2011年03月

 アメリカの日本支援についてこれまで当ブログでもいろいろ報じてきました。

 その支援はやはり米軍による緊急支援の「トモダチ作戦」です。

 

 その総合的な救援作戦について今朝の産経新聞が大きく一面トップで伝えています。

 

 その内容を紹介します。 新聞の写真の下に改めて記事内容をコピーしました。

 

 

 

 

【朝刊 1面】


東日本大震災 米軍、命懸けトモダチ作戦


 

「トモダチ作戦」に参加する隊員の右腕には、「友」「がんばろう日本」と刺繍されたワッペンがつけられていた=26日、三沢基地(古厩正樹撮影)

 

 □「日本人を助ける」「ここで物資降ろせ」

 東日本大震災の被災地や沖合で、「オペレーション・トモダチ(トモダチ作戦)」と名付けた救援活動を展開している在日米軍。「友」と日本語で刺繍(し しゅう)されたワッペンを身につけた隊員は「作戦を誇りに思う」と胸を張る。26日、米軍基地から支援物資とともに輸送機に乗り込み、“史上最大の救援活 動”に密着した。(大竹直樹)

 

 

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 ■救援活動に密着

 「これから放射線を測定する」。午前5時、神奈川県綾瀬市の厚木基地。大きな倉庫内で放射線測定器を持った隊員に全身を計測された。福島第1原発の放射能漏れ事故を受けた措置で、簡易測定器を常時身につけることも指示された。

 「ここだ。ここで降ろせ!」。午前5時半、米海軍の輸送機が並ぶ駐機場では、慌ただしく動き回るフォークリフトに隊員の声が飛ぶ。ミネラルウオーターや毛布、衣服などの支援物資が入った段ボール数十箱がリフトから次々と降ろされていく。

 

 駐機場では輸送機「C-2」が離陸の準備に入っていた。5人の隊員が手渡しリレーで次々と段ボールを積み込む。ゴーグルと防音ヘッドホンのついたヘルメットを装着し、段ボールが積まれた貨物室に乗り込むと、朝日が顔をのぞかせた午前6時に離陸した。

 

 激しい振動と騒音の中、輸送機は約1時間半で三沢基地(青森県三沢市)に着陸。「この任務に当たり、日本人の助けになれることを誇りに思う」。出迎えて くれた第5空母航空団ヘリコプター対潜飛行隊のペレラ・シル中佐(43)が、「友」「がんばろう日本」と刺繍された右腕のワッペンを見せてくれた。

 

 「自分たちのやれることは少ないが、物資を被災地に持っていくと笑顔を見せてくれる」と誇らしげだ。

 

 救援活動の中核部隊は米海兵隊と米海軍。東北地方の太平洋側に艦船を展開している。第7艦隊によると、救援活動には約1万8280人が従事。艦船19隻と航空機約140機で物資を被災地に届けている。

 

 雪が舞う滑走路では、隊員が懸命に除雪作業に当たっている。沖合の揚陸艦との間を往復する輸送機やヘリが離着陸できなければ、それだけ支援物資が被災地に届くのも遅れてしまう。

 

 ヘリコプター対潜飛行隊に所属する上枝(かみえだ)俊介1等兵曹(34)は、「トモダチ作戦」について、「言葉にならないほど感謝している。米軍人も日本人も同じ気持ちだ」と語った。

 

 雪がやんだ午後5時ごろ、第7艦隊のドック型揚陸艦「トーテュガ」に向けて大型ヘリで三沢基地を離陸した。500人以上の米海兵隊員が支援物資輸送の任務に当たるトーテュガまで15分ほどのフライトだった。

110325-M-TY365-133 by III Marine Expeditionary Force/MCB Japan

 

 国家危機への対処には国民の団結が大切であることは自明です。

 

 政治の世界でも与党が野党のノウハウを導入することもときには必要でしょう。

 

 しかし菅政権は自民党の協力には背を向ける一方のようです。自民党のアドバイスは無用だというのです。

 

 特定の被災地の実情に詳しい自民党議員が辻元清美首相補佐官に地元を知る人間ならではのアドバイスを提供しようとして、同補佐官の携帯電話番号を首相官邸に問いあわせたら、教えてくれなかったそうです。その番号は国家機密だとでもいうのでしょうか。

 

 くだらない話ではありますが、以下の記事は菅政権の特殊の一面を描き出しています。

 

 

【朝刊 総合・内政】


震災復興支援 政治主導こだわり、提言受け入れず 政府と野党、対応に「壁」


 

 政府・民主党が東日本大震災の復興支援に関する野党側の提言に冷ややかな態度を取り続けている。過去の経験をもとにアドバイスしようとしてものれんに腕 押しで、選挙区からの必死の訴えを伝えてもまともに取り合おうとしないという。25日の与野党実務者会合では、野党側が菅政権との間に立ちはだかる「壁」 への不満を噴出させた。(水内茂幸)

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 「ボランティア担当の辻元清美首相補佐官の携帯電話番号を教えてほしいのですが…」

 

 自民党の長島忠美衆院議員は震災2日後の13日、首相官邸に電話をかけた。

 

 長島氏は平成16年の新潟県中越地震の際、旧山古志村(現・長岡市)の村長として震災への対応や復興活動の陣頭指揮に立った。その経験で培った生活支援のためのボランティアのネットワークや現地活動のあり方について辻元氏にアドバイスしようとしたのだ。

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     (長島忠美議員)

 

 だが、政府側は一向に長島氏に辻元氏の連絡先を教えず、ようやく官邸で面会できたのは電話から10日後の23日。辻元氏は連絡が遅くなったことをわびたが、その後、長島氏のネットワークを活用しているかどうか連絡は受けていない。

 長島氏は「今は不要な与野党対立をしているときではない。政府はさまざまな仕事を抱え込み過ぎて、外部からの声に耳を傾ける余裕がないのではないか」と指摘している。

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 (辻元清美議員)

 東京電力福島第1原子力発電所の放射能(放射性物質)漏れで市域の一部に屋内退避指示が出ている福島県いわき市。同市出身の自民党、森雅子参院議員も地 元の物資不足を踏まえ、経済産業省にガソリンを運ぶタンクローリーがいつ届くのか何度も問い合わせたが、「出したつもりだ」など要領を得なかった。

 震災対応をめぐる与野党のトラブルは、25日の各党・政府震災対策会議の実務者会合でも火を噴いた。

 

 「野党側が提案したのに、なぜガイドラインには民主党議員の名前しかないのか。それなら、こんな会議はただのガス抜きだ!」

 

 自民党の谷公一衆院議員は、政府が25日に被災県に出した「がれき撤去に関する指針」に、民主党議員の名前しか記されていないことをやり玉にあげた。

 第1原発の冷却作業をめぐり、約50メートルのアームから放水し、無人操作で作業員の被曝(ひばく)の危険性が軽減できる特殊車両の提供を三重県の建設 会社が申し出たにもかかわらず、見送られていることも分かった。目標に正確に放水でき、冷却に大きな効果が期待されるが、関係者は「危険を顧みずに申し出 たのに政府、東電の対応が後手になっている」と不満を募らせている。

 

 政府に野党などの提言が届かないことについて、ある政務三役は「災害の規模が大きく、政府が指揮する範囲が広すぎて細部に目が届かない」と釈明する。だ が、別の民主党幹部は「政治主導をうたい、全ての対応を政府で行おうとしているのが諸悪の根源だ」と、アドバイスを受け入れる体制に不備があることを認め た。

 アメリカが官民でいま日本に提供している災害支援の全体図が明らかになりました。

 

米軍の支援などはすでにわかっていましたが、驚いたのは民間の企業やその他の団体があっというまに総計160億円相当の寄付を集めて、日本側に贈ったことでした。

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〔ワシントン=古森義久〕

 藤崎一郎駐米大使は24日の記者会見で米国の官民から日本の被災に供された種々の支援の状況をまとめて発表した。米軍2万人が参加しての支援や原子力専門家50人の協力のほか民間では非政府組織(NGO)や企業から少なくとも2億㌦(約160億円)の義捐金が寄せられたという。

 

 同発表によると、米国政府の支援ではまず捜索救助隊2隊計144人による大船渡、釜石両市での活動のほか、政府機関の原子力専門家約50人の派遣が主体。

 

米軍は第7艦隊を中心に兵員約2万人、艦艇20隻、航空機140機がすでに参加した。具体的には空母ロナルド・レーガンと揚陸艦エセックスのヘリと水陸両用車両を動員し、22日までに日本側の84の避難所に人道物資350トンを運んだ。海兵隊は水陸両用車両150台、ヘリなど20機で被災地至近空港へのピストン輸送を実施しているという。

 

 福島第1原発には米政府から消防車2台、ポンプ5基、防護服99着などが提供された。

 

 同大使の発表によると、民間では米国赤十字、ワールドビジョンなどのNGO合計約40が救援や募金の活動を開始し、物資や人員がすでに被災地に継続的に送られている。全米各地の日米協会や日系団体、さらにプリンストン、エール各大学など主要校でもいっせいに募金が始まった。義捐金の額が顕著なのは民間企業でコカコーラ、ゴールドマンサックス、プルデンシャルなど4社が各600万㌦以上、3社が500万㌦で、合計41社が100万㌦以上の寄付をした。これら民間全体の義捐金はすでに2億㌦近くになるという。

 

 またワシントンの日本大使館が設けた弔問所にはオバマ大統領、バイデン副大統領のほか現職閣僚5人が個別に訪れ、記帳した。弔問記帳者は23日までに642人に達したという。

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アメリカでは日本への懸念や関心がさらに高まっています。

 

官民から寄せられる支援はものすごい勢いです。

日米両国間のきずなの強さを改めえて感じさせられます。

 

ワシントンでは日本の大被災の意味について考察する試みも多々、始まっています。

 

そのうちのひとつをお伝えします。

 

「日本の悲劇」と題された討論会ではありましたが、内容は日本人への賞賛と激励が主体でした。ただし菅首相の指導力欠如がはっきりと指摘された点は印象に残りました。

 

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  日本の悲劇

 

〔ワシントン=古森義久〕

 米国の大手研究機関AEI(アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート)は23日、東日本大震災がこんご日本の社会や政治にどんな影響をもたらすかを論じる討論会を開いた。「日本の悲劇=危機から分岐点へ?」と題するこの集いでは米側専門家たちが日本国民の抑制された対応を礼賛する一方、菅直人首相が指導力を発揮できていないという考察を表明した。

 

 同討論会ではAEI日本研究部長で日本政治の専門家のマイケル・オースリン氏が「日本国民がこの歴史的な災禍に冷静や抑制を保って対応したことは米国側ではイデオロギー面でまったく異なるリベラル派のニューヨーク・タイムズから保守派のFOXテレビの評論家グレン・ベック氏まで一様に感嘆させた」と述べるとともに、「日本人がこの種の状況で米国でのように略奪や暴動を起こさず相互に助け合うことは全世界でも少ない独特の国民性であり、社会の強固さだ」とも強調した。

 

 オースリン部長はこの種の危機への対処には国家指導者が国民の団結をさらに強めることが好ましいと述べ、「しかし菅直人首相はその役割を果たしておらず、枝野幸男幹事長に代行させているようだ」とも語った。

 

同部長はさらに「大震災直前には菅首相は違法献金問題で辞任寸前に追い込まれ、政治的麻痺の状態にあったのだから危機でもリーダーシップを発揮できないのが自然かもしれない」と述べた。

 

 日本の対外姿勢について同部長は「国内の復興のために当面は内向きになるのは当然で外交や安保、対外援助などの面で消極的となり、米国との関係でも普天間問題などは棚上げにする見通しが強い」とも語った。

 

 一方、日本の文化や社会を専門とするジョージタウン大学のケビン・ドーク教授は「日本国民が自制や自己犠牲の姿勢でこの大災害に対応した様子は広い意味での日本の文化を痛感させた。日本の文化や伝統も米軍の占領政策などによりかなり変えられたのではないかと思いがちだったが、文化の核の部分は決して変わらないのだと今回、思わされた」と述べた。

 

 同教授はまた「近年の日本は若者のわがままや引きこもり、無気力など後ろ向きの傾向が表面に出ていたが、今回の日本全体の災害への対応で積極かつ強固な精神や相互の団結が示され、伝統的な文化の不変ぶりやその本来の文化による新しい目的意識を持つ新日本の登場さえを予測させる」とも論評した。

 こんな報道が流れました。

 福島原発の事故は防げたかもしれないというのです。

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  〔ワシントン=古森義久〕

 

 米国大手紙が23日、福島第1原子力発電所の事故は別種の原子炉冷却装置を採用していれば、被害を減らせる可能性があったと報道した。同報道は東京電力も規制当局もその設備の効用を知りながら排除した、としている。

 

 ウォールストリート・ジャーナル同日付は「日本は原子力の弱点への警告を無視した」という東京発の見出しの記事で福島第1原発の電力に頼る原子炉冷却装置が停電のために機能を停止し、被害を広げたことを伝えたうえで、実は電力を必要としない「非常用復水器」という別種の冷却装置があったが日本側はあえて採用しなかったのだと報じた。

 

 非常用復水器は原子炉が隔離された際、外部電源がなくても原子炉内の蒸気を凝縮し、その凝縮水を原子炉圧力容器へと戻して冷却する機能を持つ。

 

 同報道は元東芝の原子炉設計者で現東大教授専門家の言葉として日本の原子力安全委員会などの規制当局はこの非常用復水器は重視せず、既存の電力依存の冷却装置の使用継続を認めてきた、としている。東京電力も福島第1の原発の冷却装置を非常用復水器に変更することが可能だったにもかかわらず、その措置は取らなかったという。

 

 ただし福島第1原発の6基の原子炉のうち1基だけは非常用復水器を使っていたが、同報道はその点については「他の5基より旧式で小型の同原子炉は内部の熱の急上昇で復水器の機能が壊されたようだ」という専門家の見解を紹介している。(終わり)

http://www.worldtimes.co.jp/today/photonews/110318/s110318-1.jpg

 

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