2011年10月

 さあ、TPP論議の続きです。

 

 やはりわが産経新聞としての主張、つまり社説を紹介しなければ、話は進みませんね。

 

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【主張】TPP 首相は参加決断の時だ 根拠なき不安の払拭に全力を

 

 野田佳彦首相には今こそ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を決断し、明言してもらいたい。

 

 参加への反対論や慎重論は激しさを増している。それだけに、首相が自ら最前線に立って参加の意義とメリットを語り、疑問や不安を払拭しなければ、混迷は深まるばかりだ。

 

 貿易立国として繁栄していくことが日本の通商政策の根幹であり、国家ビジョンそのものでもある。TPP参加に、より多くの国民の理解を得ることが最高指導者としての責務である。

 

 問われているのは首相の覚悟である。首相は25日の「食と農林漁業の再生推進本部」で、「高いレベルの経済連携と農林漁業再生の両立を図るため、政府を挙げて全力で取り組んでいかなければならない」と語った。

 

 20日には「完全にルールが決まって入っていくと、むしろハードルが高い可能性がある」と述べている。「結論はまだ決まっていない」といった以前の発言 より交渉参加に前向きな姿勢を示しているが、腰はまだ定まっていない。11月12、13日に米ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳 会議で、米国などはTPPの大枠合意を目指す。日本に残された時間は少ない。

 

 ◆日米同盟が強化される

 多くの関連業界の中でも全国農業協同組合中央会(JA全中)の反発は激しい。「参加すれば日本農業は壊滅する」と、交渉参加反対を訴える「請願書」を衆 参両院の国会議員356人を通じて提出した。民主党内でも「TPPを慎重に考える会」への賛同者が200人に上っている。

 

 こうした反対論に政府・与党は揺れている。前原誠司政調会長が慎重派への配慮から「交渉参加後の離脱もあり得る」と発言した。中途半端な姿勢では、混乱が増すばかりだ。

 

 TPP参加はアジア・太平洋地域の成長を取り込み、日本企業の国際競争力強化に役立つ。さらに日米同盟を強化する意味合いもある。レアアース(希土類) の輸出制限など国際ルールを無視し、独善的な行動が目立つ中国に対する牽制(けんせい)にもつながるからだ。中国が陰に陽に日本のTPP不参加を働きかけ ている意図がどこにあるかを考えるべきだ。

 

 一方、参加しなければ、米国などへの輸出が関税の分だけ不利になる。製造業が生産拠点をTPP参加国に移せば、超円高で加速する産業の空洞化に拍車がかかり、雇用が失われる懸念がある。

 

 デメリットは米国と自由貿易協定(FTA)を締結した韓国と比べれば明らかだ。韓国の自動車は5年後に関税ゼロで米国に輸出できるようになるが、日本車 はトラックだと25%の関税がかかったままだ。韓国は米韓FTAをアピールし、日本の自動車メーカーに韓国立地を呼びかけている。

 

 ◆自民党のぶれも問題だ

 関税以外にも農業や医療、食の安全、労働など幅広い分野がTPPの対象になる。反対派が業界や国民の間に広げている根拠のない不安をなくすべきだ。

 

 医療分野に関し、医師会などは保険診療と自由診療を併用する混合診療の解禁で「国民皆保険制度が崩壊しかねない」と主張するが、現交渉では混合診療や公的医療保険制度は議論の対象外だ。

 

 遺伝子組み換え食品や食品添加物などの安全基準に消費者団体が懸念を示している点は、国内基準の優先を世界貿易機関(WTO)ルールが認めている。「雇用が奪われる」と恐れる労働問題では、単純労働者の流入はもちろん、医師や弁護士などの専門家も含め日本が主体的に規制できる。

 

 金融、電気通信など、TPP内のルールが国際標準になりそうな分野もある。日本抜きでルールが決まる不利な状況を避けるためにも、早くルール作りに加わって国益を守った方が得策だ。

 

 JA全中は与野党各党に反対を強く働きかけているが、選挙支援が絡んで地方選出の国会議員は農業団体に弱い。

 

 自民党の谷垣禎一総裁は「協議しながら国益に適(かな)うかを判断すべきだ」と交渉参加に前向きだったが、異論が出ると「慌てて入っていくのは外交的失 敗だ」と軌道修正した。重要政策を国益を最優先する立場からなぜ決めようとしないのか。民主、自民両党に問われているのはこのことだ。

 日本の国会へのサイバー攻撃が話題となっています。

 

 状況証拠からすれば、間違いなく中国がしかけた攻撃でしょう。

 

 中国がすでに軍事作戦の一環としてアメリカにサイバー攻撃をかけ続けていることは広く知られています。

 

 その実態をレポートしました。

 

 雑誌SAPIOの古森義久の連載です。

 

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「サイバー攻撃に関する限り、米中戦争はもう始まりました」

 

 

 中国人民解放軍の宇宙兵器やミサイル、サイバー攻撃など高度技術がからむ領域を専門に研究しているヘリテージ財団の首席中国研究員ディーン・チェン氏が語った。

 

 チェン氏はアメリカ国防総省の中国担当部門、そして議会の技術評価局、海軍の分析センターなどでも通算20年近く働き、中国軍のハイテク分野を調査し、分析してきた。

 

 「中国側はサイバー空間の仮想世界でのアメリカとの正面対決がすでに開始されたとみなしているのです。グローバルな規模での米中の戦いです。正確には中国がアメリカ側の国防や安保関連のコンピューター網に全世界規模で攻撃をかけているということです」

 

  サイバーとは周知のようにコンピューターやインターネットを指し、サイバー攻撃とは相手のコンピューターのシステムを襲い、破壊や混乱をもたらす活動のことである。

 

 ただしその攻撃にも大別して2種類あり、第一は文字どおり相手のシステムを壊すこと、第二は相手のシステムに侵入して、情報や機密を盗むことだとされる。

 

 米側の最近の公的な報告でも、「2010年4月8日に中国側組織が全世界のインターネット情報の15%を18分間、中国国内のサーバーへとハイジャックすることに成功し、その情報にはアメリカの軍や政府のインターネット交信も大量に含まれていた」と、ショッキングなサイバー攻撃の実例が伝えられた。

 

米側ではチェン氏の指摘するように中国がそのサイバー攻撃を軍事手段の枢要な一環と位置づけ、その能力を高めていることへの警戒を強めているのだ。

 

だから国防総省の「中国の軍事力報告」でも「中国のサイバー戦争」という用語がすでに頻繁に使われている。

 

この8月24日に公表されたばかりの2011年度の同報告も「中国のサイバー戦争能力は大幅に増強された」と強調していた。〔以下略)

 

 



 
 
     
 
     
 
 
   
 
 
 
 

SAPIO (サピオ) 2011年 10/5号 [雑誌]

 

このブログでも何回か紹介してきたベン・キャンベル元上院議員の柔道人生についてのおもしろいレポートがあるので転載します。

 

これを書いたのは国際交流基金ロサンゼルス所長の伊藤実佐子さんです。

伊藤さんはそのすぐ前はワシントンの在米日本大使館の勤務でした。

 

  

(No. 57) もし柔道に出会わなかったら…Add Star

 「もし柔道に出会わなかったら……つまらないチンピラになって、トラブルに巻き込まれて早死にしていただろう」。ワシントンDCのおすし屋さんでランチを食べながら、そんな言葉を聞いて、わたしは驚きました。ちょうど今から1年ほど前のことです。

目の前でそうつぶやいたのは、2005年に連邦上院議員コロラド州共和党)を引退した、ベン・ナイトホース・キャンベル議員です。白髪のポニーテールに、トルコ石と銀細工のループタイといういでたちがよく似合う、北部シャイアン族の血を引く紳士です。

ポルトガル系白人だったお母さんは、結核のために病院暮らし、北部シャイアン族でもプエブロやアパッチの混血でもあるお父さんは、アルコール依存症のため施設暮らしで、幼いキャンベルさんは孤児院で育ったそうです。当時、ネイティブインディアンに対する差別がまだ大きかったころ、思春期を迎えたキャンベルさんは、お決まりのように不良の仲間入り。そんなある日、近所の日系アメリカ人の友人に、その頑強な身体つきから柔道の町道場に誘われたのだそうです。「町道場」と言うときのキャンベル議員の発音は、まるで日本人と区別がつきません。

柔道の魅力にすっかりはまったキャンベル議員は、本場で修業をすべく、1960年明治大学に留学しました。特別研究生として4年間柔道を勉強し、そして1964年東京オリンピックでは、米国柔道チームを率いるキャプテンとして大活躍をしました。準々決勝で怪我をしなければ、あのアントン・ヘーシンクと対戦していたかもしれないのです。

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東京オリンピックに出場した米国チーム、右端がキャンベル議員

帰国後は、カリフォルニアで柔道連盟を立ち上げ、後進の育成に従事しました。同時に、金属と石を結合させる日本の象嵌の技術を活用して、やはりインディアン・ジュエリーの作り手だったお父さんから習った技術を活かし、ジュエリー・デザイナーとしてもその活動の範囲を広げたのでした。その後、コロラド州議員、連邦下院議員、そして上院議員と上り詰めた議員は、クリントン大統領の就任パレードでは、シャイアンの首長の装束に身を包み、白馬にまたがってペンシルバニア大通りをパレードしました。その後、スミソニアン博物館群のひとつ、アメリカン・インディアン美術館の創設メンバーになったり、また子ども向けのアメリカの英雄シリーズの本に取り上げられるなど、広く知られる存在となりました。現在、地元のコロラドで奥さんのリンダさんの実家が営んでいた牧場経営と、ジュエリーデザインで悠々自適の生活です。

そんな議員に、このたび日本政府から旭日中綬章が授与されました。その叙勲伝達式が先日ワシントンDCの日本大使公邸にて厳かに執り行われ、わたしも出席してきました。英語でこの旭日賞は、Order of the Rising Sun。藤崎大使がまず日本語で読み上げる「勲記」には、天皇陛下から宮中において、アメリカ合衆国市民に授けられた勲章であることが明らかにされ、わたしも静かな感動を覚えました。

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旭日賞をつけたキャンベル議員と

さて、冒頭のおすし屋での一幕に戻ります。その日、刺身定食に白いご飯が大好きとおっしゃって、ご飯を3杯もお替わりして健啖振りを発揮したキャンベル議員から、さらに意外なことを聞かされました。明治大学に留学していた60年代初頭は、日本のテレビ時代の幕開けでした。その後、仁侠映画が量産されるようになりましたが、テレビでもさまざまなギャングもののドラマが大量生産されていたようです。

今よりずっと為替はドルに有利だったとしても、奨学金暮らしのキャンベルさん、そういったドラマにアルバイトでよく出演してたそうです。たいてい悪役の「ガイジン・ギャング」だったそうですが。「アメリカでチンピラにならないように柔道をならって日本に行ったのに、東京では何度も殺されちゃったんだよ」。

茶目っ気たっぷりウィンクしてみせる素顔には、連邦上院議員時代にスタッフを震え上がらせていたと聞く厳しさは、まるっきりありませんでした。


●キャンベル議員の生い立ちやアメリカン・インディアン美術館開館祝賀式のときの様子が動画で見られます

TPPについて反対派が叫ぶ主張の中には結果としてのデマが多いことが次々に判明しています。

 

10月25日の日本経済新聞の社説もその点を的確に指摘していました。

 

こうみてくると、反対派のキャンペーンには特定の政治意図があるのかな、とも思えてきます。

 

なぜなら、常識で考えただけでも、ありえないような破局的事態がTPPにより日本国に起きるというのですから。

 

日本の医療・保険がTPPにより強制的な変えられる、というのも事実ではない。

 

農産物の遺伝子組み換えを強いられるというのも、事実ではない。

 

食品の安全基準を変えられるというのも、事実ではない。

 

外国から医師や弁護士などの専門家が大量に流入してくるといのも、事実ではない。

 

単純労働者の大量流入も事実にあらず。

 

農産物などの関税即時撤廃というのも、事実ではない。

 

こんな諸点が以下の社説に記されています。

 

だまされないでくださいね。

 

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日本経済新聞10月25日社説  

 

丁寧な説明でTPPへの誤解なくそう

 

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加をめぐり、国内で賛否両論の議論が白熱している。現実の交渉に関する情報が足りないため、反対派の中には事実と異なる主張も散見される。

 

 TPPの虚像と実像が混在した状態では、日本の将来を左右する重要な議論はできない。政府はこれまで交渉参加国から個別に情報を集めている。高い精度で交渉を把握しているはずだ。

 

 誤解や曲解に基づく不毛な議論に終止符を打つため、政府は入手した知見を開示して、丁寧な説明を尽くすべきである。情報不足で、TPP反対論が既得権益を守ろうとする動きを強めるのが心配だ。

 

 民主党の前原誠司政調会長は、根拠がないTPPへの恐怖感を指摘し、これを「TPPおばけ」と呼んだ。一方、国民新党の亀井静香代表は「(政府が)自分たちにしか分からないようにしていることこそおばけだ」と述べた。

 

 論点を明確にしないままの言葉の応酬は、国民の不信につながりかねない。政府は不安や疑問に具体的に回答を示すべきだ。

 

 医療・保険に関しては、混合診療の解禁や企業の医療参入が進み、国民皆保険制度も崩壊しかねないと心配する声がある。このため医師会など医療関係者は交渉参加に反対しているが、実際の交渉ではこれらは協議の対象ではない。

 

  

 遺伝子組み換え農産物や食品添加物、農薬などについて、安全基準が強制的に引き下げられると恐れる声もある。だが科学的な根拠に基づき国内で基準を設ける権利は、世界貿易機関(WTO)協定で認められている。国内措置はTPP交渉に左右されないはずだ。

 

 医師、弁護士などの専門家や、外国人労働者が大量に流入し、国内の雇用が脅かされるとの意見もある。だが、労働市場の開放問題は現実のTPP交渉では取り上げられていない。必要な規制改革の議論は、TPPいかんにかかわらず進めるべきテーマだ。

 

 農産物をはじめ、すべての貿易品目について関税を即時撤廃するという見方も誤りだ。10年間などの長い年月をかけて段階的に関税を下げるため、市場開放に備える準備期間は十分にある。

 

 反対派に共通するのは、TPPを主導する米国の圧力で、日本の国益が損なわれるという意識だ。疑念をはらすためにも、政府はとりわけ米国との対話の経緯と現状を詳しく説明すべきである。

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元外務次官の谷内正太郎氏の論文の紹介を続けます。

 

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に日本が参加すべきだという主張です。

その理由がわかりやすく説かれています。

http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/R/R127/20060423/20060423201944.jpg

 

 

 雑誌WEDGEからの転載です。

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WEDGE OPINION

TPP参加は「強い安保・経済」への分水嶺

 

 

 安全保障の観点から、西太平洋における力の実態を眺めてみれば、更にくっきりと、全く異なる絵柄が浮かび上がる。西太平洋地域の力の実体は、大陸 国家であり、旧共産圏であり、国連安保理常任理事国であり、核兵器保有国であり、強大な通常兵力を保有するロシア中国である。 

 

 ロシア軍の総兵力は、冷 戦後、約100万人に縮小したが、通常兵力の劣勢を戦略・戦術核兵器で補うべく、核の先制使用を公言し始めた。総兵力200万人の中国軍は、世界第2位に 躍り出た経済力を背景に、1990年代から進めてきた近代化に余念がない。

 

 既に、中国の軍事予算は日本の2倍を上回っていると思われ、米国軍事予算の半分 に迫ろうとしている。2020年頃には、中国軍の総合的能力は、米国を除けば、東アジア随一のものとなるであろう。

 

 これに対抗できる勢力は、米国の太平洋同盟網しかない。日米同盟、米韓同盟、米豪同盟である。核戦力、通常戦力で圧倒的な米国が、海軍力で太平洋 を抑え、西太平洋海浜部にある日本、韓国に兵力の一部を前方展開することによって、大陸側の中国、ロシアとの均衡を保っている。

 

 米軍の総兵力は150万人 である。その装備は情報技術を駆使した最先端のものである。これに、日本の自衛隊24万人、韓国軍67万人、豪州軍5万人の兵力が加わる。仮に、大きな紛 争になれば、米国は、同盟国である欧州主要国にも援軍の要請が出来る。冷戦時代に、自衛隊が怖いからロシア軍が日本に手を出さなかったと考える人はいな かったであろう。 

 

 同様に、21世紀に、自衛隊が怖いから人民解放軍が日本に手を出さないと考える人もいないだろう。アジア太平洋という枠組みで、米国を 秤に掛けて考えてこそ、初めて中露両国との安定的均衡が維持できているのである。

 

 東アジアの安全保障が、アジア太平洋の枠組みで考えざるを得ないことは、日本の防衛だけを考えてもすぐに分かることである。在日米軍の展開は、 「七五三」である。

 

 米空母機動部隊を主力とする第七艦隊、三沢及び嘉手納に戦闘爆撃機を展開させる第五空軍、それに沖縄の第三海兵師団が、日本防衛のため に前方展開されている。第七艦隊の力は、海上自衛隊を遥かに凌駕するし、第五空軍隷下の戦闘機は、F15、F2を主力とする航空自衛隊の3分の1程度の戦 力である。沖縄の第三海兵隊は、今でこそイラク出兵等で縮小しているが、日本が有事となれば数万の規模に膨れ上がる。

 

 敵勢力の眼から見れば、自衛隊が怖いのではない。むしろ、自衛隊の傍にいる在日米軍が、太平洋を越えて巨大な米軍本体と連結されていることが怖い のである。日本を攻撃する国は、在日米軍を攻撃せざるを得ない。そうなれば、米軍本体が、太平洋を越えて、即座に大規模な援軍を繰り出してくる。その背後 には、米軍の核抑止力という「切り札」が控えている。だから、日本は安全なのである。

 

 このような軍事的実態を見れば、東アジアが、北米や欧州と切り離されて、米欧に対抗する独自の国際政治の場を構成するという考えが、いかに幻想的 かよく分かるであろう。また、東アジアにおいて、日本が、中国ロシアを押さえて、他のアジアの国々を従えてリーダーシップをとる、或いは、日本が、米国 と中国やロシアの間を仲介するという議論が、どれほど現実離れしているか分かるであろう。

 

 特に、「仲介」や「架け橋」というのは、長屋の大家さんのよう に、一番力があって、一番尊敬されている人の役割である。対米同盟の庇護に無条件に甘え、安全保障において自立さえできない国にできることではない。

日本の平和と繁栄に必要なTPPの加盟

 日本は、第二次世界大戦での敗戦に際して、300万人の同胞の死という日本史上最大の悲劇を経験した。その日本が、わずか半世紀で今日の地位まで 復活したのは、独力による東アジアの覇権という幻想を捨てて、戦後、太平洋地域の二大先進民主主義国家であった日米両国を結び付けることによって、共産圏 にあったロシア中国という大陸国家との間に、安定的な均衡を実現したからである。そして、米国が主導した自由貿易体制への加盟を果たし、製造業を主力に して対米・対欧市場への輸出を通じて、奇跡の経済復興を果たしたからである。

(つづく)

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