アメリカが薄煕來事件をどう読むのか。
その報告の続きです。
日本ビジネスプレスからです。
原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38558
国際激流と日本
米国はどう見る? 薄熙来の失墜
裁判で共産党「神話」の虚構が明らかに
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3つの主張とは以下のようなものである。
第1は、共産党の全国最高の指導部が団結している、という主張である。
第2は、共産党の次世代の指導者の選出プロセスがすでに制度化された、という主張である。
第3は、1967年から77年にかけての文化大革命中に見られたような公然たる権力闘争はもう決して起きない、という主張である」
この社説は、これらの主張がいずれも虚構の「神話」であることが、薄事件とその裁判によって立証されたという。
その理由の要旨を次のように記している。
「2012年11月に共産党政治局常務委員会の7人のメンバーが新たに選ばれると、それに入っていなかった薄氏はその一員になるために大衆迎合的 なキャンペーンを始めた。その方法は胡錦濤氏の主張の中の最も左翼的な部分を取り上げ、毛沢東思想に結びつけ、大衆を煽るという形だった。だが、薄氏自身 は資本主義を非難しながらも、資本主義的な利益を違法に受けて、私腹を肥やした。その間、共産党のトップたちの間では薄氏への態度が決まらず、重慶での薄 氏の『改革』を支持する人たちもいた。しかも特に危険だったのは薄氏が暴力や武力を利用する傾向があったことだ。重慶での『マフィア狩り』での実力行使や 雲南省駐留の人民解放軍第14軍団への接近などは、その傾向を明示していた」
以上のような薄熙来被告の動きは、共産党最高部の団結、次期指導者選出の制度化、権力闘争の終結などがいずれも「神話」にすぎないことを証明して しまった、というのだった。確かに裁判での薄被告の供述やその他の証人の発言も、みなその「神話」が虚構であることを裏づけていた。
同社説は、今回の裁判ではすでに基本的なシナリオは書かれており、薄被告には、汚職の罪としてはあまり厳しくない判決が下されることが決まっていると指摘する。その結果、中国の一般国民の権力に対するシニシズム(冷笑)や怒りがまた増すだろうとも予測する。
そして同社説は次のように総括していた。
「共産党は、薄熙来被告の失脚は中国の『法の統治』への前進の表れだと主張した。だがこの裁判は逆に、中国の安定は実に壊れやすく、この裁判も全 体主義の見せかけであることを明白にした。薄熙来事件は私たちアメリカ側に、中国の王座をめぐる、ゲームのカーテンで隠された内側をちらりと見せつけるこ ととなったのだ」
(つづく)