2010年11月

 沖縄ではまもなく県知事選が催されます。

 

 その沖縄で表面に出る反米、反日本としか描写できない奇妙な政治潮流について田久保忠衛氏が注目すべき分析の一文を書いています。

http://www11.tok2.com/home2/yama5/171130tenpantoranomon/1711300020.jpg

 

 

 

 基地問題の背景を理解するには大切な解説です。

 

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【正論】杏林大学名誉教授・田久保忠衛 脅威迫る中、また「米軍帰れ」か

 
 

 奇怪と表現するほかなく、関心を持つ外国人に求められてすんなり説明できる日本人は多くあるまい。28日に行われる沖縄県知事選の2候補者、仲井真弘多、伊波洋一両氏とも米軍普天間飛行場移設先は「県外」と主張している。

 ◆知事選公約の「県外」は偽善

 与党の民主党は、賢明でない指導者が「国外・県外」とわめいて引き起こした狂躁(きょうそう)の後、日米合意の「県内」に戻したのだから、どの候補者も支持できない。自民党は、仲井真支持なのだろうが、「県外」の看板が目障りで、大っぴらに神輿(みこし)を担ぐわけにいかない。「県外」が可能だなどと思っている沖縄県民はいないだろう。嘘(うそ)と偽善が渦巻く中で、どのような審判が下るのだろうか。

 

 判断の基準は一つだと思う。仲井真候補は日米同盟を認めているが、伊波候補は「軍事同盟である日米安保条約をなくす」(11月14日付琉球新報)と明言している。昨年11月10日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見した際、嘉手納、辺野古など沖縄の基地だけでなく、韓国、グアムの反基地運動と連帯、自ら活動をしている、と強調していた。日本にユーラシア大陸からの有形、無形の脅威が迫り来る中で、沖縄県民は「ヤンキー・ゴーホーム」を呼び続ける道を選ぶのであろうか。

 

 私には、復帰直前の沖縄で1年強、取材活動に没頭、数カ月、東京に滞在した後、ワシントンで4年ほど国際ニュースを扱った経験がある。珍しいことではないが、那覇、東京、ワシントンの視点の相違を身に染みて感じた。東京がワシントンの言動に神経質になるように、那覇の関心は専ら東京に向けられている。当然ながらワシントンが主として観察しているところは東京でも那覇でもない。

 

 那覇が東京に対応する際に、薩摩による「琉球征伐」や廃藩置県の沖縄県設置がヤマトンチュー(大和人)によって強制されたとの潜在意識が存在する。日米戦争末期における県民の多大な被害は日本軍が駐留したせいだとの、日本人として理解し難い歴史観は、沖縄県平和資料館に足を運べば分かる。国土のわずか0・6%の県に在日米軍基地の74%が集中しているとの指摘は常になされる。

 

 ◆那覇=被害者の構図根強く

 それは分かるが、日本全体の安全保障上重要な「負担」をしてもらっていることを口に出さなくとも国民全体が心から理解するとの阿吽(あうん)の呼吸は消え去り、いつの間にか東京が加害者で那覇は被害者という構図がつくられた。基地絡みで東京の困る問題は大きく取り上げられ、そのたびに東京の政治家は財政措置で当座を切り抜けようとする型がいつの間にか形成され、そこに諸々の利権が絡む。

 

 他の府県では当世、流行(はや)らなくなった非武装中立論がこの県で生きているのは、伊波候補の言動でも明らかだ。琉球独立論者だった画家、評論家の故山里永吉氏は復帰前の沖縄に林立する赤旗や肩で風を切って歩いていた赤鉢巻を痛罵(つうば)していたが、その彼でも16世紀初頭における尚真王の刀狩りを「王は平和国家としての琉球を宣言し、武器撤廃、戦争放棄を宣言した」(『沖縄歴史物語』)と胸を張っていた。私も親交があったので、よく分かるが、被害者の心理と無関係ではないのである。

 

 以来、地元2紙を読み続けているが、非武装中立論に基づく社論、論評は全く変わっていない。国際情勢がどう動こうと、これでは沖縄県は全く別の世界だ。永田町のお偉方の中にも国際的な方向音痴は少なくないが、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の衝撃は、国民の大方に戦後の憲法体制への疑問を生んでいるのではないか。傍若無人に周辺国家を脅かす中国に対し、米国を中心にインド、ベトナムをはじめとする東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国などが警戒感を一斉に抱き始めた潮流には国民の方が敏感だと思う。

 

 ◆沖縄栄えて日本滅ぶでは…

 国際環境の激変を沖縄はどう見ているのか。尖閣事件直後の9月9日付沖縄タイムス紙社説は「中国漁船の日本領海での操業と、中国海軍の活発な活動を結びつけて中国に対する警戒感をかき立てるようなことがあってはならない」と書いた。事件前の7月21日付琉球新報社説は「中国脅威論大いに疑問」の見出しがついていた。

 

 中国の温家宝首相がニューヨークで中国漁船船長の即時釈放を要求する演説をぶった9月21日に米掃海艇「ディフェンダー」が宮古島の平良港に入港した。何と、沖縄県と宮古島は外務省を通じて米軍に自粛を求め、市民30人ほどが反対デモをしたのである。10月26日付沖縄タイムス「論壇」には、日本国が衰亡して中国が台頭することを歓迎するかのような一文が登場した。「沖縄栄えて、日本滅ぶ」でいいのだろうか。

 

 沖縄にも大局に立った正論の士が少なからず存在するのは承知している。その真実の声にたがをはめ、東京と那覇に問題を矮小(わいしょう)化させてきた現地マスコミの罪は小さくない。知事選の結果は、日米関係はもちろん、アジアにおける力の均衡も変える意味を持つ。(たくぼ ただえ)

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 北朝鮮の軍事冒険的な挑発行動が東アジアに危機のような状況を生み出しました。

 

 しかし日本にとってより脅威なのは北朝鮮のウラン濃縮新施設の公表です。ウラン濃縮は核兵器の開発に直結しているからです。

 

 この北朝鮮のウラン濃縮に悩んでいるのはアメリカも同様です。オバマ政権は激しく揺さぶられました。「無法国家」の小国に超大国が翻弄されるという現実なのです。

 

 そのへんの実情を記事にしました。日本ビジネスプレスの私の連載「国際激流と日本」からです。

 

 この記事の全文は以下のリンクで読めます。

 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4915

 

予想外の北朝鮮ウラン濃縮施設、
オバマ政権はますます窮地に

2010.11.24(Wed)  古森 義久

国際激流と日本

 

 北朝鮮が秘密裏に最新のウラン濃縮施設を建設していたというニュースは、オバマ政権に衝撃を与えた。11月21日、オバマ政権の北朝鮮担当特別代表のスティーブン・ボズワース氏が直ちにアジアに急派されたことからも、同政権のあわてぶりが分かる。

 

 このウラン濃縮は言うまでもなく核兵器の製造につながる危険を有するのだが、米国は北朝鮮の核武装を阻止するための6カ国協議では、もっぱらプルトニウムに議論の矛先を絞ってきた。

 

 核兵器にはプルトニウム爆弾とウラン爆弾の2種類の製造方法があるのに対し、米国は前者だけを見てきたのだ。だから、この突然のウラン濃縮施設の露呈には大きなショックを受ける形となった。

 

 この結果、オバマ政権の北朝鮮核問題への対応はさらなる後退を余儀なくされた。オバマ政権の「失敗」だとさえ言えるだろう。

 

 そうなると、日本がこれまでよりも独自の政策や対応を考えねばならない局面が生まれてくることとなる。

ヘッカー氏の報告を受けてオバマ政権は大騒ぎに

 北朝鮮は11月12日に、自国を訪問中の米国核開発分野の専門家、ジークフリード・ヘッカー氏を、従来から核施設のあった寧辺地区に招き、最新のウラン濃縮施設を見せたという。

 

 北朝鮮側の説明では、濃縮のための遠心分離機は2000基がすでに稼働しているという。これが3000基ほどに達すると、軍事用の高濃縮ウランができるようになるとされる。

 

 驚いたヘッカー氏は米国に戻ると、すぐにオバマ政権に施設の状況を報告した。北朝鮮はもちろんオバマ政権に伝えるつもりでヘッカー氏に施設を見せたのだろう。

 

 もっともオバマ政権側も北朝鮮がウランの濃縮に着手しているらしいという情報はつかんでいた。政府当局者がその旨を語っている。

 

 だが、ここまでの最新のウラン濃縮施設がほぼ完成していたとは知らなかったようだ。だから政権内外は大騒ぎとなった。

 

 議会では下院外交委員会の共和党側筆頭委員のイリアナ・ロスレーティネン議員が11月21日、オバマ政権と北朝鮮の両方を非難する声明を発表した。

 

 「北朝鮮の高度のウラン濃縮施設の公表は、極めて深刻な事態を意味する。米国や国際社会を油断させ、時間を稼いで、その間に秘密の核兵器を開発しようとする北朝鮮の真の意図を再度、確認したことになる。

                                       (つづく)

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 北朝鮮軍が韓国領の延坪島を激しく砲撃しました。

http://japanese.joins.com/upload/images/2010/11/20101124084950-1.jpg

 

 さあ朝鮮戦争が再発するのか。

 

 朝鮮半島情勢はやはり超大国で韓国の同盟国のアメリカの存在抜きには論じられません。

 

 北朝鮮の韓国領への砲撃はアメリカに対する挑戦であり、挑発です。

 

 ではアメリカはどう対応するのか。

 

 オバマ政権はいま激しく揺さぶられています。

 

【朝刊 国際】


北の韓国への砲撃 強く非難 米「戦略的忍耐」限界、「抑止強化」を加速


 

 【ワシントン=古森義久】米国のオバマ政権は北朝鮮軍による韓国の延坪島への砲撃事件に対し23日、北朝鮮の行動を非難し、同盟国としての韓国の防衛の 誓約を言明しながらも、軍事衝突の拡大を防ぐ姿勢を明確にした。だが北朝鮮が核兵器開発につながるウラン濃縮の新施設を誇示した直後に砲撃を実行したことは核 問題での北の姿勢のさらなる硬化と挑発であり、米国はこれまでの対北朝鮮政策の根幹からの変更を迫られることともなろう。

                   ◇

 米大統領報道官は米東部時間の23日午前5時すぎ「米国はこの攻撃を強く非難し、北朝鮮が好戦的な行動を停止し、朝鮮戦争休戦協定を完全に順守することを求める。米国はわが同盟国の韓国の防衛とこの地域の平和と安定に責務を有する」という公式声明を発表した。

 

 オバマ政権が朝鮮半島での軍事衝突を忌避する姿勢は同政権のソン・キム6カ国協議担当特使の22日夕の言明でも明らかにされていた。同特使はワシントン でのセミナーで北朝鮮のウラン濃縮による新たな核武装の危機に対してオバマ政権としての「軍事オプションの回避」を繰り返し強調した。

 

 北朝鮮が核兵器の存在を顕示しても米国はなおその除去のために軍事力を使うことはないという基本方針であり、今回の砲撃にオバマ政権としては南北間の全 面戦争や軍事衝突拡大の危険はまず全力で抑えるという対応がうかがわれる。そのためには北朝鮮に最大の影響力を持つ中国との協議も当然、進めるだろう。

 

 オバマ政権は北朝鮮がウラン濃縮施設を公開し、ウラン爆弾開発への新たな道を誇示したため、21日にはボズワース北朝鮮担当特別代表を中国や韓国に急派したばかりだった。

 

 米国政府の対北政策の分岐点ともいえるこの時期に北朝鮮側が韓国の島への砲撃という危険な軍事行動に走ったことは韓国だけでなく米側にとってさらなる重 大な挑発だといえる。とくにオバマ政権が北の核開発阻止のためにとってきた、時間を十分にかけて相手の動きを待つという「戦略的忍耐」策は北朝鮮のウラン 濃縮施設公表と韓国領砲撃によって踏みにじられたとさえいえよう。

 

 北朝鮮が米国に今求めるのは6カ国協議の再開の前提条件としてもあげる(1)国連主導の対北経済制裁の解除(2)朝鮮戦争の平和条約締結をも視野に入れた米朝2国間交渉の開始-に加え、北朝鮮をパキスタンのような事実上の核兵器保有国として認知することだとみられる。

 

 北朝鮮はそのためには核問題でも譲歩を拒み、さらに軍事衝突をも辞さない強硬な行動パターンを米側に突きつけ、「オバマ政権が核問題への対処では北朝鮮 との2国間の直接の交渉以外に方法がないと判断するところまで追い込む戦術」(ラリー・ニクシュ前議会調査局朝鮮問題専門官)を取っているとの見方が米側 では広がっている。

 

 北の延坪島砲撃もこの戦術の一環とみられるわけだが、この種の攻撃が常に本格戦闘へと拡大する可能性を考えれば、あまりにも危険な賭けだといえる。

 

 オバマ政権が当面、軍事衝突をあくまで避ける構えだとはいえ、韓国は米国の同盟国であり、在韓米軍の存在は大きい。

 

 オバマ政権はすでに、北朝鮮の脅威に対して韓国や日本を含む西太平洋全域での空軍力と海軍力を増強させる「抑止強化」の政策を進めつつあるが、その動き は今後、具体的かつ敏速となるだろう。黄海や日本海へのより頻繁な米海軍艦艇の出動、グアム島への戦略爆撃機の恒常的な配備などが予測される。

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【用語解説】朝鮮戦争休戦協定

 1950年6月25日に始まった朝鮮戦争で、53年7月27日に米軍を中心とする国連軍と北朝鮮の朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者が結んだ協定。韓国 は休戦に反対、調印を拒否した。休戦協定によって、朝鮮半島はそれまでの北緯38度線に代わり、軍事境界線で韓国と北朝鮮の南北に分断され、板門店に軍事 休戦委員会が設置された。北朝鮮は米国に対し、休戦協定の平和協定への転換を再三、求めている。(共同)

 

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 おもしろいニュースがウォールストリート・ジャーナルに出ていました。日本の新幹線技術が中国に「盗用」され、中国製の高速鉄道や高速列車として全世界に輸出されつつある、というのです。

 

 私が中国に駐在していたころ、日本の政府も民間も「中国に新幹線を売り込もう」というキャンペーンに熱をあげていました。日本の政府は中国にODAを与えて、その資金で日本の新幹線を導入させようという計画まで立てていました。

 

 ところが中国は買うようなそぶりをみせながらも、買いません。その一方、ヨーロッパのフランスやドイツの高速鉄道にもその気をみせ、各国を競争させるのです。

 

 それから10年後、中国は日本の新幹線より高速の列車を「自主的」に開発して、世界の各国へ売り出そうとしています。ところがその技術はどうみても、一部、中国に売られた日本の新幹線の技術そのものだというのです。

                       (中国の最新の高速列車)

 

 この報道のとおりならば、日本は墓穴を掘ったことになります。独自の世界に冠たる製品と技術を中国に売ったら、それをそっくり盗用され、完全な中国製の製品として各国に輸出されてしまったのです。

 

 しかしこの日本側の「中国に新幹線を売ろう」ブームのなかで、いまからみれば最も見識があったといえるのはJR東海の葛西敬之氏でした。ブームのなかで超然と「中国に新幹線は売らない」と明言していたのですから。

 

 

              (葛西敬之氏)

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日本の鉄道技術“盗用”中国が各国に売り込み攻勢

 

  • [ワシントン=古森義久】中国の国有企業が日本の高速鉄道技術を基礎に日本製より速度の高い高速列車を作り、中国独自の製品として諸外国に売り込もうとしていることについて、日本側から「約束違反」との抗議が起き、新たな日中摩擦となりつつある。米紙ウォールストリート・ジャーナルが18日、報じた。

     同紙は「(各国の)列車製造者たちは中国の高速のデザインに非難の声を高めている」との見出しの記事を掲載。その中で、日本の川崎重工業やドイツのシーメンス、カナダのボンバルディアなど鉄道建設各社がここ数年、中国に高速鉄道の列車や技術を売り込んできたものの、中国企業が外国製より速い列車を開発して米国やサウジアラビアブラジルなどに売り込もうとし、外国企業が不満を高めている、と指摘した。

     

     青島に拠点をおく中国の国有企業「中国南車」(CSR)は最高時速約380キロの列車「CRH380A」を完成させ、開発は中国独自の技術の結果だと主張。ただ、CSRは2004年に川崎重工と契約を結び、新幹線の「はやて」9両編成分を輸入、中国領内で日本の技術を利用して計51両を製造した。川崎重工は中国側の「独自技術を開発した」との主張には明確に異論を唱えているという。

     

     中国の国有鉄道関連企業は高速鉄道の売り込みを国際的に広げ、ベネズエラやトルコでのプロジェクトに参入し、日本企業の強力な競争相手となっているが、川崎重工は、中国に提供した技術は中国国内だけで使うとの約束があったと主張しているという。

     

     同記事は一方、日本や欧州企業には中国が高速鉄道でも知的所有権を違法に取得したとの見方が多いとし、中国側の今回の出方を予測して、新幹線の対中輸出を拒んだJR東海葛西敬之会長が「中国はすべての技術を無料で移転しようとした」と話したことを“先見の明”があったと指摘している。

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  北朝鮮が核武装のために、これまで知られていたプルトニウム爆弾だけでなく、ウラン爆弾の製造のためのウラン濃縮施設をも新たに建造していたことが明るみに出ました。

 

 アメリカは北朝鮮のウラン濃縮の情報を得てはいましたが、これほどの新装置がこれほどの完成状態にあることまでは把握していなかったようです。

 

 さてこの北朝鮮核問題の新事態はアメリカにとってなにを意味するのでしょうか。そして日本にとってもーーー

 

http://www.news-worthy.info/wp-content/uploads/2010/11/northkoreanuke-300x176.jpg 

 

〔ワシントン=古森義久〕

 

 米国のオバマ政権は北朝鮮が核兵器製造につながる最新ウラン濃縮施設を明らかにしたことで北朝鮮の非核化という従来の目標からまた大きく後退させられることとなった。同政権は中断したままの六カ国協議の参加各国との調整をも再開したが、北朝鮮が援助を頼る中国にとくに役割の拡大を求めることともなった。

 

http://news.searchina.ne.jp/2010/0930/national_0930_136.jpg

 

 今回の動きをオバマ政権の対北政策の失敗や後退としてみる向きは多い。下院外交委員会の共和党筆頭委員イリアナ・ロスレイティネン議員は21日、「オバマ政権の北朝鮮への手の差し伸べ政策は今回の北の動きで失敗であることを証した」とする声明を出した。超党派の議会調査局で長年、朝鮮問題を担当したラリー・ニクシュ氏も「北がウラン濃縮をひそかに進めていることは米側でも探知はしていたが、ここまでの進展はオバマ政権には大きなショックであり、これまでの政策の全面見直しにもつながる」と論評した。

 

 オバマ政権はこれまで北朝鮮の非核に向けた動きを時間をかけて待つという意味の「戦略的忍耐」という政策標語をも掲げてきたが、この「忍耐」がかえって北朝鮮に核兵器開発への前進を許した結果となった。

 

 米国は北朝鮮の核武装への動きに対し六カ国協議でプルトニウムの軍事転用だけにしぼって阻止を図ってきた。同協議が2008年に中断した後、北側は核兵器製造を可能にするウラン濃縮能力の存在に言及するようになった。この点、オバマ政権の初期まで同協議の米国首席代表を務めたクリストファー・ヒル氏も「北は協議中はウランの存在を完全に否定し、米側をだましていたから、こんごはウラン問題が最大課題となる」と産経新聞との会見でも述べ、同協議の不成功を認め、ウランの重大性を強調していた。

 

 北朝鮮がこの時期になぜウラン濃縮施設を米側にあえてみせたのかという動機についてはニクシュ氏や大手研究機関「ヘリテージ財団」の朝鮮情勢専門のブルース・クリングナー研究員は①米国側にショックを与え、北との交渉を再開させて安保上の譲歩や経済援助を得る②パキスタンやインドに近い事実上の核兵器保有国としての認知を求める③現在の国連主導の経済制裁が効果を発揮しないことを誇示する―などという可能性を指摘した。

 

 オバマ政権はこんごの対応としてはまずスティーブ・ボズワース北朝鮮担当特別代表を日本、韓国、中国など六カ国協議の参加諸国に急派し、意見交換を始めた。だが六カ国協議の再開については北側が国連の経済制裁の解除と米朝二国間の安保問題交渉などを前提条件としており、米側は応じられず、苦境に立っている。ただし北朝鮮に対しては中国が最大の影響力を持っており、オバマ政権としては中国に北への非核化の圧力強化を再度、要請することも確実とみられる。

 

 一方、下院外交委のロスレイティネン議員は今回の動きを理由にオバマ政権が北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを求め、圧力強化策を提案した。

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