米中関係がまた一段と険悪になりました。
日本ビジネスプレス「国際激流と日本」からです。
原文へのリンクは以下です。
bpress.ismedia.jp/articles/-/40799
国際激流と日本
米国議会で日増しに強くなる対中強硬論米中間の「新冷戦」が始まったのか
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だがオバマ大統領が差し出したオリーブの枝は、中国の無法な言動にあっさりと排されてしまった。
中国はオバマ大統領の帰国にタイミングを合わせた かのように、南シナ海のベトナムの排他的経済水域の内部で一方的な石油掘削を強行したのである。
国連海洋法などでは、この種の経済活動はそのEEZの沿岸 国であるベトナムの事前の許可を得ることになっている。中国のこうした行動に米国の内部での反発が高まったというわけだ。
中国の言動に対する批判は、米国でいまに始まったものではない。「中国はアジアの平和と安定の基礎となってきた国際秩序を確実に侵食している」(アジア安全保障専門家のブラッド・グロサーマン氏)という認識はすでに定着していたと言える。
だがここにきて、たとえオバマ政権が宥和路線を進めたいのだとしても、中国の無法な動きは許容できない、という受け止め方が一気に広がったようで ある。
その背後には、「オバマ政権のこれまでの対応が弱すぎたことが中国の拡張を許した」という批判が広がっていることが挙げられる。いまや米中新冷戦が ついに本格的に始まった、とする見解すらも出てきたのである。
気がかりな中国とロシアの接近
中国の威嚇的な行動はますます激しさを増している。異常とも言えるほどの急ペースで軍拡をもう20年も続けているうえに、東シナ海での防空識別圏 (ADIZ)の一方的な宣言、尖閣諸島での恒常的な日本側の領空領海への侵犯、南シナ海での無法な領有権拡張、対米サイバー攻撃、そして他国領土を強引に 奪うロシアへの接近など、国際規範無視の中国の荒っぽい行動は、ついに米国側の忍耐の限界を超えたかのようにも見える。
さらに、この5月には、中国人民解放軍の房峰輝総参謀長が訪米し「アジアでの紛争は米国のアジア政策のせいだ」と非難した。習近平国家主席は、ロ シアやイランの首脳を交えた上海での「アジア信頼醸成措置会議」で「アジアの安全はアジアの人間が守る」と述べ、事実上、米国のアジア撤退をも求めた。オ バマ政権の宥和政策にもかかわらず、中国は明らかに米国を敵視しているとしか思えないのである。
こうした現況について、米国では以下のようにも総括された。
(つづく)