日本の新しい政治状況へのアメリカの新聞の論調です。
主権国家としての日本の内部にまで踏み込んで、あれこれ指示するという態度。
たとえ単にニュースメディアの伝えることであっても、ここまで我が物顔のお説教を受ける理由もみあたりません。
日本ビジネスプレスからです。
原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38292
国際激流と日本
自民党の大勝利を米国メディアはどう伝えたのか
中韓への配慮? 安倍首相の「ナショナリスト」ぶりを警戒
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「しかし日本の野党筋の政策関係者たちが警告するところによると、安倍氏は右翼的な目標を重視することにもなるだろうという。若者たちのための愛国 主義的な教育、日本の自衛隊の活動への制約の緩和、小さな島をめぐる激しい紛争での中国に対するより強固なアプローチなどが安倍氏のその種の目標だとい う」
この記事での上記のような右翼、修正主義、ナショナリストというような安倍氏に対する描写は根拠も意味も曖昧なレッテル言葉である。そもそも民主 的な選挙の結果、国民多数の支持を得て、政治の最高指導者に選ばれた同盟国、しかも民主主義の国家の最高リーダーに対して使うべきレッテルではないだろ う。いかにも、まずレッテル言葉ありき、という記事なのである。
歴史の「塗り替え」を米国民は望まない
ワシントン・ポストも論説で日本の参院選結果を取り上げていた。「安倍氏への信託」という主見出しの短い論評だった。脇見出しには「日本の首相はより深い改革をもたらせるか」とあった。経済改革のことだろう。
しかしこの論説にも経済以外の領域について以下のような記述があった。
「安倍氏は日本の軍隊が自国の防衛だけでなく、集団的自衛にもかかわれるようにするため、『平和憲法』を再解釈するだろう。集団的自衛というのは、日本が、北朝鮮の攻撃を受けた米軍艦艇をも支援できるような状況を意味する」
「これらはみな日本では意見の分かれる問題であり、特に憲法の再解釈は日本の近隣諸国にとって論議を呼ぶこととなる。だが、これらは自民党の右派 がプッシュする日本の第2次世界大戦中の行動の再評価――ある批判者たちは『塗り替え』と呼ぶ――ほどは問題ではない。“勝者の提示する歴史が日本を不当 に扱っている”という主張には同情の余地もあるが、安倍氏の側近たちは、安倍氏がこの危険な方向へ進むことには政治的資産をあまり使わないだろうと予測し ている。米国民もその通りになることを願っている」
「北朝鮮が核武装を止めようとせず、中国がその核武装の阻止に協力の構えを見せている現状では、健全な日米同盟こそがアジア地域での安定のための 最善の希望である。その日米同盟は経済的に繁栄する日本と衝突のない日韓関係に依存することになる。日本はここ10年ほど不安定要因となってきたが、いま や安倍首相はアジア地域や日米同盟のための安定を提供できる最善の機会を迎えたのだ」
この主張も一読すると、理にかなっているようにも響くが、よく考えるとおかしい。
日本は韓国との関係や日米同盟のために、自国の正常化である憲法改正や歴史誤認是正に手をつけるな、というのである。
(つづく)