2014年09月

 

 

【朝刊 国際】


【あめりかノート】ワシントン駐在客員特派員・古森義久


 

 ■慰安婦問題 国辱晴らすとき

 

 朝日新聞の慰安婦問題での誤報の訂正と記事取り消しがついに米国側の関係者らに直接のインパクトを及ぼし始めた。

 

  2007年7月の連邦議会下院での慰安 婦問題での日本糾弾決議を推した米側の活動家たちが同決議の作成は吉田清治証言にも朝日新聞報道にもまったく影響されなかった、という苦しい弁明を9月 25日に発表したのだ。 

 

  しかもこの弁明は同決議推進側が最大の標的としてきた「日本軍による組織的な女性の強制連行」への非難を後退させ、日本軍の慰安 所への「関与」や「運営」に焦点をシフトしてしまった。

 

  この種のうろたえは日本側の国辱を晴らすための対外発信が効果を上げる展望を示すともいえそうだ。

 

 ワシントンのアジア関連のニュース・評論サイト「ネルソン・リポート」に「毎日新聞記事への共同の対応」と題する声明が載った。

 

  下院の慰安婦決議案の作 成にかかわったアジア関連の民主党系活動家ミンディ・カトラー氏ら4人の連名による、毎日新聞9月11日付の「朝日報道が国際社会に誤解を広める」という 趣旨の長文の検証記事への反論だった。

 

 この記事は下院決議もその審議の最中に「議員説明用の資料にも途中段階で吉田清治氏の著書が出てくる」と記していた。

 

  だが同声明はそれでも吉田証言には 頼らなかったと述べ、最大焦点の強制連行は「日本帝国が軍隊用の性的奴隷システムを組織し、運営したことを示す書類上と口述の証拠はインド・太平洋地域に 多数、存在する」として、直接の言及を避けていた。

 

 この対応は同決議を主唱したマイク・ホンダ議員(民主党)らが当時、日本側の「罪」を「日本軍による強制連行」だけに絞りきっていたのとは、がらりと異なる。

 

  「強制」を朝日新聞のように旗色が悪くなって「狭義」から「広義」へと議論をすり替えるというふうなのだ。

 

 カトラー氏といえば、安倍晋三首相を「危険な右翼の軍国主義者」などと断じ続け、下院の決議案審議の公聴会にインドネシアの「スマラン慰安所事件」の被 害者女性を登場させた張本人だ。

 

  この事件は日本軍の末端の将校が軍の方針に反して女性を強制連行し、2カ月後に上層部に判明して停止され、戦後は死刑に なった戦争犯罪だった。

 

  「日本軍の組織的な強制連行」がなかったことを証する実例なのに正反対の目的に利用されたのだ。

 

 なおカトラー氏周辺では「朝日新聞攻撃はジャーナリズムとは無縁の歴史糊塗(こと)を狙う右翼の策謀」(東洋経済新報社系英文サイトのピーター・エニス記者)という主張も盛んである。

 

 しかし米国側の反応も一枚岩ではない。ブッシュ前政権の高官だった知日派の法律家がこんなことを述べた。

 

 「日本政府の調査結果、吉田証言や朝日報道の虚偽、そしてインドネシアでの事件の意味を対外的に丁寧に説明していけば、『慰安婦の強制連行は日本の国家 犯罪』だとする国際的な日本へのぬれぎぬも晴らせるだろう。そのためには日本側の主張や記録を公正に理解する新たな国際第三者委員会の設置が望ましいかも しれない」

 

 さあ、安倍政権、どうするか。

 

 

【朝刊 国際】


【あめりかノート】ワシントン駐在客員特派員・古森義久


 

 ■慰安婦問題 国辱晴らすとき

 

 朝日新聞の慰安婦問題での誤報の訂正と記事取り消しがついに米国側の関係者らに直接のインパクトを及ぼし始めた。

 

  2007年7月の連邦議会下院での慰安 婦問題での日本糾弾決議を推した米側の活動家たちが同決議の作成は吉田清治証言にも朝日新聞報道にもまったく影響されなかった、という苦しい弁明を9月 25日に発表したのだ。 

 

  しかもこの弁明は同決議推進側が最大の標的としてきた「日本軍による組織的な女性の強制連行」への非難を後退させ、日本軍の慰安 所への「関与」や「運営」に焦点をシフトしてしまった。

 

  この種のうろたえは日本側の国辱を晴らすための対外発信が効果を上げる展望を示すともいえそうだ。

 

 ワシントンのアジア関連のニュース・評論サイト「ネルソン・リポート」に「毎日新聞記事への共同の対応」と題する声明が載った。

 

  下院の慰安婦決議案の作 成にかかわったアジア関連の民主党系活動家ミンディ・カトラー氏ら4人の連名による、毎日新聞9月11日付の「朝日報道が国際社会に誤解を広める」という 趣旨の長文の検証記事への反論だった。

 

 この記事は下院決議もその審議の最中に「議員説明用の資料にも途中段階で吉田清治氏の著書が出てくる」と記していた。

 

  だが同声明はそれでも吉田証言には 頼らなかったと述べ、最大焦点の強制連行は「日本帝国が軍隊用の性的奴隷システムを組織し、運営したことを示す書類上と口述の証拠はインド・太平洋地域に 多数、存在する」として、直接の言及を避けていた。

 

 この対応は同決議を主唱したマイク・ホンダ議員(民主党)らが当時、日本側の「罪」を「日本軍による強制連行」だけに絞りきっていたのとは、がらりと異なる。

 

  「強制」を朝日新聞のように旗色が悪くなって「狭義」から「広義」へと議論をすり替えるというふうなのだ。

 

 カトラー氏といえば、安倍晋三首相を「危険な右翼の軍国主義者」などと断じ続け、下院の決議案審議の公聴会にインドネシアの「スマラン慰安所事件」の被 害者女性を登場させた張本人だ。

 

  この事件は日本軍の末端の将校が軍の方針に反して女性を強制連行し、2カ月後に上層部に判明して停止され、戦後は死刑に なった戦争犯罪だった。

 

  「日本軍の組織的な強制連行」がなかったことを証する実例なのに正反対の目的に利用されたのだ。

 

 なおカトラー氏周辺では「朝日新聞攻撃はジャーナリズムとは無縁の歴史糊塗(こと)を狙う右翼の策謀」(東洋経済新報社系英文サイトのピーター・エニス記者)という主張も盛んである。

 

 しかし米国側の反応も一枚岩ではない。ブッシュ前政権の高官だった知日派の法律家がこんなことを述べた。

 

 「日本政府の調査結果、吉田証言や朝日報道の虚偽、そしてインドネシアでの事件の意味を対外的に丁寧に説明していけば、『慰安婦の強制連行は日本の国家 犯罪』だとする国際的な日本へのぬれぎぬも晴らせるだろう。そのためには日本側の主張や記録を公正に理解する新たな国際第三者委員会の設置が望ましいかも しれない」

 

 さあ、安倍政権、どうするか。

私の新著の改めての紹介です。

 

 

迫りくる「米中新冷戦」~日本は危機に襲われる!?/古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

PHP Biz Online 衆知 2014/9/19 12:10 古森義久

画像

『迫りくる「米中新冷戦」』 2013-2014「ワシントン情報ファイル」

[拡大]

昨今の日本は、アメリカと中国によって命運を左右されると言っても過言ではない。しかし、オバマ大統領の対中融和政策は失敗し、米中の対立が強まりつつあるという。果たして日本の行方は…
そうした中、米中関係を鋭く分析した 古森義久著『迫りくる「米中新冷戦」』が発刊された。

<『迫りくる「米中新冷戦」』の構成>

第1章 失敗したオバマ政権の「対中融和外交」

第2章 アメリカを標的に軍事力を増強する中国

第3章 日本領土を中国が侵略する!

第4章 中国が仕組むメディア・サイバー攻撃

第5章 歴史問題をめぐる各国の反応

第6章 中国が抱える火種

長年ワシントンから、今のアメリカ、今の世界を分析し情報発信をしてきた古森氏は、本書で何を訴えたかったのか。「まえがき」から探ってみた。

.

日本と世界は大動乱の時代を迎える

 いまの日本にとって国の根幹を揺さぶられるほど巨大な影響を受ける国は、アメリカと中国だろう。アメリカは日本の安全保障を支える同盟相手である。中国 は「反日」を国策に近い基本に据えて、日本の領土を奪う意図を明確にし、日米同盟を骨抜きにしようとする。

だからアメリカと中国が日本に対して実際にどんな動きに出てくるかは、日本の国運を左右することになる。そしてそのアメリカと中国が相互にどんな関係にあるかも同様に日本の進路を激しく動かす要因となる。

その米中関係がいまや一段と険悪になった。新たな冷戦と呼べるほどの対立状態ともなってきた。ただしアメリカ側ではオバマ政権がもっぱら守勢に立ち、なお中国への融和をも試みている。中国はその消極性に乗じるように、アジアでのパワーを拡大し、日本を威嚇する。

本書は米中関係のそんな最新のうねりと、その日本への影響を主としてワシントンでの考察から緊急に報告した集約である。

私の米中関係ウォッチは1998年秋から本格的に始まった。産経新聞中国総局長として北京に駐在した時期からである。2年間の中国での報道活動の後、ワ シントン駐在に戻り、こんどはアメリカ側から中国や米中関係を追うようになった。その考察も究極的には、日本にとってなにを意味するか、という一点が大き かった。

その点では、いまの日本は戦後でも最大の国家危機に直面したといえる。中国が軍事力の大増強を続け、日本への脅威を急速に増大してきた。一方、有事には 日本の防衛にあたることを誓約してきたアメリカが、オバマ政権下ではその防衛誓約を、果たして履行するかどうかに疑問が広がってきた。中国の脅威と、アメ リカの動揺と、いずれも日本の国運を揺るがす危機につながる。

本書はこうした危機の実態を、まずアメリカの対中姿勢、中国のアメリカへの挑戦、そして中国の対日攻勢など、それぞれ具体的な事例の紹介によって報告し ている。そして中国の対外政策や国内政治の実情を伝えるとともに、日本に重くのしかかる歴史問題について改めて中国とアメリカの対応に光を当てた。

本書で最も強く訴えたかったのは、米中関係の悪化と、米中両国それぞれの国内事情が相乗する形で日本にとっての危機を増大しているという現実である。

このままだと、わが日本は尖閣諸島という固有の領土を失い、中国の軍事力の下に屈服するという悪夢のシナリオも決して夢想ではなかったという結果になり かねない。日本にとって国家や領土の防衛では最大の頼みの綱だったアメリカが、その最悪の事態に日本を助けないという危険な可能性さえも浮上しているの だ。その意味では本書はわが日本への警鐘だともいえる。

(『迫りくる「米中冷戦」』「まえがき」より)

■古森義久(こもり・よしひさ)
産経新聞ワシントン駐在客員特派員。1963年、慶應義塾大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。72年から南ベトナムのサイゴン特派員。75年サイゴン支 局長、76年ワシントン特派員、81年米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員。83年毎日新聞東京本社政治部編集委員。87年産経新聞社入社。ロン ドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長、ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員などを経て2013年から現職。2010年より国際教養大学客員教授を 兼務。
著書に、『危うし!日本の命運』『憲法が日本を亡ぼす』『2014年の「米中」を読む(共著)』(以上、海竜社)、『オバマ大統領と日本沈没』『自壊する 中国 反撃する日本(共著)』(以上、ビジネス社)、『いつまでもアメリカが守ってくれると思うなよ』(幻冬舎新書)、『「中国の正体」を暴く』『「無 法」中国との戦い方』(以上、小学館101新書)、『中・韓「反日ロビー」の実像』(PHP研究所)など多数。

私の新著の改めての紹介です。

 

 

迫りくる「米中新冷戦」~日本は危機に襲われる!?/古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

PHP Biz Online 衆知 2014/9/19 12:10 古森義久

画像

『迫りくる「米中新冷戦」』 2013-2014「ワシントン情報ファイル」

[拡大]

昨今の日本は、アメリカと中国によって命運を左右されると言っても過言ではない。しかし、オバマ大統領の対中融和政策は失敗し、米中の対立が強まりつつあるという。果たして日本の行方は…
そうした中、米中関係を鋭く分析した 古森義久著『迫りくる「米中新冷戦」』が発刊された。

<『迫りくる「米中新冷戦」』の構成>

第1章 失敗したオバマ政権の「対中融和外交」

第2章 アメリカを標的に軍事力を増強する中国

第3章 日本領土を中国が侵略する!

第4章 中国が仕組むメディア・サイバー攻撃

第5章 歴史問題をめぐる各国の反応

第6章 中国が抱える火種

長年ワシントンから、今のアメリカ、今の世界を分析し情報発信をしてきた古森氏は、本書で何を訴えたかったのか。「まえがき」から探ってみた。

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日本と世界は大動乱の時代を迎える

 いまの日本にとって国の根幹を揺さぶられるほど巨大な影響を受ける国は、アメリカと中国だろう。アメリカは日本の安全保障を支える同盟相手である。中国 は「反日」を国策に近い基本に据えて、日本の領土を奪う意図を明確にし、日米同盟を骨抜きにしようとする。

だからアメリカと中国が日本に対して実際にどんな動きに出てくるかは、日本の国運を左右することになる。そしてそのアメリカと中国が相互にどんな関係にあるかも同様に日本の進路を激しく動かす要因となる。

その米中関係がいまや一段と険悪になった。新たな冷戦と呼べるほどの対立状態ともなってきた。ただしアメリカ側ではオバマ政権がもっぱら守勢に立ち、なお中国への融和をも試みている。中国はその消極性に乗じるように、アジアでのパワーを拡大し、日本を威嚇する。

本書は米中関係のそんな最新のうねりと、その日本への影響を主としてワシントンでの考察から緊急に報告した集約である。

私の米中関係ウォッチは1998年秋から本格的に始まった。産経新聞中国総局長として北京に駐在した時期からである。2年間の中国での報道活動の後、ワ シントン駐在に戻り、こんどはアメリカ側から中国や米中関係を追うようになった。その考察も究極的には、日本にとってなにを意味するか、という一点が大き かった。

その点では、いまの日本は戦後でも最大の国家危機に直面したといえる。中国が軍事力の大増強を続け、日本への脅威を急速に増大してきた。一方、有事には 日本の防衛にあたることを誓約してきたアメリカが、オバマ政権下ではその防衛誓約を、果たして履行するかどうかに疑問が広がってきた。中国の脅威と、アメ リカの動揺と、いずれも日本の国運を揺るがす危機につながる。

本書はこうした危機の実態を、まずアメリカの対中姿勢、中国のアメリカへの挑戦、そして中国の対日攻勢など、それぞれ具体的な事例の紹介によって報告し ている。そして中国の対外政策や国内政治の実情を伝えるとともに、日本に重くのしかかる歴史問題について改めて中国とアメリカの対応に光を当てた。

本書で最も強く訴えたかったのは、米中関係の悪化と、米中両国それぞれの国内事情が相乗する形で日本にとっての危機を増大しているという現実である。

このままだと、わが日本は尖閣諸島という固有の領土を失い、中国の軍事力の下に屈服するという悪夢のシナリオも決して夢想ではなかったという結果になり かねない。日本にとって国家や領土の防衛では最大の頼みの綱だったアメリカが、その最悪の事態に日本を助けないという危険な可能性さえも浮上しているの だ。その意味では本書はわが日本への警鐘だともいえる。

(『迫りくる「米中冷戦」』「まえがき」より)

■古森義久(こもり・よしひさ)
産経新聞ワシントン駐在客員特派員。1963年、慶應義塾大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。72年から南ベトナムのサイゴン特派員。75年サイゴン支 局長、76年ワシントン特派員、81年米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員。83年毎日新聞東京本社政治部編集委員。87年産経新聞社入社。ロン ドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長、ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員などを経て2013年から現職。2010年より国際教養大学客員教授を 兼務。
著書に、『危うし!日本の命運』『憲法が日本を亡ぼす』『2014年の「米中」を読む(共著)』(以上、海竜社)、『オバマ大統領と日本沈没』『自壊する 中国 反撃する日本(共著)』(以上、ビジネス社)、『いつまでもアメリカが守ってくれると思うなよ』(幻冬舎新書)、『「中国の正体」を暴く』『「無 法」中国との戦い方』(以上、小学館101新書)、『中・韓「反日ロビー」の実像』(PHP研究所)など多数。

新しい本を出しました。

 

『迫りくる「米中新冷戦」』です。

PHP研究所刊です。

 

 日本はアメリカと中国によって命運を左右されるといえます。

 

そのアメリカと中国はいまどんな状態にあるのか。

米中関係はどうなっているのか。

 

対決が強まり、協調が弱くなっていることは明白です。

 

その対決が米中新冷戦と呼べるような状態を生み出しています。

 

そのあたりをワシントンから報告しました。

 

 

 

迫りくる米中新冷戦[古森義久]

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