2014年04月

 オバマ大統領の訪日の総括です。

 

 日本の特定秘密保護法を高く評価したことは、日本のマスコミはほとんど報じませんでした。しかしアメリカ政府ははっきりと、歓迎の意向を日米共同声明で述べたのです。

 

 日本では反対も多かったこの法律をアメリカはなぜ歓迎するのでしょうか。

 

 日本ビジネスプレスからです。

 

 原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40572

国防

キーワードは「拡大抑止」と「特定秘密保護」、
オバマ訪日の隠れた成果を総括する

 

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 日本はもちろん非核の国である。その日本に対し中国や北朝鮮が核兵器の威力を誇示して、たとえば「尖閣諸島を放棄せよ」というような要求を突きつ け、日本が服従しなければ核攻撃をかけるぞと脅してきた場合、日本単独ではまったくの無力である。

 

 だが、いまの日米同盟の態勢では米国の拡大抑止が存在す る。中国が核の威嚇をかけてくれば、米国も核の威力を示して、日本のために中国を抑えつけるというわけだ。米国が本当に日本防衛のために核兵器を使うのか という疑問は常に残るが、公式政策としてはその行使を宣言している。

 

 しかしオバマ政権は一方で、核廃絶を唱えている。オバマ大統領自身が核兵器を忌み嫌うという傾向も指摘される。そんな背景の中でオバマ政権が改めて日本への拡大核抑止を再確認したというのは、日米両国の共同防衛にとっては極めて大きな意味を持つと言える。

 

 日本の新聞やテレビはそもそも核抑止という概念に拒否反応を示すから、今回の共同声明における拡大抑止の再確認の意義を強調することもまずないだろう。だが実際には、その再確認には実に大きな意義があるのだ。

日本の特定秘密保護法を高く評価

 第2は、米国が日本の特定秘密保護法を高く評価したことである。日米共同声明では「米国は日米両国間の政策とインテリジェンスにかかわる調整の強 化を促進することになる情報保全のための法的枠組みの策定を評価する」と明記していた。インテリジェンス、つまり情報収集と分析、諜報活動に関しての「情 報保全のための法的枠組み」と言えば、当然、特定秘密保護法のことである。

 

 日本はこれまでの長い年月、「スパイ天国」と揶揄されてきた。外国のスパイ活動を禁じ、罰する法律がなかったからだ。だから外国政府のスパイが日 本国内で政府や自衛隊の秘密情報を盗んで、本国政府に流しても、その行動を罰するには、一般の窃盗罪や各省庁の秘密持ち出しを禁じた内規が適用されるだけ だった。要するにスパイ罪がなかったのである。

 

 そんな状態だと、米国政府内部では完全に機密扱いされる貴重な情報も、同盟相手の日本に渡ると、とたんに秘密を厳守する方法も手段もなくなってし まう。米国の政府や軍部としては安全保障に関する機密情報を日本の政府や自衛隊に渡すと、それが外部に流される危険が生まれるわけだ。

 

 一般の諸国ならどこでも米国と同じような秘密保護の法律が存在し、自国の情報を盗んで外国政府に引き渡すようなスパイ行為を厳しく禁じている。外 国勢力のための自国の情報の収集や引き渡しは、国家反逆罪に等しい厳罰に処されるのが普通である。だが日本にはその初歩の情報保護の法律さえもなかったの だ。

(つづく)

 オバマ訪日は一体、日本になにをもたらしたのか。

 

 大手のニュース・メディアが報じない部分に光をあててみました。

 

 日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

 

  原文へのリンクは以下です。

 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40572

国防

キーワードは「拡大抑止」と「特定秘密保護」、
オバマ訪日の隠れた成果を総括する

 

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 米国のオバマ大統領の日本来訪が内外をにぎわせた。

 

 さて、この訪日の日本にとっての意味とはなんだったのか。

 

 総括として、安倍晋三首相が就任以来進めてきた一連の安全保障政策に対して、米国側が評価と賛同を表明したことは、やはり大きな成果と言えるだろう。その結果、日米同盟はより堅固になり、中国への抑止が高まったようにも見える。

 

 だがその一方、米国の尖閣諸島への日米安保条約の適用姿勢が“自動的な防衛行動”だと見なしてはならないことも確実のようである。

 

 今回はオバマ訪日の総括として、特に日本の大手の新聞やテレビがまず取り上げていない点を2つほど指摘しよう。

日本に対する「核の脅し」に米国が立ちはだかる

 4月25日に発表された日米共同声明で驚かされたのは、第一に日米両国が「米国の拡大抑止の重要性」を再確認したことだった。

 

 ここで言う拡大抑止とは、「核抑止」の効果を拡大して適用することを指す。

 

 核抑止とは、核兵器の威力によって相手の軍事的な恫喝や攻撃を抑え込むという軍事戦略を指す。核抑止は核兵器を保有する国家同士で機能する場合が 多い。ある国が他の国に対して非核でも核でも軍事攻撃をかける、あるいは、かけるぞと脅す。

 

 すると標的となった国が、もしそんな動きをとるならば、こちら も核兵器を使って報復するぞという能力や意思を示す。相手はその核の威力を恐れて、当初考えていた攻撃や威嚇を差し控える。お互いが核による大量破壊を恐 れ、そもそもの核兵器の使用を抑制するようになる。このメカニズムが核抑止である。

 

 米国の場合、自国の防衛のために核兵器の威力を示すのが通常の核抑止であり、日本のような同盟国の防衛のためにその核抑止を使うことが拡大抑止と なる。核抑止が、自国の防衛から同盟国である他国の防衛にも拡大して適用されるというわけだ。この拡大抑止は「核の傘」とも呼ばれる。日米同盟では米国の 「核の傘」が日本にも供されている。

(つづく)

環境問題というのは、私は詳しくありません。

 

しかし自分なりの理解として、「地球温暖化」には懐疑的です。

最も低い次元から考えるならば、アメリカでも日本でも、こんなに寒い冬、大雪の季節なのに、なぜ温暖化なのか、ということになります。

 

温暖化の旗印を掲げてきた団体も政府も活動家も、いまではそのスローガンを気候変動という言葉に変えてしまいました。温暖化なる旗印のインチキさを自認したのだとまでは思いませんが、当初の警告とは異なる現実が明白になったということでしょうか。

 

しかしそうは言っても、気候など環境問題を考えることは人間にとって欠かせないでしょう。環境問題が一国に限らず、国際的な課題であることも明らかです。当たり前のことではありますが。

 

そこで「環境外交」という概念が登場してきます。

 

その環境外交についてのおもしろそうな本を紹介します。

 

実は私はプロローグとエピローグをまず読んで、さらに中身を読み進んでいるところなのですが、テーマの固さのわりには、とてもスムーズに読める本です。

プロローグは2009年の冬のコペンハーゲン、エピローグは2013年夏の東京ですが、ミステリー小説のような、テンポや記述、構成に引き込まれました。

 

環境問題への国際的な取り組みに関心のある方には、お薦めの良書だと思います。

 

この書の著者は外務省で気候変動の国際交渉にあたった加納雄大(かのう・たけひろ)氏です。私がワシントンで知り合った有能果敢な外交官です。

 

 

 

 中国政府が自国民への監視を飛躍的に強める巨大プログラムを実施中です。

 

 アメリカが自国企業がその計画に協力することになるのかどうか、気にしています。

 

 当然、日本企業がどうするのかも注視の対象となるでしょう。

 

日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40517

国際激流と日本

監視カメラを売ってもいいのか?
中国の住民監視強化に飛びつけない米国企業

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米国に突きつけられる複雑なジレンマ

 さらにリグネット報告は、この「安全都市」計画での監視カメラなどハイテク製品の調達では、総予算のうち480億ドル分が外国の機関に開放される 見通しだ、と述べている。

 

  この種の監視技術では世界に冠たる製品を多数、開発してきた米国企業にとっては、極めて大きなビジネスチャンスだろう。

 

  しかしそ の一方、中国政府が自国民の監視を強めるためのハイテク製品を米国企業が販売すれば、人権抑圧政策への加担という側面も必ず出てくることとなる。

 

  この点についてリグネット報告は次のように述べていた。

 

 「中国のこの動きは米国に複雑なジレンマを突きつけた。中国政府が国内監視に巨額の費用を投資することは、米国にとって、ある一面では利益もある からだ。

 

  つまり、中国が国内の問題に追われれば、対外的な軍事活動が制約を受ける。軍事面での冒険主義や領土紛争での好戦的行動にも抑制が生じ得る。

 

 だが一方で、国民の人権弾圧に使われることが確実な監視カメラなどのハイテク製品を米国企業が中国に売ることを、米国政府として放置もできないだ ろう。

 

  米国の政府や議会は常に中国政府の人権弾圧を非難している。その一方で米国企業が中国の人権弾圧を強める機器を売っているというのでは、民主主義的 価値観の推進という大義にも反することになる。

 

  だから米国議会はこの種の製品の対中輸出を管理する必要がある」

 

  こうした動きは日本にとっても他人事ではない。

 

  日本企業がこの種の監視カメラなど優秀な製品を開発していることは周知の事実である。

 

 そうしたハイテク製品を、非人道的な用途を承知の上で中国へ輸出することになるのか。

 

 米国議会もきっと注視することだろう。

 

(完)

中国共産党政権は中国国民の抗議を外敵よりも恐れているようです。

 

日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。

原文へのリンクは以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40517

国際激流と日本

監視カメラを売ってもいいのか?
中国の住民監視強化に飛びつけない米国企業

 

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650の都市で大規模な監視システムを構築

 米国中央情報局(CIA)の元専門家集団が結成した民間の安全保障研究機関「リグネット」が、中国のこの監視網強化の動きに着目し、4月中旬、分析報告を公表した。その冒頭で中国当局のこうした措置の動機を次のように説明していた。

 

 「中国では低賃金、汚職、大気汚染などが数千万の都市住民を苦しめている。苦痛にさいなまれる住民は当局へ抗議するが、その抗議は共産党側からす ると、党や国家への忠誠を欠く行動ということになる。その結果、当局は自己の権力の保持のために、『社会安定の維持』とか『安全都市』の名の下、国民の動 きへの監視を強めることとなる」

 

 リグネット報告は中国のこの「安全都市」策の内容を伝えていた。その根拠は米国政府国土安全保障省付属研究所の調査結果だった。米国政府も中国での国民監視の新たな動きには特別の関心を抱いており、連邦政府の研究調査機関が集中して情報を集めているのだ。

 

 その内容の一端は以下の通りである。

 

・中国の「安全都市」計画では、全国合計650の都市で1380億ドルを投入して、歴史上前例のない規模の監視システムを構築することを目指す。

 

・四川省内では42億ドルをかけて、合計50万台の監視カメラを設置する。

 

・広東省内では60億ドルをかけて、合計100万台の監視カメラを設置する。

 

・北京市ではすべての歓楽街に新たに40万台のカメラを設ける。北京市内にはオリンピックを機にすでに30万台の監視カメラが設置されている。

 

 リグネット報告によると、国土安全保障省付属研究所は、中国政府のこの動きの背景として次の点を指摘していた。

 

 「中国政府は地方住民のうちの2億5000万人ほどを、新たに建設、開発する新都市に移住させようという巨大な計画を進めている。その狙いは現在 の都市住民と地方住民の間の所得格差、貧富の格差を減らして、全国レベルでの住民の不満に対処することにある。だが都市でも地方でも住民は計画に強く抵抗 しており、治安の悪化をもたらしつつある。そうした住民の抵抗や抗議を早めに察知して対処するための手段が、この監視システムの拡大なのだ」

(つづく)

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