2012年02月

 やや遅かりしの紹介ですが、日本国民の北朝鮮による拉致の解決に関連しての重要な動きです。

 http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/img/img7316_111012-02title.jpg

 

 

http://www.fesh.jp/img/utterer/190_original.jpg

 

http://mainichi.jp/photo/archive/news/2012/01/13/images/20120113k0000e010181000p_size5.jpg

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★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.02.17)北朝鮮への制裁強化等を要請−知事の会

北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会(石原慎太郎会長・東京都知事)では、2月16日、会長代行の泉田裕彦新潟県知事らが松原仁・拉致問題担当大臣に面会し、野田佳彦総理、松原大臣宛の要請書を提出し、北朝鮮への制裁強化等を要請した。

要請文の全文は以下の通り。

■北朝鮮への制裁強化等を要請−知事の会

北朝鮮による拉致問題の早期解決について

平成14年9月に日朝首脳会談の場において北朝鮮当局が拉致を認めてから、今年の9月で丸10年が過ぎようとしています。その間、平成16年5月と7月にその御家族が帰国して以降は新たな帰国者はなく、平成20年の日朝実務者協議で合意した生存者を発見し帰国させるための再調査も未だ実施されておりません。我が国には政府認定の拉致被害者のほか、拉致の可能性を排除できない特定失踪者と言われる方々が多数存在しています。これらの方々を含むすべての拉致被害者の帰国を待ち望む御家族は高齢化が進み、問題解決には一刻の猶予もありません。具体的な進展のないこの状態のまま10年目の9月を迎えることは断じてあってはならないことです。

拉致問題は、国家主権の侵害という我が国にとって極めて重大な問題です。金正日総書記が死去し、北朝鮮を巡る情勢に動きが出ているこの機会を逃すことなく、我が国政府は、人権・人道問題として国際社会の支援を求めるとともに、国家主権の問題として、「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ない」という基本方針を堅持しながら、拉致被害者を必ず救い出し日本の地を再び踏ませるのだという国家としての意思を明確に示し、戦略的に拉致問題の早期解決に全力で取り組むべきであります。

我々「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」は、拉致問題に対する国民の関心をさらに高め、国民世論の喚起に引き続き努めてまいりますので、我が国政府におかれましては、北朝鮮に対して毅然とした姿勢を貫きながら、北朝鮮との実効性ある対話が実現するようにあらゆる手立てを駆使して接触を図り、現在の膠着状態を一刻も早く打開して、目に見える形で具体的な成果を出していただくよう、下記の事項について要望いたします。



1 政府は、『日本国及び日本国民が拉致問題を強い憤りをもって極めて重く捉えており、拉致問題の解決が日朝国交正常化の前提である』という強いメッセージをあらゆる機会・手段を通じて北朝鮮に対して改めて伝え、一刻も早い解決の実現に全力で取り組むこと。

2 体制移行期にある北朝鮮において、拉致被害者の安全の確保にあらゆる手立てを尽くし、不測の事態に備え、米国、韓国はもとより関係諸国との緊密な情報・インテリジェンスの共有と連携強化、並びに国内の体制強化を図り、あらゆる事態に対して最善かつ迅速な行動をとること。

3 北朝鮮が拉致問題解決に向けた具体的な行動を取らない場合は、平成24年4月13日に期限を迎える現行の制裁措置を継続するにとどまらず、問題解決を早めるため制裁措置の期間を短縮するなど戦略的に制裁圧力を高めつつ、必要な場合は更に制裁措置を強化するなど、北朝鮮を交渉の場に引き出す状況を作り、拉致問題の全面解決を強く迫ること。

                                                 以上



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 いまたけなわのアメリカ大統領選の共和党側の熱戦に関連して、こんな記事を書きました。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8e/Mitt_Romney.jpg/200px-Mitt_Romney.jpg

【朝刊 国際】


【緯度経度】ワシントン・古森義久 「穏健派」というレッテル


 

 「穏健派」とはなにか。

 

 米国大統領選の共和党候補選びの報道をみていて、感じる疑問である。共和党候補たちの争いはなお乱戦気味だが、マサチューセッツ州前知事のミット・ロム ニー氏が依然、主役のようだ。そのロムニー氏を評するのに米国や日本の報道の多くに「穏健派」という表現が頻繁に出てくるのだ。

 

 政治評論家ウィリアム・サファイア氏が1970年代に出した政治辞典によると、米国政治での穏健(Moderate)とは「中道よりもやや左の立場で、保守派にとってはリベラルよりは受け入れやすく、中道よりは活力のある用語」と定義されていた。

 

 このとおりならば、穏健派という言葉は使う側からは、ほめも、けなしもしない中立の表現といえよう。だが最近ではロムニー氏への非難に使われるネガティ ブな言葉となった。保守派とされるニュート・ギングリッチ元下院議長らがロムニー氏を「穏健派」と呼ぶとき、共和党が目指すべき保守主義を十分に体現して いないという非難があらわである。

 

 では保守とはなにかといえば、まず政府の役割や支出を抑える「小さな政府」、福祉も抑制して「自助努力」や「自由競争」を重視し、国家の安全保障を大切 にして「強力な防衛」を推進する。社会問題では米国社会の伝統的な価値観や風習を尊重する。だからロムニー氏を「保守派ではなく穏健派だ」と断じれば、同 氏がこうした保守主義の一連の価値体系に背を向けるイメージが浮かんでくる。

 

 ところがロムニー氏の政見を具体的にみると、減税、支出削減、予算均衡、防衛強化など間違いなく保守である。とくにオバマ大統領とくらべると、保守色は鮮明となる。同氏は同大統領の医療保険改革案の全面破棄までを唱えるのだ。

 

 ロムニー氏を穏健派と呼ぶ側は同氏がマサチューセッツ州知事時代に州民への公営医療保険制度を進めたことと、妊娠中絶問題で「選択の自由」を一時、唱え たことを根拠にあげる。だが同氏は医療保険の連邦レベルでの公営化には反対し、妊娠中絶にもいまは反対して、保守の立場を守る。他にとくに非保守や反保守 の政策は見あたらない。

 

 米国保守主義を長年、研究してきたブルース・ワインロッド元ヘリテージ財団研究部長は「ロムニー氏は保守本流のクリス・クリスティ・ニュージャージー州 知事らからすでに支援を得たことからも明らかなように、保守主義者です」と語る。ワインロッド氏はロムニー氏が穏健派と呼ばれる理由については共和党の他 の候補たちがロムニー氏を党内で大多数を占める保守派から引き離そうとする作戦をあげるとともに、同氏自身がマサチューセッツという全米でも最リベラルな 州の知事を務めた時代、保守主義を強めることが難しかった環境を指摘した。

 

 さらにロムニー氏の「穏健ぶり」を強調するのは民主党全国委員会と民主党びいきの大手メディアのようだ。民主党にとっては共和党の候補に同氏が最終的に 指名されれば、大統領選本番ではおそらく最も戦いにくい相手となる。だから「穏健派ロムニー氏」のレッテルを広めて、指名を防ごうというわけだ。政治の レッテル言葉には、くれぐれも要注意ということだろう。

 

北朝鮮の金政権の弾圧から逃げてきた人たちを中国政府が北朝鮮への強制送還しようとしています。この送還自体が人権弾圧となります。

 

韓国の一部国会議員が抗議し、それに呼応して日本でも拉致問題の「救う会」などが抗議の声をあげました。

 

しかし日本の一般の人権擁護団体は沈黙を保ったままです。

中国政府が相手となると、人権弾圧も批判はできないのでしょうか。

http://img.47news.jp/47topics/ningenmoyou/images/k1_p2.jpg

 

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★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.02.27)脱北者の北朝鮮への強制送還中止を求める日本NGO緊急声明

中国政府による脱北者の北朝鮮への強制送還に抗議して、韓国の朴宣映(パク・ソンヨン)議員が、在ソウル中国大使館前で、この寒い中、無期限断食座り込みをしています。本日2月27日で7日目です。朴議員の捨て身の行動により、このところ韓国の新聞でもこの問題が連日大きく報道されています。韓国政府も重い腰を上げて外交努力をしているようです。

救う会の西岡会長がたまたま訪韓中で、2月26日午前、在韓中国大使館前の教会の敷地にテントを張って無期限断食座り込み中の朴議員のところに激励に行たところ、毎日午後2時から抗議集会をしているので、そこで挨拶をしてほしいとの要請を受けて、午後再びそこに行って路上集会でマイクを握り挨拶をしてきました。

脱北者問題は、北朝鮮による人権侵害問題として拉致問題と共有する問題であるだけでなく、家族会・救う会は多くの情報を脱北者から得ており、また脱北者がソウルで行っている自由北朝鮮放送でも、毎週拉致問題の訴えをしてきました。

以下は、北朝鮮関連6団体による共同声明の全文です。

■脱北者の北朝鮮への強制送還中止を求める日本NGO緊急声明

現在、中国では数十名から数百名に及ぶ脱北者が不当逮捕され、本人の意志に反して北朝鮮に強制送還されかねない状況にあります。韓国では連日抗議集会や、国会決議、そして国会議員の中国大使館前断食座り込みなどが行われています。

 

  2月21日から断食座り込みを行っている朴宣映議員は拉致問題にも深い関心を示してきた方です。UNHCRもこの事態に対し、中国に脱北者の身辺保護を要請しています。しかし、中国政府は現在まで、彼らを不法入国者として北朝鮮に強制送還する姿勢を変えていません。

私たちは脱北者たちの生命と人権を守るために、彼らの北朝鮮への強制送還に反対し、韓国における中国政府への抗議行動に自由、民主主義、人権という普遍的価値を共有する隣国として連帯の意志を表明します。

脱北者たちは、北朝鮮に送り返されれば、強制労働、拷問、場合によっては処刑が待ち受けている危険性があります。特に金正日死亡から100日間の哀悼期間である今日、「裏切り者は3代を滅ぼせ!」と上から指示が下ったという情報も伝わっています。

中国政府は、脱北者は不法入国者であって難民ではないと強弁しています。帰国すれば政治的理由で拷問、処刑される可能性が高い脱北者は国際法上の難民の地位を所持していることは自明です。難民としての地位が確認されれば、中国政府が彼らを保護する責任があります。たとえ難民資格がないという中国政府の立場に立ったとしても、「不法入国者」を強制出国させるときには本人の意思と受け入れ国の同意を確認した上で出国先を決めるのが文明国としての最低の義務です。

脱北者の中には韓国に親族がすでに生活している者もおり、また韓国憲法では彼らは皆韓国国民として保護されるべき存在です。韓国政府が彼ら脱北者を受け入れる姿勢を示している現在、彼らが北朝鮮ではなく、希望する韓国に行く権利は法的にも人道的にも正当なものであり、中国政府は彼らの意思を尊重しなければなりません。現実に、中国以外のいくつかの国家では、脱北者を仮に不法入国者として逮捕しても、彼らの意思を確認した上で、希望する国への出国を認めています。中国政府が強制送還を続けることは、中国の文明国家としての名誉を深く傷つける行為です。

日本人拉致問題について日本政府は国際社会に対して、人権尊重の立場から解決への協力を求めています。そうであればこそ、脱北者問題についても日本政府は普遍的人権の立場からできることをしなければなりません

私たちは以下のことを中国政府及び日本政府に対し訴えます。

1.中国政府は、現在拘束している脱北者の北朝鮮への強制送還を即時中止してください。

2.中国政府は、脱北者の安全を保障し、脱北者受け入れを表明している韓国政府と連携して、彼らを韓国に移送してください。

3.日本政府は、北朝鮮人権法の精神と人権の尊重という普遍的価値観に立脚して、中国政府に脱北者の北朝鮮送還を中止するように求めてください。

2012年2月27日

北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 代表 三浦小太郎
北朝鮮難民救援基金 理事長 加藤 博
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 西岡 力
特定失踪者問題調査会 代表 荒木和博
NO FENCE(北朝鮮強制収容所をなくすアクションの会) 共同代表 小沢木理・砂川昌順

以上


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 私の新著の書評が本日の産経新聞に掲載されました。

 

 評者は田久保忠衛氏です。

 

 この評での最大のメッセージは日本がこの隣国の異様な大軍拡を直視して、その意味を考え、その対策を論じよう、という訴えのようです。

 

 

 

 

【朝刊 読書】


【書評】『「中国の正体」を暴く』古森義久著


 

 

 

 □『「中国の正体」を暴く アメリカが威信をかける「赤い脅威研究」の現場から』

 

 ■軍事力増強を外交力に連動

 

 人間の通性だと思われる。とりわけ戦争などの恐ろしい被害に遭った人々は、恐怖の正体を見たくない、聞きたくない、論じたくないと本能的な拒否反応を起こす。これを話題にする向きはタカ派と切り捨てられる。

 

 中国の軍事大国志向は何も最近始まったことではなく、毛沢東以来一貫してきたにもかかわらず、「装備、兵器は遅れていて大したものではない」と見くびっ てきた。経済力を背景に誰の目にも軍事力の突出が明らかになってくると、「透明度が不足している」といかにもわけ知り顔で解説する。日本の周辺に艦艇、航 空機が出現するに至っても中国を刺激してはいけないとの「配慮」から軍事的脅威と明言するのを避けてきた。

 

 著者は日本で明確化されていない「中国の軍事的脅威」の正体を米専門家との直接インタビューで暴いてみせた。マイケル・ピルズベリー国防総省相対評価局 顧問、リチャード・フィッシャー国際評価戦略センター主任研究員ら日本で名前を知られている専門家12人の見解を分類し、ときには同じ脅威認識の濃淡にま で触れている。

 

 ようやく日本のジャーナリズムでも取り上げられるようになった中国の軍事力ではあるが、海軍力に重点が傾き過ぎている。本書に登場する米専門家の目は海 軍力はもちろん、陸軍力、空軍力、ミサイル戦力を含み、さらに核戦略、海洋戦略、宇宙戦略、サイバー攻撃など広範に及んでいる。

 

 宇宙、サイバーを含めたあらゆる分野の軍事力強化の大目的は何であろうか。有形無形の台湾攻略が当面の目標と指摘する向きは多いが、いまの軍事力増強は それを上回っている。軍事力の増強をそのまま露骨に外交力に連動させる古典的な戦略を信奉している特殊な国が中国だ-と割り切るほかない。

 

 戦後体制に手を着けようともせず、制服幹部が個人的に発表した作文がシビリアンコントロールに反するかどうかで騒いでいる国にとっては理解不能であろう。重大なテーマを暗示した書だ。(小学館101新書・756円)

 評・田久保忠衛(杏林大学名誉教授)

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http://www.matuda.saloon.jp/plc11092802460003-p1.jpg

 北朝鮮がこの1、2年で核弾頭を弾道ミサイルに装備するだろうという予測の紹介を続けます。

 

 私が日本ビジネスプレスの連載「国際激流と日本」に書いたレポートの転載の続きです。今回で完結となります。

 

 なおこのレポートはテレビ朝日の「報道ステーション」の関心を引き、私はワシントンでインタビューを受けました。

 

 さて今回の紹介分は北朝鮮がノドン・ミサイルなどに核弾頭を装備するにいたり、日本全土がその射程距離内に入った場合の、わが日本の右往左往ぶりについてです。

 

 なお原文へのリンクは以下です。

 

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34585

 

 http://img.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/47/1d/bdcxs228/folder/143847/img_143847_33478209_0?1290739153                                          (北朝鮮のノドン・ミサイル)    

                                =======

 

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 韓国でも2010年10月に大統領補佐官が「北朝鮮は核弾頭のミサイル装備と配備を極めて早いペースで進めており、その核の脅威はすでに警戒すべき水準に達した」と言明した。

 

 2011年12月には米韓両軍は米国ネブラスカ州で初めて北朝鮮の核攻撃の脅威を前提とした合同演習を実施した。いずれも核弾頭のミサイル搭載を示唆する動きだと言える。

「日本には対北朝鮮戦略がないように見える」

 ニクシュ氏はさらに、北朝鮮が弾道ミサイルへの核弾頭装着を宣言して明示すれば、6カ国協議の目標である「北朝鮮の非核化」はもう絶対に実現しな いだろうとも予測する。そして韓国、日本、米国にとって北朝鮮の軍事能力の重みが根底から変わり、安全保障政策の基本が再考され、再編成されるようになる というのである。

 

 ニクシュ氏は、この悪夢のシナリオに対する各国の動きも予測する。特に日本の反応の予測が興味深い。

 

 「北朝鮮の核弾頭ミサイル装備の実現に対しては、各国の中でもおそらく日本のショックが最大となるだろう。敵性国家による核攻撃の能力や意図の誇 示という現実は、戦後の日本が想像もしなかった事態となる。大震災の復興になお追われるいまの日本の政権には、そもそも一貫した安保政策が窺われず、特に 対北朝鮮戦略がないように見える」

 

 ニクシュ氏はその上で、日本にとっては、北朝鮮の核ミサイルを抑止するための非核の爆撃機やミサイルという長距離攻撃能力を保持することも選択肢になる、と述べる。しかし、現状では憲法上の制約などを理由とする反対論の勢いがなお強いだろう、とも指摘するのだった。

 

 確かにわが日本では、北朝鮮の核武装への対応が現実的な国政上の課題とはなっていない。そんな現状では、ごく近い将来のある日、突然に北朝鮮が核 弾頭を日本に届くミサイルに装備したという実態を突きつけられたならば、「何をしてよいか分からない」という反応となることも容易に想像できる。

 

 しかし日本の国家や国民にとっての安全保障を真剣に考えれば、すぐそこに迫った北朝鮮核武装の「真実の時」を仮想だけとしては済ませられないのである。

(終わり)

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