2012年03月

日本でもアメリカでも最大課題の一つは国民と政府の関係をどのようにするかです。

 

政府が国民の世話をどこまですべきか。福祉はどうすべきか。

 

この課題には完璧な解答は永遠にないでしょうが、留意しておかねばならないのは、政府といっても民主主義国家ではしょせん、国民のことです。

 

政府が支出する公費は国民が負担しているわけです。だから福祉のあり方も国民の間での負担の配分ということになります。

 

いまここにきての日本の福祉をめぐる議論で「福祉国家亡国論」が注目されているようです。この論を展開した代表的な人物は香山健一氏でした。

 

八木秀次氏が香山氏の主張を紹介し、さらに詳しい論評を加えています。

 

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【正論】高崎経済大学教授・八木秀次 蘇る香山氏の「福祉国家亡国論」
2012年03月19日 産経新聞 東京朝刊 オピニオン面

 本欄草創期からの執筆メンバーで学習院大学教授を務めた故香山健一氏(1933~97)の言論がここにきて再評価されている。

≪マスコミの再評価始まる≫

例えば、朝日新聞はこの1月10日付で、主筆の若宮啓文氏の大型コラム「座標軸」「『日本の自殺』を憂う」を掲載した。『文藝春秋』75年2月号掲載の論 文、「日本の自殺」に言及したもので、共同執筆者の「グループ一九八四年」の中心は香山氏であったと明かしている。それに呼応するようにして、『文藝春 秋』3月号は「朝日新聞主筆が瞠目(どうもく)した衝撃論文」と題し、「予言の書『日本の自殺』再考」を特集し、論文を再掲載している。

私も、これらの掲載に先立つ昨年10月31日付の本欄「野田氏は大平政治の何に学ぶか」で、大平正芳内閣で民間人や官僚による9つの研究会が組織されて、 その中心に香山氏がいたこと、中でも、「家庭基盤充実研究」グループの報告書『家庭基盤の充実』(80年5月)や、報告書の土台となった自民党研修叢書 『日本型福祉社会』(79年8月)は、香山氏自ら執筆したもので、その内容は再評価されるべきものであることを指摘している。

若宮氏は 「日本の自殺」について、「論文はローマ人が怠惰になって『パンとサーカス』を求めたように、日本人は福祉や減税、平等、利便を求めて自立精神を失い、政 治はそれに迎合して赤字を増やす、とやいばをつきつけた」としながら、「保守のイデオロギー色の濃いその内容には偏見や見通しの誤りも少なくなかったが、 (中略)バブル崩壊からほぼ20年。後始末に追われながら国の借金が瀬戸際までふくれたいま、『日本の自殺』がかつてなく現実味を帯びて感じられる」と概 (おおむ)ね肯定している。

「保守のイデオロギー色が濃い」だの「偏見や見通しの誤りも少なくない」だのと素直に肯定できないのは、いかにも朝日の主筆らしいが、それを言うなら、「日本の自殺」が発表された75年当時、朝日が何を主張していたのかを振り返ってみるがいい。

≪『英国病の教訓』の予言≫

香山氏の主張を一言でいえば「福祉国家亡国論」である。78年の『英国病の教訓』(PHP研究所)では「福祉国家というのは、初期においては理想に燃え て、この社会の中でハンディキャップを負っているために貧しい生活をしている人たちがいる、こういうことがあってはならない、その人たちに愛の手を差し伸 べなくてはならないとか、あるいは病気に罹(かか)った人たちが非常に苦しい生活をしているのを見捨てるわけにはいかない、みんなで助けようということか ら出発して、非常に面倒みのいい国ができたわけなのです」と述べながら、「ところが、そういう理想に燃え、夢を実現するための動きの中で、予期せざる重大 な副作用が発生し、拡大してくるという大変皮肉な結果がもたらされてきました」と説いている。

「重大な副作用」「皮肉な結果」とは、重税や財政破綻、国民の健全な勤労意欲の喪失や人間同士の絆の希薄化のことである。

『日本型福祉社会』については、「医療を無料にすれば確実に病人が増える。老人医療が無料になってから、人々は大晦日(おおみそか)に救急車を呼んで病気 の老人を病院に入れると自分たちは家族そろって旅行に出掛けることを覚えた。そして首尾よく入院させてしまえばもう引き取りにこない」「公立の安い保育所 ができれば、母親が子供を預けて働きに出る『必要』が誘発される。この必要に完全に応じようとすれば、保育所をポストの数ほど作らなければならなくなる。 必要があるからといって地方自治体がどんどん作り、国はその費用の2分の1を自動的に負担しなければならないとすると、国は確実に破産する」といった記述 もある。

≪保守言論人は損な役回り?≫

国が1000兆円もの借金を抱え、少子高齢化で年金や医療財政の破綻が予想され、生活保護費が国や地方自治体の財政を圧迫している現在を予測した「瞠目すべき予言」である。

今の状況になってみれば、若宮氏を含めた誰もが理解できるが、これらが発表されたのは「バラマキ福祉」路線を取った革新自治体華やかなりし時代である。こ の頃、朝日は大衆に迎合して耳あたりのいいことばかりを言い、香山氏らの言論を「タカ派」「保守反動」「弱者切り捨て」と批判していたはずである。

香山氏らはそれに耐えながら、遠い将来を予測して言いにくいことをあえて発言していた。保守の言論人とは何と損な役回りで、朝日などリベラル派は何と暢気な稼業なのかと思う。

政府は「社会保障と税の一体改革」を進めている。しかし、それはあくまで現状を維持する弥縫(びほう)策でしかない。今こそ香山氏らの「予言」に謙虚に耳を傾け、「福祉」の抜本的な見直しに着手しなければ、文字通り「亡国」となるのは必至である。(やぎ ひでつぐ)

 健全な動きです。

 埼玉県議会が県内の朝鮮学校への公的資金の提供を保留した、というのです。

 同県議会の決議はその理由をきわめてわかりやすく説明しています。

 

 日本国民の拉致したままの外国政権への忠誠を誓う教育を続ける外国学校に日本国民がなぜ税金からの貴重な資金を贈与せねばならないのか。ちょっと考えれば、答えは明快ですね。

 

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★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.03.27)拉致問題解決まで朝鮮学校補助金を留保すべき─埼玉県議会予算特別委が決議

■拉致問題解決まで朝鮮学校補助金を留保すべき─埼玉県議会予算特別委が決議

埼玉県議会は3月23日、平成24年度当初予算案を審議する予算特別委員会において、埼玉朝鮮初中級学校に対し920万円計上されている補助金について、「朝鮮学校側が県からの要請にしっかりと応えるとともに、拉致問題等が解決されるまでは予算の執行を留保すべきである」とする附帯決議を付することを賛成多数で決定した。

埼玉県は、埼玉朝鮮初中級学校の財務状況や教育内容の改善が図られないため、22年度補助金を執行しておらず、23年度分補助金も同様の理由により執行凍結状態が続いている。

◇埼玉県議会予算特別委員会附帯決議全文は次のとおり。

埼玉朝鮮初中級学校に対する運営費補助金については、学校側が財務の健全化など県からの要請に対していまだ十分に応えきれていない。

そもそも朝鮮学校は北朝鮮の影響下にある朝鮮総連が中心となって設立した学校である。

その本国である北朝鮮は、日本人拉致問題を引き起こしたにもかかわらず、いまだに不誠実な対応をとり続けている。

このような状況下で県民の貴重な税金から埼玉朝鮮初中級学校に運営費補助金を支出することは、納税者である多くの県民の理解を得ることは到底できない。

よって、埼玉朝鮮初中級学校に対する補助金については、学校側が県からの要請にしっかりと応えるとともに、拉致問題等が解決されるまでは予算の執行を留保すべきである。

以上



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■野田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi

葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 野田佳彦殿

■救う会全国協議会ニュース

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784  http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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中国の次期指導者たちの分析をアメリカがもう始めています。

台頭する大国の新指導者たちは対外的にどんな態度をとるのか。とくにアメリカに対してはどうなのか。

 

こんな読みがもう真剣に始まっているわけです。

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〔ワシントン=古森義久〕

 米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は23日、中国共産党の次世代指導者たちを分析する報告を公表し、習近平氏をはじめとする新指導層は米国に対しても実務能力を高め、自信に満ち、民族主義的志向の強い姿勢をとるだろうとの予測を打ち出した。

 

 米国では政府、議会から民間まで2012年に予測される中国の最高指導層交代に真剣な関心を向けており、同報告その表れの一端といえる。超党派の同調査委員会専門スタッフが作成した同報告は「中国共産党と新登場する次世代指導者たち」と題され、いま確実とされる習近平氏の共産党総書記就任や同党政治局常務委員会の異動がどのような対外政策、対米政策につながるかをも占っている。

 

 同報告は習氏が「太子党」や「上海閥」の強い支持を得て最高ポストに就くことを予測する一方、メンバー9人のうち7人が交替する同政治局常務委員会では胡錦濤現総書記に近い「共青団派」が力を発揮するとの見通しを強調した。

 

そのうえで同報告は習氏を中心とする第五世代指導者たちの特徴として

 

①当初の数年は劇的な政策変更はしないが、現世代よりも教育水準も行政の実務能力も高く、国際的視野も広い

 

②同時に共産党への忠誠や共産主義イデオロギーへの信奉が強く、中国の民族主義をも強く反映して、外部世界や米国をみる際の自他の区分が厳しい

 

③若い時期から共産党エリートとして育ったために優越意識や特権意識が強く、対外関係への取り組みにも反映されかねない

 

―ことなどを指摘して、米国にとっても手ごわい相手と位置づけている。

 

習近平氏自身について同報告は同氏が江沢民、曾慶紅前正副国家主席に対し多様なアプローチで支持を勝ち取ったことを詳述する一方、胡錦涛氏との協調の巧みさから「太子党ながらも共青団派からの支持も強い」とも評した。

 

習氏自身の対米姿勢に関して同報告は

 

①米中関係の重要性を公式言明で再三、強調してきた

 

②娘が米国の有名大学に入ったとみられる

 

③しかしその一方、人民解放軍の将軍で米国敵視で知られる劉源氏ときわめて親密とされる

 

―ことなどから大ざっぱな断定は難しいとして、習氏は米国に対し多層な態度をとるだろうとも予測した。

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私が産経新聞に書いた最新の記事です。

 

【朝刊 国際】


【緯度経度】ワシントン・古森義久 影薄い外交政策、現実の争点


 

 「現政権の政策が続けば、米国人の次世代はみな国内の日本の工場の床を掃除するような仕事しか得られなくなる」

 

 1984年の米国大統領選挙で、現職の共和党レーガン大統領に挑んだ民主党のモンデール候補が繰り返し口にした言葉だった。

Image Detail 

 

 

「米国のいまの経済トラブルはほとんどが現政権の許容した日本の不公正な貿易慣行のせいだ」

  

 92年の大統領選でも現職の共和党ブッシュ大統領(先代)に対し、挑戦者の民主党クリントン候補がこんな非難を連発した。

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 いずれの選挙でも日本が主要争点となり、時の政権の対日政策が激しい議論を呼んだ。国内経済と絡み合ったとはいえ、外交政策が選挙キャンペーンでの最大争点として燃えあがったのだった。

 

 そんな展開とは対照的にいまの選挙戦では日本は影も形も出てこない。中国がある程度、論じられるだけで、そもそも外交政策が正面舞台でのテーマになって いない。イラクや対テロ戦争という対外課題が熱っぽく議論された2004年や08年の選挙とも巨大な落差がある。現段階では共和党の候補たちの激戦だけ で、オバマ大統領への本格的チャレンジが始まっていないせいもあるが、それにしても外交は影が薄い。

 

 そうした現状を、外交、安保、政治の総合的な調査・分析を提供する「リグネット」の編集局長フレッド・フライツ氏が解説してくれた。「リグネット」とは 共和党系の元閣僚や議員、軍高官が創設したインターネット中心の新しいタイプの民間情報機関で、フライツ氏もCIA(中央情報局)や議会で長年、活動して きた。

 

 「外交政策が論じられないのは第一にいま米国民全体の関心が国内経済にあまりに集中しているからです。第二には、近年の米国はイラクとアフガニスタンに 長く深く介入し、国民の対外問題への関心が一種の限界に達したという側面だといえます。しかし共和党側はオバマ大統領の対外姿勢には基本的、哲学的な異議 を感じており、同大統領に対抗する指名候補が決まれば、外交論議が正面に出てくる見通しもあります」

 

 フライツ氏はその上で共和党側からみてのオバマ外交の問題点を指摘した。

Frederick Fleitz

 

 第一には、オバマ大統領は歴代政権が自明とした民主主義の拡散など米国独自の価値観を強く対外的に押し出さず、超大国として振る舞うことをためらっている。外国に対しすぐ謝罪することもその例証だという。

 

 第二には、その結果としてオバマ政権はイランの核兵器開発やリビアの民主派弾圧への対処でもリーダーシップを発揮せず、リビアの例ではフランスに主導権を譲り、「背後からの主導」という批判を内外から招いた。政策の整合性に欠ける実例が多いのだという。

 

 第三には、オバマ政権はテロへの戦いの姿勢も不明確で、当初は「対テロ戦争」という言葉もあえて使わず、グアンタナモ米海軍基地のテロ重要容疑者収容施 設の閉鎖や強硬な尋問の廃止を公約したが、すぐに方針を変えることとなった。だがイスラム原理主義のテロに対してなお厳しい対応に欠けるという。

 

 以上のようにフライツ氏があげる共和・民主の外交政策の対立点はみな安全保障につながるが、安保を支える国防にしても予算の大削減をめぐる両党の激突は顕著となってきた。選挙戦で外交政策はいま正面に出なくても、すでに現実の争点にはなっているということだろう。

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中国では重慶市の薄煕来書記の解任が波紋を広げています。

 

突然の粛清とも受け取れる抜き打ち人事です。

 

この動きには中国の次の国家主席になることが決まっているといわれる習近平氏が密接にかかわっているでしょう。

 

では習近平氏とは何者なのか。現在の国家副主席というだけで、その正体はどうもはっきりしません。さすが共産主義独裁の中国だけあって、次の国家主席になるという人物の実態がよくわからないのです。そもそも習氏が一体なぜ次の主席になるかということも不明です。

 

 そんな状況のときに、おもしろそうな本が出ました。

習近平氏についての書です。サブタイトルに「共産中国最弱の帝王」とあるのが示唆的です。

 

 著者は産経新聞の気鋭の記者の矢板明夫氏です。

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習近平―共産中国最弱の帝王

内容(「BOOK」データベースより)

派閥の妥協の結果、たまたま選ばれた「お坊ちゃん(太子党)」習近平。政治手腕は未知数。最大のブレーンは母親。妻は超人気美人シンガーにして現役の人民 解放軍少将。対日政策は江沢民より厳しいといわれる強硬派。利権のしがらみの真っ只中で、軍と歩調を合わせながら、習近平は中国をどう変えるのか。謎に満 ちた半生をたどり、民主化への対応、経済政策、人脈から学歴詐称疑惑、サッカー大国化計画まで、次なる中国のすべてがわかる決定版伝記。
 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

矢板 明夫


産経新聞中国総局(北京)特派員。1972年中国天津市生まれ。15歳の時に残留孤児2世として日本に引き揚げ。千葉県出身。1997年慶応義塾大学文学 部卒業。同年、松下政経塾に入塾(第18期)、アジア外交が研究テーマ。その後、中国社会科学院日本研究所特別研究員、南開大学非常勤講師も経験。 2002年中国社会科学院大学院博士課程修了後、産経新聞社に入社。さいたま総局記者などを経て07年から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲 載されていたものです)

 

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