2015年02月

日本にとっての中国とのいわゆる歴史問題では日本側が謝罪や譲歩をすれば、
事態は解決されるかのような誤認が日本側には一貫して存在します

しかしそれはまちがいなのです。日本がどんな譲歩や妥協をしようが、反省や謝罪を表明しようが、
中国はさらに歴史問題での新たなハードルを設けて、日本を攻撃してきます。
なぜなら、日本を叩いていること自体が中国の国策だからです。
そのへんの中国側の実情を以下の記事がうまく説明しています。

日本がたとえ慰安婦問題で全面的に中国側の要求に応じたところで、また日本がたとえ首相の靖国参拝を絶対にしないと誓ってみたところで、中国の歴史問題での日本責めは止むことはないのです。


戦後70年「日本たたき」激化の合図?
2015年02月25日 産経新聞 東京朝刊 総合・内政面

 【北京=矢板明夫】中国の王毅外相は23日、米ニューヨークでの国連安全保障 理事会の討論会合で約80カ国の参加者を前に、名指しを避けながらも厳しい日本批判を展開した。今年は2月19日だった春節(旧正月)で新春を迎える慣習 がある中国では、会合は新しい年の最初の重要外交行事と位置づけられる。王外相の演説を聞いた北京の日本問題専門家は「今年の対日政策も昨年と同じく厳し いものになりそうだ」と述べた。

 昨年11月には2年半ぶりの日中首脳会談が実現し、中断していた各分野の日中交流は徐々に回復しつつある。日本側の関係者には日中関係回復に対する期待があり、歴史認識にかかわることで新たに中国を刺激するようなことも起こっていない。

  しかし、日本側の状況とは関係なく、中国の習近平指導部は日本と対峙(たいじ)する姿勢を崩していない。中国の共産党関係者は「反日は中国国内の都合によ るもので、簡単にやめられない」と指摘した上で、「日本をたたくことによって習指導部は求心力を高めると同時に、国内問題への関心を外に向けさせようとし ている」と指摘した。

 2012年秋に発足した習指導部は、日本と対決する姿勢を続けてきたが、国民に飽きられないように毎年“反日カー ド”を変えているのが特徴だ。13年は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化を問題視し、日本政府に譲歩を迫った。14年は戦時中に「強制連行」されたとする 中国人元労働者の賠償訴訟や南京事件を大きく宣伝し、中国が被害者であることを強調した。そして今年は戦後70年であり、中国が反ファシスト戦争の主役と して勝利に大きく貢献したことを国内外にアピールし、国威発揚につなげようとしているようだ。

 夏から秋にかけ中国国内でさまざまな祝賀イベントが予定されている。秋にはロシアのプーチン大統領らを北京に招いて軍事パレードを開催する予定だ。王外相の国連での発言は戦後70年の対日歴史戦の“ゴング”ともいえるかもしれない。

こんな記事を書きました。

日本ビジネスプレスの古森義久の連載コラムです。


国際激流と日本

ここで声を上げなくてどうする 
北朝鮮非難の国際会議に日本の姿なし外務省は日本人拉致問題の解決をどう考えているのか

2015.02.25(水)  古森 義久


全てを改善せよ!北朝鮮が新たな政治スローガン310個を発表

日本人拉致事件の解決は日本国民の悲願と言ってよい。北朝鮮・平壌でポスターの前で敬礼する警察官(2008年2月27日撮影、資料写真)〔AFPBB News



 北朝鮮の人権弾圧を非難する大規模な国際会議がワシントンで開かれ、日本人拉致を含む北朝鮮の金正恩政権の非人道的な行為が糾弾された。


 同会議には国連代表をはじめ米国、韓国の政府高官らがこぞって出席し、北朝鮮を厳しく非難したが、日本代表の姿はなかった。当然、日本の主張が発せられることもない。日本人拉致事件の解決を国際的に訴える絶好の機会だったのに、なぜ日本は不在だったのか。

米国、韓国から政府関係者ら30人が登壇

 同会議は2月17日、米国大手の研究機関「戦略国際研究センター(CSIS)」で開かれた。「北朝鮮の人権 今後の進路」と題され、副題には「国 連調査委員会報告書1周年記念」と記されていた。午前8時から午後4時まで3部に分かれたシンポジウムのなかで、日本人拉致を含む北朝鮮の人権弾圧につい て討議が行われた。


 この会議は日本にとっても大きな意義があった。安倍政権が公約として掲げた、日本国民の悲願とも言える「北朝鮮政府による日本人拉致事件の解決」が重要なテーマだったからだ。


 しかも会議自体が国際性に富んだものだった。主催組織には前記のCSISに加えて、米国の「北朝鮮人権委員会」「ジョージ・W・ブッシュ研究所」、さらに韓国の「延世大学人道センター」などが加わっていた。


(つづく)

こんな記事を書きました。

Japan In-Depth というサイトでの私の連載です。


[古森義久]【米中宇宙戦争に現実味】〜中国の衛星破壊兵器(ASAT)の開発が脅威〜

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古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

執筆記事プロフィールBlog

 アメリカと中国の宇宙戦争のシナリオがアメリカ議会で真剣に論じられた。ついこの2015年2月20日のことである。この動きは米側が中国の宇宙 への軍事進出への警戒を高めている結果だった。中国のこの種の軍事動向には最大の注意を向けねばならない立場にある日本にとっても他人事ではない。


 アメリカ議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は同20日、「中国の宇宙・対宇宙計画」と題する公聴会を開いた。同委員会は米中両国の経済関係が アメリカの国家安全保障にどう影響するかの調査を主眼とする超党派の組織である。2000年に発足して以来、一貫して活発な調査、分析、提言、発表などの 活動を続けてきた。
 

 この日の公聴会は午前8時半から午後3時すぎまで3部にわたり合計9人の官民の専門家たちを証人として催された。その主眼は簡単にいえば、中国が将来の台湾や日本、アメリカを想定とする戦争の際に宇宙を軍事利用する可能性についての多角的な考察だった。


 証人の一人、米海軍大学のジョーン・ジョンソンフリース教授はいま地球を回って飛ぶ人工衛星は合計1215基、そのうち512がアメリカ、135がロシ ア、116が中国だと述べた。別の証人の民間研究機関「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー上級研究員は中国の現存の人工衛星のうち少なく とも75基は人民解放軍が独占して使用している、と証言した。

 

 この公聴会では9人の専門家たちが中国の宇宙の軍事利用の具体的な状況について、それぞれ報告した。中国は総合的な軍事力ではなお先を越されるアメリカに対し、宇宙を使ってのゲリラ的な作戦を実行できる能力を近年、強めてきた。


 米側がまず最大の懸念を向けるのは中国の衛星破壊兵器(ASAT)の開発と配備だといえる。中国はそのASATの実験を2007年に実施し、自国が以前に 打ち上げた古い衛星に新たに開発した衛星破壊ミサイルを命中させ、こなごなにしたのだ。米軍はまだこのASATの開発をそれほどは進めていない。


 フィッシャー氏らは今回の公聴会では中国軍が地上配備の新たな衛星破壊兵器や逆に宇宙から地上を攻撃できるレーザー光線兵器などの開発を進めていることを明らかにした。

 

 将来の戦争、あるいは局地的な軍事衝突で宇宙を使って敵を攻撃し、混乱させるという発想は日本ではまったく非現実的とされるだろうが、米中両国の陰に陽にのせめぎあいではすでにこうした具体的な対策が進められているのである。


 韓国の反日キャンペーンは超大国のアメリカをうまく利用しても、展開されています。


.国際  投稿日:2015/2/16

[古森義久]【アメリカにおける韓国の反日活動に懸念】~日本も適切な対応を~

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古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

執筆記事プロフィールBlog


 アメリカの首都ワシントンでは韓国パワーの拡大が目立ってきた。その活動の多くが日本糾弾に向けられる。終戦70周年の今年、アメリカでの韓国系勢力による反日活動の盛り上がりが懸念される。


 韓国系の活動の広がりはとくにワシントンの大手民間研究機関で顕著である。これら有力シンクタンクはアメリカの政府や議会にも大きな影響力を発揮するから、そこでの動きは国政に反映されることが多い。


 そんな韓国パワーの拡大を改めて実感させられたのは2月4日、大手のシンクタンクCSIS(戦略国際研究センター) が主催した米韓関係についてのシンポジウムだった。CSISは韓国の外交安保研究所と提携しており、このシンポジウムも両機関の共催だった。

 

 この催しの韓国側の参加者が印象的だった。つい昨年まで朴政権の副総理兼企画財政長官(大臣)を務めた玄旿錫氏がパネリストとして中心に座る。開幕 の挨拶は韓国政府系の研究機関、外交安保研究所の所長、申鳳吉氏だった。その他、前駐米大使の崔英鎮氏、現駐米大使の安豪栄氏と、韓国の学界や外交を代表 する大物が並ぶのだ。


 これに対しアメリカ側もCSISの韓国研究部長を務めるビクター・チャ氏、新たにオバマ政権国務省で東アジア担当の次官補代理となったソン・キム氏 と、いずれも韓国系米人の知名度の高い人物が代表を務めた。さらには元国務副長官のリチャード・アーミテージ氏も顔をそろえた。


 米韓両方のこうした有力者たちが大規模な聴衆を前に米韓同盟などについて語るのだが、安豪栄大使はアメリカでの韓国パワー拡大そのものについても 堂々と宣言した。


 「最近、首都のワシントン地区での韓国の存在の拡大が目立ちます。最も顕著なのはアメリカ側大手研究機関での韓国チェア(研究部門)の拡 散です。」


 韓国チェアとはこのCSISのような大型シンクタンクの韓国研究部門のことで、研究所の内部に特別に独立した部門を設けて、韓国関連の調査や研究をするセクションである。


 大手シンタンクでは個別の国の研究では年来、日本チェアが最多だったが、最近では韓国チェアが韓国企業からの多額の寄付などを得て、増えてきたの だ。


 ちなみに共和党系のヘリテージ財団でも活発に動く韓国研究部門が存在してきたが、民主党系のブルッキングス研究所でもつい昨年、韓国チェアが新設され た。


 その他の大手民間研究機関でもほとんどが韓国研究部門を開設するにいたった。数年前にはなかった現象である。


 問題はこれら韓国研究部門が頻繁に日本非難の舞台として使われることである。


 前述のCSISのシンポジウムでも日本政府がアメリカの教科書の慰安婦 についての誤った記述に抗議をしたことがきわめて批判的に取り上げられていた。


 日本側としても超大国アメリカでの韓国パワーの反日志向には適切な対応が求 められるといえよう。


  こんな記事を書きました。


【朝刊 1面】
【あめりかノート】古森義久 中国「100年のマラソン」戦略

 「日本の首相の靖国参拝は中国への再度の侵略への精神的国家総動員のためなのだ」

 「日本の宇宙ロケット打ち上げはすべて弾道ミサイル開発のため、プルトニウム保有は核兵器製造のためだ」


 米国の中国軍事戦略研究では第一級の権威とされるマイケル・ピルズベリー氏が2月3日のワシントンでの討論会で現在の中国指導部内では日本について以上 のような断言が堂々となされていることを指摘した。中国側の明確な記録にも残るこうした独断に日本側は正面から論争を挑み、正すべきだと同氏は提言するの だった。



 1970年代のニクソン政権から現オバマ政権まで一貫して国防総省の中国軍事動向を調べる要職にあったピルズベリー氏は最新の自著「100年のマラソン=米国と交代してグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略」を紹介し、議論する集いでそんな発言をした。


 この書の内容は衝撃的である。もう40年以上も中国の対外戦略を研究してきた同氏が中国は「平和的台頭」や「中国の夢」という偽装めいたスローガンの陰 で、実は建国から100周年の2049年を目標に経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜く超大国となり、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権 を確立しようとしている-と総括するのだ。


 同書がいまワシントンの外交政策関係者たちの間で熱っぽい議論の輪を広げているのは、米国側のこれまでの対中観や対中政策が著者自身の認識も含めて根本 から間違っていた、と断ずるからである。米国の官民は中国に対し「欧米や日本の犠牲になった貧しく弱い国」との認識から始まり、「建設的関与」により中国 を最大限に支援してその根幹を強くし、豊かにすれば、国際社会への参加や協力を強め、西側に同調すると考えてきたが、それは巨大な幻想だった、と強調する のだ。


 だから同書は米国側の年来の「対中関与は協力をもたらす」「中国は民主主義へと向かっている」「中国は米国のようになりたいと願っている」という想定はみな錯誤だったとも断じる。そのうえで次のようにも指摘する。


 「中国共産党の中核は米国が実は中国の現体制を骨抜きにし、国際的にも封じ込めて変質させ、米国主導の国際秩序に従属的に参加させる意図だと長年、みてきた」


 「しかし中国指導部は米国の主導と関与の誘いに従うふりをしながら、国力を強めて米国の覇権を奪い、中国主導の国際秩序を築く長期戦略を『100年のマラソン』として進めている」


 ピルズベリー氏によると、中国はその世界覇権への野望の主要手段として「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本 悪魔化」工作を実行してきた。アジア諸国と日本国内をも対象とするこの反日工作は日本が米国の主要同盟国として安保と経済の大きな柱である現状を突き崩す ことを目的にするという。冒頭の中国の日本糾弾もその路線に含まれるわけである。


 この書は日本の対中政策形成のうえでも重視すべき新たな指針だろう。(ワシントン駐在客員特派員)


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