2011年07月

いま世界の軍事情勢で最も注視されるのは新興軍事大国の中国と旧来の超大国のアメリカとの関係でしょう。

 

米中軍事関係の特徴の一つは、両国が対立や摩擦を重ねながらも、軍部同士の交流や対話が細々とにせよ、長年、続けられてきたことです。

 

しかしいまここにきてその米中軍事交流の功罪がアメリカ側で論議されるようになりました。いまのような交流は単に中国軍に有利な材料となるだけだから、構造を変えよ、という意見が出てきたのです。

 

その動きを記事にしました。本日の産経新聞に掲載されています。

 

[if gte mso 9]> Normal 0 0 2 false false false MicrosoftInternetExplorer4                     =======

 

 

〔ワシントン=古森義久〕

 オバマ政権が重視の構えをみせる米中軍事交流の是非をめぐる論争が米国側で激しく展開された。米軍統合参謀本部議長がその擁護を述べたのに対し国防総省の元高官がいまの交流は中国軍を利するだけだとする批判を表明した。

 

 マイク・マレン統合参謀本部議長はすでに退任が決まっているが、在任中の主要課題を総括する形で米中両国軍部の交流や対話について「中国への信頼の一歩」と題する論文をニューヨーク・タイムズ26日付に発表した。

 

 同議長は同論文で「米中軍事関係は世界でも最重要な関係だが、疑惑や誤解につきまとわれ、戦略的信頼を求める必要がある」として現在の米中軍事対話を続け、深めることを提唱した。同論文は米中両国が大量破壊兵器の拡散防止やテロ対策、朝鮮半島の安定など利害を共有する分野に焦点を合わせてとくに軍事交流を進めるべきだ、と説いた。

 

 同論文はまだ中国軍が透明性に欠けることや、台湾への武力行使を示唆すること、「防衛のみ」と称しながら攻撃的能力を高めていること、南シナ海での強硬な態度を変えようとしないこと、などを指摘しながらも、米中が対話を深めることが必要だと総括した。

 

 こうした米中対話促進論には米国側ではかねてから批判があったが、たまたま同じ26日、ブッシュ前政権で東アジア担当の国防次官補代理などを務めたランディ・シュライバー氏が「米中軍事交流は失敗する」と題した論文をワシントン・タイムズに発表した。

 

 同論文は「現在の米中軍事交流は中国軍にのみ利益をもたらし、米側の目標の中国軍の透明性向上などは交流の開始から30年が過ぎても、まったく実現していない」として、まずいまの交流の不毛を強調した。

 

 同論文は同交流の一環として5月に訪米した中国軍の陳炳徳総参謀長が米側の台湾への武器供与や中国への偵察行動を非難し、その中止をこんごの米中軍事交流継続の条件のようにしたことを指摘して「中国側は米側の行動が不満だと対話をボイコットして対米圧力をかけるが、米側は対話自体の継続を重視するため台湾への武器輸出などの実施を自粛し、自国本来の政策まで変えてしまう」と述べ、「中国軍は対米交流を自国の主張の機会として利用し、米側の政策に影響を与えようとする」とも主張した。

 

 シュライバー氏はさらに過去の対話が中国への抑止にはならず、中国は南シナ海での軍事威嚇やサイバー攻撃、新型のミサイルや戦闘機の開発など米国の意向を無視して進めてきた、と述べ、米中軍事交流の再構築を訴えた。同氏は具体的には中国に台湾への武力不行使や南シナ海での航行の自由の保証などの誓約を求め、それが実現しなければ、米国側が逆に米中軍事交流を中断すべきだと提案した。

 新刊書の紹介です。

 

 「評伝 笹川良一」(中央公論新社) 著者は伊藤隆氏です。

 

 タイトルから明白なように昭和の異色の大物、笹川良一氏の伝記です。

 

 本の帯の記述は以下のようです。

 

 「国粋大衆党の党首、衆議院議員、A級戦犯の容疑者、『戦犯者』の援護、モーターボート競走の創立者、日本最大の社会貢献団体のトップ・・・・・」

 「毀誉褒貶をものともせず我が道を貫いた『大きな男』」

 

 とあるように基本的には笹川良一氏の軌跡をポジティブに描いた評伝です。

 

 さらりと読んで、まず印象に残ったのは、笹川良一氏のマスコミ批判についての部分でした。

 

「笹川が出演する日本船舶振興会のCMをご記憶の読者は多いことだろう。笹川のCMは、船舶振興会を浸透させる大きな役割を果たしたが、マスコミの絶好の標的になったことも否めない。笹川はこれに対して批判・反論を強めていく。

 『彼等は、口を開けば公正中立、報道の自由、知る権利だとか知らせる義務だとかいっているが、その本家本元が正しいことにいいがかりをつけて、他人の言論抑圧をやるというのだから不届千万だ。彼等のいい分は「笹川はけしからん」の一点ばりだが、笹川だろうがなんだろうが、良いことは良く、悪いことは悪いのであって、笹川良一だから「国旗を掲げよう」「父母を大切に」「物を大事に」「他人には親切に」「戸締まり用心、火の用心」などという社会への呼びかけがいけないというのは倫理的ではない』

 と笹川は述べるのだった」

 

 

日本の拉致被害者の救出に努める合同訪米団がワシントンを先日、訪れた際の出来事の報告です。

 

北朝鮮による日本人拉致の「家族会」「救う会」「拉致議連」の代表たちが面談して下院外交委員会の有力メンバーのスティーブ・シャボット議員が「日本は独自の核武装を真剣に論じるべきだ」と促したのです。中国と北朝鮮を動かし、北朝鮮の核武装停止や拉致被害者の解放を実行させるための有効な手段だというのです。

 

日本ビジネスプレスの私の連載コラム「国際激流と日本」からの転載です。

 

なお原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/16338

                          =======

 

 さらに山谷、谷田川、竹本、向山各議員も、米側が北朝鮮に向けて強固な姿勢を保つことを要望した。

 

 そして塚田議員が、米国は北朝鮮のミサイルの脅威 をどれほど警戒しているかを質問した。

http://go2senkyo.com/img/profile/0019/00019354.jpg

 (塚田一郎議員)

 それに対してシャボット議員は、共和、民主両党で認識に差はあるが、米国全体としては北の核兵器開発の動きを強く警戒しており、核兵器開発の動きはミサイルよりもさらに深刻に受け取るべきだと強調した。

 

 その上でシャボット議員は次のように発言したのだった。

http://o.aolcdn.com/photo-hub/news_gallery/6/8/684393/1283714545125.JPEG

 

 「北朝鮮の核兵器開発は、韓国、日本、台湾、米国のすべてにとって脅威である。北朝鮮には食糧も燃料も与えるべきではない。圧力をかけることに私も賛成だ」

 

 「私は日本に対して何をすべきだと述べる立場にはないが、北朝鮮に最大の圧力をかけられる国は中国である。その中国は日本をライバルとして見ている。・・・だから、もし日本に核兵器保有を真剣に考える動きがあれば、中国は日本に核兵器保有を断念させるために、北朝鮮に核兵器の開発を止めるよう圧力をかけるだろう」

 

 肝心な部分はこれだけの短い発言ではあったが、その内容の核心は、まさに日本への核武装の勧めなのである。

 

 北朝鮮の核兵器開発を停止させるために、日本も核兵器開発を真剣に考えるべきだ、というのだ。

 

 そして、その勧めの背後には、北朝鮮が核開発を止めるほどの圧力を中国から受ければ、当然、日本人拉致に関しても大きな譲歩をしてくるだろう、という示唆が明らかに存在する。

 

 つまりは北朝鮮に核兵器と日本人拉致と両方での譲歩を迫るために、日本も独自に核武装を考えよ、と奨励するのである。

政策オプションとして一考に値する

 シャボット議員は米国議会では保守派と見なされている。

 

 しかし下院で多数を制した共和党の有力議員なのだ。

 

 そうした地位にある政治家が正面から日本に核武装の勧めを説いたことの意味が大きい。

 

 米国全体ではまだ日本の核武装というシナリオへのコンセンサスはないが、下院の多数党の有力議員が堂々と「日本も核武装検討を」と説いたという新 展開はいろいろな意味でショッキングである。

 

 だが、こんな対日提言は日本を同盟パートナーとして信頼しているからこそ、とも言えよう。

 

 日本としても、国民レベルで核兵器開発への合意が生まれる気配は今はまったくないが、北朝鮮の核武装を停止するため、さらに日本人拉致被害者たちを救出するため、の手段だということであれば、一考以上に価する政策オプションだと言えるのではないか。(終わり)

                 ========

 菅直人氏がますます台風の目となっています。

 

 この人は一体、どんな人間なのか。

 

 それを知るには彼の過去の政治軌跡を知る必要があります。

 

 菅氏が北朝鮮とのきずなの深い政治団体に巨額の寄付をする理由もその政治軌跡から浮かんできます。

 

 菅氏は全共闘やベ平連に加わっていたそうです。

 

 この二つの左翼組織は私が毎日新聞記者時代に取材対象としました。

 

 その体験を以下の本に書きました。

 

 

  

 

 菅氏が関与した組織、時代については以下の章で詳述しました。

 

 第三章 米軍を「悪」と断じた学生運動

  

  市街戦のような王子デモ

  東側からみるか、西側からみるか

  東大紛争前夜

  日大闘争の表と裏

  深夜の新宿騒乱

  「実のない」デモで色あせる学生運動

 

 第四章 ベトナム戦争の「真実」

 

  古都の住民はアメリカ側に逃げてきた

  ベトナム人同士が戦うということ

  「自由」が残っていた南ベトナム

  そこに「ヤンキー・ゴーホーム」はなかった

  共産化の危機に立ち向かったアメリカ

  反戦派には都合の悪い真実

  切り捨てられた南ベトナム

  サイゴン陥落

 

   以上、自分の本の宣伝ですが、その内容はまさに菅直人氏が若き政治活動家として動き始めた時代、環境、そして組織なのです。菅氏らは日米安保の破棄を叫び、米軍の存在自体を悪だと断じ、共産主義体制を結果として礼賛する側だったのです。

 

 私はそういう時代の流れを目撃者として、この本で書きました。

 

 

 

 

 

 

 

  アメリカの連邦議会の有力議員から日本も核武装を真剣に考えるべきだ、という提言が出ました。すでにこのブログでも報じた動きですが、もう一度、幅広い文脈において、レポートしました。

 

 北朝鮮に核兵器開発を止めさせ、日本人拉致被害者を解放させるには、日本核武装の準備を始めることが最も効果がある、というのです。

 

 日本ビジネスプレスの私の連載コラム「国際激流と日本」から、です。

 

 なお原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/16338

 

                               =======

 米国議会の有力議員が日本に核武装を考え、論じることを促した。日本で大きく取り上げられることはなかったが、様々な意味で衝撃的な発言だと言える。

 

 米国議会の議員が半ば公開の場で、日本も核兵器を開発することを論議すべきだと正面から提言したことは前例がない。

 

 これまでの日米関係の常識では考えられない発言だと言えるが、政治情勢はいつでも大きく変わり得るという哲理の例証だろう。

国会議員を含む拉致関連の合同代表団が米国を訪問

 この衝撃的な発言は、7月10日からワシントンを訪れた拉致関連の合同代表団の前で飛び出した。

 

 この代表団には日本の超党派の国会議員たちが合計8人も入っていた。まず、この代表団の説明から始めよう。

 

 北朝鮮による日本人拉致事件に関する「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救 う会)」「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟(拉致議連)」の合同訪米団は、拉致解決のための米側の協力をさらに得るとい う目的で、ワシントンを訪問した。菅直人政権下では珍しい超党派の議員活動でもあった。

  

 拉致議連からは、たちあがれ日本の平沼赳夫会長の下に副会長の山谷えり子参議院議員、幹事の塚田一郎参議院議員(ともに自民党)、事務局長の松原 仁衆議院議員(民主党)、さらに対米折衝では新顔の谷田川元衆議院議員、向山好一衆議院議員(ともに民主党)、竹本直一衆議院議員(自民党)が加わった。

 

   そのほかに内閣府で拉致問題を担当する副大臣の東祥三衆議院議員(民主党)が菅政権の代表の形で同行した。

http://www.kantei.go.jp/jp/kan/meibo/fukudaijin/images/azuma.jpg

 

 

 

 「家族会」からは飯塚繁雄代表と増元照明事務局長、「救う会」から島田洋一副会長が加わり、一体となっての合同訪米団だった。

 

 この訪米団は7月14日まで米側のオバマ政権高官たちや連邦議会の上下両院議員たちなど合計14人と面会し、新たな協力や連帯への誓約の言葉を得た。

日本の核武装は中国を動かす

 核武装発言はこの対米協議の過程で11日、下院外交委員会の有力メンバー、スティーブ・シャボット議員(共和党)から出たのだった。

http://chaselaw.nku.edu/getThumb.php?id=5172&w=220

 

 

 シャボット議員はオハイオ州選出、1994年の下院初当選以来、9回連続の当選を続けてきたベテラン議員で、下院外交委員会の有力メンバーとして、現在、中東・南アジア小委員会の委員長を務めている。

 

 シャボット議員と訪米団との会談では平沼会長と飯塚代表が挨拶し、同議員が日本人拉致事件の深刻さへの理解とその解決への協力の意向を表明した。

 

 続いて東副大臣が、米国が北朝鮮に圧力をかけることを要請し、松原議員が、オバマ政権が検討している北朝鮮への食糧援助を実行しないように求めた。

 

 シャ ボット議員も同調して、北朝鮮に融和の手を差し伸べてもこちらが望む行動は取らず、むしろこちらが強硬措置を取った時に譲歩してくる、と述べた。

(つづく)

 

↑このページのトップヘ