2012年04月

 政治評論家の屋山太郎氏が小沢一郎氏に引導を渡そうとしています。

 

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屋山氏といえば、保守とされながら、一時は民主党に熱い支援の声を送った人です。しかし最近ではどうも感じが違います。従来の支持者にまで見放される民主党、そして小沢一郎、ということでしょうか。

 

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【正論】評論家・屋山太郎 小沢氏よ「無罪」を引退の花道に
2012年04月27日 産経新聞 東京朝刊 オピニオン面

 小沢一郎元民主党代表の政治資金規正法違反の裁判で、無罪判決が出た。無罪になったからといって、私の小沢氏に対する評価は全く変わらない。自分に都合 の悪いことは黙る、相手がひるむと恫喝(どうかつ)するという小沢氏の流儀は、日本の政治を担う指導者の、あるべき手法とはかけ離れている。

≪不動産買いあさりは師譲りか≫

誰もが不審に思う一つが、土地の「確認書」問題である。2007年2月、小沢氏は、自分が所有する13の土地、建物について釈明の記者会見を行った。中に、今回の裁判で争点となった世田谷の4億円の土地が入っている。

小沢氏は「土地の名義は小沢一郎になっているが、実際は政治団体、陸山会の所有物である」と釈明し、政治団体で登記できないから小沢名義にした証しとし て、「確認書」を示した。であれば、登記した日に確認書を作成すべきなのに、6件の確認書は後で同じ日に書かれたと判明する。

それが、今回の裁判でいつの間にか、4億円の土地は自己資金で買ったから問題ないという話にすり替わっている。自己資金なら、なぜ確認書の公表という大芝居を打つ必要があったのか。あれから5年たつが、小沢氏はこの点に関し一度も説明していない。

小沢氏が、投資家ではなくて政治家でありながら、なぜ、不動産を13カ所も買いあさったのか。それは、師匠の田中角栄氏の生き方をまねているからだろう。

角栄氏は、土建や土地売買で莫大(ばくだい)な政治資金を手にし、田中人脈を培養した。傘下の国会議員を最大110人にまで増やしている。「角福戦争」を 戦った福田赳夫氏は角栄氏を評し、「1人が50人を縛る。その50人が200人を支配する。これでは政治が独善、独裁に陥る」と言ったものだ。

≪政党助成金で大勢力を形成≫

角栄氏は、ロッキード事件で起訴されて無所属になっても、自民党内の田中派を増やし続けた。政治権力の中で大きな勢力を占めれば、司法も手が出せなくなると思い込んでいるようだった。

こうした政権党の金権体質を清算するために、小選挙区制度を導入し、政党助成金を交付して、政治風土の浄化が図られた。小沢氏は、この一連の改正作業の中心にいたはずだが、自らは政治活動の手法を全く変えなかった。

角栄氏が、党のカネも自分のカネもふんだんに使ったのに対し、小沢氏は、自分のカネを使わず政党助成金を握ることで、大派閥を形成し維持したのである。

小沢氏は新進党を解散し、自由党を分裂させ、民主党に転がり込んで母屋を取る。その手口は、党のカネを握って傘下の議員を増やすというものだった。解散し た党に残った政党助成金を、小沢氏は私物化し、その総額は一説に28億円といわれているが、小沢氏は一切、明らかにしていない。

小沢氏 が民主党に鞍(くら)替えしたときの言い分は、「政策から何から全部、民主党の主張をのみ込む」-だった。そこで、選挙の責任者となって、小沢氏は何百億 円もの政党助成金を自らの一存で使い、“小沢ガールズ”をはじめ100人余の追随者を当選させた。その選挙で、民主党は政権を取り、その政権党に、小沢氏 は公金で「党中党」を築いたのである。

与党の中に、100人もの支持議員を作れば、司法の攻撃への盾にでもなると、角栄氏同様に思っていたふしがある。だが、世間の常識に照らせば、人のふんどしで相撲を取った、ということになる。教養と武士道精神がある指導者が最も恐れる言われ方だろう。

≪野田降ろしに走れば筋違い≫

小沢氏は無罪が確定したら、政治活動に本格復帰し“野田(佳彦首相)降ろし”を始めるだろう。「野田氏は行革や、選挙で公約したことをやっていない」との理由だそうで、呆(あき)れてしまう。

そもそも、民主党が09年の総選挙で掲げたマニフェスト(選挙公約)は、ほとんど実行されていない。目玉公約の中に、「天下り禁止」「渡り根絶」があった。天下りを根絶すれば12兆円のカネが浮くという触れ込みだった。

ところが、民主党政権初代首相の鳩山由紀夫氏と、党幹事長として支えた小沢氏のコンビが最初に行った人事が、元大蔵(現財務)事務次官、斎藤次郎氏の日本 郵政社長への起用だった。こんな典型的天下り人事を許したわけで、他の公益法人の人事などバカらしくてチェックする気も失(う)せる。

日本外交は、「普天間飛行場の移転先は少なくとも県外」との鳩山首相の一言で崩れ去った。小沢氏は、議員を含めた600人を引き連れて訪中し、屈辱的な朝 貢外交を展開した。今、嫌中感情を抱く日本人は9割に達している。米国に距離を置いて中国と交流を深める外交方針などは、国民感情を逆なですること甚だし い。

民主党政権を大きく躓(つまず)かせた張本人は小沢氏であって、自らの政策失敗を反省せず、政治手法の問題点を棚に上げ、後続の野田氏を攻めるのは恥知らずだ。度し難い古い政治を引きずっている小沢氏に、強く政界引退を勧めたい。(ややま たろう)

 私の日本人の知己のなかでも、「尖閣諸島を買うと表明した石原知事を支援するため、寄付をしたい」と述べている人がすでに複数、存在します。

 

同じような趣旨で佐々淳行氏が興味ある提言をしています。

尖閣一坪運動です。

 

この運動はかつて沖縄で米軍基地に反対する人たちが基地用の用地を一坪ずつ買い、その権利を主張することで基地反対運動の効力を高めようとして政治戦術です。その「地主」の多くが沖縄とは本来、関係のない政治活動家だったことも、いまでは広く知られています。

 

佐々氏の今回の提案はこの沖縄方式を逆手に取る発想だといえましょう。

 

 

【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 「尖閣一坪運動」で石原氏に続け


 

 

 

 石原慎太郎東京都知事が、ワシントンの米保守系シンクタンク、ヘリテージ財団で講演し、「尖閣諸島は東京都が買い取り、東京が守る。どこの国が嫌がろうと、日本人が日本の国土を守るため取得する」と発言、波紋を呼んだ。

 

 中国は、尖閣諸島を「中国固有の領土で核心的利益」などと位置付けて、付近の島々に中国名を冠し、「海監50号」「海監66号」など新鋭の海洋監視船を 周辺海域に遊弋(ゆうよく)させ海保巡視船に誰何(すいか)してくるなど、尖閣領有の意思を次第に鮮明にしている。その中国が反発したのは織り込み済み だった。

 

 ≪漁船衝突への対中弱腰対応≫

 

 一昨年秋の中国漁船体当たり事件は、「衝突事故」ではない。領海侵犯・公務執行妨害の事件である。中国人船長は超法規的な釈放などせず、起訴して裁判に かけるべきだった。那覇地検はしかし、「今後の日中関係を考慮した」という検察にあるまじき政治判断を示して船長解き放ちを決めた。菅直人首相、前原誠司 外相が国連総会(ニューヨーク)出席中の留守を預かっていた、仙谷由人官房長官(いずれも当時)からの政治圧力が影響したとの見方が強い。仙谷氏が別の理 由でとはいえ参議院の問責決議を受けて、内閣改造で更迭されたのは当然であろう。

 

 那覇検察審査会は、超法規釈放を非とし起訴相当と決したが、菅政権あるいはそれを引き継いだ野田佳彦政権は本件を頬被りして、同船長の任意出頭さえ求め ていない。その後、中国漁船団が韓国領海に侵入して公務執行を妨害し、韓国の海上警察官が殉職した。韓国はこの犯人を逮捕して起訴し、懲役30年の判決が 言い渡されている。中国は、これに抗議したものの、韓国の主権は李明博政権の断固たる姿勢によって守られた。それに比べて、日本は情けない。

 

 民主党政権は対中弱腰外交で中国人船長による主権侵害、公務執行妨害事件を等閑に付し、国民は強い不満と不安を抱いていた。そうした中での石原発言である。

 

 ≪都知事は尖閣問題で筋金入り≫

 

 日本の政界や世論の動向を筆者は注意深く見守っていたが、興味のあった反応は以下の通りだ。

 

 一、藤村修官房長官が「国が同諸島を今は2400万円余の賃貸料を支払って借りているが、必要な場合は、国の購入もあり得る」という旨を記者会見で述べた

 

 一、橋下徹大阪市長が「いつか誰かが言わなければいけなかった。石原知事らしい発言で、石原氏にしかできない判断と行動だ」と論評した

 

 一、各日刊紙が1面で大きく取り上げ、社説を別にすれば、比較的冷静に報じ、NHKや民放各局も客観的報道姿勢を保っている

 

 一、猪瀬直樹東京都副知事が「寄付金を募れば都民の税金負担分は軽くなる」と、国民的募金運動を示唆した

 

 一、政府与党も迷惑顔ではあるが、案件が案件であるために、質問し反対する声はない

 

 本来は国がやるべきことではあるが、国がやらないし、地権者が「民主党政府には売りたくない。石原都知事を信頼」と言って交渉に応じている以上、反対し難い空気が漂っていて、石原発言は国民に受け入れられたとみていい。

 

 石原氏の尖閣への思い入れは決して昨日今日のものではない。

 

 ≪米国防副長官を閉口させる≫

 

 かつて、駐日米国大使だったモンデール元副大統領が、「尖閣は日米安保条約第5条の対象外で、仮に尖閣で軍事衝突が起きても在日米軍は出動しない」と、 安保条約への認識不足から大失言をしたとき、石原氏の憤激は凄(すさ)まじかった。怒りはその後も燃え続け、2001年9月10日に訪米して、都知事2選 目の公約、「横田基地返還」を果たすとして、米国防総省でウォルフォウィッツ国防副長官と会談し、ポリエステル製樹脂の横田空域図を、「これが羽田、これ が厚木、これが横田」と組み立て、驚く副長官に「とりあえず航空管制権の返還を」と迫った。

 

 それで終わりかと思ったら、モンデール氏を痛烈に批判し、やおら沖縄返還の日米公式協定資料を取り出して、卓上に付属交渉文書の一部の沖縄地図を広げ、 「ごらんなさい。第5条の対象区域に尖閣が入っているでしょう」と追い打ちをかけたのだった。ウォルフォウィッツ氏は閉口して、同席していた筆者の方を 見、自身の補佐官たちを見回して、「私は尖閣に詳しくないので、追って調べて返事する」と答えたものだった。

 

 そんな石原氏の強烈な愛国心がその後も、不撓不屈(ふとうふくつ)の秘密交渉を地権者、栗原氏との間で続けさせ今回の発表に至ったのである。

 

 地権者が石原知事を信頼して基本的に応諾した以上、都と沖縄県および石垣市が合議し、同時に国民に訴えて猪瀬副知事が示した募金運動を起こし、社会党や 共産党が昔、成田で「一坪地主運動」を展開した例を逆手に取って、「尖閣諸島買い取り・国民一坪運動」を立ち上げ、最終的には対中国弱腰の政府与党にも協 力させ、尖閣周辺の海底資源、漁業資源を確保すべきだと思う。だから、筆者は石原都知事の構想を支持する。(さっさ あつゆき)

春の一日、ワシントン郊外のアナポリスまで1時間ほど車を走らせ、アメリカ海軍士官学校に行ってきました。アナポリスは大きな入り江に面した美しい街です。

 

そこで以下のような体験をしました。

 

【外信コラム】ポトマック通信 海兵隊少佐の退役式
2012年04月23日 産経新聞 東京朝刊 国際面

 ワシントン近郊アナポリスの米海軍士官学校でのジョン・ドナホー海兵隊少佐の退役式に20日、招かれた。同校教官のドナホー少佐は同校の柔道部長だったため、私は柔道交流を通じて知己を深めた。

メモリアルホールという広大な建物内の大講堂に1人だけのための退役式とはいえ軍楽隊が入り、同少佐の家族をはじめ士官や学生ら100人ほどが並んだ。儀 式は国歌斉唱に始まり、ドナホー少佐のイラクや旧ユーゴでの軍務の紹介、校長やオバマ大統領からの謝辞、上官や同僚の惜別の辞と、続く。

ドナホー氏は40代前半だが、軍歴20年を区切りに、民間の職務へと転ずるのだという。しかし一少佐の退役に海軍や海兵隊が大統領の言葉までを得て、これほどの準備をして謝意を表するとは知らなかった。

最後にドナホー少佐自身が海兵隊勤務の総括を15分ほども自由に語った。そのなかでは海軍士官学校の柔道部を育てたことを「誇らしい実績」として語り、この3月の全米学生選手権での戦績までを報告した。

海軍士官学校の柔道部は一昨年以来、東海大学柔道部の井上康生、大川康隆、片渕一真各コーチの指導を得て、目にみえるレベルアップを果たした。その日米交流を米側で進めたのがドナホー少佐だったのだ。(古森義久)

以下のような記事を書きました。

 

サンフランシスコ講和条約60年 米は評価「経済や防衛、価値観共有し利益」
2012年04月26日 産経新聞 東京朝刊 総合・内政面

 ■中国台頭で同盟曲がり角

【ワシントン=古森義久】日本の 戦後の独立を画すサンフランシスコ講和条約の発効から60年、米国ではこの記念日をとくに祝う行事は見当たらないが、この長い歳月に日本が米国の有力パー トナーとして利害や価値観を共有して発展した点を重視し、同条約を米国の対外政策の一大成功とする評価が改めて確認された。だが同条約とともに出発した日 米同盟が内容の変質や中国のパワー拡大により、いまや曲がり角を迎えたとの懸念も一部に表明された。

◆対外政策の成功物語

同条約が、米国にとって敵だった日本を米欧と自由民主主義などの価値観を共にする「西側陣営」の一員とし、ソ連との厳しい対決での主要な同盟国とした点 で、対外政策の一大成功物語とする認識は米側で一致している。日米関係を専門とするジム・プリシュタップ米国防大学教授は「とくに条約発効からの半世紀は 米国の戦後の外交政策でも歴史的な成果をあげたといえる」と評価する。

米国の対外関係に詳しいブルース・ワインロッド元NATO(北大西洋条約機構)駐在米首席代表は「サンフランシスコ講和条約は日本を民主主義、市場経済の国際システムに招き入れ、同時に防衛面でも東アジアでの戦略拠点とした点で米国への利益は巨大だった」と総括した。

この種の総括は、同条約がソ連の軍事脅威と共産主義に直面して西側陣営に加わるという選択を自明にした点で、日本にも歴史的意義が大きかったことを証する といえる。この選択を米国への「従属」としかみないのは、日本の国益や価値観の立脚点をどこに置くかが不明ゆえの認識だろう。

◆軍事力不行使が障壁

しかしプリシュタップ教授は現在、日米同盟関係が冷戦時代の日本防衛という2国間機能から地域的、さらにはグローバルな機能を期待されるにいたったこと が、同条約発効60周年に特別の意味を持たせていると指摘した。同盟のこの機能の変容には中国の軍事力の拡大という新しい要因がからみ、日米両国にとって 同盟の再調整が致命的に重要となってきたというのだ。

ポール・ジアラ元国防総省日本部長はこの点に関連して、「日米同盟の効用拡大が期待されるにつれ、日本側の集団的自衛権の行使禁止など、構造的な消極姿勢による日米間の足並みの乱れが懸念を生み始めた」と指摘した。

ジアラ氏は
 
(1)中国の軍拡という新要因への日米統合の防衛対応が求められる現在、日本側の軍事力不行使の基本がその種の統合を難しくしている
 
(2)この 統合の欠落は、東日本大震災直後の米軍のトモダチ作戦でも明白だった
 
(3)日米同盟が本来、枝葉である普天間飛行場問題などで機能不全となる現実への米側 の不満や不信は強い
 
 -などとも述べ、サンフランシスコ講和条約発効60周年のいま、同盟が大きな曲がり角を迎えたとの見方を明らかにした。

同氏は「同条約発効60周年を祝う動きが米側で皆無なのは、その種の不満の反映かもしれない」とも論評するのだった。

さあどうなるか。

 

野田首相ももう訪米どころではないですね。

キャンセルはできないし。

 

でも民主党という存在がこれでますます無意味になるという点は歓迎すべきかも、です。

 

小沢元代表無罪 陸山会事件 東京地裁判決 「故意なし」共謀否定


 

東京地裁に入る民主党の小沢一郎元代表。無罪判決が言い渡された=26日午前、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)

 

 

 

 ■4億円不記載は「了承」

 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の判決公判が 26日、東京地裁で開かれ、大善(だいぜん)文男裁判長は無罪(求刑禁錮3年)を言い渡した。国会議員への全面無罪判決は平成18年の村岡兼造元官房長官 への1審判決=2審で逆転有罪、確定=以来。与党最大グループを率いる小沢元代表への無罪判決は、今後の政局にも大きな影響を与えるとみられる。

 検察審査会の議決を受けた強制起訴事件の判決は2件目。いずれも無罪となったことで、制度のあり方をめぐる論議が高まりそうだ。

 小沢元代表は「秘書にすべて任せていた」と全面無罪を主張。公判では、(1)元秘書との共謀の有無(2)虚偽記載の有無(3)強制起訴の適法性-が争点となった。

 大善裁判長は最大の争点となった元秘書との共謀について、小沢元代表が土地取得公表先送りの方針や、自身が提供した4億円を簿外処理して公表しないこと を了承していたと認定。しかし小沢元代表は4億円を記載する必要性を認識していなかった可能性が否定できず、故意を欠くとして、共謀の成立は否定した。

 また、小沢元代表の説明を「一般的に不自然な内容で変遷がある」と指摘、問題発覚後も一度も政治資金収支報告書を見ていないと述べた点については「およそ信じられない」とした。

 一方、元秘書らによる虚偽記載罪の成立は認定し、動機は、小沢元代表の巨額資産の原資をマスコミなどから追及されないようにするためだったと指摘した。

 強制起訴の適法性については判決の冒頭で、「事実と異なる捜査報告書が検察審査会に提出されたとしても、起訴議決の有効性とは別の問題だ」として適法と 判断。強制起訴の効力に関する司法判断は初めて。検事が作成した虚偽の捜査報告書の問題については「あってはならないことだ」と批判した。

 公判では、小沢元代表への「報告・了承」を認めた元秘書らの供述調書の大半が違法な取り調べを理由に排除された。

 検察官役の指定弁護士側は「元秘書が独断で虚偽記載をすることはない」と主張。弁護側は「共謀を推認させる事実関係はない」と反論し、起訴議決は無効として公訴棄却も求めていた。

                   ◇

 ≪判決骨子≫

・小沢一郎元代表は無罪

・元秘書らは収支報告書に虚偽記入した

・4億円の簿外処理の報告を受け、了承していたが、元秘書らとの共謀は成立しない

・強制起訴は適法で有効

・事実と反する捜査報告書を作成し、検察審査会に送ることはあってはならない

                   ◇

 ≪起訴内容骨子≫

 小沢一郎元代表は石川知裕衆院議員ら元秘書3人と共謀し、(1)陸山会が平成16年10月12日ごろに小沢元代表から借り入れた4億円を同年分の政治資 金収支報告書に収入として記載せず(2)同月支払った土地取得費計約3億5200万円を、16年分ではなく17年分収支報告書に支出として記載し(3)土 地の取得時期を16年分ではなく17年分の収支報告書の資産欄に記載した。

                   ◇

【用語解説】検察審査会と強制起訴

 検察官が不起訴処分とした被疑者について、有権者11人で構成される検察審査会が審査。8人以上の賛成で「起訴相当」とすると検察が再捜査する。この上 で起訴されなかった場合は、検察審査会が2度目の審査を行う。その結果、8人以上の賛成で「起訴すべきだ」と議決(起訴議決)されれば、検察官役の弁護士 (指定弁護士)が強制起訴し、公判も担当する。

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