2012年02月

私の著書『「中国の正体」を暴く』の刊行を期して、雑誌SAPIOに対談記事が掲載されました。

 

中国研究では大御所の中嶋嶺雄先生が主役でした。

 

そこでは中国の本質を描く材料として、ある中国知識人の日本に対するコメントが紹介されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アジア全域の駐留米軍を射程にした中距離ミサイルを増強し、空母を保有する中国。一方のアメリカも近年、中国の軍事的脅威に対する研究を強力に進める。アメリカの中国との付き合い方は、日本のそれとは正反対だ。産経新聞ワシントン駐在編集特別委員の古森義久氏が、中国研究の第一人者として知られる国際教養大学理事長・学長の中嶋嶺雄氏と語り合った。

 * * *
古森:私は北京駐在の後半に、アメリカを専門に研究している中国の知識人――政府関係者ですが――と親しくなったのですが、彼が流暢な英語で「日本と中国はひとつの国になるのが自然じゃないですかね」と本気で言うんです。

 で、文化も言語も違うのはどうするのかと聞くと、「言葉はやっぱり大きい国の言葉でしょう」と言うわけです。

 

中嶋:まさに「中華思想」ですよね。これはとても根が深い。われわれもよほど身を構えていかないといけない。

 

古森:アメリカの場合には、基本的な価値観の違いを少なくとも国政レベルで認識しています。だから、日本の議員のように訪中して最高指導者に会いたいなんて言う人たちはいない。

 胡錦濤が訪米した時でも、議会でのパーティで議会の側からは写真は撮らなかった。胡錦濤と並んでいるところを写真に撮られるのを嫌がるアメリカ議員の声が多くて禁止になったんです。中国は大変怒りましたけどね。日本の国会議員と正反対です。

 アメリカ側のそんな姿勢の背景には、一党独裁で人権を弾圧し、国民の自由な選挙で選ばれた指導者ではないという基本的な体制・価値観の違いへのはっきりした認識があります。

 

中嶋:なるほどね。日本はその点、中国との関係を「同文同種」といった言葉で括ろうとしますが、そもそも無理がある。中国の文化を学んだことは事実ですが、明治時代はヨーロッパの近代化を学び、戦後はアメリカ民主主義を学びました。

 中国から漢字文化を学んだとはいえ、日本独自の文字をつくり上げてるわけです。独自の美意識もある。

 

古森:日本でも中国との相容れない価値観が厳存することを認識して、もう少し国政、あるいは外交そのものと結び付いた中国の軍事動向への対応、情報収集活動も含めて新しい枠組みへの動きがあってしかるべきだと思うのですが。

※SAPIO2012年2月22日号

【関連記事】

北朝鮮が核弾頭を小型化してミサイルへの装着に成功する日が近いというレポートの続きです。

 

アメリカの専門家がなぜその日が近いと断定するのか。

 

その根拠は次のようです。

 

原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34585

 

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(1)北朝鮮がパキスタンの核専門家、A・Q・カン氏から得た技術

 カン氏が北朝鮮とウラン濃縮による核兵器開発で緊密な協力をしてきたことは広く知られており、パキスタンがすでに完成させた「ガウリ・ミサイル」搭載のウラン濃縮の小型核弾頭の設計図を北朝鮮にも提供した可能性が高い。

 2008年、同種の小型核弾頭の詳細な設計図が、カン氏に関係するスイスの専門家に保持されていることが明らかとなった。その設計図が北朝鮮にも 確実に渡ったことが、2011年9月に国際原子力機関(IAEA)により報告された。パキスタンは弾頭小型化のための核実験を始めて3年後に、実際にガウ リ・ミサイルへの核弾頭装備を実行している。

 

(2)北朝鮮が米国専門家に見せたウラン濃縮技術

 北朝鮮は米国の核専門家、シグフリード・ヘッカー氏を2010年11月、寧辺の核施設に招き、ウラン濃縮のための遠心分離の技術を見せた。同氏はその技術の水準が予想よりずっと高く、ウラン爆弾の製造能力の高さに驚いた。

 北朝鮮はウラン核弾頭のミサイルへの装備の見通しが確実となったからこそ、米国側にこの種のウラン濃縮の実態を見せたとみられる。

 

(3)北朝鮮が技術を提供したイランの「シャハブ・ミサイル」の開発

 北朝鮮はイランとの間で1990年代からミサイル開発、2000年代から核兵器開発のための協力を進めてきたが、2008年以降、両国の核弾頭開 発のペースが速まった。特に「ノドン・ミサイル」とほぼ同一とされるイランの「シャハブ3型ミサイル」への核弾頭搭載の試みは国際原子力機関(IAEA) の警告の対象ともなってきた。

 そのシャハブ・ミサイルの開発の前進が最近さらに伝えられている。北朝鮮・イランの核弾頭小型化の共同作業が顕著な成果を挙げてきたと見られる。

 

(4)米国と韓国の政府の対応

 米国の国防情報局(DIA)の局長は、2011年3月の上院軍事委員会で「北朝鮮はすでに核弾頭の製造により新たに兵器化されたミサイルを保有したと見られる」と証言した。

(つづく)

 

 北朝鮮がいよいよ核弾頭の小型化に成功する。その結果、弾道ミサイルに核弾頭を装着する。

 

 これぞ北朝鮮の完全な核武装です。

http://img.47news.jp/PN/200905/PN2009051301001169.-.-.CI0003.jpg

 

 その結果、日本の全域が北朝鮮の核ミサイルの射程距離内に入ってしまうのです。北朝鮮政権がそんな核の攻撃能力を政治的な威嚇の手段に使ってきたら、日本はどうするのでしょうか。

 

 日本では国政の場で、そんなシナリオが論じられることもありません。

 

 でも北朝鮮の核ミサイル登場という事態はひたひたと迫っているのです。

 

 間もなく再開されそうな6カ国協議もどうやら効果はないようです。

  

 私が日本ビジネスプレスの連載コラムに書いた記事の紹介を続けます。 

 

 なお原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34585

 

 

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 北朝鮮の核開発を防ぐための「6カ国協議」の再開がいまや予想されるまでに至ったが、水面下では皮肉なことに、その6カ国協議がまさに防ごうとして きた事態が起きつつあるのだ。しかも、その6カ国協議が、結果的に北朝鮮がウラン濃縮の核弾頭開発の秘密作業を進めるための隠れミノとなってきたという実 態が暴かれそうなのである。ちなみにこの協議は、北朝鮮のプルトニウム軍事転用による核兵器開発を防ぐことに主眼を置いてきたのだ。

「北朝鮮の非核化」はもう不可能に

 さて、北朝鮮の核弾頭の小型化、軽量化の成功による弾道ミサイルへの装着という危機への警告をいま正面から発するようになったのは、米国議会調査局で40年も朝鮮半島情勢を追ってきたラリー・ニクシュ氏である。

 

 ニクシュ氏は現在はワシントンの「戦略国際問題研究所(CSIS)」の研究員を務める。同氏は一連の最近の調査報告で次のように断言するのだ。

 

 「北朝鮮は、高濃縮ウランの核弾頭を軽く小さくして、ミサイルへの搭載を可能にすることに全力を挙げている。その目的を、早ければ今年中、遅くと も2014年末までに達成する見通しが確実となってきた。そうなると北朝鮮は韓国と日本の全域、さらにはグアムやハワイ、アラスカという米国領土をも核ミ サイルで攻撃する能力を保持することになる」

 

 「北朝鮮は核弾頭をまず短距離の『ノドン』『スカッド』両ミサイルに装備するだろう。それに成功すれば、中距離の『ムスダン・ミサイル』、さらに はもっと長距離のミサイルに装備して、米国領への攻撃能力を確実とする。この事態はこれまでのいわゆる北朝鮮核開発問題を根底から変え、北朝鮮が公然たる 核兵器保有国となって、東アジアの安全保障を激変させる。そして、北朝鮮から完全に核兵器を奪うという『北朝鮮の非核化』はもう不可能となる」

 

 もっとも米国側ではかねてロバート・ゲーツ前国防長官も「北朝鮮は米国にも届く核弾頭装備の大陸間弾道ミサイルを5年以内に配備することを目論んでいる」と述べていた。

北朝鮮の核弾頭開発が大詰めを迎えている根拠

 さてニクシュ氏は何を根拠として北朝鮮の核弾頭の軽量化、小型化が近いことを断言できるのか。同氏は次の諸点を挙げている。

     (つづく)

http://images.china.cn/attachement/jpg/site1004/20081212/00080286e07a0aac19ce14.jpg

   (6カ国協議もむなしかったーーー)

 

http://pokke-ah.blog.ocn.ne.jp/blog/images/2010/11/15/photo_2.jpg

以下の報告を書きました。

 

日本の国政の注意を喚起したい重大な課題です。

 

日本ビジネスプレスの古森義久の連載コラム「国際激流と日本」からの最新の転載です。

 

なお原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34585

 

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 北朝鮮の核兵器開発問題に関する重大な危機がひたひたと迫ってきた。米国や日本にとっても、これまでの北朝鮮核武装阻止の努力を粉々に砕きかねない事態の切迫なのだ。その危機は東アジア全体の安全保障情勢を根底から変えることにもつながっていく。

http://blog-imgs-14.fc2.com/k/a/z/kazuhiroswim/img01.jpg

 

 

 その危機とは、北朝鮮がついに核弾頭を中距離や長距離のミサイルに装備するという事態である。この事態こそ、北朝鮮核問題に関して米国や日本が恐れながらも現実と見ることを拒んできた真の危機だと言える。

 

 「北朝鮮の核武装」といっても、開発した核兵器を兵器として潜在敵に対して使用できる能力がなければ、現実の意味はない。今のところ北朝鮮は核爆弾は持っていても、それを運搬する手段までは開発していないのだ。

 

 だが、中距離や長距離のミサイルにその核弾頭を装備して発射できるとなれば、真の核武装となる。その意味では、北朝鮮核武装の「真実の時」がいまやすぐそこまで迫ってきたのである。

あと1~2年のうちに核弾頭を弾道ミサイルに装着

 そもそも北朝鮮の情勢を一体どう読めばよいのか。その作業はますます重要、かつ難題となってきた。

 

 金正日総書記の死後、後継の金正恩政権は当然、波乱が予想される。未経験の若者がカルト的独裁の父のパワーをうまく継げるのかどうかは、まったく予断を許さない。その新リーダーを支える当面の集団指導体制も行方が読み難い。特に新指導部は対外的にどんな政策をとるのか。

 

 日本へのその影響も重大である。なにしろ日本は日本人拉致や核兵器開発で北朝鮮の動きには激しく揺さぶられてきたのだ。

 

 北朝鮮の動きでは、いま日米両国では、金正日総書記亡き後の政権の政治動向に集中的な関心が向けられている。金正恩氏に果たして統治の能力がある のか。同氏が実権を振るえない場合、誰が真の権力者となるのか。そんな疑問の読みである。その作業の中では、核兵器の動きへの関心はやや脇に押しやられた 感じさえある。 

 

 だが、米国のオバマ政権の内外の専門家の間では、北朝鮮が長年の目標としてきた核弾頭の弾道ミサイルへの装着をこの1~2年のうちについに達成するだろう、という予測がひそかに強まってきた。

(つづく)

 アメリカを訪れた中国の習近平国家副主席はそれなりに注目を集めましたが、迎える米側では熱気はどこにもみられませんでした。

 

 実務的な外交訪問としては、一定の目的を果たしたといえましょうか。

 

 そのへんの実際を産経新聞の高畑昭男記者がうまく書いています。

 

 高畑氏がさらに強調したのは、この習近平氏、2年ほど前に小沢一郎氏のごり押しで天皇陛下とのご会見を強引に実現させた当事者だったことです。忘れてはならない記録です。慣例を破ってのわりこみ会見とあって、なんとも嫌な後味を残したものです。

http://megiya.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2009/12/16/akihito_xi_ping.jpg

 

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【明日へのフォーカス】論説副委員長・高畑昭男 「友」と呼ばれなかった習氏


 

 中国の次期最高指導者と目される習近平国家副主席の「米外交デビュー」が終わった。

 

 その習近平氏が数少ない訪米演説の中で、「友人を評価する真の基準は言葉でなく、行動だ」というジョージ・ワシントン初代米大統領の格言を引用したのが目を引いた。

 

 訪米3日目の15日、ビジネス関連の友好団体が首都ワシントンで主催した昼食会での演説だ。「重要政策演説」と銘打った割には約15分と短く、中国側報道などによると、米国に「一つの中国」政策を守り、台湾やチベットなどの「核心的利益」の尊重を行動で示すよう求めた。

 

 従来の中国の主張と比べて「スタイルは違っても中身は同じ」と評した米メディアもあったが、「互いの利益を尊重しなければ、信頼は築けず、両国関係も危うい」と警告する文脈で冒頭の格言が使われた。

 

 習氏にすれば、「中国の友人でいたければ、中台問題やチベットの人権問題などに口をはさむな」といいたくて、初代大統領の格言を持ち出したのかもしれない。

 

 しかし、興味深いことは、米側に「友人」として習氏に向き合う動きがなかったことだ。演説を報じた米主要メディアでも、この格言にまで触れた記事は見当たらなかった。

 

 習氏はオバマ大統領らとの会談や国務省で開かれた歓迎昼食会での公式発言でも「友人」を連発した。これに比べ、政権側ではクリントン国務長官が「米中間の友情」に言及したのを除き、習氏に親しく「友人」と呼びかけた人はいなかった。

 

 習氏が引用した格言は、いうまでもなく互いに「友人同士」でなければ成立しない。だが今の米政界は大統領選という熱い「政治の季節」のさなかにある。オバマ氏に限らず、中国やその次期最高指導者を「友人」と呼ぶのは政治的自殺行為に等しいという事情もあっただろう。

 

 平たくいえば、習氏が「友人」や「友情」をテコに米国に外交的圧力を加えたくとも、米政府、米政界には習氏を「友人」と呼ぶ基盤は存在しない。そんな「片思いの現実」が今回の訪米で見えたように思う。

 

 オバマ氏は中国を「戦略的パートナー」とし、ともに「21世紀を形成する関係」と位置づけて「前向きで協力的で包括的な関係」を目指す戦略・経済対話を重ねてきた。

 

 しかし、そのことと、例えば日米同盟のような「同盟・友好」の関係とはおのずから違う。東日本大震災時の日米共同作戦がごく自然に「トモダチ作戦」と命名され、両国民を勇気づけたこととは対照的だ。

 

 ちなみに、ワシントン初代大統領には「自らの評判を大切にしたければ、良質の友を持つべし。悪い仲間と組むよりは孤独のほうがましだ」という格言もある。今の中国に対する米国の政治感覚は、こちらのほうがずっと近いのではないか。

 

 習氏といえば、日本では芳しからぬ記憶がある。鳩山由紀夫政権下の平成21年12月に訪日した際、小沢一郎・民主党幹事長(当時)がルールを無視して天皇陛下との特例会見を実現させたことだ。与党の権勢をかさに着たごり押しは友人を増やすどころか、正反対の結果を生んだ。

 

 中国にも「己に如(し)かざる者を友とするなかれ」(自分よりひどい人物を友にするな)という「論語」の格言がある。真の友人を選ぶのは難しい。生兵法で米国の格言を使う前に、習氏は孔子に学ぶべきだったかもしれない。

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