2012年08月

さあ、こういう事件が起きると、日本側は完全な被害者なのに、「感情に走るな」「中国を挑発するな」などと、とにかく日本側の正当な抗議を抑えようとする人たちが日本側で必ず出てきます。

 

今回は誰がその最初となるか。

 

日本政府に断固とした抗議の措置をとることを求めましょう。

 

 

【朝刊 1面】


丹羽大使、車襲われる 日の丸強奪、中国謝罪


 

丹羽宇一郎駐中国大使

 

 

 

 【北京=川越一】北京の日本大使館によると、27日午後4時(日本時間同5時)過ぎ、北京市内の環状道路「四環路」で、丹羽宇一郎駐中国大使が乗った公 用車が2台の車に強制的に停車させられ、車から降りてきた中国人とみられる男に車両前方に取り付けられた日の丸を奪われた。丹羽大使にけがはなかった。

 

 この事件を受け、日本大使館の堀之内秀久次席公使が、中国外務省の羅照輝アジア局長に厳重に抗議し、再発防止と刑事事件として捜査するよう求めた。羅局 長は「極めて遺憾だ。事件の再発防止に全力を尽くしたい」と謝罪。「在留邦人・日本企業の安全も確保し、法に基づき厳正に対処したい」と回答した。

 

 中国では香港の活動家らが沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)に上陸した後、中国の領有権を訴える反日デモが各地で続発しており、今回の事件も尖閣問題に絡む抗議行動の一環である可能性が高い。

 

 丹羽大使は公務外出先から大使館に戻る途中で、2台の車が蛇行するなどして走行をさえぎったという。大使館側は2台の車のナンバーを控えており、北京市公安局に届け出た。

 

 最近の韓国と中国の日本に対する敵対的な言動を気鋭のアジア研究学者の古田博司氏が分析しています。

 

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【正論】筑波大学大学院教授・古田博司 ウソで内憂を外患に転じる韓国
2012年08月22日 産経新聞 東京朝刊 オピニオン面

 李明博韓国大統領が竹島に行った。何という愚かさだろうか。

≪どさくさに紛れ竹島を奪取≫

そもそも韓国が日本から 竹島を奪ったのは、終戦後のどさくさに紛れて、李承晩大統領が李ラインで海を囲い込んで以来のことである。それから韓国領だというウソにウソを重ねてき た。悪いことに日本は無難に円満にやり過ごし対抗しなかったので、韓国民は自国領であると信じ込むに至った。

そして遂(つい)に李大統 領が「どうだやったぞ」とばかりに竹島に降り立った。北朝鮮が拉致なんかやっていないとウソを言い続け、最後に金正日総書紀が「どうだやったぞ文句ある か」と開き直ったのと大差ない。日本人が不正直にも真剣に取り組まなかったので、彼らは正直に日本をなめたのである。

だが、李大統領 よ、自国の足元を見よ。18世紀の「ポーランド分割」のような状態ではないか。といっても、領土のことではない。資本の話だ。大企業や銀行のことごとくが グローバル化の名の下に外資に席巻され、韓国人がいくら働いても、収益は米国人をはじめ外国人株主の配当に化け、国民はどんどん貧しくなっていった。

経済はいつも借り物である。日本から部品を買い続け、それを日本のパテントでもって、外国人労働者が組み立て、ウォン安に乗じて輸出を増やしてきた。国民 の高価な労働力など大していらない。だから、韓国人は40代で肩をたたかれ、20代の若者の失業率は20%を超えている。部品代、パテント料は日本に取ら れ続ける。表向きの経済成長というウソだけが、正直に遂行された。最後の大見えが米韓FTA(自由貿易協定)である。その不利な条項のせいで韓国は外国人 投資家を国内の政策で縛れないことになってしまった。

≪日本の対応見直しの秋が来る≫

ばか正直は中国にも向かう。6 月29日には、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結をドタキャンし、7月3日には、日本との間で締結へ向け進めていた物品役務相互提供協定 (ACSA)の協議も中断、翌4日には、今度は中国との事実上のACSAが推進中であることが確認された。

さかのぼれば、3月15日に は、韓国国防部の金寛鎮長官が「済州海軍基地が完成したら、中国の船舶も寄港可能」と語ったという。大国に仕えていれば安心だ、寄らば大樹の陰という事大 主義のDNAがばか正直を推進し、中国が共産党支配の一党独裁国家であることを忘れさせた。韓国が民主主義の国だということが、まさにウソだったと言わん ばかりである。

このまま12月の韓国大統領選挙で、左派政権が誕生すれば、資本被占領状態の韓国が北朝鮮を支援することになり、経済は さらに悪化して、グローバル企業は拠点を韓国から海外に移す一方、中韓FTAが進行し、韓国は中国資本に呑(の)み込まれて香港化する可能性がある。そう なれば貧しい国民だけが取り残され、朝鮮統一の絶好機が訪れることになるであろう。

右派政党が勝ってもうまくはいかない。「ポーランド 分割」状態は変わらず、じわじわと国民生活を締め付けることだろう。その時に、内憂を外患に転化する相手が日本であり、右派の李明博政権は次の政権のため に、今、その予行演習をしていると見ることができる。「従軍慰安婦」「性奴隷」などというウソが恥ずかしげもなく反復され、日本は不正直な対応をやがて諦 めなければならない秋(とき)がいつかきっと来ることだろう。

東アジアの人々は、愚かなほど正直であり、その正直さの内容がウソであるか否かを問うことがない。日本人は無難に、そして円満にやり過ごそうと、初めからウソだと分かるはずなのに、変な人々だと不正直な対応を繰り返す。

≪無気力試合に中韓の特殊性≫

今回のロンドン・オリンピックのバドミントン女子ダブルスの試合で、韓国のペアと中国のペアが失格になったあの試合を、読者はごらんになっていたであろう か。彼女らは準々決勝で有利な相手と当たらんがために故意に負けようとし、サービスをネットに引っかけたり、シャトルコックを遠くへ飛ばしたりし、ウソを 実に大胆に正直に実践して、ロンドンの観客たちの大ブーイングを浴びた。

他国民にあの真似(まね)はできない。ウソを正直に実践するこ とにかけては、中国も、韓国や北朝鮮と同じである。毒餃子事件、北京オリンピック口パク事件、高速鉄道事故隠滅事件などを思い起こせば、十分であろう。そ こで、この地域をアジアの他地域から分け、「特定アジア」と呼ぶ人々もいる。

彼らから日本人を見ると、日本人は不正直に見える。ウソを 大胆に申告しないからである。ゆえに彼らは、日本には建前と本音があると常々、非難するのである。だが、世界から見れば、彼らの方が特殊であることは今回 のロンドン・オリンピックでも明らかになったことと思う。日本は特殊だ特殊だと言う人々が、日本にはたくさんいるが、それらは、だいたいが「特定アジア」 から見た特殊性なのであり、本当は彼らの特殊性こそが世界では突飛(とっぴ)なのである。(ふるた ひろし)

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アメリカ議会でも中国の領有権拡張の無法性への非難が起きました。

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[ワシントン=古森義久]

 

オバマ大統領にも近い米国上院民主党の有力議員が中国の尖閣諸島を含む海洋領有権主張を威嚇的な独善と断じ、米国政府がもっと強く対応することを求める意見を発表した。

 

同議員はこのままだとアジアでは軍事衝突も起きかねないとする一方、尖閣については日本の統治が国際認知されてきたことを強調した。

 

同上院外交委員会の有力メンバーで東アジア太平洋問題小委員会の委員長のジェームズ・ウェブ議員は20日のウォールストリート・ジャーナル紙への寄稿論文で中国の領土拡張の野心に対する警告を表明した。

 

「南シナ海の嵐」と題する同論文はまず南シナ海での中国の領有権主張について「本土から東はフィリピン、南はマラッカ海峡までの海域を一方的に自国領に併合しようとするに等しい」として非難している。  

 

同論文は中国がそのうえに領有権紛争を「二国間でのみ解決と主張しているのは永遠に解決しないか、あるいは自国の主張に合った解決を図るだけという態度を意味する」と述べ、米国が他国の領有権紛争には介入しないとする立場は中国の軍事がらみの膨張をますます許し、軍事衝突を起こすだけだ、と警告した。

 

同論文はさらに米国が東アジアの安定の保証役としていまや中国のこうした動きに強固な対応をすることを求め、米国が放置すれば、中国の攻勢で東アジア全体が「好戦性と威嚇」に支配される、と指摘した。

 

ウェブ議員は東シナ海の尖閣諸島についても中国名を使わず、「尖閣」とだけ呼んで、「その統治は日本の管轄下にあることが国際的にも一貫して認知されてきた」と述べ、事実上、中国の主権の主張を排除する立場を鮮明にした。

 

同議員はこうした主張をオバマ政権への政策提言の形でぶつけており、同政権の反応が注視される。

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日本と中国はいうまでもなく尖閣諸島をめぐって対立しています。

 

この事態がもしさらに悪化して、軍事衝突が起きたらどうなるか。

 

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そんな事態を起こさないためにこそ、日本側は防衛を強化し、対米同盟を堅固にし、中国の軍事力行使を許さない抑止を強めるべきなわけです。

 

しかしそれでもなお軍事衝突が起きたらどうなるのか。

 

アメリカの専門家がその先の展望を発表しました。

 

文字どおり、日中、戦わば、です。

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[ワシントン=古森義久]

 

尖閣諸島の領有権紛争で日本と中国の部隊が正面衝突した場合、どうなるか―米海軍大学の戦略専門家が最新の論文で具体的な軍事衝突のシナリオを描き、米軍が参加しない大規模な日中海洋戦争でも日本が有利だと総括した。

 

米海軍大学のジェームズ・ホルムス准教授(戦略研究専門)は21日発売の大手外交雑誌「フォーリン・ポリシー」9月号の巻頭論文で「2012年の中日海戦」と題し、日本と中国が尖閣諸島をめぐり軍事衝突した場合の展開の予測を発表した。「中日両国は戦争をするか。どちらが勝つか」という副題の同論文はこの戦争はたぶん起きないだろうが、中国側では人民解放軍の将軍が尖閣海域への大量の船舶派遣を提唱したり、東海艦隊が島への上陸作戦の演習を実施しており、尖閣攻撃の可能性も否定はできない、としている。

 

そのうえで同論文は「現実の軍事衝突は米国が日本を支援して介入する見通しが強いが、日中両国だけの戦いも想定はできる」として、日中両国の海洋部隊が戦闘に入った場合についてまず戦力や艦艇の数量面では中国がはるかに優位に立つと述べた。

 

しかし同論文は実際の戦闘では――

 

①日本が兵器や要員の質で上位にある

 

②日本は尖閣や周辺の諸島にミサイルを地上配備すれば、海洋戦でも優位となる

 

―と強調した。

 

同論文は中国側の多数の通常弾頭の弾道ミサイルが日本側の兵力や基地を破壊する能力を有するが、日本側は移動対艦ミサイル(ASCM)を尖閣や周辺の諸島に配備し、防御を堅固にすれば、周辺海域の中国艦艇は確実に撃退でき、尖閣の攻撃や占拠は難しくなる、との見方を表明した。

 

同論文はさらに尖閣中心に日中両国軍がぶつかった際に、「日本側は主力兵力をほぼすべて集中できるが、中国海軍は他の防衛海域が広大で、集中はできない」ことや、「日本側は単に尖閣防衛を貫けばよく、それ以上に中国軍を追撃して撃滅する必要はない」こと、「中国首脳はこの種の対日戦争が自国の経済や外交の将来をかけた海軍力の破局をもたらしかねないと認識している」ことなどから、日本が勝つ見通しが強い、との展望を明らかにした。

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 中国政府が領有権拡張の手段として他国への経済懲罰を実行するというレポートです。

 

 中国の威圧経済外交、つまり経済ミサイルというわけです。

 

 日本ビジネスプレスからのその報告を続けます。

 

 中国の経済ミサイルはなんとノーベル平和賞の舞台を供するノルウェーの政府にま及んだというのです。

 

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      ノーベル平和賞を受けた劉暁波氏

 原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35932

国際激流と日本

中国の「経済ミサイル」に要注意

尖閣を巡る次の圧力は「威圧経済外交」か

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 グレーサー氏の論文は同様の事例の第3として2010年9月の中国政府の対日レアアース(希土類)輸出停止をも指摘した。

 

 日本側でも当時、広く報道されたように、中国政府は日本へのレアアース輸出の停止を即時、発表した。日本側が領海侵犯の中国漁船の船長を拘束した ことへの報復であることが明白だった。中国当局は自国の船舶に日本にレアアースを運ぶことを禁じたのだった。その一方、他の諸国へのレアアース輸出はその まま放置した。明らかに標的は日本だったのだ。

 

 同論文は中国側のこの措置が「日本側を警戒させ、日本政府に中国漁船の船長の釈放を決定させる際の主要な要因となった」と述べている。レアアース禁輸が日本政府の政策を変えさせる効果を発揮したというのである。

 

 さらに同論文は「レアアース禁輸は中国が国際紛争の自国に有利な解決を求める際に経済的手段を使うことをためらわない証拠だ」とも強調していた。中国は尖閣問題でもこうした威圧経済外交をすでに実行したというのである。

 

 グレーサー論文は「中国の威圧経済外交の標的はアジア諸国に限らない」と述べて、第4の実例としてノルウェーを挙げていた。中国政府がノーベル平和賞を巡ってノルウェーに露骨な経済圧力を威圧的にかけたというのだった。

 

 2010年10月、ノルウェーのノーベル賞委員会はノーベル平和賞を中国の民主活動家の劉暁波氏に与えることを発表した。中国政府はこれに対しノーベル賞委員会がノルウェー政府とは別個であるにもかかわらず、ノルウェー政府に同平和賞を劉氏に与えないことを求め続けた。

 

 同論文によると、その要求が容れられないとみた中国はノルウェー産サケの自国への輸入を新規制の発動で大幅に削減した。その結果、2011年のノ ルウェーの対中サケ輸出は前年分の60%も減ってしまった。しかも中国政府はノルウェー政府からの輸入手続きについての協議の要請をも拒み続けたというの である。明らかな報復であり、威圧だった。

中国との経済取引はいつも慎重に

 グレーサー論文が挙げた以上の4事例のうち3例はいずれも領有権紛争での経済手段の利用だった。中国政府は、政治や安保面、特に領有権問題で他国 の政策や態度を自国の主張を利する方向へ変えさせるために経済手段を威嚇的に使うことを恒常的に実行しているのである。つまり「威圧経済外交」なのだ。

 

 中国は貿易でも援助でも投資でも、経済面でのグローバルな活動を急速に広めている。その種の活動を本来、経済とはまったく無関係の領有権や政治的 な紛争での相手国攻撃の手段として平然と使うというわけだ。となると、中国との経済取引はいつも慎重に、ということとなる。尖閣諸島の領有権を中国側から 不当にされた日本は、特にその中国側の経済ミサイルに注意しなければならないのである。

(終わり)

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