2014年11月

 以下のような記事を書きました。

 

 

慰安婦「奴隷化」文書なし 米政府2007年報告に明記
2014年11月27日 産経新聞 東京朝刊 1面

 米政府がクリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織 的な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。戦時の米軍は慰安婦制度を日本国内の売春制度の単なる 延長とみていたという。調査結果は、日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される。 (ワシントン駐在客員特派員・古森義久)



米政府の調査結果は「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)米国議会あて最終報告」として、2007年4月にまとめられた。米側で 提起されることはほとんどなかったが、慰安婦問題の分析を進める米国人ジャーナリスト、マイケル・ヨン氏とその調査班と産経新聞の取材により、慰安婦問題 に関する調査結果部分の全容が確認された。

調査対象となった未公開や秘密の公式文書は計850万ページ。そのうち14万2千ページが日本の戦争犯罪にかかわる文書だった。

日本に関する文書の点検基準の一つとして「いわゆる慰安婦プログラム=日本軍統治地域女性の性的目的のための組織的奴隷化」にかかわる文書の発見と報告が 指示されていた。だが、報告では日本の官憲による捕虜虐待や民間人殺傷の代表例が数十件列記されたが、慰安婦関連は皆無だった。

報告の序文でIWG委員長代行のスティーブン・ガーフィンケル氏は、慰安婦問題で戦争犯罪の裏づけがなかったことを「失望」と表明。調査を促した在米中国系組織「世界抗日戦争史実維護連合会」の名をあげ「こうした結果になったことは残念だ」と記した。

IWGは米専門家6人による日本部分の追加論文も発表した。論文は慰安婦問題について(1)戦争中、米軍は日本の慰安婦制度を国内で合法だった売春制の延 長だとみていた(2)その結果、米軍は慰安婦制度の実態への理解や注意に欠け、特に調査もせず、関連文書が存在しないこととなった-と指摘した。

ヨン氏は「これだけの規模の調査で何も出てこないことは『20万人の女性を強制連行して性的奴隷にした』という主張が虚構であることを証明した。日本側は調査を材料に、米議会の対日非難決議や国連のクマラスワミ報告などの撤回を求めるべきだ」と語った。



【用語解説】ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)

クリントン政権時代に成立した「1998年ナチス戦争犯罪開示法」と「2000年日本帝国政府開示法」に基づき、第二次大戦での日独両国の戦争犯罪の情報 開示を徹底させる目的で00年に始まった調査。国防総省、国務省、中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)などに未公開の公式文書を点検し戦争犯罪に 関する資料の公開を指示した。

 以下のような記事を書きました。

 

 

慰安婦「奴隷化」文書なし 米政府2007年報告に明記
2014年11月27日 産経新聞 東京朝刊 1面

 米政府がクリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織 的な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。戦時の米軍は慰安婦制度を日本国内の売春制度の単なる 延長とみていたという。調査結果は、日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される。 (ワシントン駐在客員特派員・古森義久)



米政府の調査結果は「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)米国議会あて最終報告」として、2007年4月にまとめられた。米側で 提起されることはほとんどなかったが、慰安婦問題の分析を進める米国人ジャーナリスト、マイケル・ヨン氏とその調査班と産経新聞の取材により、慰安婦問題 に関する調査結果部分の全容が確認された。

調査対象となった未公開や秘密の公式文書は計850万ページ。そのうち14万2千ページが日本の戦争犯罪にかかわる文書だった。

日本に関する文書の点検基準の一つとして「いわゆる慰安婦プログラム=日本軍統治地域女性の性的目的のための組織的奴隷化」にかかわる文書の発見と報告が 指示されていた。だが、報告では日本の官憲による捕虜虐待や民間人殺傷の代表例が数十件列記されたが、慰安婦関連は皆無だった。

報告の序文でIWG委員長代行のスティーブン・ガーフィンケル氏は、慰安婦問題で戦争犯罪の裏づけがなかったことを「失望」と表明。調査を促した在米中国系組織「世界抗日戦争史実維護連合会」の名をあげ「こうした結果になったことは残念だ」と記した。

IWGは米専門家6人による日本部分の追加論文も発表した。論文は慰安婦問題について(1)戦争中、米軍は日本の慰安婦制度を国内で合法だった売春制の延 長だとみていた(2)その結果、米軍は慰安婦制度の実態への理解や注意に欠け、特に調査もせず、関連文書が存在しないこととなった-と指摘した。

ヨン氏は「これだけの規模の調査で何も出てこないことは『20万人の女性を強制連行して性的奴隷にした』という主張が虚構であることを証明した。日本側は調査を材料に、米議会の対日非難決議や国連のクマラスワミ報告などの撤回を求めるべきだ」と語った。



【用語解説】ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)

クリントン政権時代に成立した「1998年ナチス戦争犯罪開示法」と「2000年日本帝国政府開示法」に基づき、第二次大戦での日独両国の戦争犯罪の情報 開示を徹底させる目的で00年に始まった調査。国防総省、国務省、中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)などに未公開の公式文書を点検し戦争犯罪に 関する資料の公開を指示した。

 おもしろい新刊書の紹介です。

 

 

 

 

内容紹介

本書はモンゴル人とチベット人の歴史だけでなく、日本人の歴史でもある。
しかし、本書はモンゴル人の軍功史ではない。二十世紀を駆け抜けたモンゴル人と日本人の近代化の歴史である。近代化への脱皮の形はいろいろあるが、モンゴ ルと日本の場合は、それが「日本刀」と「騎兵」だったのである。本書は、モンゴルとチベットの悲劇にまつわるさまざまな側面を「日本刀」と「騎兵」を歴史 のキーワードとして取り上げている。
本来騎兵といえばルーツはモンゴルであり、チンギス・ハーンを想起する日本人も多いだろう。その騎兵戦術をモンゴルの侵略を受けたヨーロッパが改良。それ を、元寇も体験した日本が明治維新以降学び、日清日露戦争を勝利に導いていった。その日本の進んだ騎兵術や馬術や軍事戦略を、今度はモンゴルの青年が日本 から学んだというのも、歴史の不可思議であるといえよう。
そうした「日本刀」と「騎兵」が、織りなすチベットとモンゴルの悲劇の歴史、現代史の空白を本書によって、少しでも埋めることができれば、著者として望外の喜びである(著者「はじめに」より要約)
 

内容(「BOOK」データベースより)

日本の陸軍士官学校で学んだ最強の騎兵軍団、その悲劇の興亡。「日本刀」と「騎兵」が織りなすチベットとモンゴルの悲劇の歴史を、南モンゴル生まれの著者が、重厚で複眼的な歴史観に基づいて、現地取材も行ない見事に再現!
 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

楊/海英
1964年、南モンゴルのオルドス高原生まれ。モンゴル名オーノス・チョクトの日本語訳は大野旭。北京第二外国語学院大学アジア・アフリカ語学部日本語学 科卒業。同大学助手を経て、1989年来日。総合研究大学院大学博士課程修了。現在、静岡大学人文社会科学部教授。専攻、文化人類学。博士(文学)。『墓 標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録(上下)』(岩波書店)で、第十四回司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲 載されていたものです)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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しかし、本書はモンゴル人の軍功史ではない。二十世紀を駆け抜けたモンゴル人と日本人の近代化の歴史である。近代化への脱皮の形はいろいろあるが、モンゴ ルと日本の場合は、それが「日本刀」と「騎兵」だったのである。本書は、モンゴルとチベットの悲劇にまつわるさまざまな側面を「日本刀」と「騎兵」を歴史 のキーワードとして取り上げている。
本来騎兵といえばルーツはモンゴルであり、チンギス・ハーンを想起する日本人も多いだろう。その騎兵戦術をモンゴルの侵略を受けたヨーロッパが改良。それ を、元寇も体験した日本が明治維新以降学び、日清日露戦争を勝利に導いていった。その日本の進んだ騎兵術や馬術や軍事戦略を、今度はモンゴルの青年が日本 から学んだというのも、歴史の不可思議であるといえよう。
そうした「日本刀」と「騎兵」が、織りなすチベットとモンゴルの悲劇の歴史、現代史の空白を本書によって、少しでも埋めることができれば、著者として望外の喜びである(著者「はじめに」より要約)
 

内容(「BOOK」データベースより)

日本の陸軍士官学校で学んだ最強の騎兵軍団、その悲劇の興亡。「日本刀」と「騎兵」が織りなすチベットとモンゴルの悲劇の歴史を、南モンゴル生まれの著者が、重厚で複眼的な歴史観に基づいて、現地取材も行ない見事に再現!
 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

楊/海英
1964年、南モンゴルのオルドス高原生まれ。モンゴル名オーノス・チョクトの日本語訳は大野旭。北京第二外国語学院大学アジア・アフリカ語学部日本語学 科卒業。同大学助手を経て、1989年来日。総合研究大学院大学博士課程修了。現在、静岡大学人文社会科学部教授。専攻、文化人類学。博士(文学)。『墓 標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録(上下)』(岩波書店)で、第十四回司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲 載されていたものです)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国際激流と日本

共和党の両院制覇で米国は再び強くなる「アジアにとって良いニュース」と安全保障の専門家が指摘

2014.11.26(水)  古森 義久

 

  米国議会の上下両院で共和党が多数派となったことは、米国のアジア政策の強化をもたらす。よってアジアにとっては朗報である――。

 

 こういう見解が米国の専門家たちから打ち出された。共和党★議員が多数を占める議会は、環太平洋経済連携協定(TPP)の推進や日本やオーストラ リアとの同盟の強化、中国の軍拡への抑止策の増強などをこれまでより積極的に進め、米国の国防予算の削減にもブレーキをかけることになる、という展望であ る。

 

 中間選挙での共和党の圧勝が日本にも好ましい材料を与えるという見通しは、11月12日の当コラムでも報告した(「オバマの大敗はなぜ安倍政権にとって朗報なのか? 3人の共和党上院議員が強力な援軍に」)。今回、米国側でこうした展望を示したのは、アジア安全保障の専門家のエルブリッジ・コルビー氏とリチャード・フォンテーン氏である。両氏は11月中旬に大手紙「ウォーストリート・ジャーナル」に論文を寄稿し、その見解を明らかにした。

 

 フォンテーン氏はワシントンの安保専門の研究機関「新アメリカ安全保障センター(CNA)」の所長、コルビー氏は上級研究員を務める。ともに米国政府の国防総省、国務省、国家安全保障会議などで、アジアや安全保障、軍事の政策を高官として担当してきた。

共和党の協力でTPPの推進が容易に

 この共同論文は「共和党多数の議会はアジアにとって良いニュースである」と題されていた。副題は「共和党は貿易、安全保障、人権に関して(アジア諸国の)より良きパートナーとなる」であった。

 

 論文は、まず、オバマ政権と議会の民主党が、中東や欧州での危機に関心を奪われ、アジアに目を向けることが少なくなってきたと指摘し、「やはりア ジア・太平洋地域は世界全体の経済ダイナミズムと戦略的競合の中心舞台であり、米国は政党の如何にかかわらず、中期、長期にこの地政学的な現実に対応し て、より多くの注意と資源を向けなければならない」と強調した。

 

(つづく)

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