中国の新しいステルス戦闘機についての報告の続きです。
日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。
原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/category/jbpress
国際激流と日本
第5世代ステルス戦闘機を開発、
空でも日米を威嚇する中国軍
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以上のような考察の中で、最後の項の「領有権の紛争での軍事力行使という選択肢」は日本にもあてはまる。尖閣諸島を巡る紛争で、中国はこの新たなステルス戦闘機を使う可能性もあるということである。
エンジンはロシア製、実力は未知数
しかし「リグネット」はその一方、中国の軍事航空業界がまだまだ抱える課題を列記していた。
・中国がわずか2年足らずのうちに2機目のステルス戦闘機開発を公表したことは、自国の自立した軍事航空産業の急速な発展への戦略意図を明確にして はいるが、そのステルス戦闘機の性能や品質にはなお疑問が残る。「自国生産」の標語にもかかわらず、J-31のエンジンはロシア製のクリノフRD-93エ ンジンを使用している。
・中国の航空機製造業界の水準は、双発ジェット旅客機「C919」開発の遅れに象徴的に見て取れる。同機は重量の問題や翼のヒビという欠陥が指摘され、中国当局の必死の努力にもかかわらず、外国の販売先が見つからず、開発全体が事実上、停止した。
・ましてステルス戦闘機の開発は米国のF-22、F-35の例でも障害が多く、ロシアでも同水準の第5世代戦闘機「T-50」の開発は大幅に遅れて いる。だから中国が公式発表どおりの早さでステルス戦闘機を実戦配備することは難しい。米国は、ステルス戦闘機では中国に対して現状では少なくとも10年 分は先行していると言える。
こう見てくると、中国のステルス戦闘機がすぐに実際の戦力となって、日本やアジア駐留米軍に大きな脅威を与える、というわけでもないことが分かる。
しかしその一方、つい近年まで自国製の新鋭戦闘機の生産など夢にも考えられなかった中国がいまや米国との同等水準を目指す本格的なステルス戦闘機の国産努力を推進させるに至ったという現実は明白である。また、そのことの日本への潜在的な脅威は重視すべきだろう。
(終わり)