2011年09月

 私が大好きだった台湾の映画についての記事が産経新聞に出ました。

 

 これを機に、またその映画「海角七号」の紹介をしたいと思います。

 

 台湾の人たちの日本への熱い思いがこの映画からたっぷりと感じられるのです。

 

【朝刊 1面】


11月5日「海角七号」上映会 第3回「正論」シネマサロン


 

 雑誌「正論」は、読者の方との交流の場として映画上映会を開催します。第3回は、六十数年の時空を超えて、台湾の美しい海辺の街と日本をつなぐ切ない恋を描いた「海角七号-君想う、国境の南」です。

 台湾映画界最大のヒットとなった本作を通じて、戦後の日本人が失ったもの、今こそ取り戻すべき精神や心のあり方について考えてみませんか。

 ▽日時/平成23年11月5日(土)正午(開演)~午後3時30分(終演)▽場所/よみうりホール(東京都千代田区有楽町1の11の1)▽主催/産経新 聞社雑誌「正論」▽協賛/積水ハウス株式会社▽入場料/事前予約1000円、当日券1500円※全席自由▽申し込み方法/郵便番号、住所、氏名、電話番 号・ファクス番号、購入枚数を記入し、03・3241・4281までファクスで▽問い合わせ/産経新聞社正論調査室(電)03・3243・8454(平 日・午前10時~午後6時)

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以下は私がかつてこの映画を紹介するに際してこのブログに立てたエントリーです。

 

 

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台湾映画史上でも最大にヒットをしたという『海角七号』を観ました。日本の若い友人が送ってくれたDVDです。

 

この映画はおもしろい作品を多数、世界に放ってきた台湾映画界でも歴史上、最も大きな興行成績をあげた超人気作です。

 

『海角七号』は恋愛が主題ではありますが、その基底に流れるのは日本と台湾との心温まる愛情、友情のきずなです。

 

台湾を反日として描いたNHKの例のドキュメンタリー番組を作った人たちにみせたい映画です。

 

   

 

主題はまず60余年前の台湾から敗戦を迎えた日本の国民たちが帰ってくる流れのなかで、台湾の少女を愛した日本人の青年教師のドラマです。

 

彼が恋情に揺さぶられながら、別れに直面し、その思いをつづった手紙がいまになって台湾に届けられるのです。

 

しかしその宛先の番地「海角七号」はもう存在しません。その番地に住むはずの台湾の少女の消息もわかりません。

 

その一方、手紙が届けられた台湾の南端の町、恒春では、町おこしのための野外大コンサートが企画され、その中心にある台湾人の歌手志望の青年と、その企画の運営にあたる日本人女性との間に、恋が芽生えます。

 

映画は台湾の南部の風物、人間、社会をふんだんに盛り込み、軽快なペースで進みますが、共通して流れるのは、台湾と日本との強いきずな、とくに台湾の人たちの日本への温かい思いです。

 

この台湾の日本への思いはNHKの例の反日、反台湾の番組とは対照的です。

 

日本ではいま東京の「シネスイッチ銀座」で上映中だそうです。

 

できるだけ多くの日本人に観賞してもらいたい台湾映画だと強く感じました

 

 

  民主党の領袖たちは「国家よりも市民」という態度です。

 

 国家と市民をまず対立する両軸のように並べるところがまず彼等の異様な点です。民主主義の体制ならば市民イコール国家だからです。

 

 「市民派」を自称する政治勢力には隠されたキバはゆがみが多々あります。そのへんを論評した一文の紹介です。

 

正論】筑波大学大学院教授・古田博司 さらば市民派のきれい事の正義


 

 

 

 何をいつまで悲しむのか。

 なでしこジャパンの佐々木則夫監督は、素の自分をさらけ出すこと、それでここまできたという。素の自分とはまじめであることに曇りがないということである。

 

  ≪悲しみ苦しみ続けてはならぬ≫

 もちろん辛いことは限りない。被災地でいまだに父や母が見つからない。娘がもどらない。あのとき、あの場所にいなければ、息子は津波にのまれなかったか もしれない。悔いても悔やみきれない。だが、その悲しみに限りのない自分は、まじめな自分である。まじめすぎて自分を責めてしまう。

 

  日本では神様までがまじめである。日本の神話では神様も悩む。あの世に逝った妻が幸せだろうかと、後を追う。あの世で娘の魂を離さない父の手から、苦難の末に、その娘をこの世に連れ帰る。

 

  まじめは一番である。でも、神様のように苦しむことはない。たとえ姿は失われようと、夢の中で何度でも会うことができる。夢と現実は実用性が違うだけで同じだと言ったのは、哲学者のショーペンハウアーとマッハだった。こういう話は聞いてもよいと思う。

 

  生きているのは苦しいことだけれど、死した人々が励ましてくれる。朝日を受けるたび、彼らのエネルギーがわれわれの体に降り注いでくる。それは神々と一緒なのだといってもよいではないか。

 

 ばかばかしい、もっと悲しもうという市民派は、彼らだけで満ち足りた人々である。チャンネルを回せば、そんな人がキャスターとして毎日出てくる。彼ら は、自分の論理だけが論理だと思っている人々、自分だけが正義だと思っている不まじめな人々である。正義を既得権益のように振りかざす者ほど胡散(うさ ん)臭い。正義は時代によっても違う。16世紀フランスで聖バーソロミューの大虐殺が起きた際にローマ教皇は祝砲を撃たせた。

 

  ≪われわれは試練を乗り越える≫

 何を悩んでいるのか。

 もう悩むことは何もない。われわれは試練を乗り越える。素の自分で死んだ仲間とともにまじめに生きればよい。市民派のきれい事の正義は終わった。まだ自 分に正義があると思い込む彼らは、タバコ代を値上げしろとあがき、放射能が移ると嫌がって腕をさする。復興遅滞、政経不安で国民を苦しめ、朝鮮学校無償化 をイタチよろしく最期に華々しく放った。彼らの世界を変えようとする意図はここまで卑俗に落ちたのである。

 

   「市民」という言葉はとうに薄汚れてしまった。それに気づかせてくれたことは、鳩山由紀夫、菅直人両政権の成果だった。日本は日本人だけのものでないと うそぶき、子ども手当で外国人に十億円も垂れ流しした。マルクス・レーニン主義を奉じる主催者の市民団体に、専ら政党交付金が源とみられる莫大(ばくだ い)な資金を環流させた。自衛隊を暴力装置と呼びつつ、逆に自分たちが階級支配の暴力装置となって国家を内側から破壊した。

 

  彼らのいう「政治主導」とは独裁であり、独裁を「民主集中制」と偽ったレーニンと同様である。彼らは冷戦の落とし子、旧社会主義勢力の申し子である。米 軍基地を追い払おうとし、国防を危うくした。社会主義国に内通し連帯して尖閣諸島沖漁船衝突事件のビデオを隠匿した。電力供給を様々(さまざま)な手段で 阻害し、資本主義経済を弱め、多くの有力企業を海外に追いやり日本経済を空洞化させた。

 

  某市民派新聞も同類である。原子力ムラは戦艦大和の最期、「企業の国際競争力維持」を盾に脱原発依存を牽制(けんせい)する経済人は「国体護持」を叫ん で終戦に抵抗した軍人、被災地の光景は米軍空襲による焼け野原に見えると、反資本主義の意図を太平洋戦争の敗北になぞらえる社説を堂々と掲げた。

 

  ≪多くのこと教えてくれた失政≫

 だが、時代は変わった。なぞらえるべき過去はもはや太平洋戦争ではない。冷戦こそが焦点を当てるべき歴史である。某市民派新聞のプロパガンダは冷戦時の 反資本主義勢力のそれであり古くさい。彼らの描く風景は、民主党の失政が東大安田講堂攻防戦の最期、脱原発依存を叫び日本経済を弱体化させる市民たちは、 「マルクス・レーニン主義」を奉じ資本主義の滅亡を願った自称革命家たち、焼け野原の光景は冷戦に敗れ荒廃した彼らの心象風景だと、そっくり言い返すこと ができるだろう。

 

  何をいつまで悩み続けるのか。早く電力供給を回復させ、空洞化を防ぎ、まじめに働く人々に雇用をもたらさなければならない。

 

 市民派は、バブル崩壊直後に就職氷河期にぶつかったポスト・バブル世代の低賃金労働者から、不公平をチャラにするため戦争をしようと提案されて大きな衝 撃を受けた過去(赤木智弘著『若者を見殺しにする国-私を戦争に向かわせるものは何か-』)を忘れたのか。在日外国人が尊厳ある対等な立場に立てるように 運動する前に貧困労働層の日本人男性をなぜもっと対等に扱ってくれないのか、彼はそう市民派に訴えていた。

 

  まじめに生きようとしても生きられない、そんな社会を作ってはならない。市民派の失政はわれわれに多くのことを教えてくれた。(ふるた ひろし)

 中国からとみられるサイバー攻撃が日本の三菱重工のコンピューター・システムなどに仕掛けられました。

 

 中国のサイバー攻撃はすでに人民解放軍の重要な軍事戦略の一環なのです。

 

 そのことについて雑誌SAPIOの最新号にレポートを書きました。

 アメリカがこの中国のサイバー攻撃をどうみているか、です。

 

 

 

 

 

古森義久ワシントン報告大反響!巨弾連載
第9回サイバー攻撃

 

【 PROFILE】東京生まれ。1963年慶應義塾大学経済学部卒業。毎日新聞記者としてサイゴン支局長、ワシントン特派員などを経て、87年、産経新聞入社。ロンドン・ワシントン支局長、中国総局長を歴任。現ワシントン駐在編集特別委員。『外交崩壊』(文春文庫)、『北京報道700日』(扶桑社文庫)他著書多数。近著に『アメリカはなぜ日本を助けるのか』(産経新聞出版刊)。

米戦略司令部に大量攻撃!

米中戦争はすでに始まっている

 この数年、各国の重要機関のコンピュータシステムに侵入・攻撃を
仕掛けている中国だが、米中間においてはすでに「サイバー戦争」が
始まっている。米国は政府をはじめ、軍や公共システムはすべてコン
ピュータやインターネットに依存している。このシステムにサイバー
攻撃すれば、米国の国家機能は混乱の極みとなる。中国は有事の際、
とりわけ「核心的利害」である台湾有事には、この米軍の弱点を叩く
ことによって米軍の出動を遅らせようというのだ。「アメリカの中国研
究」第9回は、中国のサイバー攻撃能力の実態をレポートする。


「サイバー攻撃に関する限り、米中戦争はもう始まりました」
中国人民解放軍の宇宙兵器やミサイル、サイバー攻撃など、高度技術がからむ領域を専門に研究しているヘリテージ財団の首席中国研究員ディ
ーン・チェン氏が語った。


チェン氏はアメリカ国防総省の中国担当部門、そして議会の技術評価局、海軍の分析センターなどでも通算20年近く働き、中国軍のハイテク分野を調査し、分析してきた。


「中国側はサイバー空間の仮想世界でアメリカとの正面対決がすでに開始されたとみなしているのです。グローバルな規模での米中の戦いです。
正確には中国がアメリカ側の国防や安保関連のコンピュータ網に全世界規模で攻撃をかけているということです」

 

サイバー攻撃の実働部隊は人民解放軍総参謀部の精鋭部隊第3部の任務。

 

ジャーナリスト古森義久
KOMORI Yoshihisa

 

海南島に拠点あり

 サイバーとは周知のようにコンピュータやインターネットを指し、サイバー攻撃とは相手のコンピュータのシステムを襲い、破壊や混乱をもたらす活動のことである。ただしその攻撃にも大別して2種類あり、第一は文字どおり相手のシステムを壊すこと、第二は相手のシステムに侵入して、情報や機密を盗むことだとされる。

 米側の最近の公的な報告でも、「2010年4月8日に中国側組織が全世界のインターネット情報の15%を18分間、中国国内のサーバーへとハイ
ジャックすることに成功し、その情報にはアメリカの軍や政府のインターネット交信も大量に含まれていた」と、ショッキングなサイバー攻撃の
実例が伝えられた。


〔以下略)

 

 

 新しい本の紹介です。

 

1970年代から80年まで外務次官や駐米大使を務めた東郷文彦氏の伝記ですが、その中心は日本への米軍核持ち込みについての「密約」と東郷氏がどう取り組んだか、となっています。

 

おもしろい本です。

 

http://img.bk1.jp/bibimg/0345/03451773.jpg

 著者は日本経済新聞の特別編集委員の伊奈久喜記者です。

ユニークで鋭い論評で知られる伊奈記者のコラム記事などは、このブログでも何回か紹介してきました。

 

本書では私がライシャワー元駐日大使にインタビューして得た「ライシャワー核持ち込み発言」も出てきます。この発言で明らかにされた「密約」への対処が東郷氏の主要任務だった時期もある、というのです。

 

同書に以下の記述がありました。

 

「ライシャワーは1981年5月9日、ボストン郊外ベルモントの私邸で『毎日新聞』の古森義久記者のインタビューに応えた。5月18日付『毎日新聞』一面トップ記事の冒頭部分を引用する(以下、略)」

 

東郷文彦氏は私が海外特派員として初めて南ベトナムのサイゴンに赴任したとき、南ベトナム駐在の日本大使でした。そしてその後、ワシントンに最初に赴任したときにも、東郷氏は駐米大使でした。しかし私は新米特派員だったこともあり、同氏と直接に接触したことはほとんどありませんでした。日本外務省とはそのころあまり接することがなかったという背景もありました。

 

しかし伊奈氏はこの東郷氏の外交官としての軌跡をとてもおもしろく描いています。

単行本

戦後日米交渉を担った男

外交官・東郷文彦の生涯

伊奈久喜 著

いわゆる核密約の証拠とされた極秘文書「東郷メモ」。これを書いた外交官は安保改定、沖縄返還交渉でいかなる役割を果たしたのか。日米同盟のあり方を決定づけた陰の主役を描く評伝

書誌データ

  • 初版発行日2011/9/25
  • 判型四六判
  • ページ数240ページ
  • 定価1995円(本体1900円)
  • ISBNコードISBN978-4-12-004286
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戦後日米交渉を担った男

 台湾の安全保障に関するレポートの紹介を続けました。

 

 日本ビジネスプレスの古森義久の連載コラムからの転載ですが、このコラムを書いた直後にオバマ政権が台湾への新たな兵器類の売却を公式に決定して、発表しました。このレポートで「非公式」として報じたとおりの内容です。

 

 オバマ政権はやはり台湾の懇願を聞きませんでした。F16戦闘機の新型を売らなかったのです。それはなぜなのでしょうか。

http://image02.wiki.livedoor.jp/n/2/namacha2/f0071fe5cece2b32.jpg

 

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 だが、その数日後にワシントンで流れた非公式情報では、オバマ政権はやはりF16戦闘機の新鋭C/D型は台湾には売らず、A/B型のアップグレードで抑止力の向上を求めることにしたという。蔡氏のワシントンでの懇願は実現されなかったようなのだ。

 

 一方の中国は戦闘機を合計1400機ほど保有し、どんどん新型機を導入している。

 

 台湾海峡に向けては、旧ソ連から購入した「スホイ27」「スホイ30」という戦闘機に加え、「殲-10型」から、最新鋭のステルス戦闘機「殲-20型」までを配備しようとしている。蔡氏は中国空軍のこうした戦闘能力の増強に対応してF16 C/Dを求めたわけだ。

 

 米国の議会では、台湾の空軍の窮状への理解は広範に存在する。2011年8月には下院議員百八十数人、上院議員45人が連名でオバマ大統領に書簡を送り、中国軍への抑止として台湾にF16 C/Dの売却を許可することを要請した。

 

 この230人近くの連邦議員たちは民主、共和両党を含む超党派だった。このためオバマ政権がもしF16 C/Dを今回、台湾に売らないことを正式に決めれば、米国議会からは多数の反対の声が巻き上がることとなる。蔡氏にとっても、「ワシントンの台湾の友人た ち」の影響はときに極めて大きいから、なお議員たちの動きに希望を託すこととなろう。

台湾が日本に求める安全保障上の連携強化

 蔡氏はまた次のような発言もした。

 

 「台湾は単に台湾海峡の情勢を気に病むだけでなく、米国との他の地域での連携、そして東アジア地域全体での米国とその同盟諸国との連携を強化することにも努力を注がねばなりません」

 

 表面だけ見れば、この言葉はごく当然と受け取られるだろうが、よく吟味すると、蔡氏がアジアでの米国の同盟諸国、つまり日本にも安全保障上の連携強化の手を差し伸べていることが分かる。日本としても無視すべきではない外交触手だと言えよう。

 

 講演が終わって台湾の記者団たちとも言葉を交わす蔡氏に「日本の記者ですが・・・」と声をかけると、蔡氏の表情が一瞬、目に見えてなごやかになった。日本への親近感がうかがわれる反応だった。

 

 こうした一瞬の印象だけで、政策面を推察することは危険だが、日本には少なくとも日頃から連帯感を持っているという感じの対応だった。こんなところにも日本にとっての台湾の重要性がにじむように感じたわけである。

(終わり)

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