2011年08月

野田佳彦氏が提起した靖国参拝に対するアメリカ側の識者の見解の紹介を続けます。

 

日本ビジネスプレスの古森義久のコラム「国際激流と日本」からです。

なお原文へのリンクは以下です。             http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/19719 

 

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 「挑発的と思われるかもしれないが、日本の首相が年に1度よりも頻繁に、たとえば毎月でも靖国を参拝することをまじめに提案したい。そうすれば首 相は反対者の多くが主張するように戦争や軍国主義を礼賛するために参拝するのではなく、生や死に対する精神、信仰の適切な応じ方を真に敬虔に 模索するために参拝していることを明示できる。

 その明示の最善の方法は信仰にもっと積極的になることであり、そのために儀式上どのような祈念の形態をとるかは首相自身の権利として選べばよい」

 「一国の政府が他国の指導者の戦死者追悼の方法に外部から無理やりに政治や外交の意味を押しつけ、その追悼の中止を要求することは人間の心を排除し、民主主義の基本を脅かすことになりかねない。個人の精神の保ち方や信仰のあり方が脅かされるからだ」

 ドーク教授は以上のような見解を今も変えていないと明言する。そして、さらに次のようなことを述べるのだった。

 「中国政府が小泉首相の靖国神社参拝を、軍国主義や戦争の美化と結びつけて非難することはあまりにも皮肉な倒錯である。今、中国が異様なほど大規 模な軍拡を進めていることは全世界が知っている。その軍国主義の中国が日本の首相の神社参拝をとらえて、軍国主義だと非難するのだ。

 また、中国が靖国を攻撃する背景には政治や外交の武器にするという目的以外に、信仰や宗教を脅威とみて、反発するという現実がある。中国政府は現 に国内のカトリック教徒を弾圧し、逮捕までして、バチカンを無視し、自分たちに都合のよい人物たちを勝手に司教に任命している」

 米国の識者の間にこんな意見があることをわれわれ日本側としては少なくとも認識はしておくべきだろう。

中国の狙いは日本の指導層の「調教」?

 米国学界で中国研究の泰斗ともされるペンシルベニア大学名誉教授のアーサー・ウォルドロン氏の見解も興味深い。同氏は2人の叔父を第2次大戦中、 日本軍との戦闘で亡くし、子どものころから日本の戦時中の軍事行動には強い反発を覚えていたという。だが、近年、靖国神社を訪れてみたというのだ。

 野田政権の登場です。

 

 しかしこの政権の登場がやがて民主党の自壊につながる、という興味深い評論がありました。

 

 産経新聞の政治部長のコラム記事です。

 

【朝刊 1面】
民主の自壊が始まった 政治部長・五嶋清

 

 菅直人首相よりはましな政権をつくってほしい。心からそう願う。今回の代表選に出馬した5候補の中で、もっとも安定感があるようにみえる野田佳彦財務相 が当選したことは歓迎すべきことだろう。前任者の菅首相、その前任者の鳩山由紀夫前首相の唐突な行動と突飛(とっぴ)な発言に振り回され続けた2年間だっ ただけに、民主党政権3人目の野田氏には落ち着いた大人の政治をぜひ実現してほしい。

 

 ただし、野田氏の政権運営は前途多難であることを予言しておこう。野田氏のつまずきの石になりそうなのは、第一に党運営である。とりわけ問題になるの は、野田氏の対抗馬だった海江田万里経済産業相を推した小沢一郎元代表のグループとの関係である。もっと簡単に言えば、小沢氏と手を結ぶのか、それとも小 沢氏を排除するのかという点である。

  

 野田氏は代表に選出された直後の演説で、「同志愛を感じた。ノーサイドにしましょう」と述べた。代表選期間中も「怨念を超えた政治」を掲げ、「絶対に挙 党態勢で仕事をしなければなりません」と訴えた。だが、ノーサイドも怨念を超えた政治も挙党態勢も、言うほど簡単ではない。

  

 小沢氏の方は、代表選後の海江田陣営の会合で、野田氏を支援する可能性を示しつつも、「これからの態勢次第だ」と警告した。あきらかに小沢グループに対する厚遇、あるいは小沢グループの政治的主張への配慮を求めていると思われる。

 

 たとえば、政策的には、政権公約(マニフェスト)の見直しについて小沢グループと野田氏の主張は異なる。増税をめぐる意見対立の解消も容易ではない。

 

 また、小沢氏は現在、政治資金規正法違反で強制起訴され民主党から党員資格停止処分を受けている。処分を解除すれば、野田氏に投票した多くの民主党議員の失望を招くだろうし、国民の支持も失いかねない。逆に解除しなければ小沢グループとの融和は難しい。

 

 今の民主党は、耳に心地良く高邁(こうまい)な理想に彩られた野田氏の巧みな演説がそのまま通用するような政党ではない。

 

野党との関係も難題である。ねじれ状況下の国会を円滑に運営するには野党に協力を呼びかけることは重要だ。野田氏は演説の中で、「思惑ではなく思いで、 下心ではなく真心で、論破でなく説得で」野党との協力関係を構築したいと言った。至極まっとうかつ真摯(しんし)な主張である。また、野田氏は東日本大震 災復興に向けて、「救国内閣」の樹立を提唱した。いわゆる自民党などとの大連立政権の樹立を目指す必要性を指摘したものだ。野田氏はその後にややトーンダ ウンしたものの今でも大連立を理想形と考えているようだ。

 

 だが、自民党内に強い異論があり、うまくいきそうにないし、野党の協力を得る前に民主党内の理解を得られそうにない。

 

 そもそも民主党自体が、小沢グループと反小沢グループによる大連立政党ではないか。野田氏が目指す大連立が震災復興という目的限定、期間限定の政権であるように、民主党という政党も政権交代を目的として主義・主張が異なる者が寄り集まった期間限定の大連立政党だ。

 

 野田氏はこの党内対立を超克する指針や日本の進む方向を打ち出せていない。羅針盤なき大連立はいつか崩れる。大連立民主党は自壊過程に入ったのではないか。(ごじま きよし)

 


 

小沢一郎氏のパワーもやはり衰えていたということでしょうか。

 

最初の投票でこそ一位となった小沢カイライの海江田万里氏は、それでも143票と、大方の予想をずっと下回りました。この数字でも海江田氏の敗北は決まったも同然でした。

 

そして決戦投票、野田佳彦215票、海江田万里177票、大差といえましょう。

 

小沢氏の神通力は及ばなかったというわけです。

 

さあ、これで民主党への支持率もいくらかは上がるでしょう。

 

自民党はどう野田政権を攻めるのか。

 

予測の難しい点もあるけれど、予測が簡単な分野も広いですね。

サピオ最新号(9月14日号)の古森義久の記事の紹介です。

 

古森義久ワシントン報告 巨弾連載

 

「アメリカの中国研究」第8回

 

ミサイル戦力

 

 

 

 日本をはじめアジア各国を射程におさめる準中距離・中距離弾道ミサイル配備は中国の独壇場だった――

 

それは、日本全土と駐留する米軍基地が標的にされていることを意味する。中国大陸から発射される非核の通常弾頭ミサイルで米軍基地が無力化されれば、アジアにおけるパワーバランスが一挙に中国側に傾くことになるのだ。「アメリカの中国研究」第8回は、中国のミサイル戦闘能力と日本への影響をレポートする。

 

 さあ始まった民主党の代表選、ここでも真の主役は小沢一郎氏のようです。

 

 候補の中で小沢氏のお墨付きを得た海江田万里氏の小沢べったりぶりはすでに露骨です。合同記者会見でも小沢氏を政権中枢に迎えいれる、いや、小沢氏の主導を前提としたいような言辞が明白でした。小沢氏の党員資格停止の解除には海江田氏の積極姿勢ははっきりしていました。

 

 現段階の票読みでは海江田氏が優位だとか。

 このままだと小沢支配の傀儡政権が海江田首相の下に結成されることになりそうです。

 

 その先に予測されるのは小沢一郎首相の登場のようです。

 

 このへんに現時点での光をあてた産経新聞の記事を紹介します。

 

【朝刊 1面】
【激突】「真の目標は小沢首相」

 

 「朝からご苦労さん。みんなで頑張ろう!」

 27日午前、海江田万里経済産業相の選挙対策本部が置かれた都内のホテル。前触れもなく姿を現した小沢一郎元代表は相好を崩した。ほどなく鳩山由紀夫前首相も登場し、稲荷(いなり)ずしと太巻きを振る舞った。

 だが、そんな「小鳩」の気遣いも陣営に漂う冷めた空気は吹き飛ばせない。海江田氏は、小沢氏が消去法の末に選んだ「次善の次」程度の候補にすぎないからだ。

 鳩山氏もかねて「菅直人内閣の現職閣僚は絶対支持できない」と明言してきただけにバツが悪い。しかも鳩山氏側近の大畠章宏国土交通相と中山義活経産政務 官は、鹿野道彦農林水産相の推薦人に堂々と名を連ねた。鳩山氏は自ら電話作戦を敢行してみせたが、これでは小沢シンパがいつものガッツを見せるはずもな い。

                   ◇

 そんな中、ひそかな合言葉が生まれた。「真の目標は来年の小沢首相誕生だ」。小沢氏側近は、政治資金規正法違反事件で小沢氏は来春にも無罪を勝ち取ると踏む。そこから来秋の代表選に向け、復権の足がかりを作るには海江田政権を作るしかないという理屈なのだ。

 小沢氏もこのシナリオは重々承知している。26日夜、都内のイタリア料理店で女性議員約15人が「なんで海江田さんなんですか?」と詰め寄ると、小沢氏はこう答えた。

 「俺のためだ。そう思ってやってくれよ!」

 合言葉はジワジワと浸透し、小沢系のエンジンもかかり始めたが、この戦術はもろ刃の剣でもある。海江田氏が「小沢氏復活劇の前座」にすぎないとなれば中 間派の取り込みは難しくなる。海江田陣営の票読みでは「優勢だが過半数に届いていない」だけに決選投票を見据えるとどんでん返しも十分ある。

                   ◇

 大きな誤算もあった。海江田陣営は、前原誠司前外相が第1回投票で2位になると読み「それならば決選投票で鹿野票を取り込めば負けることはない」と踏んでいた。

 ところが、前原票は予想外に伸び悩み、鹿野氏が2位になる可能性が出てきた。そうなると前原氏や野田佳彦財務相ら「反小沢票」が鹿野氏に流れ、「2 位~5位連合」に海江田氏が敗れることも十分あり得る。小沢氏は27日夕にも選対本部に顔を出し「気を緩めずに頑張れ!」とハッパをかけたのもうなずけ る。

 前原氏が失速したのは、外国人からの違法献金問題がなおくすぶっていることが大きい。27日の記者会見でも献金問題に関する質問攻めに遭い、前原氏の笑顔は吹き飛んだ。

 「もうこれ以上、説明するつもりはないからな!」

 会見後、前原氏は周囲にこう毒づいたが、首相になればこの程度の追及では済まない。

 27日夜、前原氏はインターネット番組に出演したが、これも裏目に出た。視聴者のツイッターは「引っ込め」など誹謗(ひぼう)中傷がほとんど。暴力団と の会食疑惑を指摘する書き込みもあり「暴力団と飲んだなんてことはないですよ」と釈明に追われた。陣営幹部は厳しい表情で漏らした。

 「中間派議員に電話しても留守電ばかり。かなり深刻な状態だ…」(坂井広志)

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