2012年08月

 共和党全国大会の直前に書いた私の記事です。

 

【朝刊 国際】


【米国のかたちを問う 2012大統領選】(5)外交政策 哲学的な差異


 

 ■オバマ氏「アメリカの例外主義があるならば、イギリスやギリシャの例外主義もあるだろう」

 ■ロムニー氏「主導権を発揮することは 恥ではなく、必要であり、誇りに思う」

 

 「アメリカの例外主義」-。世界の中でも米国だけは特別の価値観や道義の下に他の諸国を導く責務があるという外交政策の基本理念である。米国だけは国際社会でも他国とは異なるという前提だから「例外」と呼ばれるわけだ。

 

 他国を「従」の立場におく響きのために対外的な公式政策用語として使われることはないが、米国内の外交論議ではよく登場する。2度の世界大戦での決定的 な役割に加え、戦後から現在にいたる国際秩序の構築をみても、米国が実際に例外的な役割を果たした事実は否定できないだろう。

 

 米国の歴代大統領もみな外交では程度や表現の違いこそあれ、基本は例外主義を信奉してきたというのが米国学界のコンセンサスでもある。だがオバマ大統領だけはそれに公然と背を向けたのだった。

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 ◆決定的な失態なし

 

 「アメリカの例外主義があるならば、イギリスやギリシャの例外主義もあるだろう」

 

 オバマ氏は世界ではどの国も同等だという前提から外交を始めることを宣言した。諸外国からは歓迎はされても米国内では激しい論議を生んだ。この前提から のオバマ外交は多国間の平等な協議、謙虚で柔軟な姿勢、軍事力よりもソフトパワー、2国間同盟よりも国際安保-などを指針に出発した。いわゆるオバマ・ド クトリンである。

 

 一方、共和党の大統領候補、ロムニー前マサチューセッツ州知事は「アメリカ例外主義」の旗手ともされたロナルド・レーガン元大統領の「力による平和」への共鳴を表明し、21世紀を「アメリカの世紀」と評して、オバマ氏とは正反対に近い主張を語る。

 

 「米国が世界で主導権やパワーを発揮することは恥ではなく、必要であり、誇りに思う」

 

 副大統領候補のポール・ライアン下院議員にいたっては「例外主義」という言葉を明確に打ち出して、世界での米国の影響力の回復を唱える。

 

 民主党と共和党、現職と挑戦者の間では、「大きな政府」と「小さな政府」という内政の違いと同様に、外交政策でも深遠な哲学的な差異と呼べるほどの対立が鮮明なのである。

 

 しかし、過熱する選挙キャンペーンでは外交はまだ激論が噴出するにはいたっていない。不況の回復を中心とする経済の課題があまりに大きいことにもよるのだろう。オバマ政権が外交面でこの3年半、決定的な失態は犯さなかったことも、原因だといえよう。

 

 民主党系の「外交評議会」レスリー・ゲルブ会長はオバマ・ドクトリンには「不明確」と留保をつけながらも、オバマ外交には及第点以上をつける。

 

 「とくに困難で危険な課題を避けながらも着実に多くの実績をあげ、米国の声価を復活させた。結果として中道の外交を展開し、対テロ闘争では、(国際テロ組織アルカーイダの指導者)ビンラーディン容疑者の抹殺という大きな成果をあげた」

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 ◆「消極的」非難の声

 

 しかし、共和党側では「オバマ消極外交」による米国の影響力や指導力の後退を非難する。ロムニー陣営の外交政策顧問ジョン・ボルトン氏が述べる。

 

 「シリアの民主化闘争で米国は『背後から導く』とけなされたように、消極性によりイランや北朝鮮の核兵器開発を抑えられない。アフガニスタン政策も欠陥だらけ、ミサイル防衛網の縮小や国防予算全体の大幅な削減を許して、世界の不安定と危険を増している」

 

 一方、ロムニー氏には国政レベルでの外交や安保の政策体験がない。日本との同盟関係重視を唱えながら日本の衰退について非礼な発言をしたのも経験不足に帰されている。

 

 そのロムニー氏が最も力をこめて非難するオバマ外交は中国政策だ。人権でも軍事でも経済でも軟弱に過ぎると主張し、公約として就任直後に中国を「為替 レート不正操作国」に指定し、制裁措置をとることを誓う。やはり中国の影は米国大統領選の外交論戦でも巨大なようなのである。

 

(ワシントン 古森義久)= おわり

 

 アメリカ大統領選挙の現状です。

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〔タンパ=古森義久〕

 

米国大統領候補にミット・ロムニー氏を指名した28日の共和党全国大会ではこれからの大統領選挙に備える同党の基本戦略が改めて鮮明となった。民主党のオバマ政権の「大きな政府」の施策に対して、「個人の努力」を基軸にすえ、経済政策から国家のあり方までに対照的なビジョンを描く姿勢だといえる。

 

 同日の全国大会で最も頻繁に打ち出されたスローガンは「私たちが(ビジネスや企業を)築いた!」だった。この標語が巨大プラカードにも、各州代議員のTシャツにも明記された。オバマ大統領が最近、ビジネス創業について「あなたが築いたのではなく、他のだれか(社会や政府という意味)にそうさせたのだ」と明言したことの否定だった。

 

つまりオバマ大統領は国民の経済活動も個人以外の政府や国家の支援があってこそ可能になるという「大きな政府」や「政府の支援」の理念を施策の軸とするのに対し、共和党はロムニー候補を中心に「個人の努力」を推すというのだ。

 

28日夜の大会の演説で最も熱気ある歓迎を受けたロムニー夫人のアンさんも、夫の民間企業分野での努力と苦労を伝え、大成功した投資企業も「彼が築いたのです」と強調した。短絡にもひびくこの標語は「米国が建国以来の理念としてきた平等な機会や企業家精神、個人の自由こそロムニー氏が体現する」(ニューヨーク州代議員団長の宣言)という追加の説明で保守主義の価値体系へと高めることが試みられた。

 

オバマ施策が景気や雇用で不調なことも、「いま2300万人もの失業者や潜在失業者がいるのはオバマ氏が自由な民間企業をうまく機能させられないからだ」(ジョン・スヌヌ元ニューハンプシャー知事のロムニー候補指名演説)として民間よりも政府を重視する志行のせいだとされた。

 

共和党代議員たちは政府のあり方としては「制限された政府」「小さな政府」を唱え、オバマ政権の政府支出の増大による財政赤字の増加金額をリアルタイムで会場の電光掲示板で示して攻撃のホコを鋭くした。

 

対外政策では「オバマ政権は『背後から主導する』という消極姿勢で米国の世界での尊敬や影響力を減らしてしまった」(スヌヌ元知事)という批判があいついだ。「ロムニー氏こそ(米国が世界で特別の指導力を発揮する)例外主義のチャンピオンだ」(カリフォルニア州代議員団団長)という言も出て、ロムニー陣営としては「強いアメリカ」を唱える構えが示された。

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 アメリカ上院の有力議員ジェームズ・ウェブ氏の意見の紹介です。

 

 ウェブ議員は中国の尖閣を含める海洋領有権主張の対象に関して、中国の態度を無法だとか好戦的だと非難し、オバマ政権に断固たる対中姿勢をとることを求めています。

 

 「国際激流と日本」からの紹介です。

 

 原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35977

国際激流と日本

尖閣諸島問題を静観する
米国の建前と本音

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・米国がこの種の領有権紛争に介入しないままだと、中国の軍事がらみの膨張がますます続き、中国の攻勢で東アジア全体が「好戦性と威嚇」に支配される。

 

・米国はいま大統領選挙に忙殺され、中国への対応やアジアでの紛争の解決にまで手が回らないようだが、いま消極的なままでいると、取り返しのつかない事態を招く。

中国の主張を全面的に退けるウェブ議員

 ウェブ議員はこのように同じ民主党のオバマ政権の姿勢を消極的にすぎると断じ、中国の領土拡張の野心を正面から抑えることを求めているのだった。

 

 同議員は東シナ海の尖閣諸島についても日本側の立場の支持を鮮明にした。尖閣諸島の中国名をまったく使わず、「尖閣」とだけ呼んで、その日本の統治が国際的にもすでに広く受け入れられていたとまで述べたのだった。中国側の主張の全面排除だと言える。

 

 このウェブ議員の主張が米国の本音だとすれば、オバマ政権の立場は建前ということになるのだろうか。両者の主張の間にはいまのところ大きすぎる ギャップがあって、同じ政党の指導者同士の見解なのかといぶかるほどである。日本側としてはウェブ議員の解説があくまで本音だと望みたいところだろう。

(終わり)

 アメリカ上院の有力議員が尖閣諸島を含む海洋領有権主張を「好戦的で国際的無法」と断じました。

 

 尖閣については「その統治が日本の管轄下にあることは一貫して国際的に認知されてきた」とも述べています。

 

 このへんが尖閣紛争に対するアメリカの本音だとみてもよいでしょう。    

 

 日本ビジネスプレスの「国際激流と日本」からです。

 

 原文へのリンクは以下です。     

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35977

国際激流と日本

尖閣諸島問題を静観する
米国の建前と本音

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  米国連邦議会上院の民主党の大物、ジェームズ・ウェブ議員は8月下旬、大手紙「ウォールストリート・ジャーナル」に長文の論文を寄稿した。「南シナ海の嵐の高まり」と題されたこの論文は、中国の海洋領有権主張を「国際基準を無視する好戦的な言動だ」と非難し、オバマ政権がその中国に対決をも恐れずに断固として対応することを促していた。

 

 オバマ政権がこれまでのように「中立」を理由にしての消極姿勢を続ければ、アジアは安定を崩し、軍事衝突をも含む不安定な状況が生まれる、と警告さえするのだった。

中国の軍拡と威嚇を放っておくのか

 ウェブ議員は上院外交委員会の東アジア太平洋問題小委員会の委員長である。米軍士官としてベトナム戦争にも参加し、海軍長官をも務めたアジア通の政治家でもある。

 

 ウェブ議員はこの論文で以下のような諸点を強調するのだった。

 

・中国の南シナ海での領有権主張は、中国本土から東はフィリピン、南はマラッカ海峡までの海域を一方的にすべて自国領に併合しようとするに等しい。

 

・尖閣諸島の統治が日本の管轄下にあることは国際的に一貫して認められてきた。

 

・中国はこれらの領有権紛争を2国間だけで解決しようと主張するが、それは永遠に解決しないか、自国の主張に合った解決だけを図るという態度を意味する。

 

・中国はこれら領有権紛争を国際的基準に合致した方法で解決するほかない。

 

・米国はアジアの安定の保証者として中国に国際基準の順守を強く迫る意思と能力を発揮しなければならない。

 (つづく)

 

 中国が不当な威嚇を高める尖閣諸島問題は日中関係にますます緊迫を招いています。

 

 この尖閣問題をアメリカはどうみるのか。

 

 その本音はなんなのか。

 

 レポートを書きました。

 

 日本ビジネスプレスの「国際激流と日本」からです。

 

 原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35977

国際激流と日本

尖閣諸島問題を静観する
米国の建前と本音

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  尖閣諸島への中国の強引な領有権所有の主張は日中関係をますます緊迫させてきた。日本と中国との関係の悪化は、2国間 にとどまらず東アジア全体に大きな影響を及ぼす。その結果、超大国の米国にも余波をぶつけていく。逆に米国も自国のアジア政策を展開する上で日本と中国と の対立を軽視はできない。

 

 しかし米国のオバマ政権の尖閣紛争への対応はどこか歯がゆい。同盟国である日本の固有の領土であり、しかも米国自身がかつて沖縄返還時に日本領と 認めて日本に返還した尖閣諸島に対して、中国が根拠薄弱な領有権主張を叫んでいるのである。日本にしてみれば、米国はもっと断固としてはねつけてくれても よいのではないか、と感じさせられる。

 

 確かに米国の歴代政権は第三国同士の領有権紛争には中立を保つという大原則を掲げてきた。だから直接の関与を公式には避けるというところまでは分かる。だが、米国の歴代政権は尖閣諸島の日本の統治を認め、日米安保条約が同諸島に適用されることを公式に言明してきた。

 

 オバマ政権も同様である。尖閣諸島が第三国から軍事攻撃を受ければ、米国は日本とともにその防衛にあたることを責務だと認めているのだ。だからまったくの中立はありえない、というのが日本側の偽らざる心情だろう。

米国が「中立」でいるとアジアが不安定な状況に

 

 そんなときにオバマ大統領にも近い政権党の民主党の大物議員が、日本にとっては極めて心強い見解を発表した。尖閣を含む東シナ海や南シナ海での中国の領土拡張、他国への恫喝を正面から非難したのである。

 

 この議員はしかもオバマ政権に対して、中国にもっと強固な態度をとることをも求めていた。

 

 オバマ政権の公式対応が米国のすべてではない。同政権を支える民主党にも、中国の主張を排し日本の立場に同調する勢力が健在であることの例証だった。こうした姿勢が米国全体としては本音なのだろうか。

 

(つづく)

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