2010年12月

  日本ビジネスプレスの「国際激流と日本」という連載コラムで私が書いた中国の航空母艦の開発・配備計画についてのレポートです。

 

  

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米国防総省の研究機関INSSは中国が近く航空母艦を開発し、配備するという見通しについて明言していた。

 

その要旨は以下のようなものである。

 

 「中国当局は、『中国は航空母艦戦闘群とその関連航空戦力を開発することを意図している』という外部の観測を長年、繰り返し否定してきた。だが、ここ数年間で中国の国営メディアは中国人民解放軍の航空母艦保有の可能性を大々的に報じるようになった」

 

 「今では、米側の海軍研究者たちは中国首脳の空母保有への信念を確実なこととして論じるようになった。現実に米国の中国ウォッチャーたちの間では、中国海軍が航空母艦保有へと前進するということを近く発表するという予測のコンセンサスが存在する」

 

 繰り返しになるが、この報告は国防総省の付属とも言える研究機関から公表されたのだ。INSSは米国の国防長官や米軍統合参謀本部議長の意志決定のために、国家安全保障にかかわる戦略研究を恒常的に進める機関であり、国防総省への政策勧告の役割を果たしている。

 

 その研究機関の報告の記述に「米国の中国ウォッチャー」とあるのは、当然、米国の軍事専門家たちと考えてよいだろう。そういう専門家たちがすでに「中国の空母登場」を確実視しているのである。

尖閣諸島への威圧も念頭において開発?

 同報告はさらに注目すべき認識を明示していた。

 

 「(中国にとって)航空母艦能力の保有は、戦略上、かつ作戦上、必要となる明確な根拠がある。中国が遠洋で自国の任務を遂行する際に空軍力の防御を供するためには、航空母艦が必要なのだ。その任務とは、南シナ海での海洋領有権の防衛や、インド洋での海上輸送路の防衛である」

 

 南シナ海での「領有権防衛」は、当然、東シナ海での領有権紛争にもつながっている。つまり、中国の空母が尖閣諸島への威圧や攻撃をも念頭において開発されていることは明白だと言える。(つづく)

 

このレポート全体は以下のリンクで読めます。

 

 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5107?page=2

 憲法改正についての考察です。

 

【産経志塾】杏林大学名誉教授・田久保忠衛氏 国際情勢に応じ憲法改正を
2010年12月20日 産経新聞 東京朝刊 


 

 中国問題を見るときに、顕微鏡で見ては分からない。世界の中で中国がどのような位置にあるのか、その中で日本はどう対応せねばならないか、大局観を持って事実を見ていかねばならない。また、個人レベルの問題と国家レベルの問題は別であるということ、外交と軍事はコインの裏表であって軍事力の裏付けのある外交は強い、ということを押さえておく必要がある。

沖縄が日本に返還される前のことだが、米国のニクソン大統領は軍事力を使わずにソ連の首を絞めるため、中国と手を組むことを考えた。そこで関係改善に向けて中国にいくつもサインを送ったが、「沖縄の核抜き返還」もそうで、あれは中国への最大のプレゼントだった。

中国は一貫して軍事力を増強し、人工衛星を撃ち落とすまでになってきた。それはなぜかと事実を見ていくと、中国では経済が発展して生活水準が上がっているものの、貧富の差も広がっており、不満がたまっている。また、汚職も広がっていてどうにもならない。共産党政権を維持するためには今後も国民の生活水準を上げていかねばならず、そのための資源は外国から持ってこなければならない。中国が外へ出ていくのはそうした背景からで、決して中華思想があるからなどという問題ではない。

中国はインド洋で、インドを取り囲むように港湾整備を続けており、「真珠の首飾り」といわれる。中印の間には国境紛争もあり、対中国でこのところ、米印両国が接近している。かつて米国とは敵同士だったベトナムでさえ、数年前から米国に接近している。

尖閣諸島をめぐる問題と北方領土問題に共通して言えることは、日本は力を持っていないから外交にならない、ということだ。日本国憲法の前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して…」とあるが、周りの国を勝手に「平和を愛する国」と規定している。そんなことが通用するだろうか。国は国際情勢の変化に対応して、憲法を何度でも改正する必要がある。

「政治・経済・軍事」をカメラの三脚に例えると、日本は経済はまだ一流、政治は三流だとして、軍事については、「軍隊」がない。現在の自衛隊を規定しているのは警察法体系だ。これでは普通の国の軍隊になれない。国際貢献はできない。三本足の一本がどうにもならなくなっており、これをどうにかせねばならない。



【Q&A】

Q 日本の政治をどう変えていけばよいのか

A 安倍晋三元首相が「戦後レジームからの脱却」を唱えたが、それに唱和する人が民主党の有志も含め一本にまとまり、新しい体制をつくるべきだ。私は前途を悲観してはいない。

Q 日本に核は必要か。私はなくてよいと思うが

A 「核がないほうがよい」というのは正しいと思うが、核と核の谷間で日本が国家として萎縮するのはまずい。少なくとも日本は「核を持たない」という宣言はしてはいけない。いざというときは持つ、という姿勢を見せないと。

Q 一人っ子政策をとる中国は、少子高齢化でどうなっていくのか

A 相当深刻な問題になっていく。5~10年後に経済成長にブレーキがかかるというのは定説になっており、中国は恐ろしいところに近づきつつある。これはロシアも同じだ。

【塾生コメント】

▼会社員、三松純子さん(30)「本当に知りたいことを聞くことができ、勉強になった。日本の政治について前途を悲観していない、という発言が印象に残った。日本が強くあってほしいという思いは、東アジア地域の平和にもつながると思った」

▼日本大学2年、金澤直哉さん(19)「尖閣諸島の問題や中国問題の背後にある、歴史的な経緯や地理的な問題、戦略的な問題などを分かりやすく、かつ深く聴けた。また、大局観を持って大きな視点で、陰謀説に惑わされず事実を重視することを学んだ」

▼聖徳大学3年、神田涼子さん(21)「中国との関係でいろいろ問題が起きているが、中国と日本の2国だけを見ていては背景や本当の意味での問題が見えてこないことを学べた。日本は中国の顔色をうかがいながらでは、公平な外交はできないと思う」



【プロフィル】田久保忠衛

たくぼ・ただえ 昭和8年2月4日、千葉県生まれ、77歳。早稲田大学卒業後、時事通信社に入社。海外で特派員、支局長などを歴任した後、外信部長や解説委員を経て、59年から杏林大学社会科学部で教鞭(きょうべん)を執り、平成4年から同学部長。現在は同大名誉教授、正論メンバー。第12回正論大賞受賞。日本の外交評論の第一人者。

 

[ワシントン=古森義久]

ワシントンの大手研究機関「AEI」はこのほど、西太平洋からインド洋にかけての広大な地域の将来についての報告を発表し、この地域の安定が21世紀の米国にとって最大の外交政策目標だと強調したうえで、いまその安定が中国の大規模な軍拡により脅かされていると警告した。同報告は米国が対策として同地域での軍事プレゼンスを強め、日本など民主主義諸国との連携を深めることを提言した。

 

 「インド洋・太平洋の共通地域の安全保障」と題された同報告はAEIのマイケル・オースリン研究員が主体となり、米軍のアジア専門家多数の見解を参考にしてまとめられた。同報告はインド洋と西太平洋に面した広大な地域の安全保障が米国とその同盟国である民主主義諸国にとって21世紀のこんご25年にわたる最大の挑戦であり、その安定が米国の最大の外交政策目標だと規定している。

 

 しかし同報告はこの地域の安定を支えてきた米国とその同盟諸国の軍事優位が中国の近年の大規模な軍事力増強により失われつつあり、「中国の軍拡は中国の地政上の影響力拡大の道具となり、中国の役割や意向をその内容にかかわらず地域諸国に受け入れさせる効果を発揮するようになる」と指摘した。

 

 同報告は中国の軍拡について「中国が自国への脅威がない状況下で軍事力を大規模に増強することは太平洋・インド洋地域の安全保障を自国にとって有利な方向へ再形成しようと求めていることの例証だ」と断じている。

 

同報告は中国軍の大規模軍拡の具体的な実態として①中国海軍は近年の世界でも最も顕著な軍拡を進め、2020年までに合計72隻の近代的攻撃型潜水艦を保有する②中国海軍はロシアから対艦攻撃巡航ミサイルをすでに買い、こんご10年間には空母最大6隻を配備する意図を持つ③この結果、中国海軍の戦略がすでに「遠洋防衛」へと変わり、中国海軍は東アジアでは最大の規模となった―ことなどを指摘した。

 

中国空軍について同報告は中国が①ロシア製SU27などの中国版の生産を急ぎ、次期の第五世代の戦闘機開発にはJ13,J14などのステルス戦闘機をも含める②空中給油によりはるか遠隔地まで一気に飛行できる能力を高め、在日米空軍の戦闘機や爆撃機への攻撃能力を高めた―ことなどをあげた。

 

同報告はさらに中国のミサイルに関して①中・長距離のミサイルは日本列島全域をはじめ東アジアのすべての米軍とその同盟諸国軍の基地を射程におさめるようになった②米軍を対象とする対艦弾道中距離ミサイルのDF21D

が開発され、米海軍艦艇への脅威を高めた―ことなどを強調した。

同報告は米国が中国のこうした動きに対する「21世紀の対策」として①東アジアの前方基地での軍事駐留を強め、同盟諸国の軍との提携を強化する②日本とインドとオーストラリアを三点で結ぶ三角形安保構想を進める③東アジアに米海軍の第二の空母を常時駐留させる―ことなどを実行するよう勧告した。

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 日本の安全保障を考える際には、いくつものタブーがあります。
 
 核武装というのは、おそらくその最大のタブーでしょう。というより、だったでしょう。
 
 しかし日本の国家を守る、国民を守るという最高至上の目的のためには、あらゆる手段の論議がなされるべきです。
 
 私自身はそんな持論なのですが、最近の産経新聞に、この日本の核武装という主題を正面から取り上げた一連の記事がありました。
 
 その内容を紹介し、日本の安全保障論の一助としましょう。
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【私も言いたい】テーマ「日本の核武装」 「議論すべきだ」96% 
2010年12月17日 産経新聞 東京朝刊 オピニオン面

 「

日本の核武装

」について、14日までに2873人(男性2422人、女性451人)から回答がありました。

 

 「日本は核武装すべきか」については「賛成」が85%。「公の場で議論だけでも行うべきか」については96%が「そう思う」と答えました。また、「有事の際にアメリカは日本を守るか」との問いには、78%が「そう思わない」と回答しました。

 

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 (1)日本は核武装をすべきか

 

    85%←YES N O→15%

 

 (2)公の場で議論だけでも行うべきか

 

    22%←YES N O→78%

 

 (3)有事の際にアメリカは日本を守ると思うか

 

    96%←YES N O→4%

 

                   ◇

 

 ○抑止力として

 

 東京都・男性会社員(53)「なぜ議論自体が許されないのか教えてほしい。もしも、ことが起こったらどうするのか。議論を封殺した人間は、引き起こした結末にかなうだけの責任をとってくれるのか」

 

 奈良・男性自営業(40)「核は相互抑止力であり、外交の大きな武器であることは世界の常識。日本の経済力、技術力で持っていないことの方が不自然だ。核にしても軍隊にしても、持たないことで平和が実現できると考えるのは、あまりにも幼稚な考え方だ」

 

 愛知・男性自営業(50)「ロシア、中国、北朝鮮と、わが国は核保有国に囲まれており、これらの国は少なくとも友好国ではない。領土、国民を守るためにも抑止力としての核を考えるべきだ」

 

 大阪・男性会社員(23)「非核三原則を撤回するだけでも抑止力になる。最低でも『持ち込ませず』は取り下げ、いつでも米軍の核兵器を日本国内に配備できるようにすべきだ」

 

 三重・女性会社員(52)「安全保障について真摯(しんし)に考えるときが来ている。真の独立国家となるために核武装は必要。アメリカに従属するのも、中国になめられるのもいやです」

 

 ●米が認めない

 

 大阪・男性会社員(40)「核武装はすべきではない。使えない兵器に金を投入するくらいなら、通常兵器や自衛隊員の確保に使うべきだ。『抑止力として』という意見もあるが、いざというときは持っていようがなかろうが同じだ」

 

 東京・男性会社員(42)「唯一の被爆国が自ら核兵器を持つと、現在非保有の国が保有をためらう理由が一つ消えてしまうことになる」

 

 茨城・男性公務員(37)「

日本の核武装

は、米が絶対に認めないし、経済制裁や近隣諸国の核武装を誘発することから、現時点で得策ではない。核武装の議論やいつでも核武装できる態勢は整えておくべきだ」

 

 滋賀・男性自営業(43)「核兵器の本当の怖さは、チェルノブイリ事故と、世界中の核実験場付近の住民と、広島・長崎の被爆者にしか分からない」

 

 大阪・女性自営業(45)「核保有はできることなら避けてほしい。しかし、周辺国が変わらない限り、保有論は延々とつきまとうだろう。まずは、各国に積極的に働きかけるべきだ。すべきことをすべてした上で、核保有を議論すべきだ」

 

                   ◇

 

 ≪

日本の核武装

論≫

 

  佐藤内閣時代の1960年代後半に、政府が秘密裏に「核保有」の可能性を検討していたことが明るみに出るなど、非公式に検討されたこともありますが、近年 は「議論を行うこと」すらタブー視されているのが現状です。核保有にはいくつの方法があり、第一段階として有事の際にアメリカから核兵器の提供を受ける 「核兵器シェアリング」(NATO諸国で実施)を主張する意見もあります。

 

                   ◇

 

 

 

【金曜討論】日本の核武装 田母神俊雄氏、大森義夫氏
2010年12月17日 産経新聞 東京朝刊 


 

 北朝鮮による延坪(ヨンピョン)島の砲撃事件や核開発、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件…日本の安全を脅かす事態が相次いでいるのに、わが国は何ら有効な対抗手段を打ち出せないでいる。歯がゆいばかりの閉塞(へいそく)状況の中で、改めて日本の核武装の是非を問う議論が起きている。「国際社会で発言力を得るために必要」と主張する元航空幕僚長の田母神俊雄氏と、「将来の選択肢としてはあるが、今はその時期でない」という元内閣情報調査室長の大森義夫氏に聞いた。(喜多由浩)



≪田母神俊雄氏≫

◆発言力得るために必要

○軍事的な均衡が必要

--今なぜ核武装が必要か

「国際政治を動かす発言力を確保するためだ。国同士の交渉は、軍事的な均衡があって初めて平和的な外交交渉が可能になる。均衡がなければ、結局、相手の言 い分をのまざるを得ない。おそらく今後、核兵器が使用されることはない。使えばお互いが破滅するからだ。つまり、核は使う(攻撃)ために持つのではなく、 抑止、防御のために必要なのだ。日本以外の国のリーダーの多くはチャンスがあれば、『核を持ちたい』『一流国の仲間入りをしたい』と考えているだろう」

--昨今の中国の傍若無人な態度も軍事力の増強が背景にある

「20年前なら自衛隊は中国の海軍、空軍などまったく問題にしなかったが、現在、物理的な戦闘力は互角か、中国が勝っているかもしれない。それでもまだ日 本を侵略するまでの能力はないが、これも中国が空母を持つと変わる。中国が侵略能力を持つと、日本は今以上に脅かされるだろう。『それに備えよ』という声 が政治の世界で起きないのは理解不能だ」

--中国の台頭や北朝鮮の脅威に備えるのに、アメリカの核の傘だけで十分という声も根強いが

「多くの国民や政治家さえも誤解しているが、日米同盟はあくまで『抑止』のためのものであり、有事の際にアメリカの自動参戦を保証するものではない。例え ば、尖閣諸島で中国とイザコザが起きたときに、アメリカは本当に出てくれるだろうか? しかもかつてのように、アメリカの絶対的な抑止力はなくなってい る。今後、軍事力を削減し、海外の米軍を撤退する動きも加速するだろう。そんなとき、日本は自衛隊を増強し『自分の国は自分で守る』体制をつくることが必 要なのだ」

○世界はもっと“腹黒”

--日本には核の論議をすること自体が「悪だ」という雰囲気がいまだにある

「すでに核を保有している国は、発言力確保のためにこれ以上保有国を増やしたくないから、表面上、核廃絶や削減を打ち出したり、裏で反核運動に火をつけた りする。日本はこうした『情報戦』に負けているのだ。また、核は『持たない方が安全だ』という意見も聞くが、これも世界の常識と大きく違う。自分さえ悪い ことをしなければ、相手も悪いことをしない、なんてことはあり得ない。世界はもっと『腹黒』だ」

--核武装に必要な時間は

「国のリーダーの強い意志さえあれば、3~5年で可能ではないか。東アジア情勢が不安定な今こそ核武装を言い出すチャンスだし、アメリカも説得しやすい。核武装の意志を日本が示すだけでも抑止力は高まるだろう」



≪大森義夫氏≫

◆今はその時期ではない

●日本は孤立する

--「今は核を持つべき時期ではない」としているが

「私は『自主防衛力増強』論者であり、核武装を絶対に否定するつもりもない。将来の選択肢としてはあり得るし、現行憲法下でも自衛のための核武装は認めら れる、と考えている。ただし、今はその時期ではない。もし今、日本の首相が『核武装』を言い出せば、安保闘争以来の国論を二分する大騒動となり、今の政治 にこれを乗り切れるだけの『体力』がない、と思うからだ。反対運動を抑えられず、混乱を招くだけの結果になることは目に見えている。特に政治的な安定がな く、リスクも取らない現政権下では、核武装の議論をすべきではない」

「さらには、北東アジア地域におけるバランス・オブ・パワーを考えた場合、アメリカはもとより、(友好関係にある)韓国、豪州などの国も今は、日本の核武装に賛成するとは、とうてい思えない。核武装を言い出せば、欧米諸国はたちまち原発の燃料も売ってくれなくなるだろう。日本は孤立するだけだ」

--核兵器の管理体制や判断の前提となる情報の面でも不安が?

「法的な整備をはじめ、核を持った場合のノウハウもないし、使用するときのシミュレーションもまったくなされていない。アメリカの大統領は、常に核のボタ ンを押す覚悟をもっているが、日本の場合、首相の決断を支える人的ネットワークも情報もない。核兵器を持つ前に、まず『戦略を判断する』情報能力を持たね ばならない、ということだ。“目に見える情報”を中心とした極めて“穏当な情報活動”しか、してこなかった日本にはそれがまるでない」

「核開発もそう簡単ではないだろう。日本の技術力が高いといっても核兵器の研究者はいないし、核実験もやらねばならない。原発を造るだけでも地域対策は大変なのに、どうやって説得するのか」

●対米自立の割合増やせ

--では、アメリカの核の傘を信じていればいいか

「そうではない。日米同盟を妄信するのではなく、防衛力を強化し、少しずつでも、対米自立の割合を増やしていくべきだ。外交面でもアメリカ一辺倒ではなく、韓国などとの関係を一層強化していくことも必要になるだろう」

「ただ、軍事面での自立には段階がある。いきなり核兵器を持たなくても、通常兵器で破壊力のあるミサイルを備える方が国民のコンセンサスは得やすい。核に ついても、“自前”で持つのではなく、たとえば、核ミサイルが発射可能なアメリカの潜水艦に、海上自衛隊の高級士官を乗艦させてもらう、といった中間的な ステップから始めるべきではないか」



【プロフィル】田母神俊雄

たもがみ・としお 元航空幕僚長。昭和23年、福島県生まれ。62歳。防衛大学校卒。航空自衛隊に入隊し、統合幕僚学校長、航空総隊司令官を経て、平成 19年、航空幕僚長に就任。20年10月、民間の懸賞論文に応募した作品が、政府見解と対立する、とされ解任。新著に「田母神国軍」。



【プロフィル】大森義夫

おおもり・よしお 元内閣情報調査室長。昭和14年、東京都生まれ。70歳。東京大学法学部卒。38年、警察庁入庁。鳥取県警本部長、警視庁公安部長、警 察大学校長などを経て、平成5年、内閣情報調査室長に就任。9年まで5代の内閣で室長を務めた。主な著書に「日本のインテリジェンス機関」。


 

 

 

 

 中国が航空母艦をどのように開発し、どのように配備していくか。

 空母を配備する理由はなにか。

 

 アメリカの国防総省関連機関からの情報です。

 

 

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 「中国海軍が航空母艦を配備する」という展望は、このところ米国と日本両方の安全保障の関係者たちの間で懸念をもって語られてきた。

 

 つい近年まで小規模の沿岸パトロール艦艇グループにすぎなかった中国海軍が、あっというまに遠洋海軍へと拡大し、「パワープロジェクション」(遠隔地への戦力の投入)の代表とされる航空母艦までを保有するようになる。

 

 これが実現したら、中国と安保上の利害が一致しない側にとって重大な脅威である。中国と安保上の利害をぶつからせる国の筆頭は、わが日本でもあるのだ。

 

 この「中国が空母を配備」という展望が、ついに米国の国防総省当局でも現実の見通しとして語られるようになった。いよいよ中国の空母登場という事態なのである。

 

 12月中旬、米国防総省のシンクタンク「国家戦略研究所(INSS)」が中国海軍の作戦についての報告を発表した。この報告で、中国共産党首脳が南シナ海領有権防衛などに航空母艦が必要だと見なし、すでにその配備を決めているという情報が明らかにされた。

 

 さらに同報告は、中国が数隻の空母を保有する見通しを述べ、その場合にはアジア地域で米国や日本への脅威が高まると警告している。

http://wind.ap.teacup.com/netuyo/timg/middle_1187971962.jpg

     (中国がウクライナから購入した旧ソ連の旧式空母ワリヤーク)

 

 

 国防総省直轄の研究機関が「中国の空母」の配備を明言したことは、日本側としても注視せざるをえない。

国防総省の付属機関が中国の空母登場を確実視

 この報告は「中国の域外海軍作戦」と題され、中国海軍が東アジア、西太平洋地域を越えてどのような戦略を目指すかを分析したものである。

 

70ページほどの長文の報告で、中国海軍の沿岸や領海をはるかに越えた遠洋(域外)での作戦の能力や意図に、立体的な光を当てている。

 

 同報告によれば、中国海軍にとって「航空母艦の攻撃艦グループと空母航空力」は遠隔地での作戦能力を高めるための手段の1つであるという。

 

 それを踏まえて同報告は、中国共産党首脳がすでに空母1隻は不可欠と見なしており、近くその旨の公式発表をする、との予測を明らかにした。(つづく)

 

このレポートの原文は日本ビジネスプレスの「国際激流と日本」という古森義久の連載コラムにあります。リンクは以下です。

 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5107

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