2011年11月

 オバマ政権が中国に対して新たに厳しい軍事姿勢を取り始めたことはすでに多角的に報じられました。

 

 では日本はどうすべきなのか。

 

 このままだと取り残される恐れもあり、のようです。

 

 西原正氏がその点について鋭い論文を発表しています。

 

 

【正論】平和安全保障研究所理事長・西原正 オバマ対中牽制策を支える時だ


 

 

 

 11月12日のハワイのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に始まり19日のバリ島の東アジア首脳会議(EAS)に終わった一連の国際会議 で、オバマ大統領は外交的主導権をとり、経済と外交・安全保障の両分野で中国を明らかに守勢に立たせた。この米外交に同盟国日本はどう応えるのか。野田政 権の責任は大きい。

 

 ≪4つの成果挙げたアジア外交≫

 野田佳彦民主党政権は、米国がこの一連の外交で、自らの主導による環太平洋諸国との経済連携推進と併せて、中国の軍事行動を牽制(けんせい)するための方策を示したことの意味するところを、十分に評価しているのだろうか。オバマ大統領は4つの大きな成果を挙げた。

 

 第一に、オーストラリア北部ダーウィンの基地に2014年に向けて2500人の米海兵隊を配備すると発表(16日)した。これは中国の中距離ミサイル攻 撃の射程外に海兵隊を配備することで、南シナ海での対中牽制の姿勢を効果的なものにできるという判断である。これにより、南シナ海諸島の領有権をめぐる中 国との紛争においてフィリピンやインドネシアの後ろ盾になることができるし、インド洋への関わりも容易になり、シンガポールに寄港する米空母などとの連携 がしやすくもなる。

 

 第二に、オーストラリア議会で演説(17日)し、イラクとアフガニスタンからの米軍撤退を踏まえて、「政権の安全保障政策チームにアジア太平洋地域にお ける米軍のプレゼンスと任務を最優先するよう指示した」と述べ、太平洋国家として、同地域に「強固な兵力配置を維持するのに必要な資源を割り当てる」など と言明した。

 

 米国が国防費の大幅削減を強いられる状況下で、これだけの公約をした意義は大きい。今後中東や欧州で米国の存在が相対的に薄くなることへの懸念が聞かれそうだが、米国が中国への対抗姿勢を示したことに、多くの東南アジア諸国は勇気づけられた筈(はず)である。

 

 ≪長官訪問で中ミャンマーに楔≫

 第三に、東アジア首脳会議(19日)で南シナ海問題を取り上げ、航行の自由、領土紛争の多国間協議による外交的解決、米国の関与の継続を明言したことで ある。この件が取り上げられることを懸念した中国の温家宝首相はその前日に急遽(きゅうきょ)要請して、首脳会議の直前に大統領と緊急会談を行った。

 

 それでも、大統領は遠慮しなかった。しかも、会議に参加した18カ国のうちラオスとカンボジアを除く16カ国が発言し、多くの国が米国の立場を支持する 発言をしたと報じられている。会議の前に行われた中国・ASEAN首脳会議で、温首相が「中国は決して覇権を追求しない。中国は永遠にASEANの良き隣 人だ」と説得していたにもかかわらず、である。

 

 第四に、クリントン国務長官が16日にフィリピンを訪問し、米比同盟の堅持をアピールした。マニラ湾に停泊中の米ミサイル巡洋艦上で、長官は「我々は、 両国の集団的防衛体制のための能力および通信基盤が国家ないし非国家組織による挑発を作戦上でも装備上でも抑止できることを確実にしつつある」と演説し た。「南シナ海」とは言わず、フィリピン人の好む「西フィリピン海」を使うサービスぶりであった。こうして、中国の高圧的な領土主張に悩むフィリピンへの 強力な支援を行った。

 

 もう一つ付け加えれば、ミャンマー新政権がこれまでの閉鎖的、強圧的な軍事政権から脱却しようとしていることにいち早く好意的反応を示した。バリでの ASEAN首脳会議が17日、ミャンマーの2014年のASEAN議長国就任に合意した翌日、大統領は、クリントン長官を12月1、2の両日ミャンマー (米政府はまだビルマと呼ぶ)に派遣すると発表した。これも、中国のミャンマーへの影響力を牽制する動きであった。

 

 ≪普天間問題解決一段と急務に≫

 こうした米国の積極的な外交・安全保障政策に関して、野田首相は東アジア首脳会議後の記者会見で「米国が関与を深めていこうとするのは歓迎すべきだ」と 述べ、「日米同盟はアジア太平洋地域における公共財だ。日米同盟を通じてこの地域における平和と安定に貢献していきたい」と述べたとのことである。だが、 そこでは具体的方策を示すことはなかった。

 

 今回、豪州北部に海兵隊が駐留することになって、将来、米軍は沖縄、グアム、ダーウィンという西太平洋上のバランスの良い3地点から、中国の動きを牽制 できるようになった。そうした変化を俊敏に捉え、日本としても、普天間飛行場移設の問題を早急に解決して米海兵隊が在日基地を使用しやすい環境をつくる と、首相は表明すべきであったのではないか。

 

 沖縄をめぐる安全保障環境は、この2年くらいで、明らかに変化した。今や、中国海軍の行動半径が広がり、沖縄自体の安全を論じるべきときであるのに、日 本政府は沖縄県民の基地負担を軽減することにとらわれている。日本が真剣になって東シナ海における中国海軍の牽制に努めることこそ、オバマ政権の新戦略に 呼応し西太平洋の安全に寄与する道である。(にしはら まさし)

さあ、なにかとってつもなく新しい現象が起きたのでしょうか。

 

それとも大阪という特殊な地域での特殊な現象なのでしょうか。

 

大阪市長選、大阪府知事選での「大阪維新の会」の候補たちの圧勝は、どう解釈すべきなのか。

 

民主党も自民党も形無しです。

 

 

【朝刊 1面】


大阪ダブル選 市長に橋下氏、知事は松井氏 維新圧勝、かすむ既成政党

 

市長選で勝利した橋下徹氏(左)と知事選を制した松井一郎氏。固い握手を交わして喜んだ=27日午後8時42分、大阪市北区(沢野貴信撮影)

 

 ■市長選投票率60・92%

 大阪府知事と大阪市長のダブル選は27日、投開票が行われた。市長選は、前知事で地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹氏(42)が、民主、自民両党府 連の支援を受けた現職の平松邦夫氏(63)を破って初当選した。知事選でも維新の会幹事長の前府議、松井一郎氏(47)が、両党府連の支援を受けた前池田 市長、倉田薫氏(63)ら6人を破り初当選した。

                   ◇

 橋下氏が知事を任期途中で辞職したことにより実現した40年ぶりの大阪ダブル選は、「維新VS反維新」の構図で激戦が展開され、府と大阪市の再編を伴う「大阪都構想」を掲げた「橋下維新」の圧勝となった。

 就任後初の大型地方選に敗れた野田佳彦首相にとって大きな打撃となった。民主、自民両党が共闘しながら敗北したことは国民に既成政党への不信感が高まっていることの証左だといえる。次期衆院選に向け、政界再編の流れが加速する可能性もある。

 市長選の投票率は60・92%で前回を17・31ポイント上回った。知事選は52・88%で前回を3・93ポイント上回った。

 今回のダブル選は、維新が掲げた都構想や、教育への政治関与を明記した教育基本条例案の是非といった政策面のほか、橋下氏のようなトップダウン型か、協調路線かという首長の政治手法の在り方も対立軸となった。

 維新側は橋下、松井両氏、反維新側は平松氏と、府内の首長有志の支援も受けた倉田氏が、それぞれタッグを組んだ。維新側は「大阪を変えるか変えないかの 戦いだ」と訴え、橋下氏の知名度を背景に4月の統一地方選で大量増員した100人超の地方議員がフル稼働した。平松氏は1期4年の実績をアピールし、橋下 氏の政治手法を「独裁を許すな」と批判したが、支持は広がらなかった。

 共産は、市長選で推薦候補を擁立せず、「反維新勢力の結集」を掲げて平松氏を自主支援した。支持母体の創価学会を中心に固定票を持つ公明は、次期衆院選をにらんで維新との全面対決を避けるため、両選挙とも自主投票とした。

                   ◇

 ◇大阪市長選 開票終了

当 750813 橋下  徹 維新

  522641 平松 邦夫 無現

 

橋下  徹(はしもと・とおる) 42 〔1〕

前大阪府知事・地域政党代表(関西広域連合国出先機関対策委員長)早大

                   ◇

 ◇大阪府知事選 開票終了

当2006195 松井 一郎 維新

 1201034 倉田  薫 諸新

  357159 梅田 章二 無新 【共】

   29487 岸田  修 無新

   27809 高橋 正明 無新

   22347 中村  勝 諸新

   21479 マック赤坂 諸新

 

松井 一郎(まつい・いちろう) 47 〔1〕

党幹事長・前府議・会社役員(府議秘書・会社員)福岡工大

 

 

 

【朝刊 総合・内政】


【大阪ダブル選】民主消沈、自民「連携も」 橋下旋風、各党戦々恐々


 

大阪府知事選で敗北が決まり閑散とする倉田薫氏の事務所=27日午後、大阪市北区(彦野公太朗撮影)

 

 大阪府知事、大阪市長のダブル選挙は27日、橋下徹前府知事率いる「大阪維新の会」と対決した「既成政党」にとって、極めて厳しい結果に終わった。民主党は受けたダメージに意気消沈し、自民党からは早くも維新の会との連携を模索する発言が出始めた。

 野田佳彦政権初の大型地方選挙にもかかわらず、民主党本部は閑散としていた。唯一、記者団の前に姿を見せた高木義明選対委員長は「今回は政党が前面に立たない選挙で、党派を超えた審判があった」と民主党や野田政権への影響はないと強調すると、足早に党本部を去った。

 大阪府連代表の平野博文国対委員長は大阪に滞在していたが、市長選に出馬した平松邦夫氏の事務所には現れなかった。同党国会議員で唯一駆けつけた吉田治衆院議員も報道陣の取材には応じず、「僕はもう行かなあかんから」と後にした。

 自民党本部にも国会議員が来ることはなかった。石原伸晃幹事長は共同通信の取材に「大阪府民、市民が大阪の将来を考えて決めたことだ」と一地方の結果であることを強調。一方で「要請があれば協力することも検討したい」とコメントした。

 地元の奈良県橿原市で記者会見した田野瀬良太郎幹事長代行は「民意を重く受け止めないといけない」とした上で「維新の会から連携の要請があれば、しっかりと検討する」と答えた。

 知事選、市長選ともに自主投票とした公明党の山口那津男代表は党本部で記者団に、今後の対応について「当選者の対応を見守らないと分からない。よく見極めたい」と明言を避けた。

 市長選では平松氏の支援に回った共産党の市田忠義書記局長は党本部で記者団に対し「独裁的な方向が全国的な規模で支持されることはない」と答えた。

 一方、維新の会の会見場に駆けつけたみんなの党の渡辺喜美代表は、記者団に「みんなの党は関東の地域政党、維新の会は大阪の地域政党だ。本当に自分たちの選挙と同じ感覚でやってきた」と連携ぶりをアピール。

 国民新党も「亀井静香代表は『大阪都構想』について評価している。構想の実現に向けて役割を果たしていきたい」(下地幹郎幹事長)と、新党結成への意気込みを示した。

 「応援団長」の石原慎太郎東京都知事が橋下氏を応援したたちあがれ日本は、園田博之幹事長が「橋下氏と維新の会がどう府民の生活向上を実現していくのかを見守っていきたい」とする談話を発表した。

                   ◇

【用語解説】大阪維新の会(維新)

 橋下徹前大阪府知事が代表を務める地域政党。平成22年4月、大阪府議22人による「大阪維新の会府議団」としてスタートした。政策の柱である「大阪 都」構想は、大阪府と大阪、堺の両政令市を解体し、インフラ整備など広域行政を担う「大阪都」と、住民に身近な行政サービスを担う複数の「特別自治区」に 再編するというもの。府と市の「二重行政」を解消するのが狙いで、27年4月の導入を公約に掲げている。今春の統一地方選では、府議選で過半数を超える 57議席(定数109)を獲得。大阪市議選でも33議席(同86)を占め、第一党となった。自治体の首長が代表を務める地域政党は、他に大村秀章愛知県知 事の「日本一愛知の会」などがある。

 

TPPをめぐる論議はまだ続いています。

「TPP亡国論のウソ」 このコラムについて

 

TPP反対派はこの自由貿易拡大のための国際協定をなおアメリカの策謀のように描いています。その実例を紹介して、議論の材料にしたいと思います。

 

まずこんな宣伝文句があります。

                       =====

「大震災で得られた国民的合意『日本人同士は助け合おう』の精神を破壊し、米国のために日本人同士を競わせ、排除し合うように仕向ける」

 

「TPPの本質を論理的に徹底解明。いまこそ、弱者排除のTPPを拒絶せよ」

                       ====== 

この文句は「『TPP開国論』のウソ」という本の広告の宣伝です。

この本の著者(共同著者)は中野剛志、三橋貴明、東谷暁の3氏です。出版社は飛鳥新社です。広告は産経新聞5月27日の朝刊に大きく掲載されました。

 

この語句は普通に考えれば、本の内容を総括した記述でしょう。

ここでの「日本の国民的合意の精神を破壊し、米国のために日本人同士を競わせ」という記述の主語はなんなのでしょうか。これまた普通に考えれば、「米国」だということでしょう。アメリカが日本の国民的合意を破壊し、日本人同士を競わせ、排除し合うように企図しているのがTPPだというわけです。アメリカ陰謀説ですね。

 

アメリカが日本の国民的合意を破壊することを決めて、TPPを日本に受け入れさせようとしたことは事実なのでしょうか。この場合の「米国」とはなにを指すのか。

アメリカに駐在している私は、それらの問いへの答えは知りません。アメリカが日本をやっつけるために、TPPを持ち出してきたという日本のTPP亡国論者たちの大前提はまぼろしとしか思えません。

 

                       ========

 もう一つ「米国陰謀説」のまぼろしの実例があります。

 

 以下のような宣伝文句が新聞各紙をにぎあわせました。

 

「日本は、米国の仕掛けた罠に再びはまるのか?」

 

「TPPの実態は日本の市場を米国に差し出すだけのもの」

                       =========

 

以上は「TPP亡国論」という書の広告です。

この書の著者は中野剛志氏、集英社新書です。

産経新聞11月13日の朝刊に載りました。

 

TPPはアメリカの仕掛けた罠だというのです。

 

現実にはアメリカ企業でも、議会でも、日本をTPPに参加させることに反対を表明している向きがいます。この企業や議員たちは実名がわかっています。

一方、TPPを日本への罠として仕掛けた「米国」とは、どこの誰なのでしょうか。

 

この種のデマゴーグに踊らされないようにしたいものです。

 

 

雑誌SAPIOの連載で私は中国の軍事力増強をアメリカがどうみるのかを報告してきました。

 

最近では中国が軍事的に日本をどうみるのか、アメリカ側専門家たちの見解を紹介しました。

 

「アメリカの中国研究」第11回 対日戦略です。

 

以下のような見出しの記事です。

 

「独特の不信と反発」

「微笑外交の裏に隠された『日本は民族的、歴史的に敵対する相手』

 

 

 

 この記事のリードは以下のようです。

 

「軍事力増強を加速する中国にとって日本はどのような存在なのか。中国の反日プロパガンダは共産党一党独裁を維持するため、政治的に大いに利用されていることはよく知られているが、軍事戦略にも反日感情がしみ込んでいるという。単に米国の同盟国としての日本を牽制するだけでなく、根底的に日本が軍事強国になることを懸念しているというのだ。「アメリカの中国研究」第11回では、中国の複雑な対日戦略を読み解く」

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 そして本文の一部は以下です。

             ========

 

 中国はとにかく日米同盟の強化には反対するということだろう。だが日本とアメリカをいつも一体にみる、というわけでもない。その点に中国の対日戦略の複雑さや難解さがあるといえる。ヘリテージ財団の首席中国研究員ディーン・チェン氏が語った。

 

 「私が中国人民解放軍の高官たちと会食した際、ある将軍が『私たちはアメリカとは和解や協調を達成できるかもしれないが、日本とはそうはいかない、なお脅威なのだ』ともらすのを聞いたことがあります。日本に対しては歴史的な特別の敵対意識が存在するというのです。領土問題ももちろんあります。そのうえに中国からすればアジア全体で自分たちに対して経済的、技術的に正面から競合や挑戦ができる国は日本だけです」

 

 アメリカとは別個に日本を敵視する心情が軍事面にも反映されていくという指摘だった。

 

 この点について国防総省の元中国が担当上級部長のダニエル・ブルーメンソール氏がもう一歩、踏み込んだ意見を述べた。

 

 「中国側には日本に対して歴史上の認識、苦情、そして修正主義の激しい心情が存在します。日本に対する非常にネガティブな見方、中国は歴史的に日本に不当に侵害されたという非常に強い感情を基礎とする中国共産党のプロパガンダによって、一般中国人のその反日の心情があおられ、強められています。この過去の不当はいまや中国が日本より優位に立ち、日本を威嚇する能力を持つことによって是正されるべきだ、というわけです」

 

 こうした怒りや恨みに彩られた対日観は現在の中国の軍事戦略にもどうしても反映されていくというわけだ。ブルーメンソール氏はさらに続ける。

 

 「この種の反日感情、反日思考は中国内部の要所要所に存在する超ナショナリストたちの間で抱かれ、中国共産党が自党による一党支配を永続的に保つことの正当性を印象づけるために常に力説され、拡散されています。これは危険な現象です」

 

            〔以下略〕

 

 

 

日本へのサイバー攻撃は気がかりです。

 

国会議員の事務所から防衛産業、政府省庁まで、日本の機密が盗まれ、日本のコンピューター・ネットワークが攪乱されているわけです。

 

アメリカではもっと大規模なサイバー攻撃が表面化しています。

 

これら日米へのサイバー攻撃の発信源を明らかにする調査結果が出ました。

 

以下はその結果についての産経新聞の記事です。

 

本日11月25日の朝刊に掲載されます。

 

                     =======

  

 [ワシントン=古森義久]

 米国や日本の軍事、政治関連機関へのサイバー攻撃の主要な発信源は中国人民解放軍総参謀部第三部(技術偵察担当)だとの見解が米国防総省元中国部長らの調査で24日、明らかにされた。

 

 日本へのサイバー作戦は同三部の指揮下にある山東省の青島や済南にある部局が通常、実行しているという。

                          

米国の政府、議会、軍、民間企業などへの昨年から今年にかけての頻繁なサイバー攻撃(コンピューター・ネットワークへの侵入や攪乱)に対し米国防総省は主要な発信源は中国だとする見解を再三、示してきたが、同国防総省元中国部長で中国軍事の研究家のマーク・ストークス氏らは同氏が専務理事を務める安全保障研究機関の「プロジェクト2049研究所」を通じて「中国人民解放軍の通信諜報とサイバー偵察の基盤」と題する調査報告を24日までに作成した。

 

 同報告は最近の米国や日本などの政府・軍関連機関へのサイバー攻撃は主として中国からだとの見解を踏まえて、その中国のサイバー作戦の最大の推進役は人民解放軍だとする総括を明らかにした。

 

 そのうえで同報告は中国軍のその種の作戦は総参謀部第三部が従来の「技術偵察」の任務としての外国機関の通信傍受や暗号解読の枠を広げ、最近ではサイバー偵察、サイバー攻撃を活発にしてきた結果、実行の主役となったと述べている。

 

 同報告によると、対外的なサイバー作戦全体を統括するのは総参謀部第三部で北京市内海淀区の西側丘陵地帯に本部がある。傘下には合計12の作戦局や3つの研究所を抱え、総要員は13万と推定されるという。

 

 同報告では米国を対象とするサイバー作戦などを担当するのは第三部指揮下の作戦局のうち上海に主に拠点をおく第2局で、日本対象は山東省青島地域に数ヶ所の基地をおく第4局のほか同じ山東省の済南市を本部とする済南軍区の技術偵察局が担当するとしている。済南軍区の技術偵察局だけでも約670人の専門技術者が勤務しているという。    

 

同報告によると、中国軍総参謀部はこれからの戦争やそのための態勢構築にはコンピューター・ネットワークでの攻防が不可欠だとの基本認識を確立し、そのためのサイバー作戦は第三部に統括させて、潜在敵の軍や行政にかぎらず、政治や経済の関連機関のコンピューター網から特定個人の電子メールまでに侵入や妨害の攻撃をかける作戦を強化しているという。

 

総参謀部の第四部も電子作戦を担当するとされるが、組織上は第三部に従属する形となっている。ただし第四部のサイバー作戦用の基地も海南島や河北省廊坊に存在するという。

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