請は、来年は連邦議会の下院で確実に多数派となる共和党の、オバマ政権への正面からの圧力となるのである。
今までオバマ政権は北朝鮮の核問題に対して「戦略的忍耐」策を取ると言明してきた。北朝鮮の非核化のためには、じっくりと時間をかけて、忍耐強く相手の動向を見ながら目標達成を目指すというアプローチだった。ソフトで柔軟な政策だと言えよう。
だが、今回の北朝鮮のウラン濃縮の事実上の発表は、この「戦略的忍耐」が無効だったことを示してしまった。
北朝鮮のウラン濃縮というのは以前から米国にとっては鬼門だった。北朝鮮はウランに関して米国を手玉に取ってきたとも言える。
2009年冒頭まで6カ国協議の米国首席代表を務めたクリストファー・ヒル氏は、私が先月、インタビューした際、次のように語っていた。
「北朝鮮は6カ国協議の交渉中にはウランの存在をまったく否定していた。ところが最近になってウランの軍事使用を認めるようになった。交渉中はウソをついていたわけだ。
(つづく)
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日本国内の北朝鮮学校に日本の公的資金を供する奇怪さ
日本国内に日本自体を敵視する外国の政府が運営する教育機関があり、その教育機関に日本の国民の税金が投入されているという現実をおかしいとは思いませんか。
しかし実際にはそんな奇怪な現実が存在するのです。
奇怪というよりも日本国民の国家や地方自治体への財政負担という観点からは犯罪性さえにじむ措置です。自分たちの国を敵視し、否定し、ウソを生徒たちに教えて、日本への敵対心や憎悪を煽る。こんな教育機関の存在自体が本来、許されてはならないわけです。なのにその機関に日本の政府や地方自治体が資金を提供しています。
この病的な状況に対し、北朝鮮による日本人拉致被害者の救出活動を続ける「家族会」や「救う会」が抗議活動を進めています。その一環として一昨日の11月25日、埼玉県知事に働きかけました。
以下はそのニュースです。
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★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2010.11.25-2)上田埼玉県知事に、県内朝鮮学校への支援停止を要請
■上田埼玉県知事に、県内朝鮮学校への支援停止を要請
本日、11月25日、家族会・救う会は上田埼玉県知事に面会し、県内朝鮮学校への支援ストップなどを要請した。面会は午前11時15分から約20分間、県庁知事室で行われた。家族会飯塚繁雄代表、増元照明事務局長、救う会西岡力会長、平田隆太郎事務局長、救う会埼玉竹本博光代表が参加した。
面会冒頭、飯塚代表が上田知事に要請文(すでに10月28日に送付済み)を手交し、埼玉県が、埼玉朝鮮初中級学校(さいたま市大宮区)に対して昨年、897万円の支援を実施しているが、
今後の支援実施にあたっては
1.朝鮮学校に対して、教育内容、生徒らの政治活動、朝鮮総連との一体性などの問題点を調査し、是正を求めること。
2.是正がなされない限り、貴県からの補助金を打ち切ること
を要請した。
西岡会長は、北朝鮮の韓国砲撃を受けて政府が「高校無償化」適用手続きを停止したことを指摘して、埼玉県もそれにならった対応をとることを求めた。
上田知事は、家族会・救う会が持参した朝鮮学校教科書の拉致問題と大韓機事件に関する記述のコピーにあらためて目を通した後、これまで県としては学校関係者から口頭で話しを聞くだけで、教科書の提出を求めるなどして教育内容の調査をしてこなかったが、今後は教科書の提出などを求め、それがない場合は支援を止めると、答えた。そして、北朝鮮の韓国砲撃に対する措置として、教育内容などの問題が解決しても、少なくとも砲撃事件の状況と影響などが判明するまで支援を留保すると明言した。
上田知事の今日の回答は、政府の朝鮮学校国庫支援手続き停止を受け、地方自治団体として初めて県の支援留保を明言した点で大きな意味がある。今後も、家族会・救う会としては、10月の合同会議で決めた運動方針に従って、朝鮮学校への支援を行っている全国の地方自治団体に対して同様の要請を行いつづけていく。
上田清司 殿
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会長 西岡 力
朝鮮学校への地方自治体の公金補助中止を求める要請書
拉致被害者救出のためにご尽力くださり感謝致します。
ご承知の通り、家族会・救う会は拉致問題への悪影響などに関する十分な議論がなされていない現段階での朝鮮学校への国レベル、地方自治体レベルの公金補助に強く反対しております。
すでに多くの地方自治体が朝鮮学校に対して公金支援を実施していることが明らかになっています。文部科学省の調べでは平成21年度、合計約7億6,700万円の補助金が支出されています。貴県は8,975千円、また貴県内の市区町村は合計11,589千円支
出されています。
朝鮮学校の教科書(「現代朝鮮歴史」)では、「2002年9月、朝日平壌宣言発表以後、日本当局は《拉致問題》を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることで日本社会には極端な民族排他主義的雰囲気が醸成されていった」
とだけ記して、金正日が拉致を認めて謝罪したことや、朝鮮総連が拉致はでっち上げだと強弁してきたことにつき謝罪したことを全く取り上げていません。田口八重子さん拉致と直結する大韓機爆破テロについても、「南朝鮮のでっち上げ」と断言しています。また、朝鮮学校生は「在日本朝鮮青年同盟」という朝鮮総連の下部組織に自動的に加盟し、拉致問題を棚上げした上での日朝国交促進のための政治活動に動員されています。朝鮮学校への公金補助は、拉致を棚上げにしようとする朝鮮総連と朝鮮学校の政治活動を公認し支援するものとなると私たちは危惧しておりま
す。
私たちは、以下のことを実現するようご尽力くださることを要請します。
1.朝鮮学校に対して、教育内容、生徒らの政治活動、朝鮮総連との一体性などの問題点を調査し、是正を求めること。
2.是正がなされない限り、貴県からの補助金を打ち切ること。
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■救う会全国協議会ニュース