2013年02月

日銀の次期総裁に黒田東彦元財務省財務官が指名されたことが論議を広げ始めました。賛否両論がぶつかっているようです。

 

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しかしこの黒田氏がアジア開発銀行の総裁として、中国への巨額のODAをつぎ込んできた事実はほとんど話題になっていません。

 

黒田氏はそのうえ、中国主導の「東アジア共同体」の推進論者でもあります。

この構想はアメリカを排除してのアジアの「共同体」つくりであり、鳩山由紀夫氏が首相時代に唱えなおして、アメリカから強烈な反撃をくらいました。

 

黒田氏は2005年2月からアジア開発銀行の総裁を務めてきましたが、これまでの8年もの間、中国への経済援助を急増させています。世界最大の外貨保有国の中国になぜ援助をしなければならないのか。懐疑や反対の多いなかで、黒田氏は断固として中国援助の増加を貫いてきました。

 

このアジア開発銀行の資金というのは実は日本から供与した資金が多いのです。日本はアジア開銀への最大の出資国なのです。その資金の全体の16%が日本から出ています。つまりは日本の国民の税金なのです。だからその出資の額の大きさのために、日本の財務官僚が歴代の総裁になってきたのです。

 

黒田氏が総裁になってからのアジア開銀は2006年から2008年までの3年間に中国への援助の総額が50億ドルへと急増させました。この期間の1年間あたりの中国への供与額は約1700億円です。それ以前の時期から激増し、この時点でアジア開銀全体の資金援助のうち半分以上が中国一国だけに出ていました。

 

この時期も、それ以降も、中国への経済援助は全世界的に減っています。

日本政府が対中ODAをほとんど停止したのも、その象徴です。国際機関一般も同様でした。そんな潮流のなかで、アジア開発銀行だけが逆に対中援助を急増させたのです。

 

この対中援助急増の責任者がわが黒田東彦氏でした。アメリカもこの傾向に反対し、アジア開銀の運営方針をめぐって日本政府に抗議をしています。そんななかで黒田氏は中国訪問を頻繁に続け、北京政府への親しみを誇示し続けてきました。なぜ中国にそれほどに援助を増すのかという問いに対し、黒田氏はいつも平然と「ごく当然だ」という趣旨の中国擁護の粗雑な言明を繰り返してきました。

 

アジア開発銀行のこの異様な中国援助と、黒田総裁の媚中的態度については私はこの問題に詳しい青木直人氏との共著「終わらない対中援助」のなかで詳述しています。

 

いま中国への厳しい態度が求められるわが日本においてこんな媚中的実績をみせてきた元官僚を日銀のトップにしてよいのでしょうか。安倍首相は黒田氏の媚中的志向を知っているのでしょうか。

 

 

 アメリカで出た日本核武装論の紹介を続けます。

 

 このエントリーでこのテーマは終わりです。

 

 日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

 

 原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37235

 

国際激流と日本

米国で再び登場した日本の核武装論

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 2009年7月の下院外交委の公聴会でも、エニ・ファレオマベガ議員(民主党)が「日本も核戦力を開発する必要があるという議論が出ても自然だ」 と証言していた。同議員自身は日本の核兵器保有には反対のようだったが、日本側でそういう政策の選択が求められるようになっても不自然ではない、というの だった。

「米国はなぜ日本の核武装に反対し続けるのか」

 2006年10月には有力政治評論家のチャールズ・クラウトハマー氏が「米国は、最も信頼できる同盟国で国際社会の模範的一員の日本に核兵器保有を奨励すべきだ」という正面からの日本核武装奨励論を発表していた。

 

 「日本は唯一の核兵器の被害国であり、これまで自国の核武装に強く抵抗する理由は明白だった。だが、常軌を逸した隣国が核兵器保有を公式に宣言するに至った現在、再考が必要になった」

 

 クラウトハマー氏の主張の上記部分は明らかに北朝鮮の核武装の危険性を指摘していた。同氏は中国の核兵器の存在にも同様に警告を発し、それを日本核武装の必要性の理由の一端としていた。

 

 「東アジアでの日本の対外政策の基本目標は、陶酔したように膨脹する中国を平和的に封じ込め、無法な北朝鮮政権に立ち向かい、民主主義を拡散す る、などという諸点で米国の政策に合致する。であれば、米国としても核兵器がこれほど拡散した現状では、日本に核武装を促し、中国や北朝鮮への抑止効果を 発揮させた方がアジアの安定には有用となる」

 

 クラウトハマー氏はこんな疑問をも呈する。

 

 「太平洋地域で安定し、信頼でき、民主主義の同盟国である日本が核武装することによって、米国自身の負担をも軽減することができる。それなのに米国はなぜその核武装に反対し続けるのか」

 

 日本国内ではいくら国家安全保障の重要性が論じられ、憲法の改正や集団的自衛権解禁の有益さが語られるようになっても、核武装というオプションまでは国政論議には出てこない。せいぜい「核武装を論じること自体を禁止すべきではない」という主張が出る程度である。

 

 しかし米国では、東アジアの危険な核の状況への抑止策としての日本核武装という戦略オプションがいまや再登場してきた。その現実をきちんと認識するぐらいは日本でも求められてよい姿勢だろう。

(終わり)

 日本の核武装という仮説がワシントンで語られました。

 

とくに中国にとっての影響が気になるところです。

 

日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

 

原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37235

 

国際激流と日本

米国で再び登場した日本の核武装論

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 そして、もし中国がその圧力に難色を示す場合、米国は日本と韓国の核武装を現実の事態とするように動くべきだ、と強調する。ボルトン氏は日本の核 武装が中国にとって「最悪の恐怖」だと評した。だからこそ中国を動かすための圧力材料に使うことに効果があると、提案するのである。

 

 その一方、日本の核武装が単に仮定の駆け引き材料に留まらず、実現しても構わないという見解を示唆して、次の理由をも説いている。

 

 「オバマ大統領が核兵器廃絶を唱えて『核なき世界』の夢を追うとなると、その一方的な核削減は逆に北朝鮮を含む他国への核拡散を招き、長年、米国の核のカサ(抑止)に守られてきた日本や韓国は(核抑止の)再考を迫られる」

 

 ボルトン氏はこの論文で、「北朝鮮が核兵器を威嚇の武器として、さらに好戦的な言動をとることへの対応として、韓国の政治家たちは自国も核兵器を開発することを求め始めた」、加えて「日本でも同様の(核武装賛成の)議論がひそかに語られ始めた」と述べる。

 

 つまりは中国に北の核武装を放棄させるための圧力材料としてだけでなく、すでにある核の脅威に対する日本の核武装にも理があるとする議論なのである。

ボルトン氏以外にもいる米国の日本核武装論者

 ボルトン氏は、日本や韓国のような「安全な諸国」であっても核兵器は拡散させないことがこれまでの米国の基本政策だったことも明記する。だがその政策を変え得る「北東アジアの新しい核の現実」が生まれ、その現実に対応する日本の核武装もあり得ると説く。

 

 歴代の米国の政権の核拡散防止の基本政策は変わってはいない。オバマ政権も日本の核武装に反対であることは明白である。ブッシュ前政権も同様だっ た。だが議会や専門家の一部には、米国に敵対し得る中国や北朝鮮が核の威力を誇示する現状では、米国と利害や価値観を共にする日本が核を持っても害はない とする意見がすでに出ていた。ボルトン氏が米国側で初めての日本核武装論者というわけでは決してないのである。

 

 2011年7月には下院外交委員会有力メンバーのスティーブ・シャボット議員(共和党)が日本人拉致事件の「家族会」や「救う会」代表らに「北朝鮮や中国に圧力をかけるためにも日本は自国の核兵器保有を真剣に考えるべきだ」と述べた。

 

 「中国は特に日本の核武装という事態を嫌うから、日本に核兵器保有への真剣な動きがあると見れば、その日本の核武装を止めるために北朝鮮への核兵 器放棄を必死に求めるだろう」とシャボット議員は発言した。米国連邦議会の議員が、日本の代表と公式会合の場で日本の核武装を奨励するという実例は初めて だった。

(つづく)

いまのアメリカでなぜ日本の核武装論が出るのか。

 

改めてそのへんの状況を報告します。

 

日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

 

原文へのリンクは以下です。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37235

 

国際激流と日本

米国で再び登場した日本の核武装論

北朝鮮の核兵器開発を封じ込める決定的な一手に

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 北朝鮮の核兵器開発への必死な動きは、日本にも米国にも不吉な暗い影を広げるに至った。北朝鮮が2月12日に断行した3回目の核爆発実験へのワシントンの反応は、前回も詳述した通りだった。

 

 ところが驚いたことに、そのワシントンで、北朝鮮の核武装への野望への抑止策として日本の核武装の可能性が改めて語られるようになった。

 

 韓国ではすでに核武装が現実の課題として論じられ始めたことは、産経新聞のベテラン朝鮮半島ウォッチャーの黒田勝弘記者の報道でも詳しく伝えられている。だが日本の場合、核武装などという展望は、たとえ単なる可能性だとしても政治的にはタブー中のタブーである。

 

 米国でもつい最近までは日本の核武装というシナリオは禁忌だった。とんでもない妄想の扱いさえされかねなかった。だが、それがつい数年のうちに大 きく変わってきたのである。日本の核武装という選択が、たとえ仮定の仮定であっても実際の政策テーマとして語られるようになったのだ。朝鮮半島や中国を主 体とする東アジアの安全保障の状況がそれほど激変した結果だとも言えそうである。

日本の核武装は中国にとって「最悪の恐怖」

 今回、日本の核武装の可能性を提起したのは、共和党ブッシュ前政権で国務次官や国連大使を務め、核兵器拡散防止をも担当したジョン・ボルトン氏だった。ボルトン氏は米国大手紙「ウォールストリート・ジャーナル」(2月20日付)に「北朝鮮の脅威にどう応じるか」と題する寄稿論文を発表し、その中で日本の核武装という政策選択を提起した。

 

 このボルトン論文は、オバマ政権内外に北朝鮮の核兵器保有を現実として受け入れ抑止や封じ込めに戦略重点を移そうとする動きがあると指摘し、その動きを「敗北主義」と断じていた。

 

 「北朝鮮の核武装をいまや現実として受け入れるべきだと主張する人たちは、つい最近までは北朝鮮と交渉さえ進めれば、必ずその核武装を止めさせら れると主張していた。だが、いまやその同じ人たちが北の核武装を認めろと求めるのだ。そんな敗北主義は北朝鮮の核兵器をさらに増強させ、核の威嚇や拡散を もたらす危険な状況を生むことが確実だから、許容すべきではない」

 

 ボルトン氏はこう主張する一方、北朝鮮の核兵器を破壊するための軍事攻撃は犠牲が大きすぎるとして排した。ではどうすべきなのかというと、南北朝 鮮統一によって金政権を交代させ、非核を受け入れる新政権を誕生させることを説くのだった。その統一実現には、北朝鮮にいま必要なエネルギーの90%以上 を供する中国に圧力をかけて、動かし、金正恩政権を交代させて朝鮮半島の統一を目指すべきだ、とも論ずる。

(つづく)

 アメリカ側ではオバマ政権の対日、対中の姿勢に対して、以下のような批判の声が出ています。

 

 

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【ワシントン=古森義久】 

米国の有力研究機関「ハドソン研究所」は尖閣諸島をめぐる日本と中国の対立へのオバマ政権の姿勢に対し「敵対的行動で緊張を高めているのは中国なのに中国に遠慮しすぎる政策を取り、かえって危険を増している」と批判する報告を23日、発表した。二期目のオバマ政権の外交・安保布陣がとくに危険だという。

 

 同報告は「米国は中国の日本威嚇を止めねばならない」と題され、共和党ブッシュ前政権の高官で現在はプリンストン大学教授のアーロン・フリードバーグ氏らにより執筆された。

 

 同報告はオバマ政権が昨年からアジア旋回(ピボット)と名づけた中国の勢力拡大に対するアジア・太平洋での抑止力増強策も最近、中国の機嫌を損ねないという方向に軟化し、ピボットという政策用語も会計用語のような「リバランス(再均衡)」へと薄められた、とまず述べている。

 

 そのうえで同報告は安倍首相は尖閣防衛への米国の強い誓約を求めて訪米したが、オバマ政権からは従来の日米安保条約が尖閣諸島に適用されるという自動的な言明以上の支援は得られず、二期目同政権のケリー新国務長官の「アジアの米軍増強の必要に確信を持てない」という証言は中国への後退した姿勢を示したと述べた。

 

 同報告は尖閣での対立では日本は中国の好戦性の標的であり、中国の言動が緊張を高めてきたとして、一昨年の中国漁船の尖閣領海侵入を機にする反日の強硬言動や日本側の尖閣国有化を理由とする反日破壊活動、日本側の主権や施政権への空と海の侵害、射撃管制用レーダーでの日本側艦艇捕捉などを実例としてあげた。

 

 しかし同報告はオバマ政権が中国側新指導部との対決を避ける方向へと姿勢を弱め、日中両国を同等に扱うとも思わせる言明をするようになった、としている。

 

  同報告はオバマ政権のこの姿勢は尖閣をめぐる緊張の原因は中国側にあることを直視せず、中国が日米両国間にクサビを打ちこもうとして日米同盟の強さを試している現実をみていない、と批判した。

 

 同報告はもし米国が日本との間に距離をおく態度をとれば、中国の侵略を激励する効果を招き、軍事行動を助長して、まさに米国が最も避けたいとする事態を生みかねない、と警告した。

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